クリエイティブRPG

「これまた馬鹿デカいサメが出てきやがったなあ！？」
　ウウェ・ユレは突如現れた巨大なサメに悪態を吐き、崩壊していく館から距離を取りました。サメの身体はドンドンと膨らみ、館を壊しても尚止まる気配がありません。沢山の破片を撒き散らし、周囲に威嚇の声を上げ続けています。

『我が研究の糧にしてやろう！！』
「んな言葉しか言えねえのか三下！！　……って言っても面倒だし、あんだけでかいとヤバそうなんだよなぁ」
　研究者の陳腐な言葉はさておき、大きさというのは戦力に直結するものです。
　あれほど大きいのであれば、尾を振るえば地面が抉れますし、下手をすれば地形が変わってしまう可能性もありました。
　ウウェは悩み、持っていた銃に手を掛けます。
　なんとかしてあのサメを倒さねば、ここいら周辺の街が再び害を被ってしまう。しかし一体どうしたら――。

「ウウェ、無事か！！」
「ヨッシー……！！　……え、なにそれ。ウケるんですけど」
　相馬　良樹の声を聞き、振り返ったウウェが見たものは、サメに乗っているバディの姿でした。
　奇妙なことにサメはふよふよと浮きながらも大人しく良樹に従っています。その身体には馬によく見られる手綱や鞍などがつけられていました。
「なにそれ、特異者の通常装備？」
「いや、違うよ。絶対に違うから間違って覚えないで、特異者の通常装備じゃないから……これはエスケープの街の人が用意してくれたんだ」
　詳しく聞けば、どうやらサメ人間となった者達は、この地特有のサメ――フライングシャークと意思疎通が取れるようになったといいます。そして餌である魚肉を提供する代わりに、こうして良樹を乗せてくれるよう調教を施したと言うのです。
「マジかよ、イカレてんなぁ……」
「他の特異者の分も用意してもらった。これで移動も戦いも楽になると思う、多分……？」
「そこはもっと自信持てよ。でも空に行けるならあのクソでけえサメともやり合えるな！！」
「後は戦力……出来れば大きさに見合ったものが欲しいな……」
　扉の制限、それのせいで持ち込めるものはそれほど多くありませんでした。もしあの扉が大きければ、もっと威力の高い武器を用意できたかもしれない。良樹がそう続けていると、後方からブーメランパンツの男が走ってきます。
「おい、扉を拡張しておいたぞ！！　お前ら、あそこから武器とか色々持ってきたんだよな？」
「マジでなんで？　あの扉、拡張できるもんなの？」
「我が街には扉の伝承がある――それは古来、この世界が全て繋がっていた時の話だ」
　そうしてブーメランパンツの男は語り始めようとしましたが、待ったを掛けたのがウウェです。
「……おっさん、それ長い？」
「……めちゃくちゃ長い」
「カットだカット！！　聞いてる場合じゃねえよ！！」
　ウウェは尾と首をぶんぶんと振り、巨大なサメを指さします。
「あいつ倒さねえとヤバそうだろうが！！」
「良いのか……？　ここから五万文字に渡る神話が語り紡がれようとしているのに……？」
「アホか聞いてる間に街が滅ぶわ！！　ヨッシー、テメェも持ってこれるものがあるよな？」
「……ああ、取ってくる。ウウェはどうするんだ？」
「ウウェちゃんは勿論特攻☆　特異者が武器揃えてくる時間くれえ稼いでやるよ、おっさんもサポートしろよ。――行くぜ、サメ退治だ！！」

　Q.なんではしょったの？
　A.オープニングで五万字の狼藉は働けない。

　トンチキサメシナリオ、最終回です。
　さあ、水着でレッツ巨大なサメ退治☆

※加護と特殊アイテムに関しては第一話と同じです。
　変更や確認をしたい場合は『サメとゾンビと水着と特異者』の第一話をご確認下さい。


〇　アクションパート

【前回の成功による恩恵】
　全てのパートが成功致しましたので、最終話の内容が少し変わります。

・乗り物として『フライングシャーク（調教済み）』が使えるようになりました。
　宙をビチビチと泳ぐ、活きの良いサメです。
　追加で肉を与えれば更に速度や飛行高度が爆上がりします。

・扉の拡張工事により、持ち込める物のサイズが変わります。
　今までは人が通れるくらいでしたが、サヴァイブの町民達によって拡張され、かなり大型の物が持ち込めるようになりました。
　ドラグーンアーマーやスタンドガレオンも持ち込めますし、他世界のものでもOK。

・雑魚戦がカットされます
　前回、館のサメ達を倒しまくったので雑魚戦が無くなりました。ハッピー。


【1】いよっしゃあ巨大サメ倒すぜー！！

　相手は巨大なサメです。大きさは館よりも大きく、耐久度もかなり高いです。
　倒すためにはある程度の部位を狙い、それぞれ撃破していくのが良いでしょう。
　大きさは貴族の館よりもでかいです。それはもうめちゃくちゃでかいです。ドラグーンアーマーくらいならば呑み込んでしまうかもしれません。

・頭部　大岩のような牙、そして血走った不気味な眼。油断すれば丸呑みという危険性があります。また、サメの内部は胃液が活発となっておりますので、対策しておかないと武器や機械などが溶かされてしまうでしょう。
・腹部　山のように大きな腹部は、他に比べて反撃される心配が然程ありません。しかし、その腹を切り裂くのには並大抵の力では行えないでしょう。一点を穿つような強攻撃が必要です。
・各ヒレ　ビチビチと跳ねるヒレはとても厄介で、特に尾ビレは素早く威力も高いです。回避しながら攻撃を与えるか、あるいは遠距離から狙い澄ませるような攻撃が必要となります。

　三エリアが基本的な戦いの場所となります。
　巨大なサメは空を浮いているので、基本的には乗り物が必要です。
　フライングシャーク（調教済み）を使っても構いませんし、あなたの竜や自前の羽。あるいは機械などを使っても構いません。
　もしご希望であればフライングシャークに名前をつけても良いです。可愛いですね。
　尚、援軍としてサヴァイブの住民が来ています。彼らは援護射撃や、近場に野選病棟を設ける予定です。


【2】解毒剤を作る

　前回、特異者によりサメ人間化の資料を持ち帰る事ができました。
　それを元に解毒剤を作っていきます。
　必要なのは多少の科学力と調合の腕、それっぽいスキルやアイテムを用意しましょう。
　また、経過観察なども必要となりますので、回復スキルがあるとより良いかと思います。人によってはそれらに必要な施設を拵えても良いかもしれませんね。
　こちらは非戦を想定しています。
　他にも戦いは苦手なので〇〇がしたい、というのがあればこちらで行って大丈夫です。

　尚、援軍としてサヴァイブの住民が来ていますので、彼らをこき使っても構いません。


〇　登場人物

・相馬　良樹　20才
　元々はホライゾン→アーク→バイナリアへ移り渡っていた特異者です。
　過去作に登場していました。森乃ゴリラのシナリオに出てきた相馬家の兄か弟です。
　大変惚れっぽくギャグ補正のある明るいお兄ちゃんです。
「いやでけえな！？　……待てよ、あんだけでかいって事はフカヒレも沢山取れる……？　いやでもあれ元々人間らしいし、食べたらマズいよな……？」
　と大変困惑しながらも、ドラグーンアーマーを持ち込んで【1】のヒレに行きます。

・ウウェ・ユレ　16才
　バイナリアでエージェントをしていた狼のライカンスロープでしたが、諸々あって特異者として目覚めました。
　毒舌、気分屋、二重人格……自分の事を可愛いとのたまう女の子。関われば貴方に変なあだ名を付けてくるでしょう。
「はぁああああ、でけえええええ。めんどくせええええ、でもやらねえと街に被害が出るよな……？　しかしサメ……マジウケるんですけど……っていうか受けれている特異者多くね？　……ふーん、特異者おもしれー」
　と、だるそうにフライングシャークに乗り込み、【１】の頭部へ向かいます。

※相馬良樹とウウェ・ユレに関しては過去のシナリオで関わった方であれば既知設定で構いません。
　知らなければ【不憫そうな男とヤベエ女がバディしているんだなあ】くらいの認識でOK。過去作は読まなくて大丈夫です。関わる関わらないもお好きにどうぞ。

・初老の男性
　辺境都市サヴァイブでハンターをしている歴戦の猛者です。
「扉の伝承、語りたかったな……二万字なら良かったか？」
　と、やや拗ねながらも一度街に戻り、シャークハンター達に二つの仕事を任せます。
　一つは巨大サメとの戦い、そしてもう一つはエスケープの街へ趣き解毒剤作りのサポートへと向かわせます。
　また、巨大サメの援護をする部下達を纏める予定です。
　目のやり場に困るブーメラン型の水着を着ています。

・自称天才研究者の慣れの果て
　研究を実らせた男は己を最終実験と称し、その姿を変えてしまいました。
　その身は大きく、どちらかといえば理性的な言動は見受けられません。ただただ暴れ、研究だの偉業だの大層な事を撒き散らしながら、あなた方に牙を剥きます。


〇　マスターコメント

　サメとゾンビと水着と特異者、最終話となります。
　なんかもう暑さも和らいできましたけど夏の思い出を作りませんか～！！

　それでは、最終話もよろしくお願いします。