三千界のアバター

【三千界アカデミー】ビギナーズトレーニング!

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【三千界アカデミー】ビギナーズトレーニング!
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「それではこれより訓練を開始します!」

 訓練官であるしずくの掛け声により、
 新たな特異者の参加する、エデンでの訓練が開始された。


「エルに名案がある!」

人質を奪った犯行グループが立て籠っているビルの前に特異者達が集まったのは少し前の事。
すでにフェイルが視認できる距離まで近づいていたが、エルウィン・フローリエによって呼び止められ、
手前の建物の陰で様子を見ているのだった。


「よし。大福、ふわーっと投げるからね。
 見つかったらすぐ逃げるんだよ?」
 
フローリエは手のひらに収まるほどのモフモフとしたウィスパーにそう言い聞かせると、
人型フェイルの中心へと、そっとそれを投擲しようとした。
しかし、ウィスパーは怖がっているのか、手から離れようとしなかった。

「んもう……じゃあ大福はお留守番ね」

フローリエは大福を地面にそっと置くと、懐からスタ―シリアルを取り出して、
それをフェイルの集まっている右側へとばらまいた。

「あ、あとでお片付けするからっ」

音に反応したフェイルはビルの正面から外れ、スターシリアルの方へと様子を見に動き出す。

「よっしゃ、行くぜ!!」

フェイルの注意がある程度ビルから離れたことを確認すると、中村 薫は一匹の人型フェイルへと向かって走り出す。
さらに続くようにテレーズ・トリュフォーナハト・ノイモーントも薫と同じフェイルへと向かい、
それに気づいたフェイルが応戦する形で戦闘が始まった。

「………ァァアッ!!!」

フェイルが声にならない声を絞り出しながら振り下ろす鋭い爪を、薫は腕と【栄具同化】した剣で受け止める。
刃と刃が触れ合った瞬間、小さく火花が散り、甲高い音が響いた。

「さて、久しぶりの戦闘だ、どこまでやれるかはわかんねぇが……っ!」

押さえつけてくる爪を剣を斜めにすることでいなすように地面に誘導すると、
その隙をついてフェイルの後頭部へと斬撃を喰らわせる。

ダメージを負ったフェイルは一度その場を離れるが、
そこにはすでにトリュフォーが二本の武器を構えて待ち構えている。

「これだけ人数いるんだ、数の利を生かさない手はないよね!」

目の前に迫るトリュフォーの武器を防ぐべくフェイルは爪を正面で交差させるが、狙いはそこではない。
剣を構えたその背後、尾てい骨の位置に取り付けたもう一本の剣は交差した爪の下部を通り過ぎ、
迫りくるフェイルの勢いを利用してその腹部を深々と突き刺した。

「-------ッ!!!」

刺されたフェイルは大きく仰け反ると、その場で大きく二度地団駄を踏む。
しかし、まだ体力は尽きていないようで、その目には自分を攻撃したものに対する憎悪が見て取れた。

「……後は、オレに任せろ」

憎悪に顔をゆがめたフェイルが次の行動より起こすより早く、その頭上にはナハトが接近していた。
トリュフォーからの攻撃で意識がそれた一瞬、それを逃さずフェイルへと接近、その視界から姿を消したナハトは
着地の勢いを利用した斬撃によって、フェイルの体を半分に切り裂いた。

「次がくるぞ……!」


一体の人型フェイルが倒されたのとほぼ同時に、もう一体の人型との戦闘に移っていた薫は、
背後の物音に気付きとっさに飛びのいた。

その数秒後、薫がいた場所には上魔力で作られた風の刃が突き刺さっていた。
消失した刃は、いずれも上空を旋回する鳥型フェイルが放ったものであり、
近接戦闘用の装備しかしていない薫たちでは手を出すことができない。

「……やっかいだな」

「そんなときは先輩にお任せだよ。【ブラッシュ】!」

クロノス・リシリアが放った【ブラッシュ】は敢えて対象をわずかに外し上空で爆破させることによって
フェイルのバランスを崩すことに成功した。
体勢を崩したフェイルはうまく飛行することができず、下へと降りてきたのだった。

「グォァ……ァアア……」

不満そうに声をあげ、再び飛び立とうとする鳥形フェイルだったが、
人型フェイルの元から駆け付けたトリュフォーとナハトが連続で攻撃を仕掛け、
再び空へと飛びあがることなくその姿を消した。

「それ、もう一体も!」

同様の方法でもう一匹も地面へと落とそうとするリンシアだったが、
場所が僅かにずれていたのか、フェイルはバランスを崩しつつも落下してくる素振りはない。

「くっそもう一発……!」

すぐさま連続の攻撃を仕掛けようとするリンシアだったが、
一人の後輩の姿を見つけると、彼女は構えていた杖を下した。

「うぅ……やっぱ怖いぃ、でも、早く一人前になるためにはっすよね」

リンシアの視線の先にいたのは上田 慎也
戦闘開始時から小さな岩陰に隠れていた彼だったが、今はその姿をのぞかせ魔導書を構えている。

「もっと...もっと強い男にならねば!あの子も振り向かないっ!!」

愼也の放った【霧触】は的確にバランスを崩した鳥型フェイルへと直撃し、
思わぬ攻撃に驚いたフェイルは今度こそ落下することになった。

その後はフローリエも援護として戦闘に参加し、計四体のフェイルは何事もなく倒されたのだった。


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