八つの首の化け物 2
【八武衆】メンバーたちは、
三本目の首を狙い、同時に動き始める。
「京に住む人々を守らなければならない。
そのために、僕は全力を尽くすのみだ」
草薙 大和は、
野太刀を構えて、
激しく噛みつこうとしてくるヤマタノオロチの攻撃をかわし、
頭へと迫っていった。
「こっちです!
ほらほら、大和ししょーの相手の前に、
この二番弟子、
コロナ・ブライトが相手になりますよ!」
コロナ・ブライトが、
アームディフェンスで、なんとかヤマタノオロチの攻撃を防ぎつつ、
ヤマタノオロチの首が伸ばされた状態が維持できるようにする。
「ししょー!
お願いします!」
「ああ!」
大和は、伸ばされた首の上に飛び乗り、一刀両断を放つ。
渾身の一撃で、
ヤマタノオロチの鋼鉄のごとき鱗が、ばらばらとはじけ、
血しぶきが上がる。
グオオオオオオオオオオオオオオッ!
「今です!
一気に畳み掛けますよ!」
白森 涼姫が、
ヤマタノオロチの傷口に向かって、
喝砕を放ち、
ヤマタノオロチの首を内部から破壊する。
(私に出来る事を最後までやるだけです)
涼姫は、返り血にもひるまず、
重たい攻撃を繰り出した。
「……ハッ、相手にとって不足無しだな」
暁 刹那が、
ヤマタノオロチを見据え、つぶやく。
あらかじめ、
パートナーの
ニルフィ・ヴァーミリオンから、
ヤマタノオロチが式神であることは告げられている。
そして、どこかに、操っている者がいるであろうことも把握していた。
「俺たちは目の前のコイツを倒すことに専念するだけだ!」
虎走りで、ヤマタノオロチに迫り、
刹那が斬撃を放つ。
「硬え!
……だが!」
刹那は、ヤマタノオロチの傷口に、
刀を突き立てる。
「分析完了。敵急所は……ここです!」
アルトリア・コールブラッドが、
アナライズを使い、
ヤマタノオロチの傷口の中でも、
特に脆い部分へと、喝砕を放つ。
グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
「よし、弱ってきてるな!
このまま、一撃で決めるぞ!」
刹那が一刀両断を放つのと同時に、
ニルフィが、氷結符を放つ。
そして、
アルトリアが、高く跳躍し、飛天蹴で攻撃する。
「目標補足……我流体技【鷹爪飛天蹴】」
ギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!
ヤマタノオロチの三本目の首は、断末魔をあげ、
ごとり、と地面へと落下した。
一行は、落ちてくる巨大な首にぶつからないよう飛びすさる。
「これで、残りは五本、か」
松永 蒼菜がつぶやく。
実は蒼菜は、あらかじめ、別の策を試していた。
「式神とはいえ、強大なのには変わりがない。
私達の世界で有名な方法を試すとしよう」
蒼菜は、境屋に頼んで酒を用意しようと考えていたが、
大和から連絡を取る時間はなかったため、
現地で調達した酒を、
ヤマタノオロチに飲ませて酔わそうとしていたのである。
しかし、このヤマタノオロチに酒は通用しなかった。
見向きもされずに、酒樽が転がされていってしまったため、
蒼菜は、この手段はあきらめることにした。
そこで、後方支援を行い、
少しでも時間稼ぎをしようとしていたのである。
ヤマタノオロチは、特異者たちに牙をむきつつも、
着実にダメージを与えられていた。
しかし、すばやく残りの首を落とさなければならない。
一行は、油断せず、さらに激しく戦っていった。