クリエイティブRPG

たそがれ夜祭り

リアクション公開中!

 0

たそがれ夜祭り
基本情報

マスター:寺岡志乃
ワールド:大和
 
 

料金

MC参加:150ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:4
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2017年03月31日公開!

シナリオガイド

楽しくてちょっぴり怖い? 妖たちの夜祭りにまぎれ込んでみませんか

シナリオ名:たそがれ夜祭り / 担当マスター:寺岡志乃



 これは私が7つのときに体験した話です。

 私の家の箪笥の上には長らく古い陶器製の人形がありました。
 私が生まれる前、父と母が結婚するより前に、父が都へ行商に行った際に土産として買ってきて、母に贈った物だと聞いた覚えがあります。
 きっと、値の張った物だったのでしょう。質素なわが家には不似合いな、きれいな着物を着た女の人のその人形は、子どもの私の目を惹きつけてやまず、母もそれを知っていたのでしょう、手の届かない箪笥の上に飾って、絶対に触ってはいけないと私に約束をさせていました。
 でも私はどうしてもそれを手にとってみたくてたまらず……ある日、思いついたのです。箪笥の一番下の引き出しを開けて、その上に乗れば手が届くのではないかと。
 そうしてみたところ、ぎりぎり指が箪笥の上のへりに届きました。
 あと少しと踵を上げたとき、指先に集中していた私のひざが箪笥に当たり、箪笥が揺れました。
 あっと思ったときには遅く、人形は箪笥から転げ落ちて、畳の上でかちゃんと小さな音を立てたのです。
 人形の傘を持つ白い腕に、ひびが入っていました。美しい顔の横に小さな欠片がぽつぽつと落ちてもいて、どこかが割れているのだと分かります。
 母に怒られる! そう思った私は、次の瞬間家から飛び出していました。
 そして西の森へ向かったのです。


 なぜ西の森へ向かったかは分かりません。とにかく家から離れられればどこでもよく、それがたまたま西の森だったというだけでしょう。
 とり返しのつかないことをした、どうしようとそればかりが頭で巡り、私は泣きそうになっていました。
 いえ、実際泣いていたのだと思います。
 西の森には小さな神社があり、そこへ続く山道を途方に暮れながら歩いていると、向こうから人の来る気配がしました。
 ちょうどその日は年越しで、氏子による祭りの準備が神社で行われていることを思い出した私は、とっさに目についた脇道へ飛び込みました。
 準備を終えた人たちが、談笑しながら村へ下りて行くのが木々の間から見えました。私は道へ戻りませんでした。ひとりでいるところを見つかれば家へ連れ戻される、そして母に怒られると考えたのです。
 高い笛の音が上のほうからかすかに聞こえてきて、きっと神社の境内で祭囃子の練習をしているのだと思った私は、そのまま笛の音を頼りに上がって行きました。


 その細道は獣道に似ていました。きっと本道ができる前に使われていた道なのでしょう。人の使っている様子はなく、整備された本道と違い、場所によっては枝にふさがれていたりもしていて、道は暗く、だんだんと私は不安になっていきました。
 神社まで、こんなに遠かったろうか? もう本道へ戻るべきなのでは?
 はっきりとそう考えたわけではありませんが、とにかく本道へ戻ろうと横を見たとき。並行しているとばかり思っていた本道からかなり離れていることに気づきました。見えないわけではありませんが、間には木々の作り出した濃い闇が広がっていて、じっと見ていると、得体の知れない何かがうごめいているような気がしました。
 何かを見たわけではなく、気のせいだったかもしれません。しかし私は怖くてたまらず、そこに踏み込むことはできませんでした。
 もう道なりに進むしかありません。そのころには笛の音だけでなく太鼓の音も聞こえていましたから、とにかく神社に続いているのは間違いないと自分をふるい立たせて、私は道を進んでいきました。


 やがて道の先に祭りの明かりがぽつぽつと見え始め、私はほっとしました。
 もうこれで安心と、駆け出した道の先にいたのは、ひとりの男性でした。

 ――いらっしゃい。待っていたよ。ことしは思ったより早かったね。

 男性、だと思います。分かりません。初めて見たときは男性と思いましたが、近づくと女性に思え、横を向いたときは男性かもと思い直し、話しかけられたときはやはり女性だと思いました。歳も、20歳にも40歳にも見えました。
 不思議なその人は、自分のことを「案内人」と名乗りました。
 ――私のことを知っているの?
 ――いいや。きみと会うのは初めてだよ。ただ、ここには毎年必ずきみのような人間が来るのさ。さあ、あれを受け取って。
 案内人は道の脇にござを敷いて胡坐をかいている、天狗の仮面をつけた人を見るように促しました。
 ござには幾つか手提げ提灯が並んでいます。
 ――これがないときみは祭りの客と認められなくて、参加できないんだ。さあ。
 再度促され、私はためらいながらもそのなかの1つを指さしました。ほおずきの形をした朱色の提灯です。
 ――かわいいね。じゃあ行こうか。


 案内人に連れられて、私はおっかなびっくり、祭りのなかへ入って行きました。
 まだ夜の浅い時刻のはずでしたが、祭りはすでににぎやかでした。人波のせいで向かい側の店の様子はうかがえないほどです。
 私の村は比較的小さな村ですが、祭りの際にはいろんな商人が訪れますし、年越し前の祭りということで近隣の村から買い出しに来る人も大勢いましたから、最初は特に気になりませんでした。ですがだんだんと、この祭りが知っている祭りとは違うことに気付いていったのです。
 うまく言えませんが、周囲の客も香具師も、本当に人間か、疑うような容姿をしていました。ときにはぎょっとする面相の者もいましたし、小山のように大きな体の人、体と比べて顔が大きく長い人や、とがった歯が飛び出している人、おかしな所に大きな手がついている人などがいました。ですが、香具師は屋台やござを挟んだ向こう側にいましたし、すれ違う者たちもだれひとり小さな子どもの私のことなど気にも留めていないふうでしたので、そんなに怖くはありませんでした。
 ただ、それまで見たことのない格好でしたので大変ものめずらしく、興味津々の目を向けていますと、案内人が言いました。
 ――きみは度胸があるんだね。この前の客は大変だったよ。入り口をくぐるなり、恐怖のあまり取り乱して泣きだしてしまってね。なだめるのにすごく苦労したんだ。
 ――怖いの?
 ――怖くはないよ。約束をきちんと守ればね。
 ――約束?
 ――そう。どこにでも守らなくちゃいけない約束はあるだろう? たとえば、ごはんを食べる前には「いただきます」と言わないといけないとか。
 そんな簡単なことかと、私はほっとしました。
 ――ここでは、けんかをしちゃいけないんだ。うそをついてもいけない。相手をだましたり、傷つけることを、ここの神様は嫌っているんだよ。
 ――守れないとどうなるの?
 ――さあ。ここからほうり出されるのは確かだけど、それからどうなるかは私にも分からない。私はここから離れられないし。ただ、二度と現れないことは知ってる。
 そして案内人は、面売りの屋台からキツネ面を買うと、私にかけてくれました。
 ――あまりじろじろ見ちゃだめだよ。
 ――それも約束なの?
 ――いいや。ただ、そういうふうに見られると、きみもいい気はしないでしょ? これは、泣かないでくれたご褒美。ことしの人間がきみで良かったよ。楽ができる。
 そう言って軽く笑う案内人に、いつしか私は警戒心を緩ませていました。
 ――混んできたね。はぐれないよう、手をつなごうか。
 ――うん。
 片手にほおずき提灯を持ち、片手は案内人とつないで、私は祭りを見て歩きました。
 ――買うかい? これは大丈夫。見たとおりの物で、きみも食べられるよ。
 ふと、屋台に並んだりんごあめとひやしあめ(のように見える物)を見つめている私に気づいた案内人に訊かれましたが、私は首を振りました。
 ――買えないわ。お金がないもの。
 ――支払いはお金でなくてもいいんだよ。
 案内人の言葉に、サルのような面相をした毛むくじゃらの屋台の主もうなずきました。
 いわく、ここの祭りは等価交換なのだそうです。お金でもいいし、何か別の物でもいい、それが欲しいと思う気持ちに見合うだけの物であればいいのだということでした。
 ですが、私は本当に何も持っていなかったのです。着物以外であるのは履物ぐらいでしたが、どちらも到底差し出せる物ではありませんでした。
 でも、そのときの私はとてもおなかが空いており、のどが渇いていました。
 じっと見つめる私を見て、屋台の主が案内人に何事かを話します。次に案内人は少し困ったような顔をして私を見下ろしましたが、彼が何を言ったか教えてくれました。
 ――彼は提案をしてきた。きみが今心に抱えているものと交換でいいって。
 ――心に抱えているもの?
 ――支払いは、必ずしも物でなくてもいいんだよ。もちろん、それ以上でもそれ以下でもない。きみの魂を差し出せとか、体の機能の一部を渡せとか、そんなことではないんだ。あくまで等価交換だからね。
 りんごあめとひやしあめ、この2つと交換できる私の持つ何か。
 これくらいならきっとたいしたことにはならないだろうと、私は交換に応じました。
 それが後になって、どれほど悔やむことになるか、気づくことなく……。


 出口で案内人と別れた私は、楽しかった祭りの昂揚感に最初のうちこそ満たされていたのですが、それが薄れていくにしたがって、割った人形のことを思い出し、心がふさがれていきました。戻ることをためらい、くよくよと迷っていましたが、ほかに行くあてはありません。ほおずき提灯を手に重い足取りで戻った私を、母は案の定叱りつけました。ですがそれは、遅くまで遊んでいたことに対する心配の叱りでした。
 人形が割れたことに母は気付いていないのだろうか? 私はびっくりしました。私は人形を隠すことも、箪笥の上に戻しておくことも思い浮かばず、ただ逃げ出していましたから、母がそのことに気づかないはずはないのです。
 箪笥の上にも机の上にも、人形はありませんでした。
 私は思い切って、人形のことを尋ねました。
 ――人形って?
 私は驚きました。母はあの人形のことをきれいさっぱり忘れてしまっていたのです。母だけではありません。村のだれひとり、私以外の人間は、そこに人形があったことを覚えていませんでした。
 すぐにこれがあの屋台の主の言ったことだと思い当たり、私はほっとしました。人形が消えて、みんな人形のことを忘れているから、私は怒られずにすんだのだと。
 それから数年の間、私はそのことを「良いこと」だと思っていました。
 ですが、歳を重ねていくうちに、あることに思いあたったのです。
 私は母の、亡き父との大切な思い出を消してしまったのだと……。


 以来、私はそれを取り戻したくてたまらなくなり、何度もあの夜祭りへ行こうとしましたが、ついぞ叶いませんでした。
 あれから30年近く時が流れました。
 あの夜祭りは、今もどこかで開かれているのでしょうか。
 
担当マスターより

▼担当マスター:寺岡志乃

マスターコメント

 こんにちは、またははじめまして。寺岡志乃といいます。
 こちらは、簡単に言えば、妖の夜祭りにまぎれ込んで楽しもう、というシナリオです。

 夜祭りへの参加方法は、ひと気のない道を歩くだけです。夜祭りを開いている神社の神様に導かれて、参加できます。
 屋台で買い物したり、食べたり、(妖アバターで)売ったりできます。
 売り手が妖、客もほとんどが妖というだけで、約束を守れば特に危険はありません。
 ※ただしアイテムや所持金を増減させたり、目の色や髪の色、身長、性別、名前といった外見を変更することはできません。


夜祭り参加者の約束
1.けんかをしないこと
2.うそをついたりして、だまさないこと
3.何かを売ったり買ったりする場合は、等価交換(お金でもいいし、物でも、事象でも、記憶でもいい)

 約束を守らなかったときは、神様に夜祭りから放り出されて二度と参加できなくなる以外にも、何が起きるか分かりません。


NPCについて
・提灯売り
 入り口にいて、好きな形の提灯をひとり1つ受け取ることができます。これがないと人間は夜祭りに参加することができません。
 祭りで買った物同様に持ち帰ることができます。

・案内人
 入り口に立っていて、歓迎してくれます。背が高く痩身。年齢性別不明。物腰柔らかく、愛想がいいです。
 基本的に同行しますが、必要ないようでしたら同行しません。


注意
・先ほど「特に危険はない」と書きましたが、もちろん妖ですから、そこそこあやしい店はあります。「約束」がルールとして機能していますので命を落とす危険は低いですが、妖が妖用に作っている物ですから、何かを口に入れるときは、原材料についてはあえて聞かないか、聞いて、問題ないと判断してから口にする必要があるかもしれません(虫やカエルやネズミやらの可能性が……)。
・品揃えは、ここにないものはないというくらい多岐に渡っており、また売っているのは必ずしも「物」であるとは限りません。
・場合によっては「等価」と判断されず、断られる可能性があります。




それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。

客として参加する

2

売り手になってみる

2

その他

1