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納涼! 嵐のOMATSURIバトル!

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納涼! 嵐のOMATSURIバトル!
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■OMATSURIバトルで会場を盛り上げよう!【5】

 かわいらしくライブを行っていた潮浜 七海に対しても、グランスタjrは手加減などせず殺陣風ライブを仕掛けて自分たちの勝利を得ようとしてきた。
「えいっ!」
 しかし蹴りアクションを繰り出そうとしたところで、グランスタjrは何もないはずの地面で何かにつまずいたように転んだ。飛び上がった者も途中で壁のようなものに弾かれて地面に落ち、しばらく動けなくなってしまう。
「あたしをただの美少女と思ったら、大間違いなんだからっ」
 七海が小さな旋風を起こしてグランスタjrに差し向ける。それがただの旋風ではなく痛い思いをする風であるとわかったグランスタjrは逃げ回り、本来のパフォーマンスを行えなくなった。
「やったーあたしの勝ち!」
 『赤』のルミマルを振って応援してくれた観客へ、七海はとびきりかわいい決めポーズで応えた。


(今日は『女性』としてのお仕事……ですが、全力を尽くさせてもらいます)
 相沢 涼がステージに立ち、躍動感たっぷりのライブパフォーマンスを披露するグランスタjrに対し、しなやかさと優雅さを押し出したダンスで勝負を挑む。お祭りに合わせた音楽に乗って、しなやかでありながら所々に力強さを秘めたステップや手振りで会場に振動を感じさせ、観客の心を震わせる。グランスタjrも流れを引き戻すべく奮戦するも、力強さだけでは涼に並ぶことはできても超えることはできなかった。
(……やはり、イケメン相手に勝負していますと、カッコいいアイドルとして……も夢見てしまいますね)
 勝負には危なげなく勝利を飾りつつ、涼はカッコよさでも彼らを超えられたかな、と思いを馳せた。


 表には『AMD』、裏にはしっかりと三行に分けてその訳である『アメリカンマシュマロ体型デブドル』と書かれたTシャツを身に着け、流行りの曲とともに深郷 由希菜がステージに上がった。
「初めましての方は俺のこと覚えてね! 知ってる人はハンズアップ! そんじゃいくよ!」
 アイドルの既成概念なんのその、ステージで楽しげにダンスを披露する由希菜に観客の注目が集まっていく。そしてグランスタjrとしては自分たちのアイデンティティに関わるとばかり、ちょっと躍起になって蹴りアクションで妨害にかかった。
「悪い子はお仕置きだよ!」
 由希菜が鎖を取り出し、飛んできたグランスタjrを巻きつけコマのようにくるくる、と回して撃退する。目を回したグランスタjrはパフォーマンスを行えなくなり、ステージの主導権は由希菜の手に渡った。
「もっともっと、みんなで盛り上がろうね!」
 いくつもキラキラド派手な閃光を散らして、由希菜がステージを所狭しと躍動する。


「左脳さんがコミバ帰りなのは知ってるわ。だって私も、コミバ帰りだもの!」
「そ、それは超有名壁サークルの会場限定品……!」
 クロティア・ライハが掲げた戦利品に覚えがあるらしい左脳が驚きの表情を浮かべた。
「だから私に負けたなんて言い訳は通らないわ! アイドルはいつだって全力全開で挑むのよ!」
「……そうだね。俺はどうやら間違えていたようだ。俺の出番はこれでおしまいみたいだし、わかった、君の言う通り全力全開で挑ませてもらうよ」
 左脳がエナジードリンクを取り出し、クロティアもナレッジ・ディアからエナジードリンクを受け取り、互いに一気に飲み干す。
「「いざ、勝負!!」」

 ……もはやアイドル勝負というよりは極限状態での自分の意地をかけた戦いになっている気がする二人のアイドルバトルに、ナレッジは果たして割り込んでいいのかかなり悩んだものの、マスターの傍にいてサポートをするのが自分の役目であるという意思を胸に、クロティアが好むゲームソングを流し、時折爆音を交えて観客にアピールをしていく。
「マスターの全力全開、無駄にしません!」
 そんな健気な姿に、むしろナレッジの方にファンが付いたかのような応援が行われる。当の本人はマスターに声援が飛んでいると思っており、頑張ればさらにマスターにファンが付くと思い、ナレッジもまた全力全開で歌い続けた――。

 ――そしてライブが終わり、ステージ中央でクロティアと左脳がともに突っ伏して動かなくなる。
「マスター!」
 ナレッジが駆け寄り、クロティアを助け起こす。左脳も武姫たちに助け起こされ、二人が視線を交わした。
「いい戦いだったわ……」
「ああ、君は同志であり、ライバルさ……」
 そんな二人の姿に観客は労いの意味を込めて、『オレンジ』のルミマルで応えたのだった。


 会場を一陣の風が吹き抜けたかのように、天導寺 紅が空中で宙返りを打ち、そのままナズナへ蹴りアクションを仕掛ける。これはナズナが力で強引に退けるが、弾かれても紅は華麗さを保ったまま着地し、この時点で観客の注目を集めた。
「観客も居るのだから、華麗さを忘れちゃ駄目なのよ?」
 バチを構えるナズナに対し、紅はポールフラッグを器用に回してアピールする。以前はコンプレックスでもあった大きな胸は今や自らの武器として活用し、男女問わず視線を惹き付ける。
「ふふふ、一人では俺達には勝てないのぜ!
 折角フェスタと合同企画なんだし、よもぎっちと一緒にやればよかったのに」
 スタンドマイクと自分の身丈ほどもある大きな扇の両方を器用に操って歌い踊る天導寺 朱の呼びかけに、ナズナはハッとしてあからさまに動きを鈍らせた。そのために自分の周りに浮かんでいた鳥居と、そこから飛び出してきた火の玉への対処が遅れ、ナズナは一撃をもらってしまう。
「忘れてるものがあるなら、アタシが思い出させてあげる!」
 閃光に力をもらった紅がワイヤーを伸ばしてナズナの頭上高く飛んでから、一度防がれた蹴りアクションをこのタイミングで再度打ち込む。これには流石のナズナも対応し切れず、色鮮やかな花火が咲いた後に紅だけがくるり、と宙返りを魅せて着地を果たした。


「いい芸風だな。やっぱナズナは可愛いな」
「な、何を言っている、くだらない世迷い言を……!」
 早速ナズナを口説きにかかった死 雲人に対し、ナズナがバチを振るって退けようとするも、雲人の振るった槍に防がれる。
「世迷い言ではない、本気で可愛い、美人だと思っているから言っている。……もっと、近づきたくなる」
 槍撃の風圧で起こした嵐をカモフラージュに、雲人が一気にナズナとの距離を詰め、強力な斬撃を見舞う……のではなくナズナの顎をクイ、と掴んで引き寄せる。
「やめろ、やめ、て……」
 これから行われるものを想像したナズナの抵抗も弱くなり、今まさにズキュゥゥゥンと会場に衝撃走ると思われた矢先――

(だめですーーー!!)

 謎の力が働いて雲人を吹き飛ばした。ライブ終了後だったため判定に影響はなかったが、雲人はある意味敗北を喫する形となった。
「今のは、よもぎ……ハッ! そうだ、よもぎ!」
 そしてナズナの目に、それまで欠けていた光が戻った。


「さっきまであった剣呑な空気が消えたな。何を失っていたか知らねぇが、取り戻したのか」
「ああ、自分でもわかっていなかったが、おまえ達のおかげで気づくことができた。礼を言う」
「俺はまだ何もしちゃいないさ……さて、舞台に上がったからにはやるべき事は一つ」
 龍造寺 八玖斗がバチを構え、対するようにナズナもまたバチを構える。
「「勝負!!」」

「二人ともすごい熱気だわ……ハッ、いけないいけない。私も気合い入れなくちゃ」
 八玖斗とナズナの心を震わせる熱い演奏に見惚れていた白波 桃葉が気合いを入れ直し、ステージから観客の近くに跳躍する。そして八玖斗の演奏に負けないよう、フルートを振るいながらのパフォーマンスで観客を盛り上げる。
「皆、歌も歌も踊りも恥ずかしがらずに一緒に楽しみましょ☆」

「ナズナは何か様子のおかしいところがあったみたいだけど、今は無くなってるね。喜ばしいことなんだけど、直接相手をする立場としては強敵になっちゃったかな?」
「何弱気なこと言ってんだ、オレたちがナズナ以上に盛り上げりゃいいだけの話だろ? やってやろうぜ!」
 藤崎 圭の分析に対し、泰河を始めとした『Ultra Ray』のメンバーが一様に同意の頷きを返した。相手が手強かろうが、それ以上に盛り上げてしまえばいい。言うは易しではあるが、確かに、と圭は苦笑する。
「担いできた神輿も自力で動くようになった。ここからが本番だ!」

「そら、神輿との合わせ技だ!」
 八玖斗が練り歩き出した神輿に飛び乗り、会場を震わせるような振動を感じさせる演奏でナズナを圧倒する。

 Oh Oh Oh…… Oh Oh Oh…… Oh Oh Oh……
 やぶ睨みと口の悪さ とっつきにくさは生まれつき

 でもオレのやってる事で喜んで欲しい 拍手喝采そりゃ病みつき
 だからオレが許す 盛り上がれ 騒げはしゃげ 手を叩けっ!


 叩いた掌から三連の流れ星が、炎を巻き上げて踊る桃葉の周りに降り注いでより華やかに盛り上げる。
「ラストは八玖斗、デカイの打ち上げちゃって!」
 巻き上げた炎を八玖斗へ飛ばし、観客の視線が八玖斗へ向いた直後、湧き上がった衝動を一気に吐き出すように空に大輪の花が咲いた。

 楽しいな 楽しいか?
 オレは楽しいよ 皆はどうだい?


 オレも楽しいぜ またやろうな!

 問いかけに歌で返した泰河と八玖斗がそれぞれ笑って締めくくった。


 中央で太鼓を演奏するナズナがライトアップされ、直後ライトが左右に移動。二人の剣士、草薙 大和草薙 コロナによる華麗な宙返りからの斬撃アクションをナズナがバチを広げて受け止め弾き返せば、観客が大声援を送って盛り上げた。
「次のライトは浮かぶ月に当たるように頼む」
 ウィリアム・ヘルツハフトがライティング指示を行い、虹村 歌音の登場に合わせてステージの床を鏡のような水面に変え、浮かんだ月にライトが当たることでステージが月明かりのみで照らされている状態になった。
(ウィルさん、ナイスライティング!)
 足元から広がる波紋と月明かりで雰囲気のあるステージに、歌音の『SPARKLE EDGE』が響き渡る。大和とコロナがナズナを挟む形で睨み合い、踏み込むタイミングを伺う緊張感、そして力強いサウンドと共に飛び込み、月光と燐光を散らせて斬撃アクションを繰り出す躍動感を見事に歌い上げる。
「その程度では私を倒すことはできないぞ!」
 二対一でありながら、ナズナは大和とコロナと互角の殺陣を演じていた。力の宿った瞳で真正面からぶつかってくるナズナに、二人はとっておきの技を繰り出す覚悟を決める。
「これが僕たちのとっておきだ!」
 大和が大きな動きから、衝撃波のような風をステージと観客席に吹かせてナズナを揺るがす。
「届け、わたしの剣!」
 間髪入れずコロナがまず一閃目で花弁をステージ上に舞い上がらせ、続けざまの二閃目で光を切り裂く鋭い斬撃を繰り出す。ウィリアムの絶妙なライティング指示もあいまって、光が破片になってステージをキラキラと彩る光景が生まれ観客を沸かせた。

 徐々に光が消え、ステージに闇が降りようとしていたその時。
『――――』
 ステージの縁を炎の筋がぐるりと囲むように伸びていき、観客の正面でひとつに繋がった直後、盛大に噴き上がった。

「あたしがちょーっと本気出せばぁ、このくらい簡単だし? OMATSURIバトルのラスト、燃やし尽くすくらいに盛り上げちゃうんだから!」
 溜まっていた鬱憤を晴らすが如く炎を噴き上げさせ、輝夜の演奏が静まり返っていた会場に熱を入れる。そして燃え盛る炎の輪をかいくぐって現れるは、奏梅 詩杏シャーロット・フルールが騎乗する魔機星空機竜シルバリオン
「ふっふー、驚きましたですか? こんなもんじゃないのですよ!」
 詩杏がシルバリオンを操縦し、『リトルフルール』の団長であるシャーロットが描かれた旗が生み出す炎を合わせ、まるでシルバリオンが炎のブレスを吐くかのようなアクションを繰り出して観客を驚かせる。同時に シルバリオンからジャンプしたシャーロットが華麗な宙返りを決め、そのまま大剣を振り下ろすアクションでナズナに迫る。ナズナも無骨な作りの大剣に持ち替えてこれを受け止め、押し返す。
「フェスタサーカス、リトルフルール参上!
 勝負だよナズナちゃん! 熱いバトルでうっぷんを晴らしてあげる☆」
「実力者との戦い、否が応でも興奮するな!」
 二人の背後に爆炎が生まれ、強者二人の激しくも華やかな殺陣が始まった――。

「輝夜、アピールありがとな」
「あたしにかかればこの程度楽勝よ~。ふーん、あんたがあの子の一番ってわけ」
 協力してくれた輝夜へ礼を言ったアレクス・エメロードが、輝夜の鋭い指摘に面食らいつつも澄まして言ってみせる。
「俺はバトルを彩るギタリストだよ。ナズナも何があったか知らねぇが元に戻ったみてぇだし、ここは純粋に盛り上げてやりゃあいいわけで――おらシアン、俺の巨虎とバトルだ、かかってこい!」
 アレクスが奏でる音色によって、煌めく巨虎を召喚し詩杏のシルバリオンに向かわせる。
「僕だって、やる時はやるのです! アレくんには負けないのですよ!!」
 これに詩杏が応じ、まるで怪獣バトルのような光景が展開される。
「ふふっ、やっぱりこうでなくっちゃね」
「派手過ぎと言われればそうかもしれないが、これがリトルフルールだからな。それじゃ俺たちも行くか」
 ウィリアムが用意した神輿が動き出し、その上に乗った歌音と神獣アルカが一緒にウタを紡いでステージを彩った。
「えーい!」
「はあっ!」
 ステージ中央ではシャーロットとナズナが渾身のパフォーマンスで、互いの持っていた剣を弾き飛ばす。こうなると体格差からナズナ有利になるかと思われたが、そこは屈指のパフォーマー、ナズナよりも先に動き出し瞬く間に懐に飛び込むや否や、掌を突き出すアクションを合図に色とりどりの花火を咲かせて満開のステージとした――。

「おーい、生きてるかー。どうだ、スッキリしたか?」
 アレクスの呼びかけに目を覚ましたナズナが起き上がり、共演者を順に見てから言った。
「あぁ、もう大丈夫だ。約束を破ってしまったこと、よもぎに謝らないといけないな」
「屋台でいーっぱい、お土産買っていってあげてね!」
「そうしよう。……ありがとう、楽しいひとときだった」
 ナズナが感謝の言葉を述べ、それに観客も一旦は『赤』に折っていたルミマルを『青』に折り返して労う。

 グランスタとの『OMATSURIバトル』は概ね、フェスタの勝利に終わったのだった。
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