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竜へ捧げる鎮魂歌【最終話】

リアクション公開中!

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竜へ捧げる鎮魂歌【最終話】
基本情報

マスター:森乃ゴリラ
ワールド:アーク
 
 

料金

MC参加:200ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:4
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2022年05月20日公開!

シナリオガイド

『渡り人』となり、復活しようとしている邪竜を再び封印しよう。

シナリオ名:竜へ捧げる鎮魂歌【最終話】 / 担当マスター:森乃ゴリラ



「どうしたのですか、桔平。そんなにぶすくれた顔をして……」
 メルゲンはリボドゥガンの街から王都に帰ってきた桔平を見て不思議そうに呟きました。
 何せ相馬 桔平は子供のように頬を膨らませ、納得がいかないといった表情を浮かべていたからです。
「どうしたもこうしたもねぇ」
「困りましたね。殻を破った幼竜のように頑固ときたものです」
「殻……? まあ、なんだ。ダイル・ウスンとちょっと言い合いになってな」
「そうですか、ダイル・ウスンと…………ダイル・ウスンとですか!?」
 メルゲンは大声を上げて驚きました。
「ダイル・ウスンが誰かと言い合いをするところ、想像がつきませんね……」
「なんだ、あんまり話さねぇのか?」
「いえ、話しますよ。誰よりも長い時間を共に過ごしましたから。ですが……もしかしたら、近しいからこそ語る内容が決まっているのかもしれません」
 家族として、または王とその臣下として。桔平のように外部からやってきた渡り人とは違った扱いになるのでは、とメルゲンは続けました。
 それを聞いた桔平は、表情を硬くしながらも質問を投げかけました。

「もし、てめぇが命張らなきゃならねえってなったら……まず何を思う」
「おや、今度はたとえ話ですか。そうですね……それが王の務めであるのなら、私は悩みません。全てはブランダーバスの民を護るため、それを受け止めるでしょう」
「それが周りを悲しませる事になってもか」
「言ったでしょう。私は王なのです、役割は理解しております。誰がどう諫めようとも、私は私にできる事をするのみです」
「そーかよ」
 桔平は納得したような、していないような表情を浮かべてその場を後にしました。

◇◆◇


 桔平が王城を暫く歩いていると、ダイル・ウスンが待ち侘びたかのように声を掛けてきます。
『それで、メルゲンを説く事はできたか?』
 桔平がメルゲンの所へ行った事を悟っていたのでしょう。ダイル・ウスンは少しばかりからかうような口調で尋ねてきました。
「できるわけねえだろ。つか、そもそも俺の口から言えねえよ……それしか封印手段は無えのか?」
『まだ納得がいってないのか。殻を破った幼竜の――』
「わーったって。子供みたいで悪かったな……」
『しかしながら貴殿の心配も分かる。見守った子らを残し、眷属へ堕ちるのは本意では無い』
「だったら……!!」
『だが、これが一番確実な方法なのだ』
 ダイル・ウスンは穏やかな表情で言い切りました。
 憂いはあるが後悔はない。ひどくサッパリとした物言いに、桔平は言葉を詰まらせながらも問いかけます。
「……本当に方法はねえのか?」
『…………』
「だんまりって事はあるんだな」
『あまり薦められた方法ではない』
「いいから教えろ、やるかどうかはこっちが決める」
『邪竜そのものを屠るのだ』
「あ? 随分シンプルな答えだな」
 もっと面倒な手順でもあるのかと踏んでいた桔平ですが、寄越された答えは実にシンプルなものでした。
 しかしダイル・ウスンの表情は変わりません。幼子を諭すよう、静かに語り始めました。
『シンプルだからこそ、その方法は採れぬ。邪竜は嘆きの底に逃げ込む前、倒した竜の亡骸を全て持っていったのだ』
「亡骸……?」
『竜はその身に膨大な魔力を宿す。死して尚、残留するほど強い魔力だ。そして邪竜が生まれたあの日、四大神竜を含めた数多の魔力がすべて瘴気の養分となってしまった。立ち向かったとして被害は甚大なものとなるだけだろう』
 無尽蔵に瘴気が湧き上がるのもそのせいだ。とダイル・ウスンはそう続けました。
 強大な力に太刀打ちするのは犠牲が必要、そう言われたものの桔平の表情は緩やかなものです。
「なーんだ、方法あんじゃねえか」
『話を聞かん人間だな、それがどれ程難しいことか――』
「んなの大した問題じゃねえ、俺らが倒せばいいんだろうが。最初の渡り人は一人だったが、今回扉を潜り抜けたのは一人じゃない」
 アークより渡ってきた渡り人は数多い、力を合わせればなんとでもなると桔平は続けました。
『しかし邪竜は斃れた竜達の魔力を有している。それと対峙するよりは最小限の犠牲で封ずれば今暫く安泰を得られよう。それこそ、人が神話として語り継ぐ程度には……。迷う理由など皆無であろう』
「数多の竜の命が必要なんだろ、そっちこそ悩め。バーカ」
『殻を――』
「殻を破った幼竜はもういい……ってメルゲン!?」
 その言葉を聞き、ダイル・ウスンは振り返ります。
 そこに居たのは真っ青な顔をしたメルゲンの姿でした。

「今の話は本当ですか」
『偽りない。しかし案ずるな、さすればブランダーバスは平穏を手にすることができる』
「……どれほどの命が必要なのですか」
『古竜と呼ばれる者らすべて。既に許諾を得ている、若き竜の手は患わせない』
 現在ブランダーバスには数多くの古竜が住んでいます。古竜というのはその中でも神話に近い時代を生きた竜のことでした。人でいえば、老人と称されるほど長い刻を生きた者らのことです。
『……それで後の世が護られるのであれば、そう悪い話でもあるまい』
 ダイル・ウスンはそう呟き、その場を後にしました。
 残されたのは俯いたメルゲンと、気まずそうな顔をした桔平です。

「……あんたどうすんだ?」
「どうにもこうにも、既に話がついているのであれば私が口を挟むことではないのでしょう」
「そんで見殺しにするってか」
 桔平が突けば、メルゲンは握る手に力を込めました。
「許されるのであれば共に抗いたい。しかし、私はブランダーバスの王です。命を天秤に掛けるような真似をしたくはありませんが、この国を潰えさせるわけにもいきません」
「だったら答えは簡単だ、抗っちまえばいい」
「……話を聞いていましたか。抗ったとして被害が出るのは確実です」
「封印したとしても古竜が犠牲になる。でもその平穏ってやつも人にとっては長いが、竜にとってはそうでもないんだろ? しかもあの言い方じゃ……封印した後、その竜は眷属になっちまう。お前が人生を共にした竜の終わりがそれでいいのか。俺だったら嫌だね。それに今を凌いだとしても、いつかはスレンもそうなるってことだろ」
 スレンは桔平が乗っているドラゴンです。年若い個体ですが、いずれダイル・ウスンや古竜と同じく封印の犠牲となる日が来るかもしれません。
 そしてその先の世代も、封印が綻ぶことを恐れながら仮初めの平穏を享受し、いずれは封印の為に犠牲とならなければならないでしょう。

「だったら俺達……渡り人がなんとか倒してみせる。案外、扉が開いたのもそういった理由かもしんねえぞ」
「楽観的なお方ですね。でも……私個人はそうであってほしいと願っています」
「任せな。打ち負けるほど、特異者――いや、渡り人は弱くねえよ」


担当マスターより

▼担当マスター:森乃ゴリラ

マスターコメント

 小世界『ハイラハン』にある、ブランダーバスという国のお話の最終話となります。
 今までの流れは
  一話目 二話目 をご覧下さい。

◆設定

 今までに出てきた設定、独自アバターに関しては

  ゲームマスター個人ページ

 に簡易版としてまとめてあります、そちらをご確認下さい。

◆登場人物

●【ブランダーバスの王】 メルゲン 28才
 ブランダーバスの王であり、過去に偉業を成し遂げた渡り人の末裔です。
 人と竜、どちらにも優しく接してくれる良き王です。
 渡り人たちの事も神話として、あるいは王家代々に伝えられてきた話として聞いているため友好的です。
 ダイル・ウスンとは幼い頃からの付き合いであり、家族だと思っています。
 王としては静観したい、しかしメルゲン個としてはともに抗いたいと葛藤しています。
 本当ならば谷底まで着いていきたかったのですが、王である以上は前線に出られない、と王都で行く末を見守っています。

●【黒竜】 ダイル・ウスン
 メルゲンの側仕えとして生きている黒竜です。
 友好的であり、気さくな態度で接してくれます。王都の竜を統率しているのはこの竜です。
 メルゲンとは竜生(人で言う人生)の中ではそれほど長い付き合い、というわけではありませんがメルゲンの幸せを第一に考えてくれている心優しき竜です。
 古竜と共に、己の命を犠牲にして封印を施そうと考えていますが……本当はもう少し、メルゲンの隣に居たいと考えています。
 基本的には機を窺い、谷底付近で古竜たちと封印のために待機しています。
 しかしながら封印後には邪竜の眷属へ堕ちてしまうこと、そして同じ古竜達にもそれを強いてしまった事を深く後悔しています。
 渡り人が邪竜を倒してくれることを誰よりも願っています。


●【渡り人】 相馬 桔平 22才 ドラグーン
 たまたま妹の顔を見に行こうとしたら、バルバロイの襲撃に遭うわ、扉に吸い込まれるわと不運続きな特異者。
 過去のシナリオに出てきた相馬良樹・相馬若葉の兄でもあります。言葉遣いは悪いですが、困っている人のために駆け回るお人好しです。
「わかんねえけど邪竜を倒したら終わりだろ?」と楽観的にも、頼もしそうにも思える事を考えながら、あなたたち渡り人に封印についての詳細を教えてくれます。
 啖呵を切った手前、桔平は【2】邪竜を討つ、のほうでサポートやら援護を考えています。


◆地形

・嘆きの谷底
 ブランダーバスの真下に存在している巨大な亀裂です。
 常に瘴気を出し続けているため、近づくにはミンストレルの歌声が必要不可欠。
 また、谷底へ侵入しようとしている者達を阻むために沢山の眷属が飛び交っています。

・小型の浮遊大陸
 王都のある浮遊大陸と、亀裂の間には小さな浮遊大陸が存在しています。
 今回は邪竜との戦いに向けて前線基地のような役割を担っています。
 負傷者の治療、物資の輸送。作戦会議。と、お好きに使って頂いて構いません。


◆アクションについて

・討伐に関して
 今回は嘆きの底に降り立つことになります。
 決戦場までは竜が運んでくれますので、竜と縁がなくても大丈夫。
 勿論、自身の翼や顔見知りの竜に頼むといった感じでも問題ありません。

・戦闘以外に関して
 戦闘が苦手、あるいは戦闘以外のコトがしたい、前線基地に居たいなあ。
 と、様々な理由で前線に行かないことをお望みの方は『【3】その他』をご選択してください。
 勿論、前線には行くが戦闘ではなく援護を行う、といった行動もできます。
 その場合は【1】か【2】をご選択して頂き、それぞれ援護のアクションを頂ければと思います。

・どのアクションも内容はお任せします。
 全てはブランダーバスのためを第一に、を合い言葉にして頂ければ森乃ゴリラとしては問題ありません!!


【1】突破口を開く

 邪竜討伐を試みる仲間のため、眷属達を引きつけて眷属を倒す。
 というのがこちらのアクションとなっております。亀裂の周囲には翼竜タイプと地上タイプの竜がうようよと徘徊しています。
 眷属達の注意を引いて、後発である邪竜討伐組の手助けをしましょう。
 こちらには王都や避難民も参戦しています。特にアクションに記載されていなくとも、ミンストレルの歌声は届くものと考えてもらって大丈夫です。
 尚、【1】の判定が上手く行けば、【2】に向かった人達の行動がだいぶ楽になります。

【2】邪竜を討つ

 谷底で待ち構えている邪竜は普通の竜に比べてかなり大型です。
 常に瘴気を生み出しながら、抗う者らを屠ろうとしてきます。

 邪竜に近づく為には、必ずミンストレルの力が必要となりますのでご注意下さい。
 ミンストレルに関しては他の方と連携して頂いても構いませんし、NPCのミンストレルに助けてもらう事も可能ですのでお気軽にどうぞ。
 その際は一緒について行くという感じですので、そちらの行動もアクション内に盛り込んで頂ければと思います。名前とか性格とか思いつけばそちらもどうぞ。なければ私がフィーリングご用意致します。

 邪竜の攻撃は広範囲のブレス、眷属の召喚、雄叫びによる竜や獣への混乱付与が主となります。

・広範囲のブレス
 ブレスは通常の炎ではなく、瘴気です。竜がそれを浴びてしまえば一時的に動きが封じられたりしてしまいます。回避や防御スキルなどを使って上手くやり過ごしましょう。

・眷属の召喚
 邪竜は定期的に眷属を生み出します。それを軽減するためにはミンストレルの歌と舞が必須です。歌と舞で眷属たちを抑制していきましょう!!

・雄叫びによる混乱付与
 邪竜の雄叫びは竜や獣の心を揺さぶります。ひとたび聞いてしまえば、敵味方の区別がつかなくなってしまうでしょう。
 解除には調教師か呪術者による回復・ヒーリングスキルが必要となります。
 それぞれ加護の属性が乗りますので、月神セオラと地竜ムンフツェツェグの加護に合いそうな回復スキルがあるとスムーズかと思います。


 こちらのアクションはこれらの攻撃を掻い潜ることが前提となります。
 勿論、サポートに徹するなども大歓迎。味方と連携を取ることができればより安定して行動できるでしょう。

 ……と、色々書きましたがそれ以外にもこれ出来ない? こっちはどう?
 というものがあればお気軽にどうぞ!!

【3】その他

 戦いに赴いた者達の無事を祈ったり、前線基地で色々なお仕事をしたり。
 それ以外にもしてみたいことや、やりたい事がございましたらお気軽にどうぞ。
 全てはブランダーバスのために、であれば特に制限は設けておりません!!
 人によっては帰ってくる者達を信じて出迎える準備をする、なども良いかもしれませんね。


◆マスターコメント
 シナリオガイドの閲覧、ありがとうございます。
 前回ご参加下さった方々には招待をお出ししております。
 参加者に空きが出た場合は【やや遅れて扉を潜った】あるいは【扉は既に一話目のタイミングでくぐり、今までも一緒に共闘していた】などお好きな理由で途中参加して下さって大丈夫です。
 それでは最終話となります。楽しんで頂けると嬉しいです。

突破口を開く 【現在のMC参加人数:5】

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邪竜を討つ 【現在のMC参加人数:12】

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その他 【現在のMC参加人数:5】

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