シナリオガイド
民宿に巣食う禍神を討伐せよ!~梅影慈旺の任務奇譚より~
シナリオ名:擬態する絲と忍び寄る監視者 / 担当マスター:茸
とある山道にて――。
一人の通行人が道端に座り込んで泣いている子供と遭遇しました。
子供が一人で来るような場所ではなく、親とはぐれたのだろうと思い声を掛けます。
「坊や、迷子か? 親はどうした?」
子供は膝に顔を伏せたままで返事をしません。
少し不思議に思ったのは、泣いているように見えて泣き声が一度も聞こえてこなかったことです。
親の姿が無く恐怖に固まっているのかと思い、子供の丸い頭を撫でようと手を伸ばした瞬間、その頭がぐるりと動きこっちを見上げました。
その顔を目の当たりにした通行人の男は思わず悲鳴を上げました。
「うわあああっ!! か、かか、顔が――っ!?」
心底驚いた男はその場から一目散に逃げ出し、転がるように山を下りて行きました。
同じ怪異に遭遇したという話がここ数日で何件も挙がっており、被害者の中で負傷した人も数名いるようですが、
証言では逃げる時に転んでできた傷だという者が多く、相手に直接攻撃されたと話す者は殆どいませんでした。
*****
「――ただ、怪異に驚いて思わず攻撃してしまった場合は別って話です。相手も反撃に出て多少痛い目に遭わされるとか」
怪異事件の山道の脇で身を顰める梅影 慈旺は同行者の睦美 景に詳細な情報を共有します。
「被害者は数日寝込む程度で回復。怖がってはいましたが風邪を貰ったようなものだと気にしていないようでした。動転して気が病んだだけだと思ってるようですね」
「生気を吸われたか」
「恐らく。邪気は然程残ってませんでしたから。大事になるのを避けるために敢えて残さなかったのか……、それはそれで面倒ですけど――」
一旦話を切った慈旺は景に一度だけ視線を向けて一人静かに場所を変えると息を殺し、ある一点を注視します。
一体何処からどうやって来たのか。そこに忽然と現れた人影は蹲ったまま微動だにせず、迷子の子供が心細げに親を待っているような雰囲気を放っています。
証言通りであることを確認した慈旺は子供との接触を試みます。
「こんな所に一人でどうした? 親を待ってるなら暇潰しに俺と話しでもしないかい?」
「……」
子供からの反応はなく、慈旺はまた一歩と近付いていきます。
そして頭に触れようとした瞬間、子供が顔を向けてきました。
当然警戒していた慈旺は後方へ下がり身構えます。
子供の顔を見た瞬間、これは驚いて当然だと思いました。
「うーん……何というか、色々と大変そうだな……」
その声には子供を憐れむような色が滲みますが、何が大変なのかと悠長に聞いてくれる人はいません。
子供の小さな輪郭の中は目と口の位置が入れ替わり、鼻なんかは逆さまの状態で頬にくっついていました。肌も色白でまるでおかめの福笑いのようです。
奥深くまで霊力を探ると、皮膚は無数の糸状の物が密集してできているようで、それは体内まで及んでおり、言ってしまえば糸で作られた人形でした。
髪だけは人毛で、人間になり切っているつもりなのかもしれません。
慈旺はそこまで瞬時に判断すると刀を抜きます――。
「その人毛の持ち主に擬態してるつもりか? 色々聞きたいことはあるが、どうも口が利けないようだからな……一度祓わせてもらうよ」
宣言し、音もなく脇差を真横に振り抜きました。
その刃は子供を真っ二つに裂きます。
思った通り体からは一滴の血も流れず、解れた糸のように宙を舞います。
散り散りになった糸は弾けたようにこの場から逃げ出しました。
そこに待ち構えていた景が結界の網を張ります。
諸にぶつかった糸は浄化され霧散しましたが、霊力を分散しより細く姿を変えた糸は結界の網目を抜けて山を下って飛んでいきました。
「この先には民宿がありますね」
無数の絲が逃げたにもかかわらず、慈旺は落ち着いた口調で景に問います。
「想定通りですか?」
「ああ。間違いなく本体はあそこだ。――それより視線が鬱陶しい。どうにかしろ」
「あー……ですね。迷惑かけてすみません。危害は加えてこないはずなんで。この一件が片付いたら対処します」
景にそう約束した慈旺でしたが、この一件に首を突っ込んで来そうな二人の存在に頭を悩ませていました。
担当マスターより
こんにちは、または初めまして。
GMの茸です。
本シナリオも任務自体は新規ですので、初めましての方もお楽しみ頂ける内容となっております。
多くのご参加お待ちしております!
~梅影慈旺の任務奇譚より~
今回も睦美景を加えての任務となります。
前回の任務後から慈旺を尾行している人物がおり、今回本編で接触してくると思われます。
敵は絲(無数の糸から絲と命名)のマガカミです。読み方は同じ『いと』です。
人に擬態し接触することで力を得ているようです。
*パート詳細*
【全パート共通】
・梅影慈旺に接触するため2名の監視者が任務中に立ち入ってくると思われます。
誤って攻撃しないよう慈旺は下記のことを隊士たちに告げています。
――男女の二人組で男の方は気性が激しいため少々(?)喧嘩腰に突っかかってくる。
――女の方は極度の恥ずかしがり屋で言動がおどおどしている。
――どちらも忍ぶことに長けていて戦闘力も悪くない。(敵に襲われても非常時以外は手を貸す必要はない。)
――忍び装束を身に着けていると思われる。
――あとは各々判断してほしい。
・二人は慈旺との接触が目的なので任務の邪魔をすることはありません。
アクションは無視して頂いても構いませんし、対話を試みても構いません。
【1】絲に捕らわれた人々の救出 難易度:3
・任務地は山の麓にある民宿です。
・民宿を営む家族は子供一人を含めて5名。宿泊客は3組(カップル2名、家族連れ3名、旅人1名)です。
安否不明。
・絲のマガカミは人から拝借した一部からその者の生気を吸い取り力を補っています。
そこから擬態することが出来るため人を騙したり脅かしたりと悪戯をしてきます。
色も自在に染まることができるのでぱっと見マガカミであるか判断するのは難しいでしょう。
民宿に滞在している人を把握し、絲に騙されないよう判別から救出を的確に行う必要があります。
人間に伸ばされた絲は力の供給を主としているため反撃よりも身を引く傾向にあります。深追いはせず人々の保護を徹底してください。
民宿にいる人々を全員保護することが出来れば絲も力を補う手段がなくなります。
絲はただ切断しただけでは消滅しません。浄化は可能です。
細かな繊維は結びつき再び絲となって擬態する人間を求めてくるので本体が消滅するまで人々を守り切ってください。
【2】擬態した絲の討伐 難易度:4
・絲は生気、霊力を必要としているため人間に擬態することを好むようですが、欠片などその物に触れていれば同じ物に擬態できてしまいます。
此方が攻撃しない限りは大人しいですが、身に危険を感じた場合は攻撃的になるか逃げ出します。
本体のある民宿に修祓隊が攻め入ることでまず大人しくしていることはないでしょう。
【1】から逃げてきた絲や本体が放った絲は物に擬態し紛れるか攻撃してきます。
繊維のように細く柔らかい絲は折り重なることで頑丈になります。
時には無数の絲が重なり合い綱のような太い絲となって襲い、時には茶碗が飛んできたと思ったら目前で擬態を解き絡みついてくるなど。
絲の特性を考え対抗する必要があります。
本体の力を削ぐため、ここでは擬態した絲を確実に討伐して頂ければと思います。
ここでは睦美 景が登場します。
【3】絲の本体の討伐 難易度:5
・絲の本体は気配を悟られないよう民宿の何処かにある地下を住処にしているようです。
民宿の経営者である家族も普段あまり立ち入らないような場所で、ここ数週間足らずで絲を部屋中に張り巡らせ住処を完成させました。
成長するために自ら床に穴を掘り空間を拡げています。
・姿は一見巨大な蚕の繭のように見えますが、本体は力が強く形を自在に変えることが出来るため、攻撃パターンも多彩です。
体から無数の絲を伸ばしたり、絲を束ね凝縮させると壁を突き破るほどの威力を持ちます。
一度触れたモノに擬態できるため戦闘時はできるだけ接触を避けてください。擬態した自分と戦うことになります。
長時間接触していると霊力を奪われ続け、擬態の力も増していきます。霊力干渉などのスキルがあると優位かと。
本体もただ切断するだけでは倒せません。邪気が凝縮されているため浄化も強力なものでなければ完全に消し去ることはできないと思ってください。
火や雷に弱いようですが、場所が地下であることを念頭に置いて戦ってください。
・戦闘が激化すると天井を突き破り地上戦へと移行します。
・【1】と【2】の結果次第で難易度が1つ前後します。
ここでは梅影 慈旺が登場します。
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*主なNPC*
・梅影 慈旺(うめかげ しおう) 見た目は30歳前後
流派:睦美流 皆伝
隠密が得意でありながら普段は派手な梅花の羽織を纏い街を散策するのを趣味としている。
明るい性格で見た目は風雅な男だが、鬼の血を引いており一族唯一先祖返りしその力が発現している。
鬼の力を制御するため、睦美流皆伝の取得を機に紫垣玄の元で稽古をつけてもらっている。
誰にも話していない厄介事を抱えているが、師範の景には気付かれているだろうと推測している。
(『封印岩と目醒める禍神』より景に気付かれていることは確定。)
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・絲に捕らわれた人々の救出 【現在のMC参加人数:6】
・民宿にいる人を全員把握して保護に努めます。絲が喋れないのも判断材料になりそうですね。
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・擬態した絲の討伐 【現在のMC参加人数:5】
・自分は各部屋を浄化して回ります。ある程度浄化できれば絲の行動範囲も限られてくるはずです。
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・絲の本体の討伐 【現在のMC参加人数:3】
・相手が無数の手を使ってくるならそれを確実に叩いて力を削いでいきましょう。大技でトドメを刺すのは仲間に任せます。
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