クリエイティブRPG

After Alter Ark #1 - TransPotals -

リアクション公開中!

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After Alter Ark #1 - TransPotals -
基本情報

マスター:日下智
ワールド:アーク
 
 

料金

MC参加:200ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:4
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2022年08月23日公開!

シナリオガイド

<3A> #1 - 彼方より、齎されしもの -

シナリオ名:After Alter Ark #1 - TransPotals - / 担当マスター:日下智



<エターナル・アーク>の、世界。
 様々なアバターを纏った特異者達が、元からのこの世界の住民と、ごく普通に入り交じり行交う、<塵街>の市井。

 この街に来たった特異者達の多くは、こんな感想を漏らします。
「何か……ここだけWHみたいだよな」

 そう……彼らがその策源世界、事象の地平線の原点であり、故にこそ、<特異者>が素のままの特異者としての日常を過ごす<ワールド・ホライズン>になぞらえるのも、無理はありません。
 
 三千界に数多のワールド在りとはいえ実は、特異者が<特異者>のままに認知され、市井に溶け込んでいるという様な世界は、そう多くはないからです。



 まず、特異者達が界を渡ると、大抵はそのワールドの世界律等の修正力により外見やら能力、時には特異者自身の自己認識においてすら、少なからざる影響を受けます。
 
 そして、そもそも「異世界由来の超常能力を、その行先で振るう」ことが身上である特異者からがそうなのですから、元より異世界の存在すら認知にないまま個々の世界律の只中に在るネイティヴに至っては、特異者関連への事象もまた、その世界なりのものへと近似的に解釈・理解されてしまうというのが、ごく普通のことです。

(まあ、それを逆手に取り、まず<アバターチェンジ>というワイルドカードで以てその世界律に沿った力を掌中にし、ついで行動においては<特異者>ならではの経験やら適応力・応用力を加算してアドバンテージを得るというのもまた、<戦う者>としての特異者という存在のあり方では、あるのですが。)

 そのように、例え今、世界を共にしていようとも、その意識の根底においては常に、好意にしろ悪意にしろ個人的にも浅からぬ縁となればともかくも、少なくとも市井一般の民との関係性であれば、言うにも言えぬ、場合によっては、認識すらをもされぬ、離隔というものを常に内包する絶対のエトランゼ。文字通りに隔世の個性や力と引換えに、常に現界の人々の「社会」の外に在る、在らざるを得ない者。それこそが<特異者>の宿命であるとも、言えるのです。

 *

 しかるに……
 
 ことこの<アーク>世界においては、そもそもの始まりからして、事情が違いました。
 
 王女の懇請に応じ、危機の<王国>を救いに来たった<異界の勇者>達。その鮮烈なる登場と、そこに証された意思と力の体現は、まさに異形に喰らわれんとしていた王国民の眼に心に、はっきりと刻み込まれていることなのです。

 彼ら特異者らは、この<王国>においては<外法の者>という、響きだけならやや、ネガティブにも聞こえなくもない呼称をされているわけなのですが、逆に言えばその名が人口に膾炙するほど能く認知されており、そしてそれはむしろ、感謝と憧憬の表象となっている……この世界の人々と特異者とは、そういう関係性にあります。

 *

 加えて、
 
 確かに<アーク>の旅自体は、まさに彼ら、特異者達の勇戦尽力によりシャングリラへの落着として結実しましたが、尚も、内にては大陸内に蔓延ったままのバルバロイ=サヴェッジの群れ、そして外からは侵攻を窺う同アマゾナス共の影と、危機が完全に去ったというわけでは決してなく、そして、特異者たちの薫陶宜しきを得て力をつけつつあるものの、王国単独での対バルバロイ能力は未だに十分とまでは言えません。
 
 故にこそ、事象地平の最前線がこの地より遠ざかり、特異者の戦うべき世界が他にも数多ある只中でも、今もなおこの地で戦い続ける、或いは、他の戦線とも行き来する、はたまた、全くに新来の者などすら加えて、数多くの特異者が在り続ける、そういう場に、この<アーク>世界は、なってもいるのです。
 
 冒頭の如き台詞が出る、所以でもありましょうか。

 *
 
 つまりは、

 ネイティヴにしてからが、例え眼前の<外法の者>を通してのものであれども<三千界>というものを意識しており、また、特異者の側も、三千界体系の中である程度は、気兼ねなく立ち居ふるまうことのできる、少しばかり特異な<交錯の世界>こそが、この、<エターナル・アーク>である、というわけなのです。


 ◇


 しかし……

 一方で、ここまで述べてきたことは、主として<特異者>側からの観点のことであります。
 ネイティヴの側からも、異世界を意識して生きているともなれば、当然ながら彼らの方にも思いというものが在る……生じる。
 

 *


<塵街>の、現地人側顔役的立ち位置を占めるクロダの頭領は、物思わし気に呟きます。

「いつまでも、<外法の者>たち頼りと言ってるわけにもいかんのだよ、な」

 前述の様に、この地の民の、危機の、そしてその後にも、救い手たる彼らへの恩義も信頼も絶大なものがあります。

 しかしながら……どうしたって彼らは異邦人です。素晴らしい力と志、そして智慧を携え来った人々ではありますが、それでも<王国民>ではない。三千年の安定の中に揺蕩うてきた王国の社会体制自体とは、良くも悪しくも一線を画した存在であると、言わざるを得ません。

 英雄に感謝、崇拝、憧れていればいい市井の民ならいざ知らず、何らかの責任ある立場の者としては、まさか、ここまでして貰ってなお、この地に骨を埋めてくれ等と言えるものでは、ありません。それでは、あまりにも……

「<統治者>、か……。クロダの荘から随分と遠くまで来ちまったモンだが……俺も、そろそろ了見せにゃあ、ならんのかも、な」

 漏れた独白は、むしろ内省のようにも響くのですが。


 *


 そう、<特異者>らの齎した力や智慧なくして王国は存続し得なかった。
 今も、いや、むしろ、未だに、なお。
 
 だが、それが善意により齎されたものであり、また、これまでのこの世界にはなかった有為なもの、必要な事であったとしても……否、そうであるが故にこそ<王国>の人々は、その変化の只中で、自らもまた、変わらざるを、変えざるを得ない。


 *


 地元民に密接した地域領邦ならばいざ知らず、<王国>中央に於いては比較的数少ない、民治にも意識のある法衣貴族リッター伯が、言います。
 
「三千年の安寧は、今や三千年の遅滞、なのかもしれませんね……」
「言葉を選ばずに言えば……従来型騎士団による兵制では、バルバロイに全く対抗できませんでした。それは、単に力が足りなかったとか、対処法が確立できていなかったとかではなく、あくまで因子頼りである、王国の体制自体が……」

 幕友たるザカー准爵も言いかけるのに、伯が制止します。

「それ以上、いけない。それはさすがに<アークの加護>に悖ります」

 しかし、その言葉を受けて尚、准爵はこう、言を継ぐのです。

「ですが実際……既存騎士団は、個別に友諠ある<外法の者>ら以外の複合因子所持者らを、戦力化できてません」

 そう、スプリガンなどの新クラスは、アーク人にも比較的少数ながらも居ないわけではないのですが、剣詩杖機の4者編成がその制度自体から染み付いている王国騎士団……否、王国現行の貴族体制下には、必ずしも上手く取りこめているとは言えないのです。

「……それについては、騎士団のせいというより、私達のような王国為政者側の問題でしょう」

 その事実については否定し難く、それでも抑える様に言う伯ですが……重ねるようにも続けられた准爵の言に、一瞬、言葉を失います。

「王女殿下や、オファレル伯などの事があって、なお、です」

 近しいとは言わないまでも、人として王国貴族として、自分個人が知らぬわけでもない者の名をあげられ、そしてその各々が昨今の危機の中にもたらした影響を想起させられてしまえば、その直言に伯も口籠らざるを得ません。
 そしてそれでは、溢れ出してしまった准爵の言は、止められない。

「血統と、因子。<貴族という機能>を果たす為の必要だった筈のものが、今やむしろ……それを阻害してしまっては、いませんか?」

 たまらず、伯は声を上げます。

「卿!」

 滅多にない、伯の感情の乗った声に、准爵が虚を突かれるのに、今度は低く、しかしなお、想いの垣間見える声音で、彼は続けるのです。 

「確かに……卿も私も、軍籍にあることこそを誇りとする<王国>貴族としては異端……いや、飾らずに言えば、落伍者ですら、あるやもしれない」

 それは普段の、官僚としての彼彼女の間では決して触れられぬ、だが、暗黙の裡には共有されきた、貴族体制の中の、しかしなお、<個>としての想い。
 そして、そこで伯は更にあえて両者の痛みにも、切り込むのです。
 
「<槍持てぬリッター>、<遠見できぬファーウォッチャー>」
「!!」

 息を吞む准爵の瞳を覗き込むように、抑えるようにも。

「だが、それでも……我らはあくまでも<王国貴族>なのです。体制の中で在り方を模索するはともかく、枠組み自体に疑義を呈するというのは、立場にも悖るというものでしょう。それこそ……彼の二の舞にもなりかねない……」

 それ故にこそ、最後は自分自身に言い聞かせるかのように呟く伯には、准爵も言葉を呑み込むしかないのです。



 *


 そして、それらの齎された……いや、気づかされてしまった思いは、必ずしも<王国>全体という様な、大きなレベルだけのものでも、ありません。


 *


 <塵街>騎士団では先任格の老騎士がぼやいています。

「大は対敵探知から、小は指揮統制やら戦術まで……問題だらけ、だよなあ」
「ま、騎士団での4兵種統制戦・平押ししか知らなかった俺らが曲がりなりにも異世界の新戦術に附いてってるっていうだけでも、上出来だあな」

 防衛隊の方の先任下士的なおっさんはそう太平楽にのたまいますが、老騎士の方は浮かぬ顔です。

「俺は……それさえもやってきてないんだよなあ……」

 寄せ集めの領邦騎士団と、その殆どが因子を持たぬ平民の部隊から構成される<塵町>の防衛戦力は、いまだこの世界では色々と実験的に過ぎ、浸透してくる逸れバルバロイの迎撃にも四苦八苦しているような有様です。
 
「<外法の者>たちが援けてくれている間に、何とか、モノにしたいが……」

 寄騎してくれた外来人らの指導の下、形にはなってきている……だが、言えばまだまだその程度でしかない隊士たちの動きを見やる老騎士に気づけば、流石のお気楽下士も、神妙に呟かざるを得ないのです。

「死にたかぁ、ないが……死なせたくもない、よなあ」

 彼らの目に映っているのは、果たして彼方の隊伍か、それともまた、指揮官として、その兵たちを預かる立場になった自分自身、でしょうか?


 *

 
 更には、ただ一個の、ヒトとしても。

 
 *


 街の、スクラップ漁り、<ジャンク・モンキー>を生計にする少年は、ある時、何くれとなくかかわって来てくれた<外法の者>らに漏らしました。

 騎士。
 戦うもの。護るもの。
 
「実は、僕には、D因子が……あった。だから、従者なんてものにも、なってたわけだけど」

 過去。

「卿には、ずいぶん目をかけて頂いたと思う。早くに死んだ父が従士だった縁もあるだろうけど、家族縁者もほぼおいででないお方だし、将来は……的なことを漏らされたこともあった」

 そして、今。

「でも、今となっては……僕はむしろ、<マシーナリー>に、なりたい」

 外来人らとの交誼の中で、教えられ、そして、自分自身をに向かい合ってきた彼なりの、想い。

「今までのアークの、遺跡産品を再整備するだけのそれではなく、あなたたちのように、全く新しい物を、創り出せる、それに……」


 *


 あるいは寧ろ、この<王国>の外への視野拡張の狭間に、在って……。


 *


 元の職称は、マシーナリーとしてごくありふれた、<スミス>。
 しかし、今は<レイダース>を、その自称とし始めたばかりの<遺跡漁り>の少女、レベッカ
 その彼女は、口早に言いつのります。

「私は、只の……<普通の>、特別でも何でもない、<遺跡漁り>でしか、ないから……」

 ですが、探索行を共にする特異者らは寧ろ好意の故に、こう返すのです。

「あれれ~? でも、レベッカちゃん。マシーナリーの因子持ち、でしょう? それって、レベルとかはともかくとして既に私ら<特異者>の<アバター>とも同じものなのよ? それだけで十分に、フツーは超えてんじゃないかなあ?」
「……」
「更に言えば、さあ……因子の有無で、同じ<アーク>の人間の中でもトクベツだよねぇ? フツーのアーク人は、身の丈ほどもあるレンチぶん回したりはできないわけなんだし」
「…………」
「まあ、特異者の視点じゃあ、因子持ちだとか無いとかも、数多あるアバターの一つでしかないわけなんだけどね!」
「………………」
「アバターってのは、行く先々、状況に合わせて切替えるのがアタリマエ。一つ世界、一つアバターに、であるとかないとか、悩んだりはしないよ?」
「…………………」
「この世界に柵がないなら、この際すっきり、トクベツに、なっちゃえば?」

 その、眩いまでの自由さ。
 そして、鮮烈なる意志と、力。
 まさに<特異>なる者への呼び声。
 それを前に、果たして、彼女は?


 *


 そして、そもそも根源からして、その拠って立つべき場所が、この世界には、なかった者だと、したら?

 
 *

 プロトタイプAIを名乗るArchは、独白の様にも、こう言います。

『貴方たち外来人と<アーク>とのインターフェイスとして、この<三千年後の世界>に呼び起こされ来た<私>もまたある意味、今のこの世界では、異邦人のようなものだ。だから……』

『<私>も、<アークの真実>なんて、知らない』

『だが……同時に、だからこそ、あなた達と同様に、<私>は、知りたいんだ。<アーク>そのものを、というよりは、その中に在る、<私>自身を』

『<思考するもの>としての自己認識を持たされただけで、ずっとただ眠り続けていた<私>としては……この後、どうなるとも知れぬ<私>としては……貴方たち、三千もの、広き世界を識る異邦人らの前に居られるという、この稀有なる機会ならばこそ……知りたいんだ』

 そう、今の<彼>にとっては、外界人との界面であることこそが、アイデンティティであり、存在意義であるのですから……。



 ◇


 Trans-Worlds,Transition,
 そして、
 Transfomation, 
 Transconfiguration.
 
 変容の刻、変貌する地にて、彼らは。
 
 
 そして……
 それに相対する、
 
 
 
 <あなた> は?



担当マスターより

▼担当マスター:日下智

マスターコメント

 日下 智です。

「<ますたー>のおしごと」って、自分自身も一個のP(l/r)ayerであることを忘れず、その場(物語世界)に在り続けようとする事だって、思うんですよね……(挨拶&超個人的見解)


 それは、さておき。

 ……いや、本当に
 お久ぶり&申し訳ない。
 
 時宜外れもいい所でありましょうが、一応お約束しておりました<日下式ゆるアーク>の続編、になります。

 第……何弾だっけ?
 まあ<アフター・アルター>としては「第2話」ということになりますが。
 確かにこれも<アーク>ではあるんですが、一寸(?)独自解釈が多いので、一応、流れをご案内しときますね。


→(承前)

 <マシーナリー>を救え!

 塵街の<騎士>

 塵街の<騎士> 2

 After Alter Ark -Transit-


 ……こうやって並べ立てると、結構な量になりますね……。

 とはいえ、この(承前)、別にこれら全部読んで、踏まえなきゃならんというわけでは、全く、ないです(強調)。

 言えば、こんなんでも三千界の内には違いない……てか、それこそが、ここの主題なわけでして。
 端的に言えば、まさにその三千界から齎された状況変化とパラダイムシフト。その境界線上の、内と外から双方の……いや、より正確には、PCとアクションの視点になるわけですから、NPCとかをも含めたこの遷移的状況への、皆さんの(PCたちの)コミットメントの物語。
 それに尽きます。
 だから、すっぴんのエトランゼとして他世界から来ったばかりのPCというのも当然アリ。そのコミュギャップもまた、当然あり得べき要素でありましょう。
 
 要は、シチュへのコミットの仕方は、「オールウェポン・フリー」です。
 例えば、このガイドでも一応は、NPCフックを並べ立ててみましたが、これら各シーンは、あくまでイメージソースの例示でしかなく、皆さんのキャラ・アクション等によるコミット(もしくはその欠如)次第で大きく変更、もしくは、枝ごとオミットされる可能性もあります。また、SAもとりあえず各NPC見当で書いてはありますが、別NPCあてで以て切り込むも、或いはそれらとは全く無関係に独自視点でアプローチするのも、ご随意であります。
 そんな風に、ご了解下さいませ。

 謂わば、<オープン(ワールド)/フリー>アークですので、「切り口・生き/行き方」も、ご自由に。
 身一つでもおいで頂けたら、それで。
 幸甚に、存じまする。


 そんなわけで。
 例によって例の如くに。
 日下の<ストレンジ・アーク>では、ございますが。

 お気に掛けて頂けるなら、是非、貴方のキャラ(たち)での、お立ち寄りを。

 お待ちしております。



◇参考 :主なNPC

ショウスケ・クロダノショウ・マサシゲ
:街の顔役/遺跡漁り頭領

リッター伯
:王国官僚/ジオマンサー

ザカー・ファーウォッチャー准男爵
:王国官僚/ジオマンサー

ドーン・ドラグナー
:老騎士/塵街騎士団員

ニコラス少年
:ジャンク・モンキー/街の住民

レベッカ・レイダース
:(普通の?)遺跡漁り/街の住民

<Arch>
:使徒/プロトタイプAI

王国 【現在のMC参加人数:4】

2

塵町 【現在のMC参加人数:6】

2

防衛 【現在のMC参加人数:11】

4

街人 【現在のMC参加人数:6】

2

三千界 【現在のMC参加人数:2】

2

アーク 【現在のMC参加人数:3】

2

特異者 【現在のMC参加人数:6】

2