クリエイティブRPG

【双月ニ舞ヒテ】哀より出でし【第2話/全5話】

リアクション公開中!

 144

【双月ニ舞ヒテ】哀より出でし【第2話/全5話】
基本情報

マスター:北織 翼
ワールド:大和/神州扶桑国
 
 

料金

MC参加:200ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:2
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2022年04月25日公開!

シナリオガイド

燕は憂う。烏の喜びこれ何処、と

シナリオ名:【双月ニ舞ヒテ】哀より出でし【第2話/全5話】 / 担当マスター:北織 翼



※第1話のあらすじを当ガイド下部マスターコメント冒頭に記載しましたので、【双月ニ舞ヒテ】の世界に初めて触れられる方は先にマスターコメント冒頭をお読みになる事をお勧めします。

* * *


「おはよう留ばあ!」
 荒瀬 雅仁から結界柱の報告を受けた小平 春之進は渡来人たちと一緒に留のいる社を訪れました。
「ごめんねー、本当はマサが来る筈だったんだけど、市中が相変わらず酷いもんだからさ……代わりに俺が来た」
 渡来人たちが市中で餓承衆を撃退したり民を救済したりしているものの、空の月からひたりと不気味に覗く影月からは変わらず餓承衆が降っており、武士団にも命を落とす者が続出しています。
 雅仁は武士たちの士気低下を心配すると同時に自らも前線に立つべく、鳥湖山の結界柱破壊を春之進と渡来人たちに託したのでした。
「一応マサからは簡単に聞いたんだけど、天鳥様の結界柱を破壊する方法、改めて教えてくれるかい?」
 出迎えた留は春之進たちを結界柱の前に案内しながら頷きます。
「畏まりました。天鳥様の結界柱は全部で四柱、それぞれに喜怒哀楽のいずれかを表現した鳥の絵柄が彫られてございます。この鳥湖山に立つ柱には喜びの情に満ちた孔雀……柱を折るは喜びの心を折るに同じ、よって喜びに相反する情を注ぐことで破壊出来ましょう」
「喜びに反する情ねぇ……哀しみ、とか?」
 春之進が留に首を傾げながら問いました。
「左様でございます。心に秘めし哀しみの情を注げば、結界柱は壊れましょう。しかしながら、孔雀夜叉の再来とも評されるほどの霊力をお持ちの滋姫様が作りし結界柱でございます故、相応の哀しみが求められましょうが……」
「成程ねー……」
 留の答えを聞いた春之進は、一緒に来た渡来人たちを見つめてひとつ息を吐きました。
「……この頭数なら、何とかなるかな。問題は、みんながそれぞれ抱えてる哀しみの深さだろうけど……まぁ、俺の哀しみに比べたらたぶん客観的にはかなり深いと思うから、うん、たぶん行ける!」
「おや、小平様がお抱えの哀しみとは、如何なものなのでございますか?」
「よくぞ訊いてくれたね留ばあ! 影月出現以来不眠不休で頑張ってた俺、渡来人たちのおかげで昨夜ちょっとだけ家に帰る時間を取れたんだ。愛する妻と娘を抱き締めてまた頑張ろうって思ってたのに、近付くなり娘に言われたんだよ……『てぃてぃーえ、くちゃい』って。これね、『父上、臭い』って言ってるのね。いやぁ、子供って純真無垢な分残酷だよねー……俺の心は安物の壺の如く派手に粉砕したよ」
 留は苦笑しながら返します。
「恐れながら、そのような独りよがりな哀しみでは天鳥様の結界柱には傷ひとつ付きますまい。恐らく、誰しもが哀しいと感じるものでなければ、柱の破壊は難しいでございましょう」
「えええ……何てこった。これじゃますます君たち頼みだ。こうなったら、君たちがかつて感じてきた中で最強の哀しみをぶつけてくれたまえ!」
 留に容赦なく戦力外通告を受けた春之進は、がっちりと渡来人たちの手を取り激励するのでした……。

* * *


 その頃、出羽四霊山のひとつ「黒羽山」では、上空を旋回していた一羽の燕を宵烏族が追跡していました。
 宵烏族は烏のような黒く大きな翼を持つ鳥族の末裔で、代々この黒羽山に隠遁している部族です。
 彼らは全速力で燕を追いますが、燕は宵烏族を振り切り彼方へと消えました。
「おのれ、逃がしてなるものか」
 宵烏族たちは燕の追跡を続けようとしますが、
「待て、閃燕族の遣り燕など捨て置け」
 とひとりの宵烏族が異を唱えます。
「我々は一族とこの山さえ無事ならそれでいい……それが族長のご意思だろう」
 異を唱えた者の言葉に他の宵烏族は
「しかし紫艶(しえん)様、あの者らは我らに全てを滅ぼせと命じた。それが宵烏族に手を出さぬ条件ではありませんでしたか」
 と反論しますが、紫艶と呼ばれた宵烏族はそれに対し静かに、しかし鋭く答えました。
「状況を冷静に見極めろと言っている。あの燕が我々を誘き出す罠だったとしたら? 閃燕族が飛ばす遣り燕は賢く、飛行速度も俺たちより上だ。あの速度を無理に追ってこちらが疲弊したところを襲われたらどうする? 閃燕族は武力を持たずとも、あれらは武士団と通じている。加えて小賢しい閃燕族のことだ、突如出羽にやってきたという渡来人とやらとも既に手を組んでいるかもしれん。所詮人間の武士相手ならば恐るるに足らずだろうが、得体の知れぬ渡来人に囲まれて勝つ自信はあるのか?」
「そ、それは……」
「勝てるという確信がないなら手を出すな。俺たち宵烏族は古来よりそうして生き残ってきた。いいな」
 紫艶に論破された宵烏族たちはそれきり何も言えなくなり、すごすごと山に戻ります。
(閃燕族が渡来人と通じているかどうかは知らんが……いずれにせよ正義感の強い閃燕族ならこれで必ず動く。動かなければ……俺たち宵烏族は終わりだ)
 ひとり空に残った紫艶は、無言で燕の消えた方角を見つめました……。

* * *


 一方、雅仁は市中で餓承衆に対処していた武士から緊急の報せを受けていました。
 全身真っ青な異形の餓承衆が現れ、川沿いの集落に向かったというのです。
 足止めに入った武士は全員死亡、更に青い餓承衆は市中に獣型の餓承衆を数多放ち、武士団がその制圧に当たっているうちに川沿いの集落に入っていったとのことでした。
「全身青い餓承衆――青頸とかいう者だったな」
 先般この青い餓承衆と対峙した渡来人からの情報で、雅仁は相手を青頸と断定します。
「やりやがったな、クソが! ブッ殺す!」
 額に青筋を立てながら雅仁は渡来人たちとともに川沿いの集落に向かおうとしましたが……。

「お待ちを!」
 上空から凄まじいスピードで何者かが降下し、着地するなり雅仁の前に跪きます。
 その者は、燕のような藍色の翼と燕の長い尾羽を彷彿とさせる結った黒髪の美しい女性でした。
「私は水殿山閃燕族族長、颯崚(そうりょう)。征影大将軍荒瀬雅仁様とお見受けします……火急の願い、何とぞお聞き届けを!」
 火急と言われては雅仁も無碍に出来ず、颯崚の前に片膝を着きます。
「如何にも、某は荒瀬雅仁。颯崚殿、某らは民の危機に急ぐゆえ手短に」
「至急黒羽山を制圧頂きたい!」
 颯崚は顔を上げ単刀直入に告げました。
「黒羽山? あそこは宵烏族の住まう霊山と聞いたが」
 颯崚の一言を疑問に思い眉を寄せる雅仁に、彼女は急いで説明します。
「我が遣り燕が目撃しております、黒羽山に餓承衆が入り込んでいることを! 恐らく宵烏族は餓承衆と手を組んだのでしょう、そうでなければあのような邪に塗れし者たちが浄き霊山に入り込める筈がありません! しかし、宵烏族の中にはこの状況を憂えている者もいると思われます。宵烏族は優れた頭脳と高い霊力を有する鳥族最強の部族、本気になれば我が遣り燕を始末してその口を封じることも出来た筈。それをせず燕を帰して寄越したということは、秘かに外に助けを求めているのではないかと……そのような気がしてならないのです!」
「成程……」
 颯崚の言葉を聞き終えた雅仁は渡来人たちを振り返りました。
「すまんが、二手に分かれよう。一つは某とともに青頸を討つ。もう一つは黒羽山を制圧。何とぞ頼む」

担当マスターより

▼担当マスター:北織 翼

マスターコメント

【双月ニ舞ヒテ】第1話あらすじ

 出羽の空で月に添うように出現した黒い影のようなもの――「影月」。
 この影月から、餓承衆(がしょうしゅう)と名乗る禍々しい集団が地上に降り立ち、出羽を襲撃しました。
 甚大な被害に見舞われた出羽を救おうと「渡来人」として足を踏み入れた特異者たちは、早速市中で民の救出に当たったり、米を出し渋る集落の長を説得したりとその力を存分に発揮します。
 何の前触れもなく国を襲った惨劇を一刻も早く解決すべく、征影大将軍として現在出羽の頂点に立つ荒瀬雅仁は、出羽で最も権威のある霊山「鳥湖山」にて巫女の留からかつてこの国で起こったとされる争いについて渡来人たちとともに情報を得ますが、その過程で雅仁は不完全な力を発する結界柱が突如として出羽四霊山に出現したことを知りました。
 その結界柱は、出羽の統治者で影月を閉じようとしてその闇に飛び込んだきり安否不明となっている滋姫の力によって建てられたものでした。
 更に、この結界柱は不完全であるが故に力の制御が出来ておらず、敵のみならず武士団や渡来人たちの力まで制限してしまっていることが分かり、雅仁は結界柱の破壊を目指します。
 ただ……渡来人たちが目の当たりにしたのは餓承衆によって生み出された地獄だけではありませんでした。
 人の命にさえ軽重が生じている理不尽な身分差別、まさに出羽の「暗部」とも言える部分をも渡来人たちは知ることとなったのです。

 ※より詳細な内容を把握したい方は、【双月ニ舞ヒテ】第1話をご覧になって頂ければ幸いです。


* * *



マスターの北織です。

渡来人こと特異者たちの力を制限していると思われる結界柱を破壊すべく鳥湖山に向かった渡来人たちと春之進でしたが、市中では餓承衆の中でも隊長格と思われる「青頸」が牙を剥き、更に黒羽山の宵烏族が餓承衆側に付いたという情報まで飛び込むなど、急を要する事態が立て続けに起こってしまいました。
このままでは青頸によって市中は屍の山とされるだけでなく、武士団は鳥族とはいえ出羽の民である宵烏族を敵に回すことになり、敵味方の勢力図が変わってきてしまいます。

そこで、今回皆様には

 1,黒羽山に向かう
 2,青頸を倒す
 3,「喜」の結界柱を破壊する

の3点をお願いいたします。

なお、本シリーズでは第1話の結果を受け何名かのPC様に招待を出させて頂いております。
参加費用はPC様負担となりますが、継続参加されている限りは最終話まで招待を出させて頂く予定でおります。
ただし、継続してご参加頂けない場合はシテスム的に次話への招待を出すことが出来なくなってしまいますので、その点何とぞご了承下さい。
招待参加の方で、この第2話への参加を見送り第3話以降への参加を希望される場合は、通常の予約または抽選参加にてのご参加となります。


シナリオの詳細な説明に入る前に、この小世界限定の重要なルールについて先にお知らせいたします。


■重要なルール(1)対応アバターについて

 大和の小世界であるため、大和のアバターまたは大和に対応しているユニークアバターは本来の力を発揮出来ます。
 加えて、大和の裏世界とされている神州扶桑国のアバターも親和性が高く本来の力を発揮出来ます。
 ただし、これら以外の異世界アバターをメインアバターにした場合、皆様の力は大きな減衰を受けます。


■重要なルール(2)「レベルロック」

 第2話現在、出羽はアバターレベルに準じた能力がろくに発揮出来ない状況、つまり「レベルがロックされた状況」にあります。
 その原因は出羽最高位「天鳥」の地位にある滋姫が行方不明のままその霊力で築いたと思われる四本の柱による結界にありました。
 恐らくは出羽の民や武士団を少しでも守りたいという強い意志によって築かれた結界なのでしょうが、この結界は不完全で、敵だけでなく味方である筈の武士団や渡来人たちの力まで抑制してしまっています。
 この「レベルロック」は、皆様がシナリオ内で結界柱を順次破壊していけば徐々に、そして最終的に全ての結界柱を破壊して結界を解けば完全に外れるのではないかと推測されます。
 まだ結界柱が一本も破壊されていませんので第1話と同じ制限が掛かっていますが、第2話から参加されるという方もいらっしゃるかもしれませんので、具体的に第2話ではどの程度能力が制限されているのかをPL情報としてこちらに記載いたします。
 アクションや武装を組み立てる参考として頂けますと幸いです。

●どんなに高レベルのアバターでも、アバターレベル15未満の扱いになります。
●元々のアバターレベルが15に満たない場合はそのレベルで、15以上の場合は14で頭打ちとなります。
●システム的には高レベルの方は高レベルスキル・アイテムの装備は可能ですが、この小世界シナリオではたとえ装備出来ても使えません。現時点で使えるのは、装備可能最低レベルが14まで、つまりレベル15未満のスキル・アイテムのみです。
●サブアバターを装備出来る方は、サブアバターを装備して使用することが出来ます。サブアバターの能力もメインアバター同様にロックが掛かりますが、装備出来るスキル・アイテムに関してはちょっぴり恩恵があります(次項目参照)。
●第1話の時点で使えるスキル・アイテムは、メインアバター・サブアバターの区別なく「装備可能最低レベルが14まで」です。簡単に言ってしまえば、装備条件がレベル14までのスキル・アイテムはメインアバターのものだろうとサブアバターのものだろうと使えるということです。
●総合レベルはロックされたアバターレベルに準じます。つまり、アバターレベル14相当ならば総合レベルも14相当になり、【瞬刻の見切り】や【反衝】、【レイヤーオブアバターズ】なども装備出来たとしてもシナリオ内では使用出来ません。
●スキルやアイテムだけでなく、HPやMPなどステータス数値もシナリオ内では影響を受けます。具体的にどれだけの制限が入るかは、個々によって元の数値や武装に差があれば当然違ってくることなので明言は出来ませんが、使用するスキルやアイテムの効果を過信して解説以上のことが出来ると思っていない限りはそこまで心配する必要はありません。スキルやアイテムを効果的に使用しアクションを頑張って組み立てれば、途中でMP不足でスキルが使えない・HPが切れて動けないなどという事態にはそうそう陥らないと思われます(あくまでも第2話までは、です)。どうしても心配な方は回復アイテムなどを装備すると安心出来るかもしれません。
●装備例:お駒の場合(メインアバター:忍者、サブアバター:傾城)
 アバターレベル:35→14にロック
 サブアバターレベル:30→14にロック(あくまでシナリオ内で発揮出来る能力のレベルであって、武装の「装備レベル」ではないことに注意!)
 総合レベル:192→14にロック
 武装1:鎖鎌→使用不可
 武装2:くノ一装束→使用可
 武装3:トライアルパイ→使用不可
 武装4:五色米→使用可
 スキル1:隠形術→使用不可
 スキル2:空蝉の術→使用可
 スキル3:整体術→使用不可
 スキル4:香の調合→使用可(サブ装備Lv.19の傾城スキルだが、元々はLv.10スキルなので使用出来る)


ここからは、それぞれのアクションパートと周辺環境、登場するNPCについて詳細を補足説明させて頂きます。


■周辺環境

 ・時間帯:昼間

 ・気温及び天候
 天候は曇り、気温は「上着がないとかなり肌寒い温度」です。
 鳥湖山及び黒羽山では積雪も見られます。

 ・活動場所
 アクションパートにより異なりますので、後述の各アクションパートに関する記載内容をご確認下さい。


■登場するNPC

 ・荒瀬 雅仁(あらせ まさひと/27歳)
 天鳥不在の今、出羽の事実上のトップ「征影大将軍」の地位にある侍です。
 突如出羽を襲った惨劇に立ち向かうべく、先頭に立っています。
 出羽武士団を率いており、剣と喧嘩の腕はかなり確かなようです。
 殆ど笑顔を見せない人で、「荒瀬の笑顔を見た者は消される」などというとんでもない噂が流れている程ですが、実際の彼は普通に会話の出来る至ってまともな人間です。
 時々粗暴な口調が出てしまうのが玉に瑕です。
 今回は皆様と一緒に青頸撃破に向かいます。

 ・小平 春之進(こだいら はるのしん/31歳)
 雅仁を幼い頃から知る武士で、雅仁の親友であり側近であり、理解者でもあります。
 代々出羽の政治の中枢を担ってきた高貴な家柄で、妻子もいます。
 子煩悩の愛妻家で、家族のことを質問すると頼んでもいないマシンガントークを始めてしまいますので、家族ネタについてはそれに耐える覚悟のある方だけ触れることをオススメします。
 武芸の方は、雅仁の側近にしては少々頼りない感じですが並の武士程度には十分動けます。
 武芸は並でも腹黒い連中を相手にのらりくらりと立ち回れる器用な人物です。
 今回は皆様と一緒に鳥湖山で結界柱の破壊を試みます……が、既に戦力外通告を受けているので完全に皆様の案内人状態です。

 ・留(とめ/84歳)
 鳥湖山の社に住む巫女です。
 出羽に生きる巫女の中では最も高い霊力の持ち主で、影月から降下してくる餓承衆も結界で社に寄せ付けないようにしています。
 今回は結界柱を破壊する皆様をそっと見守ります。

 ・颯崚(そうりょう/女性・年齢不詳)
 出羽四霊山のひとつ「水殿山」を住処とする鳥族「閃燕族」の族長です。
 今回の出羽の危機に対し、伝書鳩のような役割を持つ「遣り燕」を飛ばし四霊山のコミュニケーションを支えることで協力しています。
 しかし、偶然にも遣り燕が掴んだ情報から黒羽山の異変を知り、雅仁に黒羽山制圧を依頼してきました。
 閃燕族は一切の武力を持たない部族のため颯崚は黒羽山には入りませんが、皆様を黒羽山の入口までは案内します。
 また、皆様に求められれば遣り燕で文による情報伝達などのサポートは可能です。

 ・紫艶(しえん/男性・年齢不詳)
 出羽四霊山のひとつ「黒羽山」を住処とする鳥族「宵烏族」のひとりです。
 黒羽山にいます。

 ・お駒(おこま/17歳)
 皆様よりほんの少しだけ先に出羽に入った特異者です。
 忍者アバターで本来ならば自衛出来る程度の戦闘能力は十分に持っていますが、レベルロックのせいで思うような力が出せない状況です。
 今回は雅仁と一緒に青頸撃破に向かいますが、前線には立たず民を青頸の攻撃範囲から避難させることに注力して動きます。
 なお、初めて出羽に入った時使えなかった武装は既に解除し、現在はちゃんと使える装備を身に着けています。

 ・滋姫(しげひめ/18歳)
 出羽の統治者で「天鳥」と呼ばれる地位にいます。
 影月に飛び込んだまま、消息を絶っています。

 ・青頸(せいけい)
 影月からやってきた餓承衆のひとりで、全身真っ青な女性です。
 戦闘能力などについては「■2,青頸を倒す」にて説明いたします。


■1,黒羽山に向かう

 詳細は後述いたしますが、このパートは難易度やアバターレベルにかかわらずアクション内容によってはアバター死亡及びその後のシナリオ参加時に何らかの制限を受ける可能性が発生しますので、以下アクションパートに関する説明をよくお読み頂けますと幸いです。

 黒羽山に向かい、餓承衆を殲滅して下さい。
 颯崚の遣り燕は、黒羽山上空を飛んだ際に山中に餓承衆の姿を目撃し、これを颯崚に報告しています(遣り燕は言語を話すことは出来ませんが、人間の言葉を理解することは出来ます。また、閃燕族だけは霊力によって遣り燕と意思疎通が可能で、颯崚は霊力による意思疎通で黒羽山の情報を遣り燕から入手しました)。

 黒羽山は古来より宵烏族という鳥族のみが住まう霊山ですが、何故か餓承衆が我が物顔でうろついています。
 餓承衆の数は正確には分かりませんが、遣り燕が上空から把握出来てしまう程ですので一人二人でなくかなりいることは推測出来ます。
 遣り燕の目撃情報によると、餓承衆は武器を持たない餓鬼のような人型がメインで、獣型は少ないようだとのことです。
 このことから、恐らく攻撃手段は鉤爪のような手足の爪による切り裂きや突き刺し、牙を駆使した噛み付きが主となるでしょう。
 油断は禁物ですが、このシナリオのルールに則った技や武器であれば使い方を間違えない限り通用すると思われます。
 餓承衆が宵烏族と衝突している様子も宵烏族を殺害した様子も今のところ窺えず、黒羽山で何が起こっているのかは遣り燕でも掴めていませんが、颯崚は宵烏族が餓承衆と手を組んだと考えているようです。
 状況証拠ばかりで根拠に乏しい推測ではありますが、颯崚がそう考えるのには何か理由があるのでしょう。
 颯崚は黒羽山には入りませんが、皆様を黒羽山の山道入口までは案内出来ますので、そのタイミングを利用して颯崚に推測の理由を尋ねることは可能です。
 なお、リアクションは黒羽山に足を踏み入れたところから始まる予定ですので、颯崚に確認しておきたいことなどが特にない方は、黒羽山に到着したところからのアクションを考えて頂ければ結構です。

 黒羽山に隠遁している宵烏族は古来より高い霊力に恵まれ、文武両道の優れた戦闘民族としての側面も持っていることから最強の鳥族と謳われています。
 その戦闘パターンは大和の天狗アバターに近いものとイメージして頂ければ分かりやすいかもしれません。
 しかし、その性格はひどく利己的で日和見主義、その割にはひどくプライドが高いという大変難のあるもので、そのせいで他部族とは距離を置いてきたようです。
 また、厳格な上下関係に基づいて生活しており、族長の命令は絶対です。
 そんな宵烏族の中で、紫艶という男性は少々毛色が違うのか、何やら思惑を秘めているようです。
 紫艶はその名のごとく艷やかな澄んだ紫の瞳が特徴の宵烏族で、赤や赤茶色の瞳を持つ宵烏族の中では異端で大変目を引きます。
 彼を捜すならば、瞳を手掛かりにすると良いでしょう。
 ※ただし、「紫艶」という名も彼の瞳の色も全て「PL情報」ですので、アクションを掛けられる際にはこれをどう上手く「PC情報」に落とせるかも重要になってきます。

 紫艶の思惑を知るには彼に接触しなければなりませんが、他の宵烏族がいる中で彼だけに接触し話をするのは不可能に近いでしょうし、山に入ったら餓承衆だけでなく宵烏族との戦闘も避けられないと思われます。
 しかし、他の宵烏族と戦闘に入ったとしても紫艶と鉢合わせることが出来れば、頭の回る彼は何かしらのフォローを入れてくれるかもしれません。

 ただし、紫艶を含む宵烏族への言動(言葉、態度双方です)にはくれぐれもご注意下さい。
 彼らは人間の物差しに当てはめると難のある許容し難い性格ではありますが、自身の部族に対する誇りは高く、頭脳も身体能力も平均的な人間では足元にも及びません。
 集落の民を顧みず私腹を肥やすクズ村長のような者とはわけが違いますので、軽んじたり見下したり、正論を突きつけマウントを取ろうとしたりといった言動は大変危険ですし、嘘やごまかし、下心も見破られる可能性が非常に高いです。
 逆鱗に触れた場合、皆様を敵と見做し全力で排除するでしょう。
 しかも、その場合は確実に勝つために餓承衆と連携もすると思われ、そうなれば数的にも皆様は生きて黒羽山を下山することは出来なくなるかもしれません。
 とはいえ、優れた頭脳の持ち主ですので全く話の通じない相手ではなく、聞く耳は持っています。

 颯崚も雅仁も黒羽山の制圧を望んではいますが宵烏族を殺害するつもりはありません。
 そのため、黒羽山で宵烏族に何が起こっているのかをある程度把握し餓承衆を殲滅(状況によっては宵烏族の無力化も)することがこのパートでは求められています。
 表示されている難易度は対餓承衆の戦闘のみを想定したものなので「2」となっておりますが、このパートを成功に導くという点において考えると皆様がやらなければならないことや考えなければならないことは決して簡単ではなく、体感難易度はかなり高いと思われます。
 更にこちらのパートは紫艶の動向次第ではありますが現時点ではNPCのサポートが期待出来ない状態です。
 非常にシビアな状況ではありますが、皆様渡来人の知恵と勇気と真心があればきっと乗り切れるでしょう!


■2,青頸を倒す

 青頸を倒して下さい。
 現在、彼女は生存者を皆殺しにするつもりで川沿いの集落に足を踏み入れたところです。
 こちらのパートでアクションを掛けられる方は、この集落に到着後の状態からアクションを考えて頂いて大丈夫です。
 なお、ここまでの道中で彼女を足止めしようと果敢に挑んだ武士団の武士たちは全員殺害されており、更に他の武士たちに邪魔をされないようにと青頸は獣型の餓承衆を市中に放ちました。
 この獣たちには武士団が応戦中で、ほぼ互角の戦いながらも善戦しているので市中で民の犠牲が増える心配はなさそうです。
 ※「そんなこと言っても互角の戦いなんて心配でしょうがない!」「とにかく市中の民を守りたいんだ!」「武士団に死人を出したくない!」という方は、ひとまずこのパートを選択頂き、市中の民を守るといった内容のアクションを掛けて頂いても構いません。その場合はお駒が市中に転進し、必要に応じて市中での活動を選択した方々のサポートに入ります。ただし、青頸と戦う戦力が不足すると本末転倒ですので、その辺りは上手く調整して下さい。

 川沿いの集落は、出羽の身分制で最下層とされている「賤民」の居住区で、これまでの餓承衆の襲撃でも甚大な被害を受けています。
 僅かとなった生存者たちは常に襲撃者に怯え、心身共に極限まで追い詰められている状態です。

 青頸は全身真っ青な女性で、第1話でアルヤァーガ・アベリア(SAM0013527)様と灰崎 聖(SAL0038053)様を相手に互角の戦いを繰り広げた後、撤退しています。
 アルヤァーガ様や聖様がこのアクションパートを選択された場合、青頸は積極的にアルヤァーガ様たちを狙うものと思われます。

 青頸は、餓承衆の獣を使役出来るところから見ても餓承衆の一味であることは間違いなく、恐らくは彼女もまた影月から降りてきたのでしょう。
 しかし、名前以外の素性は一切判明しておらず、人間なのかそうでないのかさえ判明していません。

 青頸は他の餓承衆と同様に鉤爪のような長く鋭い爪を主な武器としていますが、口から不可視の刃か霊力弾のようなものを飛ばすこともでき、遠近双方の攻撃を駆使します。
 身体能力は総合的に極めて高く、相手に気配を察知する暇を与えず動ける辺りからどちらかというとパワーよりスピードの方が秀でているものと思われますが、攻撃の威力は決して低くありません。
 食らったら一撃でも深手となる可能性は十分にあります。
 また、青頸は獣の餓承衆を使役することもできます。
 現時点では獣型の餓承衆は武士の追跡を妨害するために市中に向けており、彼女自身は単身で川沿いの集落に来ていますが、奇襲的に出してくる可能性もないとは言えませんので念のため警戒しておいてもいいでしょう。
 警戒していることをアピールすることでその手を封じることにもなり得ますし、封じられなかったとしても警戒しておけば対処出来ますので、どちらに転んでも皆様にとって無駄にはならないと思います。

 青頸は第1話では早々に撤退しておりますが、今回は刃向かう者全て殺す気で来ておりますので、滋姫の結界によって本来の力が出せない状態であっても決して油断は出来ません。
 皆様の全力で青頸に立ち向かって下さい。
 なお、このパートにはNPCの荒瀬雅仁が同行します。
 雅仁は皆様をサポート出来る程度には戦えてそれなりに自衛も可能ですので、放置しておいても特に問題はありません。


■3,「喜」の結界柱を破壊する

 滋姫の結界柱を破壊して下さい。
 鳥湖山に出現した結界柱は「喜び」の感情を宿しており、これを破壊する方法はただ一つ、「相反する『哀しみ』の情をぶつけること」です。
 具体的に何をするのかといいますと、皆様の哀しいエピソードを語る、これだけです。
 これまでに経験した哀しい出来事を涙ながらにエモく結界柱相手に語るのです。
 ぶっちゃけてしまうと、アクションはPC様が自身の哀しい思い出を語る「自分語り」のような内容になるかと思いますが、それでいいのです。
 皆様の哀しみが積もり積もって最終的に結界柱の破壊に至ればこのアクションパートは成功です。

 「無理! 柱相手にひとりでぶつぶつ語るとか恥ずかしすぎる!」という方、どうぞご心配なく。
 柱に手など体の一部を触れた状態で哀しかった出来事を思い出すだけでも語るのと同じ効果があります。
 もちろんリアクションではその脳内再生された内容ががっつりと描写されることとなりますが、他のPC様やNPCたちには「柱に触って黙って瞑想している」ようにしか見えておりません。
 結界柱には抱きついたりすることも出来ますが……一応春之進らや他のPC様の目もありますので、それでも恥ずかしくないという方はどうぞ。
 切なく哀しい演出に自信のある方はそうしたスキルやアイテムを駆使して頂いても結構ですが、レベルロックは健在ですので使用したいスキルやアイテムの装備レベルにはご注意下さい。
 哀しいエピソードの内容だけでなく、それをどう結界柱に伝えるのか、話すのか手で触れて思いだけを伝えるのか、何か演出を用いるのか……などといった「伝達手段」についても必ずアクションでご指定下さい。

 一見簡単なアクションパートのように思えますが、この小世界全体のレベルロックを一段階解除出来るかどうかの重要なパートであり、「哀しいエピソード」に対しても以下のようなかなり厳しい条件がございますので、くれぐれもご注意下さい。

●大抵の人が「哀しい」と思えるような内容であること
 春之進がシナリオガイド内で述べたようなエピソードは、本人は哀しくても聞いた者たちの大半は「微笑ましい、可愛らしい」と感じてしまいます。そうしたエピソードは留が言ったように「独りよがりな哀しみ」となり、結界柱にダメージを入れることは出来ません。
 聞いた人全員が、とまでは言いませんが、ある程度の高確率で「哀しい話だ」と思われるような内容であることが求められます。
●CRPGの世界観を逸脱していない内容であること
 「三千界のアバター」をプラットホームとしたCRPG内の他ワールド(召喚前にいた地球を含む)でPC様が体験した哀しい出来事であれば問題はありませんが、PL様のメタな話やリアル事情の持ち込みはCRPGの世界観に反するものですので不採用となります。
●他PC様を不快にさせない内容であること
 リアクションはシナリオへの参加不参加を問わず全PC様に公開されるものですので、直接的であろうと間接的であろうと他PC様を貶めるような内容である、他PC様が嫌な思いをする内容であるとマスターが判断した場合は不採用となります。
 皆様に楽しんで頂くゲームですので、この辺りは特にシビアに判定いたします。
 ※例外として、本シナリオに参加されている他PC様との間に相互承諾が出来ており双方のアクションでその旨が明記されていれば採用は可能です。

 なお、こちらのパートには留と春之進がいます。
 二人とも皆様を温かく見守るだけですが、哀しい思い出から気持ちが今に戻らず辛いようでしたら二人に泣きついて頂いて結構です。
 きっと優しく明るく慰めてくれるでしょう。


■出現する敵について

 小世界のゲートが開いた時点では不明な点の多かった敵ですが、第1話で皆様が精力的に活動された結果様々なことが判明しました。
 影月から降下してきた敵は「餓承衆(がしょうしゅう)」と名乗っており、皆様の攻撃は大抵効いていますが浄化の力を持つ攻撃には特に弱いようです。
 倒された餓承衆のうち、人型の者はやがて黒い羽に変化し黒い靄となって消えますが、獣型のものは元の動物の姿に戻り溶けるように朽ち果てていきます。

 滋姫の結界のおかげで現在は然程危なげなく撃破出来る程度の者たちが大半ですが、その中に「青頸」「大兜」「針羽」という名を持つ飛び抜けた強さの餓承衆もいることが明らかになりました。
 この三名も例外なく結界の影響を受けてはいますが、皆様渡来人と同等かあるいはそれ以上の力を持っているようです。
 あくまで現時点では、ですが、青頸ら三強以外の通常の餓承衆は爪や牙を使っての物理的近接攻撃ばかりを仕掛けてきます。
 こうした攻撃手段が結界柱の破壊によって今後変化していくのかどうかは未知数です。

 また、餓承衆のうち人型の者たちは言語を解し、その言動から理由は分かりませんが人間に対し強い憎しみと侮蔑の心を抱いていることが窺えます。
 更に、餓承衆は人間以上に「鳥族」を強く嫌悪しているらしく、渡来人の皆様の中でもメインアバターが「天狗」の方、神州扶桑国アバターで種族が「天狗」の方と遭遇した餓承衆は激昂しておりました。
 なぜ「人間」や「鳥族」を忌み嫌うのか、なぜ突然影月が出現し餓承衆が地上に降ってきたのか、明らかになっていないことはまだまだ多いですが、今後の戦いの中でそれらも徐々に見えてくるかもしれません。


■お知らせ

 【双月ニ舞ヒテ】は全5話のシナリオで、今回はその第2話でございますが、第1話への参加の有無にかかわらずどなたでもご参加頂けますので、参加ポイントが200ポイントのシナリオではございますがよろしければお気軽にお申し込み下さい。

 また、扉絵には本シナリオのNPCである荒瀬雅仁と滋姫が登場しております。
 こちらは、三千界のアバターでイラストレーター登録をされておりますカノユキ様にご制作頂きました。
 皆様には最終話まで二人のイラストも一緒にお楽しみ頂ければ幸いです。
 カノユキ様、この度は素敵なイラストをありがとうございました。


それでは、どうか出羽に平穏を取り戻すための更なる一歩を皆様の力で刻んで下さい!


黒羽山に向かう 【現在のMC参加人数:14】

2

青頸を倒す 【現在のMC参加人数:9】

3

「喜」の結界柱を破壊する 【現在のMC参加人数:7】

1