初任務、開始
「救出の邪魔はさせません。必ずここで獣を倒します」
丹野 円匙が操縦するピックアップトラック内で
大鳥 院子はそう意気込んでいた。
ガチガチに固まって汎用型鉄剣を抱きしめる姿は痛ましい。
そんな彼女の肩をポンと叩くのは先輩役として
フリードリヒ以外にも同行を願い出た
千波 焔村丸だ。
「そう固くなるな。前衛のブレイブとして俺も出る。しっかり後輩の皆が無事実戦を乗り越えられるよう、支援してみせるさ」
「千波先輩……」
焔村丸の戦闘経験値はこの中でも抜きん出ている。
程よく後輩の余計な力が抜けたのを感じ取った焔村丸も口角を上げてとても頼もしい雰囲気を醸し出している。
彼が共に戦ってくれるというだけで後輩は力が漲って来るのは現金だろうか。
「着いたで! こっからはスモッグを張るから同士討ちにだけは十分に気ィつけるんやで」
円匙がコントロールモノリスから一機の小型のメンテナンスドローンを飛ばし、ホワイトスモッグを発生させ、ヤクシャの視界を奪ったところで焔村丸と院子が飛び出す。
続くように
光良・ベリオルが狙撃しやすそうな遮蔽物に隠れ、まずはマークオンでバレットシュート。
射撃性能をストリームラインで上げベンドショットを放ち妨害しつつ、初撃は焔村丸のヒートブレードを付与したマシンブレードMK-Ⅰによるソードドローイングがヤクシャを斬りつける。
身を隠し防壁にも出来る瓦礫からは出来るだけ離れず、グースステップで攻撃を回避しつつヒットアンドアウェイでブレイブの抜刀術でヤクシャを斬りつけた。
「先輩、続きます!」
院子も彼の足を引っ張らないようにと遮蔽物に身を隠しながらヤクシャに接近し、ソニックスラッシュによるヒットアンドアウェイで獣の怒りをかきたててみせる。
ヤクシャの攻撃はグースステップで回避を試みて、適時ブースターレッグを使って動きを見切られないようにする。
攻撃を避けきれない時はストレインで防御を高めて受け流して。
焔村丸と院子の入れ違いの攻防の合間に、円匙がドローンによるクイックエイドで回復してはドローンを逃がす。
彼女の所持しているドローンはコントロールモノリスに付属されている小型のドローン1機のみなのだから。
ジェネリックライフルを撃ち込みながら光良は別のゴーストバック【ピックアップトラック】で少女の救出に向かった
アマリリス・ヘルムートと
蘭野 しずくからの報告を待っていた。
マッドドッグ【ウォッチドッグ】も放ってルートガイダンスさせて少女を探せば、発見の報告が上がる。
「よし! 見つけたぜ!」
アマリリスはクイックカスタムでゴーストバックのスピードを上げ、少女の許へ向かう。
そして大人しく待機していたマッドドッグに懐いていた少女を刺激しないようにゴーストバックに乗り込ませ、しずくにあやしてもらいながら救助報告をしてもらった。
講師同士ならコスモストランシーバーを確実に所持しているからだ。
「少女が助かったのならもう容赦はしなくともいいぞ、焔村丸」
「了解。総員畳みかけるぞ」
フリードリヒの言葉に焔村丸はヤクシャの装甲の薄い箇所に目がけてスラストスイープ。
それに続くように光良のベンドショットが足止め。
トドメに院子のストライクブロウがヤクシャを仕留めた。