シナリオガイド
肉体は溶け、血は啜られる――
シナリオ名:【シュテルン】血染めの闇夜【第三話/全六話】 / 担当マスター:柳下 蛍
ウニヴェルズム研究所の敷地の一角で、ジルヴェスター・アルニムが冒険者たちと共に、彼らが連れ帰った偽者の尋問をしていました。
ジルヴェスターの厳しく、時折目を背けたくなるような尋問に偽者たちはやっと「お父様が国を統べるために、月の聖女と王政府、邪魔な星屑を消そうとしている」という事実を聞き出しました。
月の聖女の危機に、ジルヴェスターとアルバン・アルニムは焦りを隠せません。
そこへいなくなった戦士クルトの捜索をしていたユリウスが帰ってきます。
「ジルさん、クルトを見つけることが出来ませんでした。申し訳ありません」
「そうか。気にはなるが研究所にいる間はこれ以上勝手な真似も出来んしな。クルトは偽者との戦いで死んだものと思う。ユリウス、手間を掛けたな」
「いえ。……ところで、カルラはもう帰りましたか? 俺より早くに帰したはずですが」
「カルラ? おいアルバン、カルラを見たか?」
「ううん、さっきまで姉ちゃんといたけど、そこにも来なかったぜ。おかしいなー、カルラならすぐに姉ちゃんのとこにすっ飛んでいきそうなのに」
その時、研究所の正門付近がざわつき始めます。
研究所所属になった星屑たちが向かいますが、しばらくすると彼らの叫び声が聞こえ、やがて静まります。
嫌な予感にジルヴェスターたちが身構えると、満月を背負って禍々しい存在たちが姿を現しました。
「あはぁっ! 粗大ゴミ、みーつけたっ!」
「か、カミル!?」
カミル・ハイトラーは吸血鬼のみで構成された王政府の特別軍隊、明星隊の隊長です。
太陽の出ていない時にしか活動が出来ないのでその存在を知る国民はほとんどいません。
この国の吸血鬼は全て明星隊に属しており、実質的にカミルはシュテルン世界の吸血鬼のリーダーとなっています。ジルヴェスターは唇を噛みました。
そのカミルが、部下たちを引き連れてやってきたのです。
「リカルダから報告があったから、いるなとは思ったけどぉ! 隠れもしないで間抜け面並べてんだから、ゴミってほんとどこまでもゴミだよねぇ!」
「ゴミじゃねえよ星屑だ!」
「やめろアルバン! あいつの思うツボだ!」
「あ、そうそう。話してくれたゴミにはお礼言わなきゃねえ。お前は資源ゴミに格上げかな! リカルダ」
「はい」
カミルの専属メイドで、ヒルフェ城のメイド長を務めるリカルダ・トウドウが血塗れの何かをジルヴェスターたちの前に投げました。
それは、拷問の痕が生々しいカルラだったのです。
「カルラ!!!」
「……ご、めん……ねぇ……あ、あた……しっ……」
カルラは駆け寄った三人を見て涙を流した後、息絶えました。
騒ぎに駆けつけたゼルマ・バッハマンとアルマ・アルニムも絶句しています。
「やっぱり、研究所はゴミと仲良かったんだねぇ! 研究所はゴミを助けるために作られた隠れ蓑だったりしてぇ。だとしたら、月の聖女様を騙したことになるよねぇ?」
「違う! 俺らは研究所を乗っ取ったんだ! こいつらは武力を持たねえから抵抗されても勝てると思って、俺たちはここを占拠した!!」
「いいよ、アルニム。こいつには言い訳は通用しない。流星軍ならなんとか騙せたけど、まさか明星隊が嗅ぎつけるとはね……」
ゼルマはアルマに研究員と共に、研究データを持って逃げるように伝えました。どうやらゼルマもここに残って戦うようです。
続々と星屑たちも集まり、武装をし、相対することになりました。
〓〓
「随分しっかり作られた地下道だな……」
ローレンツ・オーベルとツヴァイ・クラインは不審者が消えた地下道を歩きます。
地下道ですがレンガできちんと舗装され、等間隔に電球の明かりまでついていました。
しかし、進行方向から多くの足音がやってきます。尾行を察した二人が、味方を呼んでローレンツたちを倒そうとしたのです。
「ツヴァイ、手加減は無用だ。これだけ行く手を邪魔するのだから、きっと我らに見られては困るものがあるはず、それを見極めなければ」
「……はい、わかり……ました……」
〓〓
その頃、王妃の謁見を無事終えた特異者たちは、シュヴァルツェスロッホのある処刑場へ来ていました。
ガラス張りの部屋から、死刑囚二人が放り投げられるのを見ています。
怯える男たちの様子に、見ているだけの特異者たちも顔がこわばります。
〓〓
死刑囚がシュヴァルツェスロッホに存在を感知され、吸い込まれ始めた頃、ヒルフェ城の最奥にある部屋で眠る月の聖女に変化がありました。
「うっ……! いた……い……! だ、れか……!!」
胸が痛み、月の聖女は虚ろに目を開きました。
担当マスターより
今回から、MC参加ポイントを200ptに都合により変更させて頂きます。
ご迷惑をお掛けしますが、何卒ご了承ください。
一話に参加されて、二話に参加されなかった方が今回参加された時に水星質を選ばれた場合にも前回同様ランク二からのスタートとさせて頂きます。アクションに一話参加済とご記入ください。ご参加お待ちしております。
あらすじ
星屑は尋問をしましたが、お父様が誰なのかまでは聞き出せませんでした。
そんな中、ウニヴェルズム研究所に明星隊がやってきます。
リカルダの報告と、カルラへの拷問で星屑の潜伏を確信したカミルが攻めてきたのです。
残酷なカミルに言い訳も通用せず、研究所もろとも星屑は滅ぼされようとしています。
ですが、ゼルマは星屑を受け入れた時から星屑と運命を共にする覚悟であり、ジルヴェスターたちもただでやられはしません。
カルラの死を悼む間もなく、戦いの火蓋は切って落とされました。
一方ローレンツたちはしっかりと作られた地下道を探索していましたが、目の前に敵が現れ、こちらでも戦いを余儀なくされます。
城では謁見を終えた特異者たちがシュヴァルツェスロッホでの死刑執行を眺めています。
それと同時に、月の聖女が激しい痛みで微かに目を開きました。
▼このシナリオの概要
今回は五つのパートに分かれております。
まずは「第一話で研究所勤務を選んだ特異者様」のみ選ぶ事の出来る
・アルマや研究員たちと共に研究データを回収し、無事に避難する
です。
カミルは、王妃への手土産に研究データを奪ってから研究所を破壊するつもりです。
このパートを選んだ方々は研究データと研究成果の二つの物質が組み合わされた金属を回収し途中それを奪おうとする吸血鬼たちを倒すことをして頂きたいです。
研究データが散らばっていますので、アルマや研究員と共に協力して回収、避難をしましょう。
回収場所は二箇所から、研究所一階の比較的脱出しやすい方か、最上階でより回収と脱出に時間が掛かる方、どちらかをお選びください。一階では吸血鬼に会うことはありません。
アルマと協力すると書いて頂けると彼女との会話も描写することが出来ます。アルマは最上階に向かいます。
吸血鬼たちは全員金星質で、積極的に手で触れようとします。触れられると衣服もろとも皮膚が爛れ、痛みに呻いている間に血を吸われます。
飛翔も出来ますが、明星隊の中では一兵卒扱いです。
次は、
・リカルダと対決する
です。
木星質の一等星・リカルダは女性では珍しい百九十センチの大柄な女性で、風來族として戦闘訓練も積んでいたので体力はずば抜けています。
木星質の能力で、必殺技として巨大化(リカルダの場合は八メートル)になって踏みつけたり、周囲の群がる敵を蹴散らすことがあります。必殺技発動前には、手を一回叩くモーションがあります。
ですが巨大化は体力維持のために必殺技を出す時にしか発動しません。
うまく見極めて反撃しましょう。
基本的には風來族伝統の武器、クナイを投げたり突き刺したり、木星質の伸縮可能な大剣「イワナガヒメ」を使った攻撃が主になっております。
また、銃を持ったメイド隊が援護することもあります。
死亡判定アリです
また、リカルダとの対決ではユリウスとアルバンが協力します。
ユリウスはクロスボウでの後方支援、アルバンはパルチザンでの前衛攻撃が出来ます。
彼らと連携を取るアクションもお待ちしております。
・カミルと対決する
金星質の一等星・カミルはまだ十四歳の少年で、平均よりも痩せて背も小さいです。
ですが、残酷さでは右に出る者はおらず、ローレンツよりもえげつない攻撃を仕掛けるので非常に厄介です。
手から意図的に汗を飛散させ、それでも物を溶かすことが可能です。
また、ヴェーヌスブーツという、底に金星質の刃が仕込んであるブーツで斬りつけてきます。
防具を装備すると多少溶ける速度が緩やかになりますが、長時間触れられていると完全に溶けてしまいます。
吸血鬼なので飛翔も可能です。
カミルも他の吸血鬼も基本的には一人での戦闘しかしないので、連携の取れた攻撃には怯み、翻弄されやすいです。
連携を断つために一人ずつ確実に潰そうとするので、皆様の絆と頭脳が試されるパートでもあります。
また、身近でカミルが窮地に立つと、リカルダが自身の戦いを放棄して援護に入ります。
二人を引き離すことが出来れば、リカルダは来ません。
死亡判定アリです
このパートではジルヴェスター、ゼルマが協力します。
ジルヴェスターはメルクールという、刃先がギザギザの大剣で前衛、ゼルマは味方に対して土星質の薬液を掛けて体力回復と自然治癒を促進させる援護をします。金星質の傷には効果が大きく、素早く現れます。
お一人で参加予定の方は、ジルヴェスターとゼルマと協力し合うことで連携を取れます。
もちろん、複数で参加されても二人とは協力可能です。
次は
・ローレンツたちと共に地下道を突破する
です。
地下道の先には今回の偽者騒動に関係する何かがありそうです。
ですが、それを阻む敵が詰めかけたのでこれらを倒し、ゴールの扉まで辿り着きましょう。
蟻の巣のような構造になっているので、一本道の側面には部屋がたくさん付いていて、そこから敵が現れます。
敵は前回の偽者と同じで、ほとんどが火星質です。その中に数名、幻覚のようなもので翻弄してくる敵もいますが、強風が吹くと幻覚は消えるようです。
地下道なので手榴弾は使いませんが、武器は全て金星質です。
このパートではローレンツ、ツヴァイが参加します。
アクションに書いて頂ければ彼らと協力することも可能です。
次は第二話で王妃の謁見を通った特異者様のみ選択可能な
・月の聖女から話を聞く
です。シュヴァルツェスロッホでの処刑を見るところから始まります。
月の聖女は痛みで目が覚めたようですが、朦朧としてうまく話せません。
やつれた聖女に治療術を施したり、食べ物を与えたりして体力を回復させてあげてください。
今回で完治は出来ませんが、皆様のアクションによってはある程度の会話が可能になるところまで回復しますので、そこから皆様の気になることを聞き出すことが出来ます。
見張りの兵士たちが監視していますので、月の聖女に対する無礼は処罰の対象となります。
死亡判定ではありませんが、捕まる可能性はあります。
月の聖女は流星軍の動向が気にかかるようで、様子を見たいと思っています。
話すことが思い浮かばない方は、その件について聞いてみることもいいかと思います。
★パート選びについて
研究所と月の聖女と会うパートは、特定の特異者様しか入れません。
研究所パートは、一話で所属が決定していれば二話に参加していなくても大丈夫です。
上記のパートに入れない方が間違えて入った場合、白紙アクションと同じ扱いになります。
お気をつけてください。
星屑と流星軍は、前回までの所属が影響しないので、その都度好きな方をお選びください。
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特異者様のみ星質の力をレベル分けがあります。
三段階に分けて、一度星質を選んだらその星質のランク一からスタート出来ます。
ランク一から二は同じ星質を選び続けることで、二から三ではアクションでうまく星質を使えると上がります。
特定のランクの星質が強敵に今後挑む時に必要になる場合もあるかもしれません。
また、水星質ランク二→土星質ランク一に変えた後に水星質に戻しても一度得たランクは継続されます。ご安心ください。
称号をつけて参加して頂けると、星質の加護が与えられ、星質を使ったアクションが成功しやすくなります。
また、称号のランクを見てランク上げ判定を行うので、称号がついてない場合、星質はランクが上がりません。
称号とアクションが違う場合はアクションを優先させて頂きます。
ランク一・シュテルンヒンメル、ランク二・ミルヒシュトラーセ、ランク三・ゾンネンジュステーム
▼星質について
まず、この世界の特徴である「星質」の能力についてです。
この世界ではすべての人間と、少しの物質に星質という特殊能力が備わっています。
シュテルンの人々は生まれ持った星質しか使うことは出来ませんが、特異者の皆様はこの世界のゲートをくぐる際に任意のものを一つ選ぶことが出来ます。
今回から「水星質」「火星質」「土星質」「木星質」「金星質」「海王星質」「天王星質」の、特異者様が使える星質は全部開放致します。
参考にするため、星質の能力を記載します。
●水星質 順応の星 外的気温のいかなる変化にも対応し、快適に過ごすことができる。ランクが上がるごとに戦いやすさが増し、それによって物理攻撃の威力が1.5倍から3倍に上昇する
●火星質 能動の星 重力を操ることが出来る。自在な浮遊や、スキルの威力を高めることが可能。スキルの威力上昇値は水星質と同じ
●土星質 守護の星 手から発される結界に守られた対象物一つ(自身でも可)が十五分間無傷でいられる。このシナリオで十五分は特異者様と敵の攻撃の応酬が一度終わるまでです。ランク一ではシナリオ中一回、二では三回、三では前の結界が消え次第何回でも可能となります
●木星質 無量の星 自分の体のみ、身長に応じて最大八メートルまで巨大化する。(160センチまでは6メートル、161から170センチまでは7メートル、171から上は8メートル)巨大化の制限回数はランク一ではシナリオ中巨大化攻撃一回、二では三回、三では任意の時間、何回でも可能です
●金星質 対極の星 吸血鬼のみに現れる星質。ですので、この星質を選べるのはメインアバターを半吸血鬼に設定した人のみになります。アバターが違う場合は星質を使ったアクションは不採用となります。手に触れた物を溶かせる。ランクが上がるごとにシナリオ中で融解能力の描写が変わり、触れた敵へのダメージがランク二では3倍、三では5倍まで変わる。ランク三では意図的に汗を飛散させることも可能になります
●海王星質 母神の星 天王星質と手を触れ合わせた状態で強い催眠能力を発揮する。自傷と自死行為は不可。この星質を選ばれる際は天王星質のパートナーを決めて、アクションに記載してください。ランク一ではシナリオ中一回、二では三回、三では任意の回数催眠を掛けることが可能。場合によって催眠が効かないことはあります。パートナーを定めてない場合、アクションは不採用となります
●天王星質 父神の星 海王星質と同じです
シナリオごとに増えていく能力にその都度変えることも可能ですし、一つの能力を極めることも大切です。
シナリオの途中で別の星質に変えることは出来ません。
一シナリオにつき一つの星質です。
また、判定が難しいので敵にしか火星質の時間制限はありません。
特異者の方は最初から最後まで能力を発揮出来ます。
この世界では、月の聖女への不敬が重罪となっております。
月の聖女への暴言、彼女の愛するこの世界の破壊行動が露呈し捕まりますとシュバルツェスロッホ(ブラックホール)に落とされ、存在が消滅、つまり死刑になります。
特異者の方は一度だけ別の星質に変えることで生まれ変わることが可能ですが、二度目は生まれ変われませんのでご注意下さい。
その他、行動によっては生まれ変わりの効かないアバター死亡があります。
上記の様に、シュテルン世界では死亡判定をする場合がございます。
一度目の死亡判定を受けた場合、その死亡判定を受けた時のメインアバター・星質がシュテルン世界で使えなくなります。
二度目の死亡判定を受けた場合、その死亡判定を受けたPCはシュテルン世界に入ることができなくなります。
また例外的に一度目の死亡判定で、シュテルン世界に入ることができない場合もありますのでご注意ください。
アクション一覧
一・アルマと研究データを回収する。戦闘アリ
前回のシナリオで研究所所属を選ばれた方のみ選択可能なパートとなります。
そうでない方がこのパートを間違って選ばれた場合は白紙アクションと同じ扱いになります。
二・リカルダと対決する。
リカルダと戦います。
銃で援護するメイド隊もいます。
アルバンとユリウスが参加します。
三・カミルと対決する。
カミルと戦います。
ジルヴェスターとゼルマが参加します。
四・ローレンツたちと地下道を突破する。戦闘アリ
行く手を阻む敵を蹴散らして不審者の正体を暴きましょう。
五・月の聖女と話をする。戦闘ナシ
月の聖女の体力を回復させ、話を聞きましょう。
シュヴァルツェスロッホで処刑を見るところからスタートします。
●今回のNPC一覧
ジルヴェスター・アルニム 水星質の一等星 元流星軍の大将で、ローレンツと二人で二極星と呼ばれていたが、王妃のやり方についていけず軍を抜け、星屑を結成、レジスタンス的活動を行っている。四十六歳。
ローレンツ・オーベル 火星質の一等星 若くして流星軍の大将軍にまで上り詰めた美しき猛将。二十三歳。
アインス・クライン 流星軍新二極星 感情的になりやすいが、実力はローレンツも認めるほど。二十二歳。
ツヴァイ・クライン 流星軍新二極星 冷静沈着だが、暗い。二十歳。
ゼルマ・バッハマン 土星質の一等星絶対的中立を掲げたウニヴェルズム研究所の所長。気難しくて捻くれた性格。四十六歳。
アルマ・アルニム 星屑の一員であり頭脳。ジルヴェスターの義理の娘。十七歳。
アルバン・アルニム 星屑の一員、戦闘要員。ジルヴェスターの義理の息子。十六歳。
ユリウス 星屑の一員、後方支援担当。比較的冷静な星屑の戦士。二十歳。
カミル・ハイトラー 金星質の一等星 明星隊の隊長であり、シュテルン世界の吸血鬼の長。アルビノで、人形のような美しさがある。十四歳。
リカルダ・トウドウ 木星質の一等星 メイド隊の長。風來族唯一の生き残り。190センチの長身。二十六歳。