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大和妖奇譚 ―妖魔行―

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大和妖奇譚 ―妖魔行―
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大嶽


時間は少し遡る。
京の南にある、小高い丘の上にて。

「ヤマタノオロチとは別に何やら妙な感じがしたから来てみれば……
驚いたな、アンタ、鬼かい……?」
朝倉 蓮が、
大嶽に接触していた。

「俺?
あぁ、俺はただのしがない妖さね。
……なぁ、鬼さんよ。
アンタは一体何を成そうとしているんだい?
ちょっと教えてはくれないか?」

「ああ、たしかに、私は鬼だ。
だが、貴様のような三下に関わる時間はない。失せろ」

蓮は妖とデモニスのアバターだったが、
いかにその姿といえど、大嶽に信用されることはない。

しかし、大嶽はふと、眉をひそめる。
「貴様、ただの妖ではあるまい。
人の臭いがするぞ。……半妖か?」

大嶽は、蓮の妖気、あるいは霊力を読み取ったのか、
彼の正体に感づいたのであった。

「そうか、貴様ら、我らの邪魔立てをする者どもだな。
……では、ここで死んでもらおう」

「ちょっと待てよ……おわあ!」

大嶽に式神をけしかけられる蓮だったが。

「よぉ鬼さんよ。ちょいとツラ貸してくれや。
お前の相手は、この俺だ!」
四月 七日たち、他の特異者たちが駆けつけた。
「タイマン張らせてもらうぜ。
来いよ!」
「どうやら命が惜しくないと見える。
貴様のような愚か者はそうおらぬぞ」
「言ってろよ!」
七日は、大嶽に襲い掛かるが。
次の瞬間、弾き飛ばされ、近くの木へと叩きつけられていた。
「ぐ……」
「私は黒塚や土蜘蛛とは違う。六鬼衆が水、大嶽も舐められたものだ……」

「京にはまだ知りたい事が有る。壊されるのは迷惑なのだよ」
神有月 誠が、
起爆符をばらまいて、大嶽を攻撃する。
予想外に大嶽の力は強かったが、
それでも、退くわけにはいかなかった。

「自分の手で攻める気概も持たぬ臆病者よ。
この場で滅びろ」
サイオン・アシュレイも、
ドリームウェポンで攻撃を行う。

大嶽は、攻撃を黙って受けていたが、
傷一つついていなかった。

「これで終いか」
大嶽は、符を構えると、
誠とサイオンに投げつけた。
「符というのは、こうして使うものだ」

誠の放った起爆符と似た、
しかし、それを遥かにしのぐ爆発が、誠とサイオンを襲う。
「くっ!」
「ううっ!」
二人は耐えるのにせいいっぱいで、身動きもできない。

「無粋だぜアンタ!
せめて、ド派手な戦を嵐で邪魔するのはやめろ!」
ジハード・バクスが、
一刀両断を大嶽に放つ。

「術は止めて見せるわ!」
陰元 苑香も、
煙玉を投げつけ、大嶽の気を逸らそうとする。

「無駄だとわからぬか」
「ぐっ……!?」
ジハードの放った斬撃は、
大嶽にほんのわずか、かすり傷を負わせはした。
しかし、大嶽は、ジハードの刀を片手で受け止めて、
刀ごとジハードを放り投げた。
「うわああああっ!」

「な……」
苑香も、大嶽に符を放たれ、
衝撃で地面に叩きつけられる。

「苑香お姉様!?」
シャッテ・サニーライトが思わず叫ぶ。
連絡係として、
戦闘に直接参加せずに控えていたものの、
パートナーが倒されたのを見て慌てたのだった。

「後は貴様だけか」
大嶽が符を構えた時であった。

丘の向こうで、大きな声が響き渡った。

「ほう、あれを倒したか」
ヤマタノオロチを倒した歓声を聞いて、
大嶽はやや驚いたように言った。

大嶽が、身をひるがえそうとするのを、
七日が止めようとする。
「待てよ……」

「今ここでお前を倒せなくても……待ってろ、お前は俺が倒してやる!
絶対にッ!
だから、首を洗って待っていろ!」
ボロボロになりながらも、そう宣言する七日に対し。
「貴様らこそ、次に会った時は命無きものと思え」
大嶽は、それだけ言い残すと、落雷の轟音が響いた。

次の瞬間には、大嶽はいなくなっていた。

それと同時に、急速に嵐が止んでいく。

「苑香お姉様!」
シャッテがパートナーを助け起こす。
「すぐに皆様を呼んでまいりますわ!」

特異者たちは、
ヤマタノオロチを倒した者たちと合流して、
大嶽がいたこと、
そして、その力の強大さを伝えることになった。





特異者たちがヤマタノオロチを協力して退治したことで、
京に避難する人々に影響が出ることはなかった。

空が晴れていく中、
特異者たちは、さらなる強大な敵との戦いを決意するのだった。

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