クリエイティブRPG

ワンダーランド

名も無き少女の物語 前編

リアクション公開中!

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名も無き少女の物語 前編
基本情報

マスター:クリエイティブRPG運営チーム
ワールド:ワンダーランド
 
 

料金

MC参加:150ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:4
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2021年11月30日公開!

シナリオガイド

少女が夢見る「黎明の世界」の物語が動き出す――

シナリオ名:名も無き少女の物語 前編 / 担当マスター:クリエイティブRPG運営チーム



 ――“空想の世界”ワンダーランド。

 「昼」と「夜」とが分かたれた世界で、
 “アリス”と呼ばれる者たちが「空想の欠片」を手に激しい戦いをしていたのはほんの少し前。
 世界の「夜」は落ち着きを見せ、徐々に平穏が訪れ始めていました。
 
 しかしワンダーランドに現れた謎の青年と少女の暗躍により、
 ワンダーランドの住人達はおとぎばなしに沿うように悲劇に誘われるようになりました。
 一方戦戯 嘘(そよぎ うそ)を始めとした特異者たちはワンダーウォーカーのアバターに目覚め
 血に塗れた悲劇の運命に対抗していきます。

□ ■ □ ■ □ ■ □


 ――とある古城。
 突如山の頂に現れたそれを、近隣住民たちは「昔からあったと思う」と口を揃えて言いました。
 よくよく目をこらして城を眺めれば、それがどこかぐにゃりと歪で建物とは言い難い何かだと分かるでしょう。
 しかし人々はやはり「あれは城だ。お姫様が住んでいる」と当然のように証言をするのでした。

「……お城はちょこっとうまく作れたの。うん、ここからが本番ね。
 デミはここから素敵な世界を作ってみせるよ」

 城の一番てっぺんの塔から空を見上げて、デミは子供らしく瞳を輝かせます。
 そして、その傍らには相変わらず時計ウサギがいました。ひしゃげた顔と腕をゆらゆらと揺らしながら、やはりデミを大事そうに見守っています。
 デミは時計ウサギに駆け寄ると、ぼろぼろのその身体にぎゅっと抱きつきました。

「たくさんたくさん失敗もしたけど……えへへ、やっと分かった。
 デミにとっていちばん大事なクレヨンはウサギさんだったのね!」

 途端に、時計ウサギの身体から爆発的に何かが広がっていきました。
 その「何か」は、城を、町を、人々を、空をも覆って飲み込んでいきます。
 快晴だった世界は今や、昼のように明るくもなく、夜のように暗くもない、恐ろしいほどに美しい黎明に染まっていました。

「デミはね、夜明けがいちばんすき。空がはじまりの色をしてるから」

□ ■ □ ■ □ ■ □


「そんな……今までのとは規模が違うよ!」

 仄暗い朝焼け色に染まった空を見て、アデルが表情を険しくしました。
 特異者たちはアデルと共にデミが作り上げた城へと急行していました。
 ある意外な人物がこの事態をいち早く察知し、特異者たちに伝えていたのです。

「先生はいよいよ本番を――世界を創ろうとしているのです。
 あの子にとってはあくまで物語の舞台を創る感覚でしょうが、この世界にもたらされる影響は計り知れません」
「おい、もぞもぞするな。普段メガネなんかかけねえから気持ちが悪い……」

 淡々と状況を説明するのは渋蔵 鷹人……ではなく、彼の顔に乗ったどこかで見覚えのある眼鏡でした。
 時計ウサギと顔を合わせたことがある者ならそれが彼のものだと分かることでしょう。
 戦戯 嘘も興味津々でその喋る眼鏡を見つめています。

「はふ、ガチの眼鏡が本体ってやつなのよ! “メガネ掛け”の方はどうしちゃったの!?」
「それは“私の本来の身体”という意味合いでよろしいでしょうか。あれは先生に没収されてしまいました。
 ただ、エラダムとして土に還る間際に、私の中身――心と言うべきそれをこちらへ移したのです」

 時計ウサギは自分でもそのようなことが出来るとは思っていなかったようですが、
 恐らくは自分の心を見付けてくれた者たちのおかげだろうと静かに告げました。

「そして今回の問題はその“メガネ掛け”にございます。私のあの身体は先生の力を清書するための――言わばより強力かつ精密に具現化する装置のようなものなのです。
 そのコントロールを先生が握ってしまった今、技術的な問題はさておきあの子が創れるものは理論的には全てと言えます」

 世界や因果すらも、と続ける時計ウサギ(眼鏡)。
 曰く、このままではデミが創る黎明の世界が膨張を続け、いずれはワンダーランドを内側から崩壊させてしまうとのことでした。
 それを聞いた嘘は少し苦しげな顔をしました。

「実は……私を派遣してる聖歌庁って組織から、確実にあの子を始末するようにって言われたのよ。でも、でも私はっ」
「ああ、殺す必要があるかどうかを決めるのは上の奴らじゃない」

 どこか泣き出しそうな嘘の言葉を遮り、鷹人が毅然と城を見上げました。
 しかし、城の目前まで辿り着いた一行の前に立ちふさがったのは嘘と鷹人のよく知る人物でした。

「その通りだ、グランスタからは『生きたまま捕らえろ』って真逆の指示だもんね?
 ただ……俺としてはあの子は殺してあげたほうがいいと思うけど」
「ぶるぅべりぃ先生!?」

 鷹人と所属を同じくし、嘘の尊敬する人物でもある左脳
 姫宮ぶるぅべりぃというペンネームの売れっ子漫画家でもある彼もまた、鷹人と同様にグランスタから派遣されていたというのです。

「ただ、俺ってぶっちゃけ激弱だからね。
 危険なところは鷹人君に任せて、こういう時に出しゃばれるようにコソコソ準備はしてたんだよ」

 左脳が羽根ペンを振るうと、周囲から恐らく近隣住民と思われる人々がふらふらとした足取りで現れました。猟銃やナイフを構えている者もいます。
 狼狽える嘘を庇い、一歩前に出たのはアデルでした。

「そっちの事情は知らないけど、こっちは世界が懸かってるんだ。邪魔をしようって言うなら……」
「ああ、いや、世界を生み出してるらしいあのウサギの化け物はご自由に!
 むしろ倒して欲しいんだ、そうすればあの城を覆うバリアみたいなものも消えるだろうから……
 無防備に塔から顔を出してる小さな作家さんを殺せるその一瞬を、俺は狙うつもり
 君たちにはその邪魔をしてほしくないってだけでね」
「そ、そんな……待ってください、先生はただ……」

 動揺を見せる時計ウサギ(眼鏡)の声を聞いて鷹人が反射的に振り上げた剣は、下ろされる前にピタリと止まりました。虚ろな目の子供が左脳を庇おうとするのです。
 そしてさらに意外なことに、その子供を更に庇おうと飛び出してきたのは笛吹き男でした。

「待ってよ、殺さないでよその子……! 身体が生きてるなら、まだ戻れる可能性があるんだからさ!」
「あ? そりゃどういう――」

 鷹人が言い終わる前に、一行の前に一体のエラダムが現れました。
 土を積み上げたような不安定な形をしており、しきりに「苦しい、助けて」と言葉を漏らしているようです。

“孵化”前のエラダムだっ。
 かみさまの作った身体に、死んだ人間の心を入れると僕や魔女やウサギみたいな完全体になれるんですよ。
 ただ、孵化するまでが地獄みたいに苦しくてさぁ……!」
「……先生が近隣住民の心を大量に奪ってしまったのでしょう。元々そういう計画でしたから。
 大量のエラダム完全体を――舞台にふさわしい登場人物たちを用意するために」
「あ、うん。そんな抜け殻たちが本当に死なないように親切な俺が保護をしてあげたってことで一つ」

 ぬけぬけと言ってみせる左脳でしたが、確かにエラダムは先程の子供の身体を狙っているようにも見えます。
 彼が住民たちの身体を操り避難させていなければ、彼らは本当に死を迎えていたかもしれません。
 時計ウサギ(眼鏡)曰く今ならまだ心を身体に戻すことも実際に可能であると言います。

「そんな人達を盾にするなんて……ぶるぅべりぃ先生、今本当は何を考えてるのよ!?」

 嘘の叫びも虚しく、左脳は肩を竦めてみせるだけでした。
 どこか演技がかった笑顔と言葉で彼は両手を広げてみせます。

「本当に描きたいものを否定されて捻じ曲げられるのは作家にとって死よりも苦しいことだよ。
 さあ、この先はどこへ向かってもメリーバッドエンドだ。君たちはそれでも進むのかね?」
担当マスターより

▼担当マスター:クリエイティブRPG運営チーム

マスターコメント

「ワンダーランド」のトリガーシナリオ、『名も無き少女の物語 前編』をお届けします。
どなたでもご参加頂けますので、お好きなパートをお楽しみ頂ければ幸いです。

また、【11月2日(火)10:30】に関連クエストが公開される予定です。
本ガイドだけでも基本的な情報だけはわかるようになっておりますが、
プレイするとより理解の深まる内容となっておりますので是非チェックしてみてください!

■基本的な状況
効果的に力を行使する鍵となる時計ウサギの身体を手に入れたデミは、
新たな「黎明の世界」を創り出し、そこを次の物語の舞台にしようとしています。
このままでは内部で膨張を続ける「黎明の世界」によりワンダーランドは崩壊する恐れがあります。
また、デミは物語の登場人物を調達するために大量のエラダムの中に近隣住民の心を移し入れ、
全てを完全体のエラダムに作り変えてしまおうとしています。

アデルたちはこれを止めに向かいましたが、
それによって一時的に無防備になるデミをグランスタに所属する左脳が暗殺しようと企んでいるようです。
さらに暗殺を邪魔されないよう、左脳はエラダムに心を奪われた近隣住民たちの身体を人質にしています。

◆運命の筋書き
このシナリオでは、人々が物語に沿って動くようになる強制力『運命の筋書き』が働いています。
今回の事件でモチーフになる物語はありませんが、どうやらデミのオリジナルの物語の始まりを邪魔しないようにする筋書きが働いているようです。
“舞台の外”に位置するワンダーテラーとワンダーウォーカーは『運命の筋書き』に囚われることはありません。

また、今回は全てのパートにおいて周辺が「黎明の世界」となっています。
そのため、全てのパートで【昼】【夜】の全てのスキル・アイテムが使用可能になります。

■運命の打破
多くの人を巻き込む『運命の筋書き』が打ち砕かれると、果たされなかった運命が結晶化して何らかの形を取ることがあります。
このシナリオで特に貢献された方には、結晶化された運命がその活躍に応じた形を成し強力なアイテム等として現れることがあります!

 ★ワンダーウォーカーの力
運命を切り拓く力を持つワンダーウォーカーは、ワンダーランドではより活躍しやすい性質を持ちます。
ワンダーウォーカーをメインアバターにして参加すると、本人のアクションに限り全てのパートの難易度が【-2】となります。


 ★「空想の欠片」の使用

 当シナリオでは空想の欠片の能力を使用する事が可能です。
 能力を使用したい場合、グランドシナリオのリアクション公開時に発行されました称号をセットしてアクションを投稿して下さい
 ※必ず使わなければならない、というわけではありません。

 なお、当シナリオでは「アリス×リバース」本編とは異なり、空想の欠片の解放はできませんので、予めご了承下さい。



【1】【黎明】エラダムに囚われた人々の心を救う 難易度:7
「黎明の世界」の登場人物を作るための大量のエラダムが、城の周りをうろついています。
それらには近隣住民の心が入れられており、心が定着してしまうと近隣住民は元の身体には戻れずエラダム完全体へ孵化してしまいます。

エラダム完全体は通常のエラダムと比べると非常に強力で、それぞれが全てお菓子の家の魔女巨大オオカミ笛吹き男と同等以上の力を持つことになります。
また、今回は数的に全ての人を救うのは難しいことが予想され、エラダム完全体となった者は次回のシナリオで敵として登場します。
被害者の数は多く、全てが孵化してしまうと手に負えなくなる可能性があります。

・孵化前のエラダムについて
土で出来た数メートルの怪物です。
非常に苦しんだ様子ではありますが、人を見つけると運命の筋書きに従い無差別に襲ってきます。
ただし突進や打撃などの単調な攻撃手段しか持たず、それも今はうまく狙いを定められないようです。

孵化前のエラダムは抗いがたい絶望感に襲われ、中身の心が「自分を捨ててでも苦しみから逃れたい」と心から願ってしまうことで孵化します。
そのため様々な手段で精神的な苦痛を和らげながら孵化を出来るだけ遅らせ、
エラダムの身体を破壊することで囚われた人々の心を元の身体に帰しましょう。


※このパートには、笛吹き男、渋蔵 鷹人、白の騎士が登場します。

【2】【黎明】左脳を倒す 難易度:8
デミがいる城は運命の筋書きが結界化したようなもので覆われ、外部から攻撃を行うことができません。
それを知ってか知らずか、デミは呑気に塔から身を乗り出し空を眺めています。

しかし【3】で時計ウサギの身体を倒せば、この結界は即座に解かれて無防備なデミへの攻撃チャンスが一瞬生まれます。
左脳はワンダーテラーの力でその隙を狙って城外から彼女を撃ち抜き暗殺しようとしています。
それをもし止めたい場合、時計ウサギが倒される前に左脳を倒すか暗殺出来ない状況にする必要があります。

・左脳について
エラダムに心を囚われ、抜け殻となった大勢の住民たちの身体を率いています。
自分では動けない抜け殻状態の住民たちはマリオネットのように身体だけを操られており、
左脳に近付く者へ猟銃やナイフで攻撃しようとしたり、左脳を守ろうと動きます。
そのため、上手くこれをかいくぐる必要があります。
左脳自身はワンダーテラーの力で適当な武器を創造しつつ遠距離から応戦しますが、
元々戦闘向きではなく住民たちの操作に力を割いているため本人はそこまで強くありません。

・デミについて
高所にいることに加え結界に阻まれているため声は届かず、会話や声掛けなどはできません。
城外での戦闘には気付かず空を見ていますが、左脳たちの場所だけは唯一目が届くので
状況によっては何をやっているのだろうと観察を始める場合もあります。
ただ、自らこの場から離れることはないでしょう。

※このパートには、戦戯 嘘が登場します。

【3】【黎明】時計ウサギの身体を倒す 難易度:10
デミが「黎明の世界」を創り出している古城の前には、その創造の根源となる時計ウサギの身体がいます。
この身体を倒すことで、黎明の世界の膨張も止まるでしょう。
ただし世界の膨張を止めることはできますが、一度創られた世界を縮小・消滅させる方法は現時点では不明です。

・時計ウサギの身体について
デミの居る城を守るように、門の前に佇んでいます。
非常に強力な敵となり、少しでも近付く者には攻撃を仕掛けてきます。
右腕を巨大化させて振り回す打撃は素早い上に一撃が重く、さらに腕は不規則に曲がることもあるので注意が必要です。
また、不快な高音の鳴き声を響かせることで地面から数メートルのエラダムを生み出すことができます。
このエラダムも突進や打撃など単調な攻撃手段しか持ちませんが、合わせて注意が必要です。

時計ウサギの身体は痛みや疲れなどは感じないようで、死ぬまで戦おうとするようです。
さらに知能や感情も無く、会話などもできません。
メインアバターがワンダーウォーカーの者が時計ウサギの身体に時計ウサギ(眼鏡)をかければ
彼の身体のコントロール権を取り戻せる……かもしれませんが、これも非常に危険でしょう。

※このパートには、アデル、ミチル、ルージュ、時計ウサギ(眼鏡)が登場します。
 時計ウサギ(眼鏡)は一時的にミチルにかけてもらっていますが、顔見知りであれば頼めば装着させて貰えます。



★アバター死亡/停止判定
本シナリオでは、難易度を鑑みず無茶な行動をしたとき、勝てない敵と戦ったときなど、
特異者が死亡する、あるいはアバターが機能停止に陥るケースがあります。
そうなった場合、一定期間アバターチェンジできなくなります。
ただ、アバターが死亡したことで別のアバターで再度参加したとしても、過去の功績などが消えることはありません。
死亡の場合は「死んだと思っていたが、実は生きていた」扱いとなります。
なおNPCも例外ではなく、NPCの場合はアバターのみに限らず本当に死んでしまうこともございます。

それではみなさんのご参加とアクションをお待ちしております。

【2021年11月25日追記】
リアクション公開予定日を『2021年11月30日』へ変更させていただきました。
ご参加頂いたお客様にはお待たせしてしまい大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。

【1】【黎明】エラダムに囚われた人々の心を救う 【現在のMC参加人数:18】

7

【2】【黎明】左脳を倒す 【現在のMC参加人数:16】

8

【3】【黎明】時計ウサギの身体を倒す 【現在のMC参加人数:8】

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