浮遊大陸アーク、アルスター辺境伯領。
突然倒れた父であるアルスター辺境伯
イーモン・アルスターの代理となった
フィオナ・アルスターは、後見人にして叔父であるラードナー伯爵
キリアン・ラードナーに、シャングリラ探索船団を発進させるよう迫られていました。
「アルスター辺境伯領と我がラードナー伯爵領の戦力を結集すれば、あなたが結成したフィオナ騎士団は遊撃戦力としてシャングリラ探索へと向かうことができます。あなたがかねてより望んでいた、シャングリラ探索と領地防衛の両立ですよ。”高貴なる者の義務”を、今こそ為すべきときではありませんか?」
「ですが、お父様の容態が心配で……」
ためらうフィオナに、覆いかぶさるようにしてキリアンは告げます。
「イーモン殿のことはあなたの母上
ブリジットが看ています。心配するに及びません。さあ、あなたがアルスター辺境伯領の次期当主に付さわしいかどうか、”高貴なる者の義務”を体現することで民人に知らしめようではありませんか」
キリアンに後ろから抱きしめられ、フィオナは頷くのでした。
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その頃、アルスター辺境伯領では「アルスター辺境伯を病の床につかせたのはキリアンではないか」と言う噂が立っていました。多くは批判の声でしたが、中にはキリアンが実質的なアルスター辺境伯領の支配者となったことに対する喜びの声も上がっていました。
「イーモン様は武辺一辺倒のお方で、辺境伯領を見ていなかった、しかしラードナー伯爵は内政の達人。きっと暮らし向きも良くなる」と。
筋道としては、噂をもとにした言い争いで、どちらも根拠というものがありません。しかしキリアンが内政の達人であることは事実で、それに期待を抱く領民の声はだんだんと高まりを見せていました。
「このままでは彼奴に我が辺境伯領を言いようにされてしまう……」
病床のイーモンはベッドに横たわり、憂い顔で言いました。
「だがワシが領民を見ていなかったのも事実。元気になれば、これまでのあり方を見直す必要がある……」
そう反省もするイーモンでしたが、病は段々と重くなるばかりです。
果たして、イーモンは再び辺境伯として返り咲き、反省を生かした政を行うことができるのか、自分でも自信が持てなくなっていました。
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キリアンの言を受け、シャングリラ探索のための先遣隊として、フィオナは出陣しました。ですが、アークの進行方向ほど近い場所に、バルバロイの巣を発見し、まずはこれを掃討することとしました。
巣はバルバロイが通れる坑道が縦横に連なった形をしており、ドラグーンアーマーやスタンドガレオンでも探索できます。中には空気もあるようで、何らかの形で生態系が維持されているものと思われました。
「バルバロイを掃討し、探索すれば、バルバロイを知る手がかりが見つかるかも知れません」
フィオナはそう述べ、騎士団員に協力を求めました。
果たしてフィオナはバルバロイの巣を掃討し、バルバロイの謎に迫る手がかりを見つけられるでしょうか?