三千界のあらゆる世界からオンラインでつながるゲーム、
レディアントワールズオンライン(RWO)。
そこは今、
インカネーターと呼ばれる外敵の脅威にさらされていました。
インカネーターは他のゲームからログインしているユーザーと思われ、
本来RWOを守るはずであったアンチボディの暴走をはじめ、様々な悪影響を及ぼしています。
危機に瀕したRWOを救うため、いなくなった
モモの影を追うため
24時間騎士団の団長
アクアマリンはリアルをなげうって対策に乗り出しました。
――そして。
■□■
RWO、
メール山。
ポリアナード王国の南東にあるその巨峰のふもとは、多くのユーザーでにぎわっていました。
「完成したか、
ヘカトンケイル・システム……
礼を言う、クレイン」
「気にしないで。
思ったより複雑だったけど、ツインタワーよりは小さかったし」
アクアマリンは
クレインから、宙に浮く砲身のような武装を受け取りました。
ヘカトンケイル・システムとは、アクアマリンのリアルである
マリナ・アクアノートの装備です。
「まあ、ゼストの軍事機密を持ち出した上に、
それをゲームで再現してほしいなんて聞いたときは、さすがに驚いたけど」
「もはやこれしかなかったのだ。
インカネーターを根絶やしにし、RWOを守護るためには」
表情やしぐさこそ変化はないものの、アクアマリンのその言葉からは尋常でない執念が感じられました。
彼女はインカネーターのゲームにログインし、前面対決に臨むつもりなのです。
「このメール山は並のユーザーでは攻略できない難関。
実力を試すにはうってつけの登竜門だ。
そして行動の傾向から推測するに、奴らのゲームはバトルロイヤル方式」
「だから
RWOでもバトルロイヤルを行って、候補者を選別することにした……と」
ヒンメルがそう言うと、アクアマリンは頷きます。
メール山のふもとにユーザーが集まっているのは、このバトルロイヤル開催の呼びかけを受けたためでした。
「実況に
RENKINを招いたのは正解でしたね。
エンジョイ勢も集まってますし、見られているガチ勢のモチベも高い」
「プレイヤーイベントも楽しまれてるみたいですしね」
ヒンメルや
リディア、そしてアクアマリンたちは、はるかそびえるメール山を睨みます。
「奴らのところへログインする手段が、きっとこの山にあるはずだ。
必ず突き止めるぞ」
――こうして、アクアマリン主催のバトルロイヤルが開催されることになりました。
三千界から集う特異者たちの中から、新たな一歩を踏み出すのは――?