■OMATSURIバトルで会場を盛り上げよう!【4】
白熱した勝負が次々と行われるステージを、会場を訪れていた
レイン・クリスティ、
山内 リンドウも一緒になって応援する。グランスタ所属のアイドルは善戦するも、フェスタ所属のアイドルが最終的に勝利を掴むようになっていった。
真っ暗な舞台を前に観客の期待が高まる中、心を震わせるような和太鼓の音色が響き出した。
「はい、ライトお願いね。私は自己紹介用に……それ!」
ステージ裏から
雛守 優香がライティング指示を行い、上空に火花を飛ばして演奏者、
桃城 優希の紹介を行う。
「俺の演奏、心に響け!」
ステージやや後方、中央でライトを受けた優希が軽業を交えた派手な演奏を披露し、目と耳で観客を楽しませる。次いでライトが両脇に移動し、
レミリア・メイクラフトと
アリサ・ホープライトを照らした。
「私もアゲてくよ! ちょっと普通じゃないライブ、みんなで盛り上がってこ!」
レミリアがギターを構え、爆音を響かせ観客に付いてくるようにメッセージを送る。アリサは自立浮遊するキーボードを軽やかにステップを踏みながら操作し、太鼓とギターという系統の違う楽器の生み出す音楽をひとつに繋げる役割を果たした。
「私の演奏でカバーするわ。思いっきりやっちゃって!」
最後にライトがステージ前方中央でひとつに重なり、スタンドマイクを携えた
エリカ・クラウンハートを照らし出す。
今日はお祭りお月様
まんまる まんまる お月様
「よしよし。恋、アリス、二人とも頑張って!」
「お~♪ 先輩のなでなででやる気アップ~♪」
「わ~♪ ミレル先輩♪ 私も頑張りますね♪」
ミレル・ウルフベルのよしよし、を受けてステージに登場した
夢宮 恋と
アリス・ラブハートがそれぞれ大きなピンクの綿菓子と三色団子の幻影を持ってダンスを披露する。
今日もお忍びお姫様
綿菓子 お団子 食べ放題
華やかな浴衣を身に着けた恋とアリスのダンスは、二人のセクシーさも相まって観客を大いに盛り立てた。
「おーっと姫様。お戯れもそこまでだー!
どうやら城から迎えが来た模様ー!」
しかし、勝負相手であるグランスタjrもこのままステージの主導権を渡し続けるつもりはなかった。演奏を続ける傍らで彼らの演奏を阻むように暗躍するが、それを見切っていた優希は高さのある跳躍で観客の視線を自分に惹きつけた上で台詞を口にし、この流れが自分たちのものであると印象づける。
そうはいかないお姫様 お城に 帰って いただきます
まだまだ遊びたりないわ お祭り 騒ぎは これからよ
出鼻をくじかれた形になったグランスタjrが、それでもこのままでは終われないとばかり、ステージに飛び込んできた。高い跳躍から繰り出される蹴りアクションに、アリスの振るった刀が合わさり弾く格好になる。
「え~い♪」
そこに恋が抜いた刀をグランスタjrの腹に当てる。演舞用の刀でありかつ尖っていない方を当ててはいるが、やはり場所が場所だけに受けた相手はしばらく動けず、ライブに参加できなくなる。
げっかりょーらん☆ げっかりょーらん☆
殺陣が始まり、優希の演奏する和太鼓のリズムはさらに激しいものとなる。
「……うお! 神輿が動き出した!?」
そして盛り上がりを察知した二つの神輿が担ぎ手を得て動き出し、そのひとつに乗っていたミレルが図らずもステージに上がる形になった。
「仕方ない、私も踊ってカモフラージュ! あそれ、げっかりょーらん☆」
和服を着ていたので傍目には問題なく、ミレルは火花を恋とアリスの周りに散らして殺陣を演出しながら神輿の上で派手に踊った。先輩が奮起すれば恋とアリスも奮起し、アリスが恋を守り、恋がアクションを止められたグランスタjrに魅せるリアクションで応える。
げっかりょーらん☆ げっかりょーらん☆
繰り返されるフレーズに合わせレミリアが爆音を鳴らし、閃光を会場に飛ばす。すっかり乗せられた観客は拳を振り上げ、ステージで繰り広げられる殺陣を応援する。最初はステージを妨害するはずだったグランスタjrも、今や一緒にステージを演出するようになっていた。
げっかりょーらん☆ げっかりょーらん☆
鍵盤を操作しつつ、アリサもエリカと観客と一緒になって歌い楽しむ。優希にもグランスタjrが果敢に飛び込んでくるが、優希はバチを刀に見立てたアクションで華麗に打ち払い、演奏を途切れさせることなくステージを盛り上げた。
「最後まで、みんな一緒に!」
げっかりょーらん☆ げっかりょーらん☆
エリカが観客を煽って歌い、ステージでは恋とアリスが最後の刺客を倒し、二人揃ってポーズを決める。
「これにて一件落着~!」
台詞と和太鼓の音色がライブの終幕を告げ、観客は一斉に『赤』のルミマルを振って拍手と声援を送った。
「今日がデューンの、二度目のステージですね。私も演出で力になります、頑張ってきてください」
「はい! はりきっていきますよ!」
砂原 秋良によしよし、と送り出された
デューン・ブレーカーが夜空に星の瞬く中を飛び出していった。会場に夜空がかかった時観客は備えていたが、その直後にデューンが空を飛ぶように飛び出してきたように見えた瞬間、大きな歓声を上げ拳を高く振り上げた。
勘違いだっていいじゃない、空元気だってきっといいじゃない
その足を一歩踏み出せば、きっと跳ぶことができるから
戦うアイドルをイメージした衣装でステージを駆け、観客に夢と希望を届ける魔法少女となってデューンが歌い、秋良が演出でサポートする。タン、と地面に付けた足から波紋が広がり、観客の目の前までそれは広がる。空から降り注ぐ光球は観客を巻き込むようにして弾け、光の球をめいっぱいに散らせ、興奮を誘った。
夢も希望もここにある、そう思って見る世界はきっと違って見えるから
ねえ笑って、見上げて、夢みて、また跳ぼう!
今の世界を超える、かもしれないその想い、信じて跳ぼう?
それがあなたのウルトラ☆ジャンプ!
最後は歌声に合わせて観客と一緒にジャンプをして、着地の一音でステージを終えたデューンに対し、左脳と武姫たちは拍手を送り、そして観客は『赤』のルミマルを振って歓声を送った。
バイクのエンジン音を鳴らしてワイルドに登場した
松永 焔子に観客の視線が集まり、それは次の瞬間驚愕へと変わる。なんとバイクが可変し、焔子に『装着』されたのだった。
「マジかよ絶対重いだろあれ」
「でも、普通に動けてるぜ!?」
観客がどよめくのも無理はないが、焔子は召喚した界霊獣によってその状態を成立させていた。
「さあナズナ様、勝負ですわ!」
持ち歌である『恋の最前線』を歌いながら、時に焔子はナズナの繰り出すアクションを空気を振動させることで受け――傍目には装着した装甲で受けているように見え、それが観客をより盛り上げた――、またキツネに変化しての高速の斬撃をリアクションに繰り出して観客の興奮を高める。
貴方のハートを恋のアンチマテリアルライフルで、きゅんきゅん狙撃しちゃうゾ☆
歌詞に合わせ焔子が狙撃銃を構えれば、ナズナの周囲に大量の鳥居が出現。その一つへ火の玉を発射し、鳥居に吸い込まれた火の玉が別の鳥居から弾き出される。変幻自在のアクションにナズナは歌詞通りキュンキュン狙撃され、ライブが終わる頃には服のあちこちからぷすぷす、と煙を吐いていた。
(リラックス、リラックス……よし、始めよう!)
初めてのステージに緊張する自分を解して、
壬生 杏樹がギターを構え和風なロックを演奏する。曲に合わせ花弁を散らせる杏樹の演奏に合わせるように、
風花 ユキがステージの前に出て侍の如く、刀を使ったアクションで観客を沸かせる。
「さあ、もっと盛り上げていきますよ!」
ユキのアクションが会場を揺らすが如く決まり、観客は杏樹とユキのペアをより強く応援するようになる。不利を悟ったグランスタjrは殺陣風ライブの誘いをかけ、ユキがこれに応じまずは相手の蹴りアクションをそれよりも高い跳躍でもって返す。
「舞いと演奏を同時に……できる、きっと!」
今ならやってみせる、という意思を胸に、杏樹のしなやかな舞いと、そこから繰り出される演奏が観客の胸を打つ。ユキも刀を大きく目立つように振るい、アクションを仕掛けるグランスタjrに対し大立ち回りを演じ会場を沸かせる。
「ハッ!」
そしてユキが最後の刺客を退けた直後、空が割れそこから光がステージに差し込み、ユキを照らした。
「できた……!」
その現象が自分の成し得たものだと実感した杏樹が、観客の『赤』に振られたルミマルに出迎えられ、手応えを感じた。
「テレサさん、初めてのステージで緊張もあると思いますけど、私もサポートします。だから、がんばって!」
緊張が見られる
テレサ・ファルシエをよしよし、と送り出した
古川 玲河が早速、演出を手伝ってくれる黒子に指示してグランスタjrから観客の注目をテレサへ移すように画策する。銀狐の姿に変じたテレサがステージに魔槍を打ち鳴らすアクションに合わせ冥銭がばら撒かれ、観客は不安を覚えつつしかし不思議とテレサのステージに惹きつけられる。
(まずは静かに、ゆっくりと――)
深呼吸してからの祈願の言葉を神に奏上し、神に奉納する舞を行う。その時には長い尻尾をまるで意味ありげに揺らすことで、観客が退屈しないように注目を集め続ける。
そして光がテレサを照らした時、ステージの床が鏡のような水面へと変化する。同時に無数の鳥居が出現、それまでの『静』の舞から『動』の舞へと変じたテレサが鳥居に飛び込み、別の鳥居から出現する。トン、と足を付けた場所から波紋が広がり、夢と現の狭間の世界で躍動するテレサに観客はより強く惹きつけられる。このステージにグランスタjrは妨害を挟むことができず、最後まで主導権を奪い返すことができなかった。
「……最後までご覧いただき、ありがとうございます」
舞を終え、ぺこり、とお辞儀をしたテレサへ、観客は『赤』のルミマルを振って拍手を送った。
さあ いざ轟け 豪華絢爛
僕らの旅路は今ここに
彼方 行く末遠くとも
この音が届く限り どこまでも
早見 迅とステージに上がった
春瀬 那智が
ジュヌヴィエーヴ・イリア・スフォルツァの演奏をバックに、『燃え』を前面に押し出したパフォーマンスを披露する。
「どうだ、左脳。“ペンは剣よりも強い”んだろ?」
「疲れてるから辞退するつもりだったけど、休ませてもらったからね。ちょっとだけだよ?」
殺陣を挑まれた左脳は、先程発破をかけられたのと枕で休んだことで、一度だけ付き合うつもりで武姫を走らせ、演出に力を込める。
「そうこなくっちゃな!」
那智も迅と息を合わせ、向かってきた武姫のアクションに刀身が金色に輝く刀を合わせていなし、光の軌跡を描きながら殺陣を鮮やかに彩る。
「騎士様方の見事な殺陣、わたくしたちでより素晴らしいものといたしましょう」
神獣
ムジカと演奏を行っていたジュヌヴィエーヴも曲調を変え、ここぞとばかりのとっておきの曲で殺陣を演出する。ステージから観客席へ飛び交う光に那智、迅、ジュヌヴィエーヴの衣装がきらめき、観客を楽しませた。
さあ いざ歌えや 百歌繚爛
僕らの誓いは今ここに
例え 祈り届かずとも
この声を限りに 叫び続けよう
左脳と武姫たちが退き、ステージのラストは那智がソロの剣舞を披露。弱い雨がほどよく会場に癒やしを届け、那智が神速の二連撃で花弁を舞い上がらせ、空に浮かんだオーロラが光の粒となって会場に弾ける。
「お疲れさん、迅」
「ああ、那智もお疲れ様」
那智と迅の手が重なり、観客はステージの者たちを『赤』のルミマルで出迎えた。
「萌え萌えな演出に自信があるみたいだが、オレのステージ……決めさせてもらうぜ」
左脳の作り出すステージに対し、
ユファラス・ディア・ラナフィーネが開幕からとっておきの一曲で口火を切る。生じる色とりどりの閃光に、喚び出された龍の舞が綺麗に重なり、観客の注目がユファラスへと集まっていった。
「まだまだこんなもんじゃないぜ、オレの表現する嵐は!」
歌に合わせ、虹色の音符が左脳の生み出す音符と弾けて消える。ステージに生まれる竜巻は閃光と重なりより強調される形で観客の目に映り、力強く心震わせる嵐となった。
「ユファラス・ディア・ラナフィーネ、それがオレの名だ……覚えておけ」
自分の名を観客に刻み込んだユファラスが、『赤』のルミマルに出迎えられた。