腕試し
腕試しのストリーム。
そこに
西村 瑠莉、
地縁堂 七詩、
ノエル・エフィンジャーの3人が入り込む。
迅速に攻略するには冷静にかつ慎重に、だが大胆に進まなければクリアは出来ない。
「ここが腕試しの遺跡……ワクワクしてきました!」
ノエルが目を輝かせながら遺跡の中を見渡している。
ちらほらよそ見をしながら、まだ見ぬものを見て回りたい欲求をそのまま体現したかのようなノエルの姿はまるで小動物の動きであった。
変わったものを興味津々に見る性格上、トラップが見つけられるかもしれないと不思議な自信があったが、不用意な行動も取らないよう、他の2人の足を引っ張らないようにできるだけ慎重にトラップを探していた。
七詩も壁などの死角や床や壁の色・材質の違和感などに注視し瑠璃と伝意の言霊で会話を行って意思疎通をしていく。
そうしてトラップを搔い潜りながら進んでいくと前方にスライムが出現。
まずは瑠璃が呪核-逆渦≪颯≫【呪核-逆渦】でスライムを引き寄せ、マジックソーシールドで受け止める。
そして残響蓮華で移動し戒縛でスライムを魔法力の紐で縛り付けた。
「今、でございます!」
束縛されたスライムに向かって七詩が呪弓-フミヅキ【呪弓-ヤヨイ】で魔法の矢を作り放ち、ノエルが苗の【刻印】2による【印】1:エレキボールを放出。
衝撃を受けたスライムはそのままストリームに吸収されるように消えていった。
「よい連携でありました。お見事でございます」
「そんな。瑠璃さんがスライムを縛り上げてくれたから狙いを外さずに打ち込めたんですよ」
「そうでございますね。お二人に比べて若輩者のわたくしでも攻撃を当てることができたのは瑠璃様のおかげでもありますね」
「そう言ってくださるのなら遠慮なく受け取らせていただきましょう」
「そうです、ね!」
会話をしながらもトラップを探っていた七詩が呪弓-フミヅキでトラップのセンサーを打ち抜く。
ノエルはその対処にキラキラした目で見つめていた。
『気づいていましたよね?』
『当然でございます。ですが、ここは腕試しの遺跡。ノエル様の成長のためにもあまり私が対処するつもりはございません。万一の場合のみ動かせていただきますね』
『そういうことなら。それなりに私も動きましょう。可愛い後輩には旅をさせよと言いますし』
伝意の言霊で瑠璃の行動指針を理解した七詩もノエルのためにノエルでも発見できそうなトラップはあえて見つからなかった素振りを見せ、ノエルの自信と成長に刺激を与える側に回るのであった。
「はぁはぁっ……も、目的の最奥はここですね! この中にプレートが!」
「ノエルさん! まずは周囲の確認を!」
「え?」
カパっと開けた中にはたくさんのプレートが山のように入っていた。
どうやら宝箱を開けた瞬間にトラップが発動するような代物ではなかったようで七詩の杞憂だったようだ。
目前の宝に目を奪われトラップに気づかないというのはよくあることだ。
ノエルは瑠璃と七詩に注意されながらもプレートを手に入れたことを人一倍嬉しく思いプレートを強く握りしめるのだった。