八つの首の化け物 3
【八武衆】のメンバーは、さらに攻勢を続ける。
クラリモンド・リーパーは、
忍びの歩法でヤマタノオロチに接近すると、
壁走りを行い、
首を駆け上がる。
「おーすごーい! おっきー♪
ホント何喰ったらこんな大きくなるんだろうね、登るのも一苦労だよ」
テンション高く笑いながらも、
クラリモンドは、ヤマタノオロチの首に『糸』を巻きつける。
グオオオオオオオオオオオオオッ!
「あははははっ!
そーらロデオだ!」
暴れるヤマタノオロチを馬鹿にするように言い、
クラリモンドは、首を落とす機会を伺う。
八百万 千尋も、
同じ首に登り、
野太刀をヤマタノオロチの首に突き刺して、振り落とされないようにする。
(大和を守るためなら、
この程度の敵にひるんでいるわけにはいきません)
侍としての矜持を強く持ち、
千尋は、自らのできることを全力で行おうとする。
神懸りを使用して、
千尋は、一刀両断をヤマタノオロチの首に放つ。
ギシャアアアアアアアアアアッ!
イルファン・ドラグナは、
その様子を見て、
残心を用いながら、ヤマタノオロチへと接近する。
「あはは、それじゃ落とされちゃうよ!」
クラリモンドの笑い声が聞こえる。
ヤマタノオロチは、千尋の攻撃で、
首を大きく下げてきていた。
その隙を狙い、虎走りで迫ったイルファンが、
顔面へと斬撃を放つ。
グオオオオオオオオオッ!
「我が剣閃は何者も見切る事能わぬ刹那の煌き也!!」
イルファンが、
一刀両断を、ヤマタノオロチの傷口へとさらに叩きこむ。
「イルファン様、皆さん、がんばってください!
あと少しです!」
太刀花 縁が、応援を行う。
誰かが負傷したら、
すぐに、治療術と救急セットで助けるつもりであった。
宇月 ハルも、
壁走りで、ヤマタノオロチの首に駆け上がり、
鎖鎌を首に巻きつける。
そして、オーバードライブを行いつつ、
一機に斬りつける。
「ヤマタノオロチ、必ず倒します!」
隣の頭が攻撃してくるのを見計らい、
ハルは空蝉の術で、回避を行う。
「さあ、もう少しで、落ちちゃいそうだ……」
クラリモンドがつぶやく。
「キミの首が……ね」
血しぶきが上がった。
一行の全力での攻撃で、
ヤマタノオロチの首が飛んだのである。
ヤマタノオロチの頭のない首がジタバタと暴れるのを、
特異者たちは、振り落とされたり、
巻き込まれたりしないよう、
しばらく注意していたが。
やがて、頭のない首はだらりと垂れたままになった。
「これで四本目……。
残りは半分ですね」
ハルが冷静につぶやいた。