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2つの遺跡の調査

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2つの遺跡の調査
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鶏肉遺跡 3層

 3層は1、2層と異なり、だだっ広い空間となっていた。

「遺跡探索楽しみだよねぇ! いやはや先史文明の名残とか遺された遺物とかもうロマンマシマシ!! 未知って最高だねぇ!?」
「これだけ広いと、メガスマッシュの練習にもってこいですよ!」
「練習……なんだか嫌な予感がします」

 ピクニック気分の紫月 幸人と、シャドーボクシングのように架空の相手にモーションを取る諏訪部 楓に対して、スレイ・スプレイグは眼鏡を直しながら、改めてだだっ広い空間を見渡した。

「どうかされましたか?」
「……楓さんが仰られた“練習”という言葉に嫌な予感を覚えたんです。この広さ、地下に造る必要あると思います?」
「こんな奥に生きた人が居るとは思えねぇし、練習にはもってこいだよな!」

 スレイのただならぬ雰囲気に優・コーデュロイが聞き返すと、朝霧 垂は一見頓珍漢な返答を返した。

「……つまり、人ではない何かの練習用に造られた、と」
「いやいや、スレイ君、脅かしっこなしだよ!?」

 ――ズシン……。

 スレイの言わんとすることを察した楓に、「いやいや」と片手を横に振る幸人。
 しかし、それを否定するかのように地響きが響き渡ると、闇の中から騎士然としたドラグーンアーマーが現れた。

「「「「「ガンデッサ!?」」」」」

 誰とはなく言う。正確にはグラディウス3号機だが、この場にいる全員がガンデッサと呼ぶそれは、確かにテルスに居たガンデッサに酷似した形状をしていた。
 しかし、本来の彼(と言っていいかどうかは甚だ疑問であるが)なら挨拶代わりに軽口の一つも叩いてくるが、目の前のガンデッサは挨拶の代わりに独特の形状のシールドをブーメランのように飛ばしてきた。

「AIが動かしてるのか? しかもあの見た目、まさかケラクがAIとして搭載されてたりしないよな?」
「軽口を叩いてこない以上、その可能性は低いと思われます」

 リープシューズによる回避を試みようとする垂だが、【パンダソウル】の高速移動よりガンデッサの盾の方が速く、直撃を食らってしまう。

「垂さん!? 幸人さん、【星音】を!」
「あ、やっぱり戦闘はあるんですね!? 皆なるべく遺跡壊さないようにしてよー……っていう余裕はない相手か。ってことで濡山水、ミュージックスタート!」

 イダテン・ディマジオに乗った幸人が、濡山水【【星音】8】を奏で始める。
 領域内の足首程度の高さまで水を張り、複数の金剛石柱で足場を作る、屋内向けの詩を響かせ易くする【星音】だ。
 そこへ優が、ウェイクアップ【【星詩】8】を合わせるように唄う。

“さぁ、皆。無理せず、諦めず向かい合って進もう。より良い明日(未来)の為に!”

 疲れた人や心が折れそう・折れてしまった人達ですらヤル気に満ち溢れるような、優しいアップテンポの【星詩】が、幸人の濡山水のハーモニーに乗って辺りに響き渡る。
 人魚のsfz【マーメイド・スフォルツァート】とプロジェクターハーモニクス、更に【妖精合唱団】で召喚した妖精の合唱の後押しもあり、一撃で中程度の傷を負った垂も、何とか立ち上がる。

「見た目以上に素早いようですね! 垂さん、ケチケチしないで高い技術を使っていきましょう!」
「よくも俺のパンダソウルをコケにしてくれたな! 怒ったぞ!」
「垂ちゃん、金剛石柱も回避に使ってね!」

 楓に言われるまでもなく、垂は【獣王【星素】4】を使用し、パンダ型のオーラに包まれる。
 幸人が言うように、濡山水で作られた複数の金剛石柱を足場に、垂は【ライトニングブロー】を繰り出す。ガンデッサは盾で受け流したり、距離を取ったりして有効打を受けないようにしている。

「私たちには明かりがありません! 闇に隠れたら向こうの方が有利ですから絶えず波状攻撃を仕掛けてください!」
「一筋縄だはいかない相手ですからね!」

 そう言うスレイは、【デュアルソード】によって両手に持ったエンオウ【Rs】で絶えず斬りまくり続ける。
 楓は【水鞭【星素】3】で味方の攻撃が当たりやすいように脚部を狙うもあっさりかわされてしまう。【瞬間加速斬り】も数回に一回、当たればいい方である。
 切り札として雷撃手榴弾を持っているが、1個しかないので、試すのであればもう少し弱らせてからだろう。
 三対一にもかかわらず、ガンデッサは三人の攻撃を見極め、回避と防御、そして迎撃を上手く使い分けている。

(先程練習云々の話をしましたけど、私たちの攻撃を受けるたびに反応が良くなっている気がするのは、気のせいではないはずです!)
「優ちゃんと波乗り、実質バカンスを楽しんでるのに、男を抱く趣味はないよ!?」

 スレイも【ウェポンパリィング】に失敗して直撃を受け、吹き飛ばされたところを幸人に回収されていた。
 彼が言うように、ガンデッサの動きは少しずつ良くなっているのだ。垂の天逆鉾【Rs】の真の力を解放した巨大な魔力の拳による一撃も、最初は効いたものの、次に同じ手を繰り出してもかわされる予感があった。

「楓さん、垂さん、このままでは私たちの方がジリ貧になります。あの手を使いましょう!」

 スレイの言葉に、楓は切り札として取っておいた雷撃手榴弾を投げる。
 爆発すると雷撃をまき散らし、ガンデッサの動きを止めた。

「今です!」

 楓は幸人の【波水【星素】4】の力を借り、【レリクス】ブリドゥエンからドラグーンアーマー並の大きさを持つ水でできた拳を展開して殴り掛かり、離れていたスレイは【穿空斬】で距離を無視して斬り付け、垂もまた再度天逆鉾【Rs】の巨大な魔力の拳による一撃を放つ!

「どうだ!」
「ダメです! 雷撃手榴弾の効果が切れたら動き出し始め……」

 ガッツポーズを取る垂と距離を取ろうとする楓。
 しかし、次の瞬間、ガンデッサは爆発四散したのだった。

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