■プロローグ■
――リュクセール王国、某所
「アイオーン様、こちらに居られましたか」
4枚の翼を湛えるヴァルキリーの
フィルツェーンは、主である竜神族の青年
アイオーンの姿を認めると声を掛けた。
現在リュクセール王国にいるのは大半がハーフヴァルキリーである。彼女のような生粋のヴァルキリーは珍しい。
「
エスターシャの話では、かつての仲間の意志を継ぐ者を探す必要があるな」
「はい。
【守護星印】を宿していると仰っておりましたね」
「また、彼女が
ひとつの街と共に封印した“魔導兵器”を起動させる必要もあるな」
「はい。
16枚の“譜”を集める必要がありますね」
「そして、お前が神竜から聞いた神託……
「再び世界が闇に包まれようとしている」
……平和である
千年王国を脅かす存在を探す必要もあるな」
「はい。それが神竜様のご意志でもあらせられます」
「……セレスティーヌの愛した世界が再び闇に包まれようとしているなら、俺はそれを阻止したい。力を貸してくれ」
「御心のままに。ただ、それを成し遂げられるには私だけではなく、エスターシャ様が仰られるように、かつての仲間の意志を継ぐ者も必要です」
クリスタルに包まれて、無言のまま微笑み掛ける神竜の巫女
セレスティーヌの方を向いていたアイオーンは、踵を返してフィルツェーンへ向き直る。
二人は
交易都市セロナブルへと向かうのであった。
■目次■
プロローグ・目次
【1】フィルツェーンとクリューデル家を調査する
1.好色家の新当主
2.潜入開始
3.偽りの宴(1)
4.偽りの宴(2)
5.華やかな騒乱(1)
6.華やかな騒乱(2)
7.宴の終わりと譜の行方
【2】アイオーンとモンスター退治を行う
1.竜神族の青年
2.商隊を守れ(1)
3.商隊を守れ(2)
4.商隊を守れ(3)
5.商隊を守れ(4)
6.忍び寄る闇
【3】キャロルとミリルミナ渓谷を調査する
1.滅竜士の少女
2.上空の脅威
3.龍を求める者たち
4.竜が棲む谷(1)
5.竜が棲む谷(2)
6.竜が棲む谷(3)
エピローグ