■プロローグ■
物心ついた時から二番に甘んじていた。
一番は一人しかいない。だって一番だもの。
一番はいつも一人、だから一番になるには、一番の人より頑張らなければならない。
でも、どれだけ頑張ればいいの? いつまで頑張ればいいの?
だってどんなに頑張っても、どれだけやってもいつも二番。
二番二番二番二番二番二番二番二番二番二番。
二番二番二番二番二番二番二番二番二番二番。
そんな時、あれは本当に事故だったんだけど、一番がいなくなり、あたしが一番になった。
ああ、そうか……一番がいなくなれば、二番のあたしが一番になるんだ。
なんだ、一番になることは簡単なことじゃない。
誰だったかな、「最も大きな危険は、勝利の瞬間にある」で言ったのは。
あたしもその通りだと思う。
だからあたしは二番であり続け、最後の最後で一番になった。
特異者になって、あたしの力が認められて“三千界統合機関”の一員になった。
ここは一番でなくてもいい、居心地のいい場所だった。
だからここでもっと上になりたい、そう思っていた。
とある世界に派遣された時、そこでも二番であり続けた。
そして仕えていた勇者が勝利しようとした瞬間、あたしが壊した。
後は今まで並べていたドミノが一気に倒れていくように、世界は壊れてゆく。
積み木でもいい。高く積んで完成の直前で崩れると、崩壊は一気に来る。
そう、世界を壊すことは一番になることと同じだった。
だからあたしは千国でも軍師として一番になりそうな君主に仕えた。
君主が統一を果たそうとした瞬間、それを壊す。
罪悪感? 一番になるのにそんなものは必要ないよ。
そんなものは二番に甘んじている者の言い訳だよ。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 【1】象兵隊
3ページ 【1】敵陣の奥へ
4ページ 【1】真田丸での攻防
5ページ 【1】もう一つの砦
6ページ 【1】花鬘と祝融夫人
7ページ 【1】打倒孟獲
8ページ 【2】水上の戦い
9ページ 【2】天狼の翻弄
10ページ 【2】守りたい存在
11ページ 【2】勝利の条件
12ページ 【5】<22>許昌/曹操領
13ページ 【5】<23>豊後/大友領
14ページ 【5】<20>キャメロット/円卓の騎士団
15ページ 【5】<25>出羽/最上領
16ぺージ 【5】<29>建業/劉備領
17ページ 【5】<24>西県/王異領
18ページ 【5】<30>会稽/朱儁領
19ページ 【5】<33>薩摩/島津領
20ページ 【5】<17>雑賀城/雑賀領および<34>安房/里見領
21ページ 【6】<2>上杉領/上杉謙信
22ページ 【3】【本陣上陸作戦】
23ページ 【3】【亡霊兵戦[1]】
24ページ 【3】【亡霊兵戦[2]】
25ページ 【3】【董卓を討つ】
26ページ 【3】【半兵衛前哨戦 VSモリガン】
27ページ 【3】【半兵衛前哨戦 IF撃墜作戦】
28ページ 【3】【半兵衛を討つ[1]】
29ページ 【3】【半兵衛を討つ[2]】
30ぺージ 【4】上陸
31ページ 【4】赤壁の戦場
32ページ 【4】一気呵成(1)
33ページ 【4】一気呵成(2)
34ページ 【4】覇をもたらすもの
35ページ エピローグ