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大和妖奇譚 ―妖魔行―

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大和妖奇譚 ―妖魔行―
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八つの首の化け物 1


嵐は強く、稲光が、ヤマタノオロチの姿を不気味に照らし出す。
ぬらぬらとした鱗は雨に濡れ、
彼の大蛇のおぞましさを、より際立たせていた。

そんなヤマタノオロチを前に、
【八武衆】メンバーは、八つの首を同時に落とそうと考えていた。

「行こう……【八武衆】、ミッションスタート!」
リーダーである藤村 千悠紀の号令により、
一行が、八方から、ヤマタノオロチの首へと迫る。

ブレード化した触手を伸ばした千悠紀は、
壁走りで、巨大な柱のごとき、ヤマタノオロチの首を駆け上がる。
パートナーのギン・キリエル・營は、
千悠紀の触手に支えられて、
ヤマタノオロチの首に上り、
陰陽知識で、式神であるヤマタノオロチの弱点を分析する。
「やはり~、この首を落とすことが重要なのは間違いありませんわね~」
「ああ!」
千悠紀はうなずき、ヤマタノオロチの首を斬り落とさんとする。
「でかい~図体~全然~生かせてませんわね~~~」

シュウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!

ギンの言葉に怒りを表すかのように、
ヤマタノオロチが威嚇するが、
頭の上に乗られては噛みつくこともできない。
千悠紀とギンは、振り落とされないよう気をつける。
そして、一気に攻撃を放つ。
ヤマタノオロチの首から、血しぶきが上がる。

一方、
チャージで力をためていた桐ヶ谷 遥は、
派手な動きで囮になりつつ、
ヤマタノオロチへと接近する。
また、遥は、風の衣をまとうことで、暴風雨を防いでいた。

また、羽織っていた黒之外套を、
向かってきたヤマタノオロチの顔面に投げつけることで視界をふさぎ、
その隙に首に駆け上がる。

そして、一刀両断をヤマタノオロチの首に向かって放つ。

グアアアアアアアアアアアアアアッ!

遥のパートナーのアルフレッド・エイガーは、
ヤマタノオロチが暴れる反動で
遥が弾き飛ばされた時に、
ヴェンダの風を起こし、
上空へと舞い上がれるようにする。
「今だ! よく狙え!」

また、神楽 鏡花は、
神懸りを行い、祈祷を捧げることで、
パートナーの遥に、力を与える。
「風の神様、どうか、力を貸して!」

アルフレッドと鏡花の支援を受けて、
遥が、二撃目の攻撃を、さきほどの一刀両断と同じ場所へと放つ。

ギシャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

血しぶきを浴びつつも、
遥は冷静に、さらなる攻撃の機会を伺った。
(確実に首を落とす。
そのために最善の行動は……)

「俺達が大和を救ってみせる!」
神託でヤマタノオロチの動きを予測して、
雨宮 詩乃が、
攻撃を避けながら、首へと迫る。

シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

ヤマタノオロチが、牙をむき出し、噛みつこうとしてくる。
牙からは、液体がしたたり落ち、
毒を持っているであろうことが明白だった。

雨宮 雫が、
顔面当てを、迫ってきたヤマタノオロチにぶつける。
次の瞬間、
猿飛 交喙が、
一瞬ひるんだヤマタノオロチに、煙玉を投げつける。

その隙をついて、詩乃が、ヤマタノオロチの首へと飛び乗った。
「兄貴! 簡単に落ちないでよ!」
雫が、義兄である詩乃に声をかける。
「ああ、任せろ!」
そんなふうに返す詩乃に対して、
別の首が迫るのを、交喙が手裏剣術で防ぐ。
「拙者も一緒……勇気を出して……」

詩乃は、飛び乗っている首に、
ダウンスラッシュを、渾身の力で放つ。
「これが、八武衆の力だ……! うおぉぉ!」

ギャアアアアアアアアアアアアアアッ!

唾液をまき散らしながら、
ヤマタノオロチが悶絶した。


また、
ギルド「はじまりの場所」のメンバーもまた、
【八武衆】の仲間として、
皆で一つの同じオロチの首を狙う。

「みんなのことは、何があっても守ってみせます」
高橋 ひなは、
神楽舞を舞って、
戦い続ける仲間たちを回復させた。
雨風が強く吹きつけたが、
ひなは、ひるむことなく、舞い続けた。
(みんながいるから、恐くないです)

家鴨 仁は、
起爆符を、ヤマタノオロチの首に向かって放ち続けていた。
集中的に爆発を起こし、大きなダメージを与えるつもりである。
「いくら、強大な敵だからといって、
集中攻撃を受ければ、
瓦解させることができるはずです」
仁は、仲間への強い想いから、
精神を普段よりさらに研ぎ澄ませて、符を放った。

「……見えた!」
黒鉄 隼人はアナライズで、
ヤマタノオロチの動きを分析して、
オーバードライブを使用しながら、ヒットアンドアウェイを繰り返していた。

隼人のパートナーの巓鎧 忍は、
九十九の幸を使って、
隼人を支援する。
「後ろから別の首が迫っているでござる!」
「わかった!」
忍の警戒の声により、
隼人は、いち早く攻撃を察知して、別の首の追撃を避ける。

「これでとどめだ!」
隼人はオーバードライブで、
ダメージを与えていた首に迫り、
一刀両断を放つ。

それと同時に。
「オロチの皮……高く売れるだろうな」
隼人のもう一人のパートナーの空閑 隼吾郎は、
ヤマタノオロチの口の中に踊りこんで、
生体ミサイルを発射し、
体内で暴れ回る。
「皮置いてけー!
皮置いてけー!」
隼吾郎は、妖怪「皮置いてけ」と化していた。

「爆!」
仁も、また、ダメ押しとばかりに、起爆符を爆発させる。
ヤマタノオロチの首の鱗が、焦げた臭いを放ちながらはじけ飛ぶ。

結果として、集中攻撃が功を奏し、
はじまりの場所のメンバーたちが攻撃していた首が、
地面に落下し、泥水のしぶきをあげる。

「やりました……!」
動かなくなった巨大な首を見据え、ひながつぶやいた。

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

ヤマタノオロチの残りの首たちが、
咆哮をあげた。
強い怒りと憎しみが、びりびりと、この場に広がった。
だが、特異者たちはひるむことはない。

一方、他の【八武衆】メンバーも、
同時に多くの首に挑んでいたが、
やはり、効率がよくない。
せっかく斬り落としても、また、何度も再生してしまうからである。

そこで、一同は、
一人一本ではなく、大勢で一本攻撃した方がよいと判断した。
「タイミングを合わせ、複数人でひとつの首を同時に攻撃して、
一気に片を付ける!」
千悠紀の言葉に、
一行はうなずいた。

千悠紀や遥、詩乃たちの攻撃で、
さらにもう一つの首が落とされる。

二本の首が落ちている今、
残りは六本。
また、新たな首が再生するまでに、全力で倒さねばならない。
特異者たちの猛攻が始まった。

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