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納涼! 嵐のOMATSURIバトル!

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納涼! 嵐のOMATSURIバトル!
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■迷子センターも賑わってます【1】

「みんな、これからお菓子を配るから、こっちに集まってくれ!」
 両手にお菓子を抱えた世良 潤也の呼びかけに、それまで不安に怯えていたり泣いていたりした子どもたちが一斉に視線を向けた。期待に目を輝かせ、潤也の元に我先にと駆け出す。
「たくさん用意してきたから大丈夫だ。ほら、一列に並んで。
 よーし、いい子だ。どうだ、自動車だぞ」
「わー、かっこいー!」
 そして潤也から、星やハート、飛行機や自動車の形に切り抜かれた台紙に乗ったお菓子を受け取ると、ぱあっ、と笑顔を取り戻す。
「みんな、とっても美味しいキャンディーだよ! ラムネやキャラメルもあるからね♪」
 世良 延寿が思わずつられてしまうようなとびっきりの笑顔を浮かべて、色とりどりのお菓子を使ったジャグリングで子どもたちを楽しませる。
「こんなこともできちゃうんだよ。それっ!」
 そしてジャグリングの合間に見せるとっておきの空中二段宙返りは、潤也の呼びかけに負けず劣らずの注目を集めて子どもたちの不安を吹き飛ばしていった。

「潤也も延寿も、活き活きしてるわね。まるで子どもみたい」
 そんな二人の様子を見守りつつ、アリーチェ・ビブリオテカリオは子どもたちに配るためのお菓子作りに精を出していた。先に潤也が用意した猫やうさぎの台紙にクッキーやマシュマロを盛り付け、かごに入れていく。
「お父さんとお母さんが迎えに来るまで、楽しんでもらえたなら嬉しいわね。
 ……べ、別にそういうつもりじゃ――なんか調子狂うわね」
 自分の発言に違和感のようなものを覚えつつ、まぁいいかと棚上げしてアリーチェは鼻歌を歌いながらお菓子作りを楽しんでいた。普段は素直じゃないアリーチェも、流石に子ども相手となると素の部分が出がちになるようであった。


「あっ、カブトムシだ!」
 浴衣姿の九曜 すばるの肩に乗ったカブトムシを見つけた子どもたちが集まってくる。
「カブトムシが好きなんだね。それじゃ、こんなのはどう?」
 すばるが地面に手をかざせば、ツノを備えた昆虫たちが次々と現れた。それらに光が当たり、まるで動いているような効果を添える。
「わぁ、すごいすごい!」
「本物みたい~」
 子どもたちが揃って、キラキラと光る昆虫たちに見入る。
「どうかな、気に入ってくれたかな?」
「「「うん!!!」」」
 すばるの問いに、子どもたちが一斉に笑顔で頷いた。


「にゃー! イタズラっ子は攫って食べちゃうにゃー」
 子どもたちのリクエストで“怪人・猫又女”に扮した川村 萌夏が逃げ回る子どもたちを追いかける。猫のようにしなやかな動きやつけ耳、しっぽといった小道具をさり気なく装備しているところは、さすがアクターといったところだ。
「求められたのがヒーローごっこの怪人役だから、仕方ないわね。ま、子どものごっこ遊びだから、大層なことにはならないでしょ」
 女幹部役に扮した八上 ひかりが萌夏と子どもたちのじゃれ合いを見守りつつ、たかをくくっていた。――しかし直後子どもたちは二人の想像以上の連携を見せ、まず萌夏扮する猫又女を数で圧倒する。
「そんにゃ、しっぽ引っ張ったら抜けちゃう、にゃ!」
 子どもたちのある意味容赦がない猛攻に、最後まで猫又女を演じ切った萌夏は褒め称えられるべきだろう。
「よーし、次はあいつだ! やっちまえー!」
「「「おーーー!!!」」」
 そして今度はひかりに標的を定め、ドドドドド、と地面を揺るがしながら襲いかかってきた。
「え!? い、いやーーー!!」
 すっかり油断していたひかりは子どもたちのこれまた容赦ない突撃に巻き込まれ、もみくちゃにされてしまう。
「もー、いい加減にしなさーい!」
 ギリギリのところで持ちこたえたひかりが子どもたちを退け、なんとか女幹部の威厳を保つ。
「萌夏、大丈夫!?」
「うぅ……あっ、ひかりちゃん。うん、大丈夫だよ~」
 ひかりに助け起こされた萌夏がにへへ、と笑って、楽しかったね、と答えた。
「はぁ……ま、萌夏がそう言うなら、それでいいわ」


「さあ、私にボールを当てれるものなら、当ててみなさい!」
 軽く構えを取った諏訪部 楓へ、ボールを持った子どもたちが振りかぶってボールを投げる。一個のボールをくるりと回って避け、二個同時のボールはしゃがんで、三個同時のボールは軽やかに飛んで避ける。
「おねえちゃん、すごい!」
「くっそー、次はぜったい当ててやる!」
 女の子がぱちぱち、と手を叩いて楓を称賛し、男の子はグループを組んでせーの、で一斉にボールを投げることで一矢報いようとするも、これも全部避けられてしまい、疲れてその場にへたり込んでしまった。
「とと、ついやり過ぎてしまいましたね。はい、アイスをどうぞ」
 苦笑しつつ楓がアイスを遊んでくれた子たちに配り、アイスで体力と気力を回復させた子どもたちは再戦を誓うのだった。


「あはははは! さーて、どの子を攫って売り飛ばしましょうかね!」
「やめろ! 子どもたちに手を出すでない!」
 不敵な笑みを浮かべて子どもたちに迫るノエリア・フリーマン鈴鹿 白姫が声を投げる。
「人質は静かにしてくださいね? でないと、とんでもない目に遭うかもしれませんよ?」
 振り返ったノエリアが白姫の耳としっぽをさわさわ、と弄び、恐怖を植え付けようとする。
 
「見つけたぞ! きつねさんを返してもらおう!」

 背後から鋭い声が飛び、ノエリアは再度振り返って現れたヒーロー、エル・スワンを睨みつける。
「くっ! ジャマなヒーローが来ましたね! 行きなさい怪人カオコワーイ!」
 ノエリアの召喚に応じ、膨張した筋肉に闇を纏った怪人、水無瀬 徹二が登場しエルの前に立ちはだかる。
「ジャマだ、ガキ。退け」
 そして手にした木刀を振りかぶり、押し潰すように叩きつける。この攻撃をエルは避けるものの、続けざまに放たれる攻撃にエルは防戦一方となる。
「ヒーローさん、まけちゃうの?」
 子どもたちが心配そうにヒーローと怪人の戦いの行く末を見守る。そこへ白姫がノエリアから身を乗り出して子どもたちに叫んだ。
「みな、声じゃ! ヒーローに声援をかけてやるのじゃ!」
「あっ、こら! 静かにって言ったでしょ!」
 すぐにノエリアが白姫を抑えるが、白姫の願いは子どもたちに届き、エルへ声援が送られる。
「ヒーローさん、がんばってー!!」
「あぁ、キミたちの声援が、力になるのを感じる……!」
 構えを新たにし、飛び込んだエルの動きは先程とは、見違えていた。それまで優勢を保っていた徹二は押される格好になり、そしてエルの攻撃を受けて大きく退く格好になる。
「トドメだ、怪人!」
 踏み込んでからの速度を乗せた一撃によって生まれた衝撃波が、徹二を子どもたちの視界の外まで吹き飛ばした。
「ぬぬ、その一撃には流石の怪人も勝てませんでしたか。いいでしょう、今回は見逃してあげます。次は覚えてなさいですよ!」
 不利を悟ったノエリアが白姫を解放すると同時に、徹二の吹き飛んだ方向へ自らも退く。
「きつねさん、大丈夫!?」
「ああ、この通り無事じゃ。みなのおかげで助かったぞ、感謝する」
 エルに助けられた白姫がエルと、集まった子どもたちの頭を撫でて感謝の意を示し、周りにパッ、と笑顔の花が咲いた。


「さあ、お菓子をどうぞ。お腹が減っていてはお祭りを楽しめないでしょう」
 観察を経て、お腹を空かせていると判断した子どもへ即席で用意したお菓子を差し出したアルヤァーガ・アベリアに対し、しばらくじっと見ていた子どもがおそるおそる手を差し伸べ、お菓子をつまんで口に入れる。
「……美味しい」
「それはよかった。……とまあ、こんな風に接してあげればミヤビさんも、子どもをあやすことが出来ると思いますよ?」
 視線を向けた先、膝を抱えた姿勢のままこちらをチラチラと気にする素振りを見せていたミヤビに声をかければ、バツが悪そうにそっぽを向いてしまう。
「……輝夜が来るまでの間なら」
「それで十分ですよ」
 人手が絶対的に足りない中、一人の迷子? が一人のスタッフになってくれるなら、それだけで十分である。
 アルヤァーガは微笑んでから、次の子どものケアに当たった。
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