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亡界のロストチルドレン~完結編~

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亡界のロストチルドレン~完結編~
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【将を射んと欲すれば 4】


「一つ目も手一杯なようね」
 戦況を把握したアリーチェが【プラーナポータル】でピオの背後に空間の穴を作った。潤也より先にアリーチェが攻撃する手筈である。
「さあいくわよ!」
 アリーチェが【ヒートネクローシス】で灼熱を帯びたファミリアを付着させた。
 不意打ちをくらったピオ。その影響はジャガナタたちにも現れた。
 それを確認するとアリーチェは潤也に突撃を促した。
「今よ潤也。思いきりやって!」
 潤也は『ラビットシューズ』で素早く駆け寄った。紫緒莉も一気に肉薄する。
 ピオからの攻撃を潤也は【紅炎の生存本能】と【蒼炎の生存本能】で回避した。
「焼き尽くす! その体を!」
「手伝って、わたしのファミリア達! これが、わたしの最後の一撃だから!」
 紫緒莉は【一心同体】で二つのファミリアと同調させた。
 潤也が『猛き炎の剣』と【アブソリュートアライブ】による激しい炎をまとった連続斬りを繰り出し、紫緒莉が【ラストスタンド】を放った。
 2人の絶え間ない攻撃に、ピオは苦しみながらも反撃し、潤也と紫緒莉を退けた。
「ぐっ……だが、多少は効くだろう!」
 後退しつつ潤也が不敵に笑った。
 体から煙を噴き上げているピオを助けようと、一つ目が動いた。
 その動きを阻むように、ラムサスが【プラーナボム】を頭に投げ付けた。
「余所見すると一つしかない目玉が潰れますよ?」
 再び自分に向いた一つ目に、ラムサスは警告した。
 ピオ、ラムサスと注意があちこちに動いた一つ目に隙が出来た。
 アヤメは【鷲の眼】で眼の中心を狙うと、
「……風向き良し……狙い撃ちます……プラーナ……チャージ……シュート!!」
 『光闇のプラーナ結晶』で光属性にした弾丸を『ファミリアLV2』とジャガーブラストのFA能力の連射で撃ち込み続けた。
 アヤメの狙撃に乗じ、凛音は【チャージ】すると、突進した。
 対する一つ目は防御態勢を取った。
「かかったの」
 それはフェイク。凛音は【セカンドチャンス】を使い、次の攻撃に移った。
「この技術も含めりゃ、そう外しはしねぇだろうよ」
 オルトが【スナイプ】で狙撃し、一つ目の動作を封じると、凛音は【リヴァーサルエンド】をくらわせた。一つ目はまだ倒れない。
「この程度で怯むとは思わぬからの!」
 続けざまに、凛音は本命の【バタフライエフェクト】を発動させた。
 特異者たちの攻撃を受け続けた体は、もはや流し込まれた毒に抗う事が出来なくなっていた。全身に毒が回り、蓄積していたダメージが限界を超え、一つ目は潰えた。
 一つ目が倒れ、ジャガナタは仲間が抑え、ピオは手負い。秋良は今こそがピオを倒す時だと考えた。秋良は『ライグナイト』【FA5】のファミリアアビリティで感情を昂ぶらせている。
「これ以上……やらせません!」
 秋良は自分の想いと『絶獅子の咆撃』【FA4】のファミリアアビリティと【螺旋の咆哮】を合わせてピオに近づく。
 『物干し竿【FA1】』を構え、デューンが【ファミリアラストモーント】をピオ目掛けて繰り出した。
「この一撃で……!」
 デューンに続いて秋良が『絶獅子の咆撃』【FA4】の深・ファミリアアビリティを叩き込んだ。出来れば一撃で仕留めたいところだったが、これで終わりということはない。ピオも抵抗を止めない。
 想定通りの反撃を受ける秋良。それをフォローするようにトーマスが蝶型のファミリアをピオに飛ばし、その動きを抑制する。
「今だっ!」
 トーマスの叫びに、秋良も頷いた。
「私達が貴方達の邪魔をしてるんじゃない……貴方達が私達の邪魔をしてるんです!」
 全てのファミリアビリティとSUファミリア【レベル5】を使い、想いと威力を底上げした【ラストスタンド】を放った。
 秋良の腕一本を犠牲にした攻撃がピオに決まった。
 残虐なるリージョンマスターは再び、葬られた。
 ピオの制御がなくなったジャガナタは暴走を強め、辺り一帯を無闇に攻撃を始めた。
 さすがに対応ができず周囲の地面はめり込み、破壊され、隆起していく。
 この世のものとは思えない光景。だがそれはジャガナタが苦しんでいるということでもあった。
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