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【双月ニ舞ヒテ】渡り来たれ【第1話/全5話】

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【双月ニ舞ヒテ】渡り来たれ【第1話/全5話】
基本情報

マスター:北織 翼
ワールド:大和/神州扶桑国
 
 

料金

MC参加:200ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:2
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2022年02月10日公開!

シナリオガイド

新たな小世界は、既に地獄と化していた――

シナリオ名:【双月ニ舞ヒテ】渡り来たれ【第1話/全5話】 / 担当マスター:北織 翼



 平和とは何ですか。
 安穏とは何ですか。
 答えられない時ほど、人はきっと幸せなのです。
 そして、当たり前すぎて、それらを失うことを想像出来なくなった時、人はそれらを守る術をも忘れてしまうのでしょう……。

 大和小世界・出羽(でわ)。
 ある夜、空に浮かぶ満月の背後から全く同じ形の黒い月のようなものが現れました。
 それが破滅の始まりだとすぐに気付いた者は、出羽の統治者である「天鳥(てんちょう)」滋姫(しげひめ)と彼女の側近たち、そして高い霊力を有するごく一部の者たちだけでした。
 黒い月からおびただしい数の禍々しい者たちが地上に降り立ち、それらは瞬く間に民の家を襲い、民を殺し食らい、田畑を踏み荒らします。
影月(かげつき)だ……まさか、『かの者』が復活したというのか」
 滋姫は空を見上げ、黒い月を睨みました。
「あれが、いにしえの伝承にある影月……このままでは民が! 天鳥様、急ぎ討伐して参ります!」
「待て、荒瀬!」
 御殿を飛び出そうとする側近・荒瀬 雅仁(あらせ まさひと)を滋姫が毅然とした声で呼び止めます。
「ここでいくら討てども影月を閉じねば終わらぬ。終わらねばこの地は滅ぶのみ。荒瀬、今より其方を征影大将軍(せいえいたいしょうぐん)に任じ、地上の一切を託す。妾は――影月を閉じに行く」
 それを聞いた雅仁の顔色が一気に青ざめました。
孔雀夜叉(くじゃくやしゃ)の伝承に倣うと仰るのですか!? 某は承服致しかねます!」
「黙れ!! ……あれを止めるは天鳥たる妾の使命。いにしえの大乱より後、代々の天鳥が負いし役目だ。ただそれが千年余りの間求められず、今この時に必要になっただけのこと。しかし、妾の力で抑えられなんだ時は……妾に代わり、其方が出羽の地を、民を、あの者どもから守るのだ。良いな」
 雅仁に悲しいほどの穏やかな微笑を見せると、滋姫は己の力の全てを解放します。
「荒瀬、妾は其方に出会えて本当に良かった。出羽を……頼んだぞ」
「天鳥様っ!!」
 眩く荘厳な金色の翼を生やした滋姫は、ひとり影月へと全速力で飛び込んでいきました。
 直後、影月はみるみるうちに元の月の後ろに重なり始めます。
 しかし、あと少しで完全に重なるというところで、ぴたりと動きを止めてしまいました。
 元の月に重ならなかった三日月のような黒い部分から、ぽつぽつと、しかし次々と禍々しい者たちは降りてきます。
「そんな……天鳥様の力でさえも完全に封じることが出来ないなど……」
 後を託された雅仁は影月の想定以上の力に衝撃を受けながらも、刀を手に外に駆け出しました……。

* * *


 皆さんが足を踏み入れたそこは、まさに「地獄」でした。
 転がる死体、泣き叫ぶ幼子、うずくまって呻く人々。
 無残に破壊された家々、踏み荒らされた田畑……。
 突如として破滅への激流に呑まれようとしているこの小世界は、存続のため一刻も早い特異者の介入が必要だと判断され、ゲートが開かれました。

「さあ、急ぎましょう! こうしている間にも戦う術を持たない民たちが犠牲になっているんですっ」
 この小世界に到着するなり、忍装束の特異者・お駒が皆さんを先導します。
「ええと、歩きながら説明しますね! 私、千国で見つかった小世界『亜羽和瑳』では『最上駒子』っていう英傑名で傾城やってたんですけど……って、あの頃はろくに皆さんの役に立てなかったのでその話はここまでで。私、ここでは忍者の『お駒』として動いてます。ここは『出羽』という国なんですけど、緊急的にゲートが開いたのでとりあえず先行調査ってことで飛び込んだら市中は既にこの状態で……」
 彼方に連なる山脈、無舗装の道、広がる田畑、茅葺きの民家……と、大和の小世界だけあってここは古き良き昔の日本を思い出させるような光景ですが、思わず目を背けたくなる程の惨状が皆さんの眼前には広がっていました。
 それはまるで大きな戦の直後のような、いいえ、一方的且つ圧倒的な侵略と殺戮を何の前ぶれもなく受けた直後に見えます。
「……なので私も正直何から調べていいか戸惑ったんですけど、ゲートをくぐってすぐに運良く現在この国のトップにいる人に遭遇しまして。あ、安心して下さい、その人は特異者のことを『渡来人』って呼んでて、人の道に背くような言動をしない限りは友好的です。まぁ、こんな悲惨な現場なので今はどんなに胡散臭い人でも戦力になるなら贅沢は言えないってことなのかもしれませんけど……」

 お駒の早口な説明を聞きながら進むと、前方に木造の大きな御殿が見えてきました。
 御殿の前には男性が二人、何人もの武士らしき人たちに矢継ぎ早に指示を出しているように見えます。
「背の高い方の男性がこの国の現在のトップ・『征影大将軍』と呼ばれている荒瀬雅仁様で、その隣にいるちょっと軽そうな人が荒瀬様の側近の小平 春之進(こだいら はるのしん)さんです」
 お駒は皆さんに簡単に説明すると、武士たちが散開したところで雅仁に声を掛けます。
「荒瀬様!」
「お駒……その者たちは?」
 雅仁は警戒心を露わにしながら皆さんを見つめますが、お駒が皆さんを「渡来人である」と説明すると、軽く会釈をしました。
「お駒と同じ渡来人であったか。某の無礼、何卒容赦を。某は荒瀬雅仁、この者は――」
「どうもー、マサのダチで小平春之進だよ。春ちゃんとか、春っちとか、まぁ好きに呼んで。悪いねぇ、こいつ赤子の頃からこんなしかめっ面なもんで」
 雅仁の紹介をぶった切り彼の表情をからかいながら張り切って自己紹介する春之進に曖昧な笑みを返したお駒は、皆さんに耳打ちします。
「ね? 軽いでしょ? でも、能ある鷹は……なんて言いますよね。そういうタイプの人みたいですから、とりあえず安心して下さい。あんな調子ですけど、初対面なら恐らく荒瀬様より春之進さんの方がだいぶ接しやすいかもしれません。私もそうでしたから」

 皆さんが成程と頷きながら雅仁と春之進を交互に見ていると……。
「荒瀬様、荒瀬様!」
 数人の民が悲愴な面持ちで駆けてきました。
 彼らはその格好から恐らく農民だろうと思われますが、ひどく薄汚れた身なりをしており、身分の高い者に目通り出来る立場には到底見えません。
 しかし、雅仁は眉一つしかめることなく彼らに向き合います。
「如何した」
 雅仁が問うと、農民たちは平伏しながら口々に訴え始めました。
「前川様が、俺らに蔵米を分けてくれやせん!」
「荒瀬様のご命令で、此度の災いを乗り切るために蔵米の一割を武士団様に、四割を集落の民に放出すると聞きましたが、前川様はちっともよこしてくれやせん」
「隣の岡島集落や大島集落の者は荒瀬様のご命令で蔵米を出してもらえたと聞くのに、前川様だけは出してくれんのです」
 これを聞いて、雅仁の眉間に深い皺が刻まれます。
「前川は其方らに何と申しておる?」
「祠の修理に必要な金を工面するために蔵米を使ったからそんなに余裕はないだの、田畑を持たぬ民たちに配る分がなくなるだのと……確かに去年、五穀豊穣の神様を祀っている祠を直しとりましたが、そんなに金がかかるとは一言も……」
「『田畑があるお前たちは年貢をちょろまかして懐に隠しておるではないか、されど政を行う者たちや商人、職人らは田畑を持たぬゆえ米が一粒も自由にならん。その者たちを哀れとは思わんのか』と」
「俺らはこれまでただの一度も年貢をちょろまかしたことなどございやせん!」
 ここまで聞くといよいよ雅仁の口から舌打ちまで飛び出しました。
「チッ、二郎左衛門の野郎……一発ぶん殴ってやらねぇと分からねぇか」
「こらこらマサ、大将軍様がそんな汚い口きかないの。とにかく、前川氏んとこにお前が乗り込むと後々余計拗れそうだから、この案件は俺と……渡来人のみんなに任せてよ。ね、いいよね?」
 春之進は人懐っこい笑みで皆さんに協力を求めます。
「もちろんですっ。でも春之進さん、皆さんつい今しがた出羽に来たばかりでまだ状況を飲み込めてないと思います。私も、この国がどうしてこんな酷いことになっちゃったのか詳しくは分かってないですし……なので、何人かは状況把握に専従させてもらえませんか?」
 お駒が春之進からの要請を受け入れながらもそう提案すると、彼はうんうんと大きく頷きました。
「それもそうだね。なら、百聞は一見にしかず、実際に集落に出て動いてみてくれるかい? 君たちの存在を民に知ってもらういい機会だし、何より君たちの力が『奴ら』にどこまで通用するかを君たち自身が知っておかないと今後危険だろうしね」
 雅仁も山岳の方角を指しながら皆さんを誘います。
「見ての通りの有様ゆえ何のもてなしも出来ず心苦しいが、この国のことを深く知りたければ某とともに来るといい。この国の『今』ならば某の口からいくらでも語れるが、この国のいにしえについては語るに相応しい者がいる。そこに案内しよう」

 三手に分かれて行動を始める皆さんに、お駒が思い出したように秘かに告げます。
「あっ、大事なことを言い忘れてました! この小世界では魔物みたいなものが人々を襲ってて、私たちはそういう奴らと戦わなきゃいけないんですけど、皆さんの力はかなり……かーなーり制限されてしまうと思います。私も、鎖鎌を使おうとしたら重くて全然振れなくて、しかも気配を絶って物陰に隠れてた筈なのにあり得ないくらいあっさり見つかったりで……手裏剣や吹き矢は問題なく使えたんですけどね。どうも、一定以上の力を持つ装備はまるで使えないみたいなんです。なので、持ち物や使う技にはくれぐれも注意して下さいねっ」

担当マスターより

▼担当マスター:北織 翼

マスターコメント

マスターの北織です。

大和に新たな小世界・出羽が見つかりました。
しかし、この小世界は特異者・お駒が先行調査を始めたばかりでまだまだ判明していないことばかりです。
更に、ゲートをくぐって早々に農民たちと集落の長との間にトラブルが勃発するなど、穏やかな状況ではありません。

そこで、皆様にはトラブルを解決しながらこの出羽の現状とこれまでの経緯を知り、何が起こっているのか、これからどう活動していけばいいのかといった手掛かりを得て頂くべく、第1話の今回は

 1,市中で行動する
 2,春之進とともにトラブルの解決に当たる
 3,雅仁とともに留(とめ)という名の巫女に会いに行く

の3点で活動して頂きます。


シナリオの詳細な説明に入る前に、この小世界限定の重要なルールについて先にお知らせいたします。


■重要なルール(1)対応アバターについて

 大和の小世界であるため、大和のアバターまたは大和に対応しているユニークアバターは本来の力を発揮出来ます。
 加えて、大和の裏世界とされている神州扶桑国のアバターも親和性が高く本来の力を発揮出来ます。
 ただし、これら以外の異世界アバターをメインアバターにした場合、皆様の力は大きな減衰を受けます。

■重要なルール「レベルロック」

 お駒が既に体感しているようですが、第1話現在、出羽はアバターレベルに準じた能力がろくに発揮出来ない状況、つまり「レベルがロックされた状況」にあります。
 その理由は皆様の動き次第でこの先のリアクションなどで明かされていくものと思われ、皆様がシナリオを成功に導いていけば徐々に、そして最終的には完全にロックが外れるのではないかと推測されますが、具体的に第1話時点でどの程度能力が制限されているのかをPL情報としてこちらに記載いたします。
 アクションや武装を組み立てる参考として頂けますと幸いです。

●どんなに高レベルのアバターでも、アバターレベル15未満の扱いになります。
●元々のアバターレベルが15に満たない場合はそのレベルで、15以上の場合は14で頭打ちとなります。
●システム的には高レベルの方は高レベルスキル・アイテムの装備は可能ですが、この小世界シナリオではたとえ装備出来ても使えません。現時点で使えるのは、装備可能最低レベルが14まで、つまりレベル15未満のスキル・アイテムのみです。
●サブアバターを装備出来る方は、サブアバターを装備して使用することが出来ます。サブアバターの能力もメインアバター同様にロックが掛かりますが、装備出来るスキル・アイテムに関してはちょっぴり恩恵があります(次項目参照)。
●第1話の時点で使えるスキル・アイテムは、メインアバター・サブアバターの区別なく「装備可能最低レベルが14まで」です。簡単に言ってしまえば、装備条件がレベル14までのスキル・アイテムはメインアバターのものだろうとサブアバターのものだろうと使えるということです。
●総合レベルはロックされたアバターレベルに準じます。つまり、アバターレベル14相当ならば総合レベルも14相当になり、【瞬刻の見切り】や【反衝】、【レイヤーオブアバターズ】なども装備出来たとしてもシナリオ内では使用出来ません。
●スキルやアイテムだけでなく、HPやMPなどステータス数値もシナリオ内では影響を受けます。具体的にどれだけの制限が入るかは、個々によって元の数値や武装に差があれば当然違ってくることなので明言は出来ませんが、使用するスキルやアイテムの効果を過信して解説以上のことが出来ると思っていない限りはそこまで心配する必要はありません。スキルやアイテムを効果的に使用しアクションを頑張って組み立てれば、途中でMP不足でスキルが使えない・HPが切れて動けないなどという事態にはそうそう陥らないと思われます(あくまでも第1話では、です)。どうしても心配な方は回復アイテムなどを装備すると安心出来るかもしれません。
●装備例:お駒の場合(メインアバター:忍者、サブアバター:傾城)
 アバターレベル:35→14にロック
 サブアバターレベル:30→14にロック(あくまでシナリオ内で発揮出来る能力のレベルであって、武装の「装備レベル」ではないことに注意!)
 総合レベル:192→14にロック
 武装1:鎖鎌→使用不可
 武装2:くノ一装束→使用可
 武装3:トライアルパイ→使用不可
 武装4:五色米→使用可
 スキル1:隠形術→使用不可
 スキル2:空蝉の術→使用可
 スキル3:整体術→使用不可
 スキル4:香の調合→使用可(サブ装備Lv.19の傾城スキルだが、元々はLv.10スキルなので使用出来る)


ここからは、それぞれのアクションパートと周辺環境、登場するNPCについて詳細を補足説明させて頂きます。


■周辺環境

 ・時間帯:昼間

 ・気温及び天候
 天候は曇り、気温は「上着がないとかなり肌寒い温度」です。

 ・活動場所
 アクションパートにより異なりますので、後述の各アクションパートに関する記載内容をご確認下さい。


■登場するNPC

 ・お駒(17歳)
 皆様よりほんの少しだけ先に出羽に入った特異者です。
 忍者アバターで本来ならば自衛出来る程度の戦闘能力は十分に持っていますが、レベルロックのせいで思うような力が出せない状況です。
 今回は市中を巡りながら人助けをする予定で、使えなかった武装は皆様を案内するため一度ワールドホライゾンに戻った際に解除し、現在はちゃんと使える装備で入っています。

 ・荒瀬 雅仁(27歳)
 天鳥不在の今、出羽の事実上のトップ「征影大将軍」の地位にある侍です。
 突如出羽を襲った惨劇に立ち向かうべく、先頭に立っています。
 殆ど笑顔を見せない人で、「荒瀬の笑顔を見た者は消される」などというとんでもない噂が流れている程ですが、実際の彼は、ガイド本文にありますように身分の低い民からも厚く信頼されているような人です。
 時々粗暴な口調が出てしまうのが玉に瑕です。
 今回は皆様を留という巫女の住む山に案内します。

 ・小平 春之進(31歳)
 雅仁を幼い頃から知る武士で、雅仁の親友であり側近であり、理解者でもあります。
 代々出羽の政治の中枢を担ってきた高貴な家柄で、妻子もいます。
 子煩悩の愛妻家で、家族のことを質問すると頼んでもいないマシンガントークを始めてしまいますので、家族ネタについてはそれに耐える覚悟のある方だけ触れることをオススメします。
 武芸の方は、雅仁の側近にしては少々頼りない感じですが並の武士程度には十分動けます。
 武芸は並でも腹黒い連中を相手にのらりくらりと立ち回れる器用な人物です。
 今回は皆様と一緒に前川集落の長・前川二郎左衛門邸に向かいます。

 ・滋姫(しげひめ)(18歳)
 出羽の統治者で「天鳥」と呼ばれる地位にいます。
 影月に飛び込んだまま、消息を絶っています。


■1,市中で行動する

 出羽の市中で活動して頂きます。
 出羽国内には、大小様々な非常に多くの集落があります。
 田んぼ一枚挟んだこちらと向こうで集落の名前が違うなんてこともよくあります。
 そのため、どこの集落に行くなどといったことはあまり考えず、行き先は基本的に「市中」で大丈夫です。
 稲作メインの国でどこもかしこも田んぼだらけですが、畑もあったり川や池もあったり、山もあったりで自然豊かな所です。
 現代の地球にたとえるなら、この出羽の文明レベルは概ね平安・鎌倉時代程度ではありますが、それはあくまで目安です。厳密な時代考証に沿えば飯屋も商店もないところですが、ぶっちゃけここは地球ではありませんし更に小世界ですので、地べたに茣蓙を敷いて陶器を売っている者もいれば団子や饅頭を出してくれる茶屋もあります。
 そういう世界ですので、「何となくちょんまげ結って刀差してる武士とか着物姿の女性がうろうろしてる時代」をイメージして頂きながらアクションを考えて頂いて大丈夫です。
 ただし、シナリオガイド本文にもありますように現状は悲惨極まりないものです。
 死体は転がってるわ、あちこちで泣き叫ぶ声が響くわ……と、誰もが耳を塞ぎ目を背けたくなるような状況です。
 民に対する救済に重きを置いてアクションを組み立てるのも良いでしょう。

 更に、そうした民を嘲笑うようにひどく禍々しい者たちもうろついています。
 この「禍々しい者」とは一体何なのか、それはまだ現時点でははっきりしていませんが、少なくとも出羽をこのような状態にした「敵」であるということだけは間違いありません。
 外見は、現代の地球に伝わる「餓鬼」のような風貌であったり、魔獣化した兎や猪のようでもあったりと様々で、中には多少の言語を口にする者もいるようです。
 あまり知能は高くないようですので「お前は誰だ!」と問えば「誰々だ!」と反射的に答える可能性も……あるかもしれません。
 この者たちは看過すれば民の命を平気で奪いますので、遭遇したら撃退して下さい。
 現時点ではどういった攻撃が有効かなども判明していませんが、倒せない敵ではない筈ですので、色々と試して頑張ってみて下さい。

 このパート内では、お駒も動いています。
 どうアクションを掛けたらいいか分からない、どう動いたらいいか分からない、知らない土地を一人で歩くなんてイヤ! ……などとお悩みの方は、お駒に絡んでみて下さい。
 一緒に人助けをしながらウロウロしてくれると思います。
 とはいえ、彼女の持つ情報量は皆様と大差ないものですし、無理に絡む必要はありません。

 総じて、このアクションパートは行動の自由度が他パートに比べて大きいと言えますが、出羽の民から皆様「渡来人」に対する信頼度と好感度をどれだけ上げられるかが掛かっている重要なパートでもあります。
 禍々しい者たちからただ逃げるだけだったり、ただ芸事を披露して帰るだけだったりすると、民の気持ちは皆様に向かないばかりか、下手をすると「苦しんでいる私たちをひやかしに来たのか」と反感を買いかねません。
 しかし、敵から逃げたり芸事を披露したりする際に、その前後で民の苦痛に寄り添いガッチリ心を掴むことが出来れば、反対に大きな効果を期待出来るでしょう。
 皆様の個性を生かし、慎重且つ大胆に動いてみましょう。


■2,春之進とともにトラブルの解決に当たる

 春之進と一緒に前川二郎左衛門邸に向かい、農民との間に起こっているトラブルを解決して下さい。
 出羽は、集落ごとに長がいて、農民は長に年貢米を納め、長は年貢米を国に納めるというシステムです。
 それぞれの集落は、万一の時のために年貢米のうちいくらかを備蓄することが義務づけられており、この備蓄米を「蔵米」と呼んでいます。
 雅仁は、現在の危機的状況だけでなく、田畑を踏み荒らされ今後の収穫が絶望的であることも考慮して蔵米の放出を各集落の長に命じました。
 大半の長はすぐに従いましたが、前川集落の長である前川二郎左衛門はこれを無視しています。
 二郎左衛門は狡猾で嫉妬深いうえに、「上には媚びへつらい、下には横暴」、「誰よりも己が可愛い、何よりも金が大事」、「お前の物は俺の物、俺の物も俺の物」という典型的クズで、これまで彼に噛みついた農民は悲惨な村八分を受けた末に追い出されたりなどもしております。
 それでも、代々前川集落の長を務めてきたという由緒ある家柄のおかげで二郎左衛門は現在の地位を維持しています。
 クズ大嫌いの雅仁は速攻でぶん殴って言うことを聞かせるという解決方法に出ようとしましたが、春之進はこれを制止しました。
 二郎左衛門は毎年最多量の年貢米を納める前川集落の長であり、数多の行商人や職人、果ては御殿に出入りするような高貴な身分の者たちとも繋がりがあり、上手く抱え込んで荒稼ぎしているからです。
 更に、二郎左衛門は稼いだ金で多くの使用人(という名の悪党たち)を雇っており、何か事が荒立てばいつでもその連中が出てきます。
 元々高貴な家柄の春之進は、こうした裏事情からぶん殴るだけでは事態が好転しないことを知っています。
 春之進はぶん殴って黙らせる以外の方法で二郎左衛門に蔵米を放出させたいと考えていますが、相手が相手だけにどう打って出るべきか内心頭を悩ませており、解決のために皆様の力を借りたいようです。
 このパートは、二郎左衛門に蔵米を放出させることが出来ればとりあえず成功です。
 巡り巡って結局ぶん殴るという解決方法になったとしても……です。
 もちろんその場合は後々面倒が起こるかもしれませんが……。

 このパートは、皆様がどう二郎左衛門にアプローチしていかに平和的に蔵米を放出させるかがカギとなります。
 アイディアを捻り出して上手く蔵米を引き出しましょう。
 ちなみに、春之進はとても開放的な人柄ですので、何か質問したら知っていることであれば喜んでペラペラ答えてくれると思います。
 気になること、聞きたいことがありましたら遠慮なく訊いてみて下さい。


■3,雅仁とともに留(とめ)という名の巫女に会いに行く

 雅仁と一緒に留という巫女の話を聞きに行きます。
 行き先は「鳥湖山(ちょうこざん)」という霊山です。
 この霊山にある社に留は住んでいます。
 留はかなりの高齢ですが、出羽に生きる巫女の中では最も高い霊力の持ち主で、影月から降下してくる禍々しい者たちも結界で社に寄せ付けないようにしています。
 そのため、社周辺では戦闘は発生しないものと思われますが、その道中で敵に遭遇する恐れはございますので、最低限の備えは怠らない方が良いかと思います。
 留は先祖代々伝わる出羽の歴史の継承者で、千年以上、更にそのまた昔の神話めいた伝説も知っています。
 それが現在の異変に関わりがあるかどうかは分かりませんが、知っておいて損はないでしょう。

 このパートでは、社と御殿の間の道中では雅仁から、社では留からそれぞれ主に話を聞く形となります。
 両者とも皆様が現状打破の切り札であると信じていますので、質問されれば知る限りのことを答えるでしょう。
 ここでどれだけの情報を引き出せるかが今後の皆様の動きやすさにも繋がると思われますので、気になることはどんどん質問して下さい。
 もちろん皆様が想定した答えが返ってくるとは限りませんし、せっかく質問しても「分からない」といった回答が出る可能性もありますが、それは決して無駄なことではありません。恐れずに訊いてみましょう。
 ただし、雅仁も留も皆様と同じく心を持っていますので、心無い質問や言葉を浴びせれば一気に不信感を抱き、結果的に皆様がこの小世界で行動しにくくなってしまいますので、その点だけはご注意下さい。


■出現する敵について

 アクションパート1の説明で触れましたが、現時点ではとりあえず「禍々しい者」と表現されています。春之進はガイド内で「奴ら」とも言っています。
 外見は餓鬼のような人型であったり、四足歩行の獣のようであったりと様々で、中には簡単な言語を解する個体もいるようです。
 武装した者はいるのか、どんな攻撃手段を取ってくるのか、特異者のどんな攻撃が有効なのか……なども判明していません。
 ただ、現地の武士団がある程度押し返せる状態でもあるようなので、レベルをロックされた状態の皆様でも十分太刀打ちは可能と思われます。
 油断せず、されど恐れず! 様々な攻撃を試して情報を収集していきましょう。


市中で行動する 【現在のMC参加人数:17】

2

春之進とともにトラブルの解決に当たる 【現在のMC参加人数:7】

1

雅仁とともに留(とめ)という名の巫女に会いに行く 【現在のMC参加人数:6】

2