「わたし、
宇津木 結愛って言います。一応、魔法少女をやっています。
サイタマ県の現状を伝えておきますね」
魔法少女マジカルベルンこと宇津木 結愛は、サイタマ県の現状をあなたに語りました。
事の始まりは約2年前。悪の組織『ドンケルゴルト』は怪魔ノイドの軍団を従え、サイタマを占拠する作戦に打って出ました。
カワゴエの乱と呼ばれるこの戦いは、ドンケルゴルトの勝利に終わりました。サイタマ県民はドンケルゴルトの奴隷になる……かと思われた、その時です。
ドンケルゴルトが勝利宣言を行う直前、救世主は現れました。
亜火夢 雷人なる人物がサイタマ貴族の助力を得て、サイタマ県民の約半数を地下街に大移動させることに成功したのです。
以来、サイタマ県民は地上組と地下街組に分かれました。
地上組はドンケルゴルトの奴隷として使役され、地下街組は慣れない地下暮らしを続けています。
「サイタマ県民は地下街に大移動しました。わたしも地下街組なんです。
でも、怪我や病気や老いで大移動に参加できなかったサイタマ県民は、今も地上に取り残されています。
ドンケルゴルトは、そんな方々を奴隷として扱っています。
だから……わたし、
みんなと一緒に地上を奪還したいんです!」
明らかとなるサイタマ県民の事情――。
マジカルベルンが魔法少女活動を行う理由……それは、地上を奪還したいがため。
あなたを師匠と見込んだマジカルベルンは、大事なことを知らせました。
「まずは私たちの
拠点に案内しますね! その前に、ここを通らなくちゃいけないんですけど……」
マジカルベルンが案内した場所は、サイタマ県とトーキョーの境目に位置する大きな穴でした。
それはもう、奈落の底へと続いているかの如き大穴です。
マジカルベルンはこの大穴を通って、地上と地下を行き来しているようです。
「カワゴエシティの地上と地下を結ぶ巨大な空洞……その名も
カワゴエ大空洞です。
私はここを通って、地上と地下を行き来しているんです。
さあ、行きましょー師匠! 地下街で作戦会議です!」
そんなわけで、あなたは地下街に誘われたのでした。
☆ ☆ ☆
一方、カワゴエシティの地上では……
「フッ……魔法少女マジカルベルン。
『三色の現代魔法』の使い手か。面白い!」
カワゴエシティの真ん中に聳える超大規模ヤクザビルのてっぺん。
覇王の間の人間玉座に腰掛けるドンケルゴルトの首領
ジャアクドン・トリスバインは、次なる策を練っている最中でした。
「クックック……どう思う、ブレインタコズよ」
「ヒョッヒョッヒョッ、まずは魔法少女の拠点を探ることが肝要でございます!」
ドンケルゴルトの四天王にして参謀役の頭脳タコ系怪魔ノイド『ブレインタコズ』は、人間玉座に向けて触手をうねらせました。
――ピシッ、ピシッ!
触手に叩かれ、人間玉座から呻き声が漏れます。
「魔法少女はどこから現れ、どこへ消えるのか? ヒョヒョヒョ、それは我々にとっても謎でした――
しかしッ! 今なら追跡できます! 新たに作り出した追跡系怪魔ノイド『シュネルウルフ』の手によってッ!」
「クックック……よくやった! して、そやつはどこにおる!」
「ヒョッヒョッヒョ、ここに!」
ブレインタコズは触手の先端をパチンと鳴らしました。
すると、
――バァァァンッ!
巨大な扉を思い切りこじ開け、シュネルウルフが覇王の間に入ってきました!
ジャアクドンもこれには高笑いです。
「クックック、ハーハッハ! 準備が良いッ!
追跡系怪魔ノイド『シュネルウルフ』よ! 行けぇい! 魔法少女の拠点を突き止め、破壊するのだ!」
「ハハァッ! 了解したァ、ジャアクドン様よォ!! ヒャーッハッハァ!!」
追跡系怪魔ノイド『シュネルウルフ』は雄叫びを上げると、電車に乗り、カワゴエ大空洞へと向かいました。
☆ ☆ ☆
魔法少女に誘われ、地下街に向かう特異者たち。
しかし、魔法少女が拠点とする地下街に追手が迫っているようです。
今こそ特異者の力が必要です。
――カワゴエシティの地下街に向かって情報を収集し、今後の行動の指針とするか。
――それとも、迫り来る怪魔ノイドを迎撃し、サイタマ県の平和を地道に取り戻していくのか。
全ては、あなたの手にかかっています!
さあ、【Terra】のサイタマ県に向かいましょう!