鶏肉遺跡 2層
「新しい銃器が見つかりますようにっと」
「ドラグナーやドラグーンアーマー用は望み薄じゃねぇか? 今までもどちらかといやぁマシーナリーやスタンドガレオン用だったじゃねぇか」
「だから、ドラグーンアーマー用のが欲しいんだよ!」
自身が纏うカリバーンⅢに搭載されたドラグーンソナーで、周辺の地形情報とビットボマーの位置の把握に努める
柊 恭也が、情報共有がてらマランゴーニDMを駆る
ライオネル・バンダービルトと雑談を交わす。
アークという世界は、ドラグーンアーマーは近接戦、スタンドガレオンは遠距離戦と役割が分かれており、恭也が求めるようなドラグーンアーマー用の銃は遺跡からもあまり見つかっていない。
「ドラグーンソナーは良いとして、ロックオンは視界が確保できていないとできなそうだな。ライオ、頼むぜ」
「こんなこともあろうかと、ネイバースフィア<G>を用意しておいて正解だったぜ」
「でも、ドラグナーたちは弓矢の練習はするわよね? それが銃の代わりなのかもしれないわ」
「ンぁ? それはそうなんだがな」
ワンテンポ遅れて
白森 涼姫から通信が入る。
ライオネルと視界の確保の話に移っていただけに、恭也は返事を窮してしまう。
「(涼姫の奴、大丈夫か? 本腰が入ってねぇっつぅか……)!? ライオ、涼姫、散開しろ!!」
恭也は直感的に嫌な予感を覚えるが、敵が深く考えることを許してくれなかった。
ドラグーンソナーで新たな友軍機を感知したのを伝えると同時に、自身は【バレルロール<D>】で回避運動に入っていた。
ライオネルも即座に反応し、【ドロップインベント<G>】で回避するも、涼姫の【緊急回避】は間に合わず、纏っているデュランダルⅡの片腕が爆発し、後方へ大きく吹き飛ばされた。
「奴が“ビットボマー”か! バルバロイじゃねぇが、
因子持ちの友軍機扱いかよ!」
「ヒュー! もしかしてスタンドガレオンのオプションだったり!」
「俺たちが破壊し尽くさなきゃな!」
ライオネルがネイバースフィア<G>で視界を確保しつつ、【二挺携行】でもう一挺、ライトニング・ロア<G>を携行しており、そちらで恭也の支援砲撃を行う。
ネイバースフィア<G>の光源によって視界内の“ビットボマー”一体を「ロックオン」すると、炸裂弾頭を装填したTマギ・トリプルカノン<D>を【ラピッドシュート<D>】で撃ち込む。半追尾能力を宿した光弾は弾速が高まっていることもあり、“ビットボマー”に回避の暇を与えず直撃すると爆発した。
それは拡散し、他の“ビットボマー”たちにもダメージを与えてゆく。
涼姫も追随するように【シルフィード・ブレイザー<D>】を繰り出し、三人は遠距離攻撃に徹した。
ただ、“ビットボマー”の砲撃も、先程涼姫が回避できなかったように弾速が速い。
「ある程度高い技術でないと回避は難しいわ!」
涼姫は先程【緊急回避】が間に合わなかったことから、最低でも恭也の【バレルロール<D>】かライオネルの【ドロップインベント<G>】並みの回避力を持つ技術でなければ回避は難しいと踏み、【流刀消力】で受け流そうと試みるも、中破した機体では機体の方が持たなかった。
ハラキリブレード<D>ごと持っていかれた涼姫のデュランダルⅡは壁に激突し、爆発炎上したのだ。
「涼姫は敵を舐めすぎだ! 残りは俺が潰す。ライオは涼姫の救出を」
「……いや、アレなら敵を倒した方が早い」
恭也はライオネルにそう指示を出すも、彼はデュランダルⅡの状況を冷静に把握して涼姫の救出活動ではなく、“ビットボマー”の殲滅を選択したのだった。