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納涼! 嵐のOMATSURIバトル!

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納涼! 嵐のOMATSURIバトル!
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■OMATSURIバトルで会場を盛り上げよう!【3】

 観客を惹き付ける曲が始まった直後、ステージに満開の桜の木が喚び出される。それを背景に成神月 真奈美が力強い舞を披露し会場を盛り上げる。
「季節外れかもしれませんが、桜・舞・着物、この組み合わせは欠かせませんから」
 振袖から時折放たれる幻想的な光が、観客の視線を集める。グランスタjrも観客の注目を奪い返そうと躍動感のあるアピールで対抗するが、そこに真奈美の高さのある跳躍と、その動きに合わせた音楽が観客にまるで会場ごと揺れたかのような錯覚をもたらし、感動と興奮をより高めていった。
「おしとやか、だけじゃないんですよっ」
 グランスタjrの対抗を打ち破った真奈美は観客に『赤』のルミマルで迎えられたのだった。


 左脳の演出の下、アピールを行っていた武姫を、軽い電流が襲った。すかさずレキ・ガルハーツがカーペットをステージに伸ばし、颯爽と渡り武姫の下へ駆け寄って告げる。
「武姫は脚本通りにしか歌えない籠の鳥――いま、その籠の錠を開けてあげよう」
 存在感を増した歌で観客に語りかけつつ、レキはお疲れ気味の左脳に視線を向けた。
(死にそうな顔してるけど大丈夫? 無理しないでこの場はオレに譲ってくれていいよ。左脳さん、こういうシナリオ嫌いじゃないでしょ?)
(そりゃ、俺もよく使わせてもらってるけどね。……わかった、君に任せよう)
 電流を受けてうなだれていた武姫が解放され、それまでのどこか作ったような笑顔から、より活き活きとした笑顔へと変わった。
「さあ、今こそ大空へ羽ばたく時!」
 レキが神輿を喚び出し、武姫たちを神輿へ乗せ幻影たちにわっしょい、と担がせる。神輿の躍動に合わせて氷の粒が弾け、会場を沸かせた。
「わっしょいわっしょい。ほらみんなもっと楽しんでこー」
 神白 サイゴが観客席に降りて、観客と一緒になってレキと武姫たちを応援する。声援を受けた神輿は躍動感を増し、武姫たちが本当に空を飛んでいるかのように見せた。
(ありがとね、左脳さん。ライブが終わったらゆっくり休んで)
(こちらこそ。そうさせてもらうよ)
 『赤』のルミマルを振った観客に応えつつ、レキと左脳が視線で言葉を交わし合った。


「亡霊兵なんざ、ティラノで蹴散らしてやんよ! ミュージックスタート!」
 魔機ティラノ=ベースの後部座席に乗ったエイミー・マームが竜巻のモチーフを持つギターを掻き鳴らせば、音楽に合わせてティラノが躍動しナズナの周囲で踊っていた亡霊兵を回転するアクションで蹴散らす。赤や青、黄色に彩られた風とともに亡霊兵を文字通り吹き飛ばしていく様子は観客の興奮を高め、主導権はエイミーが奪った。
「んじゃこっからは、サシの勝負と行きましょうや」
 ティラノの前部座席で和太鼓の演奏を行っていた高橋 蕃茄がワイヤーを伸ばし、ナズナが演奏していたすぐ傍の柱を絡め取って自身をナズナと同じステージに飛ばす。ステージが震えたかと錯覚する衝撃でナズナの体勢を崩し、噴き上がる炎をさらに大きく、まるで自身が炎を纏う炎神であるかのように和太鼓を叩き散らす。
「叩ける太鼓は自分のだけじゃないってね!」
 体勢を崩されたナズナが復帰するまでの間に、蕃茄はそれまでナズナが叩いていた太鼓と自分の太鼓を交互に叩いて音の違いを交えた演奏を観客へ披露しさらに盛り上げる。復帰したナズナが飛び込むように蕃茄を退ければいったん遠のくが、今度はナズナの演奏に被せるように叩いてナズナの演奏をさせない。
「マワタ、二人の一騎討ちを派手にしてやろう!」
 エイミーの呼びかけに神獣マワタが鳴いて応え、蕃茄とナズナの周囲が光り輝くオーロラで満たされる。最後まで終始、自分たちのペースでステージを進め盛り上げた蕃茄とエイミーに、観客は『赤』のルミマルを振って拍手と声援を送った。


 空中に生じた七つの光球がキラキラと地上へ降り注ぎ、ステージや観客席で弾けて四方に光の粒を散らせる。
「さあ、舞台の始まりだ。皆、由梨の和太鼓の響きを全身で享受せよ」
 高天原 壱与の演出が決まり、観客の注目がステージに集まったところで神輿に乗った西村 由梨の和太鼓の響きが生まれ、西村 瑠莉は神輿から降りフルートを先端についた紐を持って振り回すことで演奏しながら派手なダンスを披露し、神輿の上から西村 亜鳥がクールにギターを奏でながら熱い思いを込めた歌を歌う。

 私の心にある炎
 知られたくない気持ちと手放したくない想い
 心の中の二律背反 炎が焦がすのは誰?

 止められないのは私、それとも時間
 私には見えないうさぎ この心はどこに向かえばいいの


 生まれた光の鳳凰がステージを舞い、それに追随するように亜鳥も一対の翼を広げ空を飛び、羽を観客席に降らせて興奮を高める。由梨の打ち鳴らす和太鼓は炎を噴き上げ、同時に弾ける火花が視覚と聴覚はもちろんのこと、空気が焦げる匂い、肌を焼く熱量すらそこに存在しているものであるかのように思わせる。神輿は担ぐ者によってわっしょいわっしょい、とステージ上を練り歩き、心を高める音色を観客席に余すことなく届ける。
「五感に訴える魂の演奏、とくとご覧あれ」
 曲の盛り上がりに合わせて由梨の演奏も激しさを増し、ダンスでステージを彩る瑠莉もまた、星獣フルートバードに空を飛びつつウタを奏でてもらい、空と地でのダンスと音色の共演によって観客を沸かせる。
「目と耳と香りで感じさせる演奏、どや? どんな感じや?」
「今の私に出来る全てを、ここに注ぐ!」
 そして、亜鳥によって赤を基調とした閃光がステージに弾け、その中を舞い降りた亜鳥はラストまでを全力で歌い切る。

 limit まだ私の心は私のもの
 All right ワタシの時間はまだ先
 一瞬の火花を散らすくらいなら、打ち上げてしまいたい


 歌詞に合わせ火花が地上から空中へ昇るように打ち上げられ、弾けた火の玉が観客席に降り注いでフィニッシュを迎える。
 対抗していたはずのグランスタjrは敗北を認め早々にステージを降り、由梨、瑠莉、亜鳥は観客から『赤』のルミマルで盛大に出迎えられたのだった。


 武姫の初々しい可愛らしさと左脳の演出で、ステージは相応に盛り上がっていた。
 ――しかし、真にアイドルとして身を置く者にとって、彼のステージは許し難いものだった。

「何その美少女に萌え~な演出すればウケるみたいな思考放棄。
 同人ゴロですか、オタクの風上にも置けません!」
「アイドルに対して適当に歌わせるってどういう事……?
 アイドルの世界で何も学んでないってこと……それは悲しい」

 ステージに伸びたカーペットに乗って現れた狛込 めじろノーラ・レツェルの姿を認めた左脳があからさまにヤバ、と言ってそうな顔をした。慌てて演出を強化するも、彼の演出を澄んだ夜闇が絡め取ってしまい、会場内は夜空に浮かんでいるような落ち着いた空間となり、めじろとノーラを神々しく際立たせる。

「これがライブ……これがアイドルというものなんですね。私の想像してたアイドルとちょっと違いました」
「アイドルは千差万別、しかし『観客を楽しませ、アイドルをも感動させ、自分自身も楽しむ』のは皆、同じだと思う。
 都筑にも、ステージで歌う武姫にも、アイドルのライブを楽しんでほしい」
 観客に混じって先輩のライブを応援する都筑 紗南を見守りつつ、黒柳 達樹が保っていた夜闇を解除する。それに合わせてめじろが神獣キオを光の犬と一緒に飛び回らせ、華やかな見た目で観客の視線を左脳から奪った。
「駿くんにカッコ悪い所、見せられないもの。新人の武姫ちゃん、ごめんね!」
 鏡のような水面に変わったステージに足が付けば、生まれた波紋が目の前まで迫るように広がる。観客の誰しもが周囲を見渡し、他の周りの観客が消えた自分だけの世界で、光が生まれては消える演出に心奪われながら二人の歌に聞き惚れる。
「言葉だけでは伝わらないこと。それを歌が補ってくれる。それなのに……どうして適当にしたのかな?
 漫画家なら言葉の大切さ、分かるはず……だから体で覚えてねぇ」
 左脳にわからせるように、武姫には指示されるがままではなく身体で感じたもので動くことの楽しさを感じてもらえるように、ノーラは歌を波紋のように広げ、観客と左脳、武姫たちを包み込んでいった――。

「どうですか? 反省しましたか?」
「はい、それはもう……コミバ帰りだからって適当はよくありませんでしたっ」
 ライブ後、左脳はめじろとノーラに囲まれて正座させられ反省させられていた。決して強制ではなく、左脳も適当にすることのマズさを悟っていた。
「わかればよろしい~、では左脳くんにはこれをプレゼント」
 うんうん、と頷いたノーラが枕を左脳にプレゼントし、これを使って次の出番までの間、左脳はぐっすり休むことができたのだった。


「さあ、リーニャは思うままに。僕は僕の武器で、リーニャをサポートしますから」
「うん! ありがと、カイト! それじゃいっくよー!」
 細身に見える槍を構え、リーニャ・クラフレットがナズナのステージに飛び込む。開戦の合図と悟ったナズナがバチをリーニャに振るうがこれを構えた槍でいなす。太さはバチよりも細かったが、何度いなしても槍は折れも曲がりもしなかった。
「……この辺りが頃合いですかね。それでは――」
 二人のアクションの応酬を爆音を交えた歌で演出していたカイト・クラフレットが熱いシャウトで観客にアピールをしつつナズナを怯ませる。リーニャとの対決に気を取られていたことで体勢を崩したナズナへ、リーニャがナズナの感情を揺さぶる演奏でさらに動揺させ、そして自分が作り出す幻の世界にナズナと観客を引き込む。
「今日のナズナさん、なんだかおかしいの。だから少しでも、この幻で落ち着いて!」
 リーニャが見せたのは、ナズナと幼馴染の大葉よもぎが二人仲良く露天めぐりをしていた時の光景。そこにカイトが魔石の力を乗せ、幻の存在をまるで本物のように形作る。
「……よもぎ? 私はここで一体――」
 このアクションにより、それまで一心不乱だったナズナの行動と表情に迷いが生じる。
「やはり、リーニャと僕の思った通りみたいですね。これでナズナさんが元に戻ってもらえたらいいのですが」
 ライブが終了の時間となり、二人は『赤』のルミマルに出迎えられる。歓声に応えつつリーニャとカイトは、頭を振って動揺を抑えようとしているナズナを心配そうに見つめていた。
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