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【双月ニ舞ヒテ】趨り掴め【最終話】

リアクション公開中!

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【双月ニ舞ヒテ】趨り掴め【最終話】
基本情報

マスター:北織 翼
ワールド:大和/神州扶桑国
 
 

料金

MC参加:200ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:2
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2022年12月21日公開!

シナリオガイド

只々、共に在らん

シナリオ名:【双月ニ舞ヒテ】趨り掴め【最終話】 / 担当マスター:北織 翼



※これまでのあらすじを当ガイド下部マスターコメント冒頭に記載しましたので、【双月ニ舞ヒテ】の世界に初めて触れられる方は先にマスターコメント冒頭をお読みになる事をお勧めします。

* * *


「よう、待たせたな――人間ども。俺が何者かはもう分かってんだろう? ならさっさと終わりにしようぜ……てめぇら人間と鳥族、全員の死を以て、な」
 空に浮かぶ月の背後から三日月のように姿を覗かせていた影月は、巨大な闇の穴と化して地上近くまで降下してきました。
 穴の中から縁に足を掛けた男が一人、荒瀬 雅仁滋姫そして渡来人たちが呆然と見つめる前で地面に飛び降ります。この地に息づく全ての者たちに対する死の宣告とともに。
「この国の民を、これ以上貴様の手に掛けさせてなるものか!」
 満身創痍で地面に激突した滋姫は、ふらふらと立ち上がり男に向かって怒気を露わにしました。
「歪爪、何故気付かぬ? 貴様の斯様な思想と振る舞いがいらぬ諍いを引き起こすことに……千年前も、今も。共生も共存も我を通すばかりでは成り立たぬ。認め認められる間柄というものは数多の葛藤と妥協の末に見出すものだ。それくらいはいくら火喰族でも分かろうが!」
 滋姫は時折咳き込みながらも、影月から降り立った男――歪爪――に訴えます。
 しかし、歪爪はうんざりした様子で短い溜め息を吐きました。
「はぁ……分かっちゃいねぇなぁ、お姫(ひぃ)さんよ。その『葛藤と妥協』ってのには必ず『犠牲』が付きまとう。『どちらか』がより多くの葛藤を味わい妥協を飲まされる、平等なんてモンはあり得ねぇ。そんで、その不平等はやがてどうにもならねぇところまで突き進んで絶対的な格差を生み、奪う者と奪われるだけの者を作り出す。それはそこの『賤民上がり』が身を以て味わってきた筈だぜ? なぁ、そうだろう?」
 歪爪に挑発的な視線を向けられた雅仁でしたが……。
「否定はしない。だが……奪われたものを取り戻すことは出来る」
 雅仁はともに戦ってきた渡来人たちを見回しました。
「『取り戻したい』と心から強く願えば、手を差し伸べてくれる者はいる……この者たちのようにな。某は取り戻す……貴様に蹂躙されたこの国の平穏を。渡来人たちとともに!」
 雅仁は背負っていた小平 春之進をゆっくりと下ろすと、腰の刀を抜きながら渡来人らに告げます。
「皆、今一度共に戦ってくれ」
 歪爪に突きつけた刀は、雅仁の決意に呼応するように刀身を煌々と輝かせていました。

「荒瀬、聞け」
 滋姫は傷の痛みに耐えながら雅仁に語りかけます。
「歪爪は孔雀夜叉の魂を食ろうた。よって、恐らく歪爪もかつての孔雀夜叉の如く魂をこの地に無数に散らすことが出来よう。妾は、奴の魂をこの地に散らし、我々と永劫共存する道を選ぼうと思っている」
 しかし、滋姫の言葉に雅仁は眉を顰めました。
「恐れながら天鳥様……我々は、奴ら餓承衆に数多の民と同胞たる武士の命を奪われました。仇と共存していくなど、某には耐え難きことです」
「其方ならばそう言うであろうと分かっていた。無論、奴には制裁が必要だ。奴を倒すことで餓承衆は消滅する、そこまでは妾も当然の報いと思っている。だが、恐らくそれだけでは歪爪の魂はまた影月で長い年月を刻み出羽の穢れを溜め込んだ後に此度のようなことを繰り返すだろう。影月の中で、歪爪は確かに言っていた……『認められたかった』と。魂を頑なに守るあの体を破壊し、餓承衆を消滅させた上で魂を浄化し霧散させる……そうして歪爪の魂が出羽に根付き、人々に受け継がれ『認められて』いけば、二度と影月が現れることも、影月を必要とするような事態に陥ることもなくなるのではなかろうか。そして、それは我々が目指すと誓った新たな国の形の一歩にはなるまいか?」
「奪われた尊い命と遺された者たちの無念を思うと、歪爪には相応の報いを受けてもらわねば某は得心いきませぬ。しかし……天鳥様がそうお考えになるならば、某は従うのみ。ただし、天鳥様――」
 雅仁は歪爪を睨み彼に切っ先を向けたまま滋姫に言います。
「――これだけはお約束下さい。二度とお一人で災厄に立ち向かう真似はなさらぬと。この国を守るためにお命を削るのではなく、この国を滋(そだ)てるために生きると。でなければ、たとえ天鳥様の命(めい)であろうと、この荒瀬承服致しかねます」
「……孔雀夜叉より課せられし使命に抗えと言うか。何と不遜な。其方、渡来人とやらと関わるうちに随分と変わったな。だが、それもまた良きこと……」
 滋姫は口元を僅かに緩ませました。
「その約定、決して違えぬと誓おう」

 真っ直ぐと見据えてくる雅仁や渡来人たちに、歪爪は嘲りと憐れみを含んだ笑みとともに声を発します。
「千年前と変わらねぇのはそっちも同じよなぁ。俺たちを力ずくで退けることしか出来ねぇんだからよぉ。だが、あん時とは状況が違う。よぉく目を開いて耳を澄ませてみろや」
 歪爪がそう告げるや否や、数多の悲鳴のようなものの中に、武士が数人甲冑を揺らし全速力で駆けてくる音が聞こえてきました。
「荒瀬様、市中が大変なことに……! 大量の餓承衆に加え、これまで見たこともない巨躯の者が何人も姿を現し、見境無く暴れて家屋を壊しては市中の民を殴り……武士団にも多くの負傷者が出ております! 閃燕族が上空から市中を見下ろし第三の目となって我々を支援してくれるおかげでどうにか持ちこたえてはおりますが、兵力差は開く一方にございます!」
「川沿いでは賤民らが数多倒れておる模様……どうも、突如濃くなった穢れに当てられているらしく、心身の弱った者から次々と具合を悪くしているようです。こちらも閃燕族の者たちが弱った賤民の発見を手伝ってくれてはいますが、中には既に意識を失い危険な民もおるというのに餓承衆まで現れ、とても救護に手が回りません!」
 ひどく焦って我先にと報告しようとする武士たちを落ち着かせながら雅仁が聞いた内容は、どれも静観出来るものではありません。
「聞いたか? 阿呆なダチョウどもだよなぁ。ちょいと穢れを撒いてやりゃこのザマだ。あれは頭は阿呆だが図体はでけぇからな、穢れに呑まれて暴れてくれるだけでこっちは大助かりよ。まぁ、こういう使い道があるからあいつらを生かしておいたんだがな。ハハハハハッ!」
 歪爪はそう言うと、影月の周りを飛ぶ巨大な黒鳥を渡来人たちに差し向けました。
 何羽もの眷属を従えて、巨大黒鳥は口から闇色の弾を渡来人たちに射出します。
 すると、宵烏族参謀の紫艶と彼の率いる赤烏隊が黒鳥の眷属らに鋭い風の刃を飛ばして反撃に出ました。
「出羽の空を飛ぶ黒鳥は清廉たる烏だけで十分、薄汚い穢鳥の出る幕はない」
 紫艶は漆黒の翼を羽ばたかせながら地上の雅仁を見下ろします。
「大将軍、鳥族としての誇りにかけてこの身の程知らずは俺たちが引き受ける。天鳥様には、此奴の首を土産にして改めて挨拶するとしよう」
 紫艶はそう言って空中を舞いますが、針羽との戦いで負った傷が癒えていないのでしょう、その動きはやや精彩を欠いているように見えました。
 とはいえ、空を飛べない武士たちは紫艶たちに黒鳥退治を頼るより他ありません。

「宵烏族と手を取り合う日が来ようとはな……」
 滋姫は目を細めて紫艶たちを見上げた後、
「小平、其方は川沿いに向かえ。妾は市中の民を守る」
 と春之進に命じます。
「は、はい!?」
 突然滋姫に命じられた春之進は素っ頓狂な声を上げました。
「あの、天鳥様、俺これでも負傷者なんですよ? こう見えてめちゃくちゃ具合悪いんですけど!?」
「たわけ! ……手負いの身でも弱った民の心を癒すことくらいは出来よう。其方の達者な口も役に立つ。この任を無事果たした暁には、常磐と静のために反物を見繕ってやろう」
「やります頑張ります全力で精一杯務めさせて頂きますハイ!!」
 滋姫の餌に釣られた春之進は、怪我の痛みもどこへやらですくっと立ち上がると、
「どこも思いの外かなり危機的な状況だねー……でも、これ以上手がないのは向こうも同じだ。お願いだよ、最後の最後、みんなの力を貸してくれるかな」
 と渡来人たちに請うのでした。

担当マスターより

▼担当マスター:北織 翼

マスターコメント

【双月ニ舞ヒテ】これまでのあらすじ

 ある夜、出羽の空で突如月に添うように出現した黒い影のようなもの――「影月」。
 この影月から、餓承衆(がしょうしゅう)と名乗る禍々しい集団が地上に降り立ち、出羽を襲撃しました。
 甚大な被害に見舞われた出羽を救おうと「渡来人」として足を踏み入れた特異者たちは、餓承衆を撃退し市中で民の救出に当たるなどその力を発揮します。
 しかし、当時出羽には敵味方の別なく全ての者たちの能力に著しい制限を加えてしまう結界が張られており、この結界を破壊しなければ渡来人たちは本来の力で戦うことが出来ない状況でした。
 そこで、渡来人たちは、餓承衆の中でも抜きん出た能力を持つ“青頸”“大兜”“針羽”と名乗る者らを激闘の末に倒す傍ら結界を破壊します。
 これにより、渡来人ばかりでなく征影大将軍である荒瀬 雅仁が率いる出羽武士団の者たちも本来の力で戦うことが出来るようになりましたが、それは敵側にとっても同じことで、いよいよ影月の主が本格的に動き出しました。
 そして、その正体が遙か昔に出羽の地で暴虐を働いた末に滅んだ“火喰族”の族長で、既に死した存在である“歪爪”であることもはっきりと分かったのです。
 歪爪は強烈な穢れと瘴気を放つ影月を地上近くまで降下させ、渡来人たちの前に立ちました。
 出羽の行く末を占う最後の戦いが、今始まろうとしています……。

※より詳細な内容を把握したい方は、
 【双月ニ舞ヒテ】第1話
 【双月ニ舞ヒテ】第2話
 【双月ニ舞ヒテ】第3話
 【双月ニ舞ヒテ】第4話
をご覧になって頂けますと幸いです。


* * *



マスターの北織です。

影月に封じられていた火喰族族長、歪爪が大量の餓承衆とともに遂に地上に降り立ちました。
彼の魂を出羽の地に根付かせるようとする滋姫の考えを断固として受け入れない歪爪はこの国の全てを蹂躙し、破壊し、滅ぼすつもりです。
彼を止めなければ出羽は滅びてしまうでしょう。
更に、穢れと瘴気に満ちた影月が地上に接近したことで、駿駝族の者たちが心を闇に染められ市中に出て暴力行為を働き出しただけでなく、川沿いの集落に住む賤民たちは次々と体調を崩し始めました。
彼らにも何らかの手を打たなければ被害は拡大する一方です。

そこで、今回皆様には

 1,市中で行動する
 2,川沿いの集落で行動する
 3,黒鳥とその眷属を撃破する
 4,歪爪を撃破する(魂を共生共存に導く)

の4点をお願いいたします。

なお、これまでの結果を受け何名かのPC様には最終話への招待を出させて頂いております。
参加費用はPL様負担となりますが、ご都合が合うようでしたら是非とも奮ってご参加下さい。
ただし、予約期間中に参加手続きを取られなかった場合、他に参加を希望される方の人数によっては抽選が発生し、参加出来なくなってしまう恐れがございますので、どうかご注意下さい。


シナリオの詳細な説明に入る前に、この小世界限定の重要なルールについて先にお知らせいたします。

■重要なルール(1)対応アバターについて

 大和の小世界であるため、大和のアバターまたは大和に対応しているユニークアバターは本来の力を発揮出来ます。
 加えて、大和の裏世界とされている神州扶桑国のアバターも親和性が高く本来の力を発揮出来ます。
 ただし、これら以外の異世界アバターをメインアバターにした場合、皆様の力は大きな減衰を受けます。


■重要なルール(2)「レベルロック」とその全解除について

 これまで出羽はアバターレベルに準じた能力がやや発揮出来ない状況、つまり「レベルがロックされた状況」でした。
 その原因は出羽最高位「天鳥」の地位にある滋姫が影月にいながらその霊力で築いた四本の柱による不完全な結界にあり、敵だけでなく味方である筈の武士団や渡来人たちの力まで抑制してしまっていましたが、皆様がシナリオ内で結界柱を全て破壊した結果、レベルロックは完全に解除されることとなりました。
 よって、最終話では特段の制限なく通常のシナリオと同様にスキルやアイテムを装備することが出来るようになっております。


■重要なルール(3)アバター死亡について

 最終話となり各アクションパートの難易度はかなり上昇しております。
 難易度5以上のパートでは、あまりに無謀なアクションを掛けられた場合や、アクションパートが示す適正レベルに著しく及ばないアバターレベルで参加し無茶な動きをされた場合などは、アバター死亡もあり得ますので、くれぐれもご注意下さい。


ここからは、それぞれのアクションパートと周辺環境、登場するNPCについて詳細を補足説明させて頂きます。

■周辺環境

 ・時間帯:昼間(午前)

 ・気温及び天候
 第4話に引き続き、天候は曇り、気温は「上着がないとかなり肌寒い温度」です。
 そのため、心身共に疲弊状態にある者は放置すると一気に気力体力を奪われ危険な状態に陥る場合があります。

 ・活動場所
 アクションパートにより異なりますので、後述の各アクションパートに関する記載内容をご確認下さい。


■登場するNPC

 ・荒瀬 雅仁(あらせ まさひと/27歳)
 天鳥によって、出羽の事実上のトップ「征影大将軍」に任じられている侍です。
 出羽を襲ったこの惨劇に対し、先頭に立って立ち向かってきました。
 出羽武士団を率いており、剣と喧嘩の腕はかなり確かなようです。
 殆ど笑顔を見せない人で、「荒瀬の笑顔を見た者は消される」などというとんでもない噂が流れている程ですが、実際の彼は普通に会話の出来る至ってまともな人間です。
 時々粗暴な口調が出てしまうのが玉に瑕です。
 今回は皆様と一緒に歪爪と戦います。

 ・小平 春之進(こだいら はるのしん/31歳)
 雅仁を幼い頃から知る武士で、雅仁の親友であり側近であり、理解者でもあります。
 代々出羽の政治の中枢を担ってきた高貴な家柄で、妻子もいます。
 子煩悩の愛妻家で、家族のことを質問すると頼んでもいないマシンガントークを始めてしまいますので、家族ネタについてはそれに耐える覚悟のある方だけ触れることをオススメします。
 武芸の方は、雅仁の側近にしては少々頼りない感じですが並の武士程度には十分動けます。
 武芸は並でも腹黒い連中を相手にのらりくらりと立ち回れる器用な人物です。
 今回は滋姫の命令で川沿いの集落に向かい、賤民の心身のケアに当たる予定です……が、第4話で負った怪我がまだ癒えていないのであまり動き回ることは出来ません。

 ・颯崚(そうりょう/女性・年齢不詳)
 出羽四霊山のひとつ「水殿山」を住処とする鳥族「閃燕族」の族長です。
 出羽の危機に対し、伝書鳩のような役割を持つ「遣り燕」を飛ばし四霊山のコミュニケーションを支えることで協力してきました。
 品行方正で責任感と正義感が強く、生真面目な性格です。
 鳥族の中で最速で飛べる部族の族長であり、部族に強い誇りを持っていますが、戦闘力は皆無です。
 第3話で水殿山が餓承衆の襲撃を受けた際に重傷を負い、多くの同胞の命も奪われてしまいましたが、今回市中や川沿いの異変をいち早く察知し、動ける同胞を引き連れて上空からの索敵や要救助者の発見に尽力し武士たちを支援しています。
 現在、彼女自身は数人の同胞を連れて市中で、彼女の側近や他の同胞たちは川沿いでそれぞれ動いています。

 ・紫艶(しえん/男性・年齢不詳)
 出羽四霊山のひとつ「黒羽山」を住処とする鳥族「宵烏族」のひとりで、族長に次ぐ参謀の地位にある者です。
 赤い目を持つ宵烏族の中で唯一紫の目であることから、他部族の者たちからは「異端の烏」と呼ばれています。
 利己的且つ排他的な宵烏族は本来黒羽山を出ることは殆どなく、出羽の危機に対しても日和見的思考で餓承衆側に付いていたのですが、第2話で渡来人たちが黒羽山の餓承衆を撃退しその力を見せつけたことで、紫艶と宵烏族の精鋭部隊「赤烏隊」が山を下り武士団の指揮下に入ることとなりました。
 部族に対して強い誇りと愛情を持っているため、部族を貶めるような発言をする者には容赦がなく、たとえ味方であろうと斬り伏せるような性格です。
 しかし、宵烏族の中ではかなり型破りな思考の持ち主で、宵烏族のこれまでの在り方に疑問を持ち、宵烏族以外の部族や出羽全土の情勢など黒羽山の外のことに対して強い興味と関心を抱いています。
 特に、遣り燕を通じてこれまで様々な情報をもたらしてくれた颯崚に対しては強い恩義も感じています。
 第4話で針羽と戦った際に重傷を負いましたが、渡来人に助けられて何とか動ける程度には回復しています。
 今回は歪爪が生み出した巨大黒鳥とその眷属を皆様と一緒に相手取ります。

 ・お駒(おこま/17歳)
 皆様よりほんの少しだけ先に出羽に入った特異者で、忍者アバターです。
 今回は川沿いの集落で賤民たちの救護に当たる予定です。

 ・滋姫(しげひめ/18歳)
 出羽の統治者で「天鳥」と呼ばれる地位にいます。
 影月の中で歪爪と戦い満身創痍の状態ですが、市中に赴くようです。
 歪爪の攻撃や影月の瘴気にも耐えられる程の強固な結界を張ることが出来ますが、現在余力は殆どなく、結界術の発動には相応の無理をすることになると思われます。

 ・歪爪(わいそう)
 千年前に孔雀夜叉によって影月に封じられた火喰族の族長です。
 とうの昔に息絶えて肉体は滅んでいますが、同じく息絶えた孔雀夜叉と魂だけの状態で影月の中で千年近く戦い続け、とうとう孔雀夜叉の魂を食らい現在に至ります。
 外見は生前のままで、黒い簑のようなものに身を包んだ黒ずくめの男で、長身でスキンヘッドに切れ長の目、薄い唇と非情で酷薄そうな顔つきをしており、これは第4話で渡来人に撃破された針羽と全く同じです。
 戦闘能力などについては「■4,歪爪を撃破する(魂を共生共存に導く)」にて説明いたします。


■1,市中で行動する

 市中にて皆様の力を発揮して下さい。
 ただし、こちらで皆様に求められることは多岐に渡っており、それらを全て個々の渡来人で達成しようとするとダブルアクションどころかトリプルアクションでも足りないくらいの状況です。
 せっかく頑張ってアクションを考えたのに、あれやこれやとアクションを掛けてしまったがために描写が全体的に薄くなってしまったり、不採用部分が多くなってしまったりしてはとてももったいないです。
 このような残念な事態を少しでも減らすために、皆様個々が“メインで”目指す行動を次の選択肢から1つ選び、選択肢冒頭の記号をアクション欄に明記した上でアクションを掛けて下さい。
 ちなみに、颯崚はじめ閃燕族は一箇所に留まることなく市中上空を飛び回り、敵や負傷者の位置などを皆様に適宜知らせます。

 a.駿駝族を鎮める(難易度7相当)
 b.餓承衆を撃破する(難易度6相当)
 c.民の避難や救護に当たる(難易度4相当)

※あくまで“メイン行動”を絞るだけで結構です。
(例)「メインとする動きは負傷者の救護だけど、もし餓承衆が襲ってきたら一発反撃して、その間に負傷者を連れて逃げます」というアクションの場合、襲ってくる餓承衆への最低限の反撃はメイン行動の達成には不可欠で、状況的にもあり得ることなので本シナリオにおいてはダブルアクションとは判定しません。
 GAを組んで行動する場合も同様です。仲間と目的を同一にし個々が様々な役割を分担して大きなことを成し遂げるのがGAの醍醐味ですので、GAの目的を達成するためであれば全員が同じ行動をメインに選択する必要はありません。

 続いて、各選択肢に沿って詳細をご説明いたします。

 a.駿駝族を鎮める
 駿駝族は、個人差はあれど全員身長2メートル超えでがっしりとした体型の持ち主です。
 駝鳥の特性を持つ鳥族で、空を飛ぶことは出来ませんが優れた膂力を持ち、鳥族の中では最速で地上を走ることの出来る部族です。
 知能的には少々心許ない部分がありますが、農耕が得意で、本来は気性も穏やかでとても純粋且つ朗らかな「愛されキャラ」な者たちです。
 しかし、現在は穢れの影響を強く受けてしまい見境無く暴れ回っている状態で、その中には族長の弟である(だい)もいます。
 影月の穢れによって狂ってしまった彼らは、第4話の終盤で族長の(ふとし)とダヴィデ・ダウナー(SAM0072724)様を殴り飛ばして鋒月山を下山、市中に入り暴れています。
 凄まじい力で振り回される手足はとんでもない破壊力を持ち、これまで民に死人が出ていないのが不思議なほどです。
 現在の駿駝族は完全に穢れに呑まれた状態なので、説得や交渉の類には全く応じません。
 彼らを止める方法はただ一つ、とにかく気絶させることだけです。
 頑丈な体をしているので、ぶん殴っても眠らせるような術を使っても死ぬことはありません。
 ただ、斬撃や銃撃といった攻撃は農耕に必要な筋肉を傷めることになりますので御法度です。
 なお、太はダヴィデ様と行動を共にすることとなっています。そのため、ダヴィデ様が本シナリオに参加された際にはダヴィデ様に同行することとなります。
 ダヴィデ様が参加されなかった場合、太は同胞を止めるために市中に乗り込んできます。


 b.餓承衆を撃破する
 影月から降下してきた敵「餓承衆(がしょうしゅう)」は、歪爪が纏う穢れから生み出された存在で、歪爪の眷属のようなものとも言えます。
 そのため、歪爪が消える(魂が散る)と一人残らず完全に消滅しますが、歪爪が撃破されるのを黙って待っていては出羽民の屍が積み上がっていく一方ですので、積極的に撃破しなければなりません。
 皆様の攻撃は餓承衆に大抵効きますが、浄化の力を持つ攻撃には特に弱いようです。
 今回市中や川沿いに現れた餓承衆は全て人型です。
 鳥族や人間に対し強い憎しみを抱いているのも主である歪爪の影響によるもので、渡来人の皆様の中でもメインアバターが「天狗」の方、神州扶桑国アバターで種族が「天狗」の方が徹底的に襲われるのはこれまでと変わりません。
 餓承衆は、駿駝族とは別に市中の民を皆殺しにすべく動いており、その数も決して片手で数えられる程度のものではありません。
 しかも、レベルロックが完全に解除された餓承衆の戦闘力は侮れません。
 従来の長い鉤爪のような爪を生やした手足での近接攻撃に加え、同胞との連携や敵を撹乱させるような動き、中には鉤爪を切り離して投擲する者まで現れた模様です。
 身体能力も更に向上しており、油断は出来ません。

 c.民の避難や救護に当たる
 こちらはとにかく民の被害を最小限に食い止めることが求められています。
 皆様個々が得意とする方法で民を救って下さい。
 現時点では死者は発生しておりませんが、武士団は人手が足りず既に限界ギリギリの状態です。
 滋姫はどこか適当な場所で結界を張って民を守ろうと考えているようですが、今の彼女に余力はありません。
 しかし、天鳥としての責任感から、民が危機的な状況に陥れば彼女は天鳥の使命に従い己の寿命を削って災厄を食い止めようとしてしまい、余力のない彼女がそんなことをすればあっという間に寿命が尽きる危険性があり、雅仁はそれを危惧しています。
 滋姫が死に急がないよう彼女の動向にも注意して下さい。


■2,川沿いの集落で行動する

 川沿いに点在する集落にて皆様の力を発揮して下さい。
 ただし、こちらも市中同様皆様に求められることは多岐に渡っており、それらを全て個々の渡来人で達成しようとするとアクションがかなり煩雑になってしまいます。
 そのため、「■1,市中で行動する」と同じく、皆様個々が“メインで”目指す行動を次の選択肢から1つ選び、選択肢冒頭の記号をアクション欄に明記した上でアクションを掛けて下さい。
 ちなみに、閃燕族(颯崚は市中にいるためこちらには来ません)は一箇所に留まることなく川沿いを飛び回り、敵や要救護者の位置などを皆様に適宜知らせます。

 a.餓承衆を撃破する(難易度6相当)
 b.賤民の避難や救護に当たる(難易度4相当)

 続いて、各選択肢に沿って詳細をご説明いたします。

 a.餓承衆を撃破する
 こちらの餓承衆も、市中のそれと同様にとにかく全員皆殺しにすべく動いており、数も少なくはありません。
 その戦闘力や戦闘パターンなどは市中に出現した餓承衆とほぼ同一ですので、「■1,市中で行動する/b.餓承衆を撃破する」の項目を参考にして下さい。

 b.賤民の避難や救護に当たる
 賤民と呼ばれる民たちは、日々の食事にも事欠く苦しい生活を送っており、殆どの者が栄養失調で精神的にもかなり追い詰められています。
 そこに穢れが蔓延してしまっている状態なので、駿駝族のように暴れることはなく、生命力を奪われて衰弱している者が目立ち、自力で避難出来る者よりもその場で倒れて死を待つ者の方が多いと思われます。
 そうして動けなくなった賤民は餓承衆にとって格好の餌食です。
 餓承衆に襲われる前に彼らを救出して下さい。
 なお、こちらでは皆様と同じ渡来人のNPCお駒も賤民救出に動く予定で、春之進も賤民らの心を何とか支えようとしています。
 ただし、春之進は怪我を引きずっているのであまり動けないでしょう。


■3,黒鳥とその眷属を撃破する

 歪爪が生み出した巨大黒鳥とその眷属を撃破して下さい。

 黒鳥は歪爪と目的を分かち合っているので、歪爪が殺害対象と認識している者全てに攻撃します。
 黒鳥の体長は、現代の地球にあるもので例えるならヘリコプターか軽飛行機よりひと回り大きいくらい、といった感じです。
 鳥と言うにはあり得ない巨大さですが、その飛行速度は滋姫が容易く追い詰められる程度には速いです。
 歪爪が生み出しただけあって嘴や爪は大変鋭く、切り裂きや引っ掻き、刺突などどのような攻撃でも高い殺傷力を有します。
 また、羽根一本一本が鋭利な刃物のようになっており、翼をはためかせて飛ばしてきたり、口から闇の弾を高速で射出したりします。
 これらの殺傷力もかなりのもので、当たりどころが悪ければ一発で戦闘不能状態に陥る危険性もあります。
 黒鳥は言語は解しませんが、並の人間程度には頭が働きます。
 あからさまな挑発やバレバレの誘導などは見抜いてしまいますので、黒鳥を出し抜きたい方は並の人間が引っ掛かってしまう程度の戦術を考える必要があるでしょう。
 なお、黒鳥は眷属を生み出し自身をサポートさせています。
 眷属は大きめの烏程度の大きさで、黒鳥よりも小柄な分超高速で飛び回ります。
 攻撃手段は黒鳥とほぼ同じで、嘴や爪、羽根の殺傷力も高いですが、羽根や闇の弾を飛ばすといった遠距離攻撃は出来ないようです。
 眷属の数は現時点では十数羽程度ですが、戦況次第では黒鳥が更に増やす可能性もあります。

 こちらのパートでは、NPCの紫艶と彼が従える精鋭部隊「赤烏隊」も皆様と一緒に戦います。
 彼ら宵烏族は、飛行しながら風属性の攻撃を繰り出すのを得意としております。
 宵烏族の戦闘パターンについては、天狗アバターの動きや攻撃に近いものと思って頂ければイメージしやすいかと思います。
 ただ、先述しましたように紫艶は第4話で重傷を負っておりますので、本人はだいぶ強がっていますが全力で戦える状態にはありません。

■4,歪爪を撃破する(魂を共生共存に導く)

 歪爪を撃破して下さい。
 ただし、魂を共生共存に導くには撃破までの間にある程度浄化が進んでいないといけませんので、光属性の攻撃や浄化系の効果を持つ攻撃も適宜用いる必要があります。
 上手く浄化出来ていれば、歪爪の魂は彼を撃破すると同時に砕け、出羽の地に散っていくものと思われます。

 歪爪は、千年前に孔雀夜叉によって滅ぼされた火喰族の族長です。
 滋姫の知る伝承や影月内での歪爪本人の言動から分かっていることは、
 ・火喰族は駿駝族と同様「飛べない鳥族」だったものの、温厚で農耕に秀でた駿駝族とは対照的に攻撃的な戦闘民族で、戦う以外のことはひどく不得手で暴力行為や略奪行為を繰り返していたために他部族から避けられていたこと
 ・千年以上前、火喰族からの略奪に悩んでいた駿駝族に頭の回る宵烏族が味方したことで火喰族対宵烏族の構図が出来上がり、火喰族は宵烏族に追い詰められ困窮した挙げ句全部族を襲撃する暴虐に出たこと
 ・暴虐に走った際、孔雀夜叉によって火喰族は全滅させられ、死した後も歪爪は千年近くもの間影月の中で孔雀夜叉と魂同士の戦いを続け、とうとう孔雀夜叉の魂を取り込んでしまったこと
 です。
 孔雀夜叉が何者だったのかなどは未だ滋姫の推測の域を出ていませんが、かつて歪爪ら火喰族に略奪され滅んでしまった一部族だったのかもしれません。
 ただ、火喰族にとって彼らを追い詰めた宵烏族をはじめ、そっぽを向いた鳥族たちは全て恨んでも恨み足りない存在らしく、その鳥族から派生しやがて出羽の主たる部族となった人間も恨みの対象のようです。
 歪爪は同胞たちのそうした恨みを全て背負ってここまで来たので、とにかく出羽の者たちを根絶やしにしないと気が済まず、たとえ魂の欠片としてであっても出羽の者たちとの共存など決して容認しません。
 それでも滋姫は歪爪の「認められたかった」という言葉に嘘はないと信じると同時に、彼の魂を受け入れることは今の出羽で賤民が人々に認められていくきっかけにもなると考えています。

 歪爪の外見は第4話に登場した針羽と全く同じですが、その戦闘力は針羽とは比べ物になりません。
 青頸の如きスピード、大兜の如き膂力、針羽の如き変幻自在さと的確さ、これらを全て兼ね備えた恐るべき存在です。
 しかも、孔雀夜叉の魂を食らっていますので、短時間であればいきなり翼を生やして飛ぶことも可能です。
 殴る蹴る、己の中の穢れから武器を生み出し振るうなどの近接攻撃に加え、不可視の刃や闇の弾を飛ばすといった遠距離攻撃、更には広範に瘴気を巡らせることによる精神攻撃と、もはや何でもアリな状態です。
 光属性や浄化系の攻撃は、彼が食らった孔雀夜叉の魂を活性化させることにもなりますので少しは効きやすいと思われますが、特効と言うほどではありません。
 また、浄化も不可欠なのですがそれ以前にある程度破壊力のある攻撃やクリティカルな攻撃を仕掛けていかないと歪爪は倒れないでしょう。
 彼を攻略するには、とにかく皆様個々の全力をぶつけるしかありません。頑張りましょう。

 このパートでは、NPCの雅仁が皆様と一緒に歪爪と戦います。


■お知らせ

 【双月ニ舞ヒテ】は全5話のシナリオで、今回はとうとう最終話でございますが、これまでの参加の有無にかかわらずどなたでもご参加頂けますので、参加ポイントが200ポイントのシナリオではございますがよろしければお気軽にお申し込み下さい。

 また、扉絵には本シナリオのNPCである荒瀬雅仁と滋姫が登場しております。
 こちらは、三千界のアバターでイラストレーター登録をされておりますカノユキ様にご制作頂きました。
 最終話となりましたが、皆様には最後まで二人のイラストも一緒にお楽しみ頂ければ幸いです。
 カノユキ様、この度は素敵なイラストをありがとうございました。


それでは、皆様のお力で何とかして出羽の未来を守り、切り拓いて下さい!


市中で行動する 【現在のMC参加人数:7】

7

川沿いの集落で行動する 【現在のMC参加人数:9】

6

黒鳥とその眷属を撃破する 【現在のMC参加人数:5】

9

歪爪を撃破する(魂を共生共存に導く) 【現在のMC参加人数:9】

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