シナリオガイド
逃げだした付喪神を捕まえよう!?
シナリオ名:真剣乱々 / 担当マスター:篠崎砂美
そこは、何の変哲もない三叉路でした。
ワールドホライゾンの町中に不意に現れたその曲がり角を曲がると、裏路地とでも言うべき細い道に入ることができます。多分……。
だって、その通りはワールドホライゾンの都市伝説とまで言われる、知る人ぞ知る、黄昏裏小路だったのです。
興味本位で目指しても辿り着くことはまれです。
逆に、ただ街を歩いていたら、いつの間にかその小路を歩いていたと言うこともあります。
もっとも、何もしなければそのまま通りすぎてしまい、何も気づかないということもあるようです。
でも、そこにならぶ専門店の中に、古風な大きい木の看板を掲げるお店があることに、気づいてしまうことがあります。
『帰去来』
お店の看板にはそう書いてありました。
店主は、落ち着いた雰囲気の妙齢の女性です。男物の着流しを着こなし、黒髪は編まずに後ろへと流しています。端正だけれどちょっと気むずかしげな貌に見据えられると、なんだか心の中まで見透かされてしまいそうです。
扱っている物は刀剣類が主のようですが、必ずしもそうとは限らないようです。まあ、とりあえず今は刀剣ということにしておきましょう。
で、迷い込んじゃいましたよ、どうしましょう。
本当はパンタシアあたりで、楽しくお気楽極楽に過ごすはずだったのですが……。
「ほう、剣をお持ちか。そうだ、一つ頼まれてはくれぬかな」
店主が話しかけてきました。これはもう巻き込まれたパターンです。
「実は、先日、古い刀の鍔を手に入れたのだが、これがなんというか、すでに付喪神となっていて……」
聞きたくないけれど、聞いちゃいました。これはもう断れません。仕方ありません、諦めましょう。
なんでも、その鍔の付喪神、本体とも言える刀がないことが不満で、飛びだして行っちゃったそうなのです。どうやって?
「あの付喪神はちょっと特殊のようでな、人に取り憑くことができるようなのだ。いやはや、珍しい」
取り憑かれた人間は、本来の性格と付喪神の性格がごっちゃになって、わけの分からない性格になってしまうようです。ほとんど、正反対になると思ってもいいかもしれません。その上で、ナンパをしまくってるようです。
「まあ、ナンパと言っても、相手は人間ではないんだが……」
どうやら、道行く人の持っている刀に声をかけ回っているようです。
その刀につけてもらおうとでも思っているのでしょうか。
まあ、いくらワールドホライゾンだとはいえ、相手の刀が付喪神である可能性は限りなくゼロに近いわけですが。
いや、そこまで分かっているのであれば、店主が回収に行けばいい話なのではないのでしょうか。だいたい、その付喪神、ここの商品だったわけですし……。
「面倒なので……」
押しつけられました。絶対、押しつけられました!
さて、どうしましょう……。
一方、そのころ……。
「ヘーイ、そこの彼女ー。一緒に鍔迫り合いしない?」
不破舞夜です。なぜか、左目の眼帯として付喪神の鍔をつけています。相変わらず、物の怪に憑かれやすい体質のようです。
にしても、やはり性格が全然変わっています。
いつの間にか、黄昏小路からワールドホライゾンの表通りの方へとでているようでした。このまま放っておいたら、どこへ行ってしまうか分かりません。
こいつ、なんとかしなくちゃ……。
担当マスターより
ジャンル的に、スラップスティックコメディですので、ドタバタと騒いでください。
今回、舞台はパンタシアではありませんが、ノリは似たような物なので、酷い目は御褒美のノリでお願いします。多分、一部で酷いことになりそうですし……。
このシナリオでは、以下のローカルルールが適用されますので、これらを満たしてくださいませ。
1.刀剣
原則として、刀剣類を1つ装備してください。
ナイフなどでも構いません。
最低限、グループ内で一人は剣を装備していないと、付喪神は相手にしてくれません。
剣自慢はOKですが、ユニーク設定は自称と言うことで、本人以外は信じてくれない形になります。逆手にとって大ボラもありですが、当然色々突っ込まれます。
2.対決
剣を持っていると、付喪神が近寄ってきます。
正確には取り憑かれた人間が近づいてきます。付喪神自体は、人間体にはなりません。多分……。
基本的に、お互いの剣をかけて勝負を挑み、勝った方が相手の剣を奪う形になります。
勝負は、真剣勝負だろうと、野球拳だろうと、にらめっこだろうと、なんでも構いません。
付喪神が勝った場合、剣を奪われます。(アイテムはなくなりません)PCが勝った場合、付喪神は、勝ったPCか、その場にいたPCに乗り移って逃げて行きます。
基本、取り憑かれる場合は、勝負に勝つ形となります。あるいは、不意打ちで奪うかです。
これらから、取り憑かれている期間は、原則として、取り憑かれてから、次の対決で負けるまでとなります。案外短いので、次々に何かをするというのは、多少難しいと思います(ただのモブ無双はあり得ますが)。
3.憑依
NPCの付喪神は、このシナリオのみの特殊能力でPCやNPCに憑依できることとします。単体では、簡単な浮遊移動が可能です。
乗り移られると、性格は、だいたい本来と真逆になります。
アクションで、取り憑かれた後の性格や行動は指定できます。
ただし、話の都合上、取り憑かれた後のPCはNPCとして扱います。アクション指定の行動パターンに則って行動しますが、絡んでくる他PCのアクションによっては、NPC的にアクションにない独自の行動を取ります。
キャラ崩壊は必至ですので、崩したくないキャラには剣を持たせず、LCなどを生贄として剣を持たせて一緒に行動してください。あるいは、勝負には負け前提でアクションをかけてください。
または、勝負に勝った場合、LCが付喪神を回収して取り憑かれ、MCの剣を奪って逃げるなどとなります。その場合、奪った剣が使えない場合があります。
あるいは、帰去来で店主とお留守番も考えられますが、この場合ほとんど何もできないで、本当にお留守番ということになります。
店主に何か悪戯を仕掛けたり、根掘り葉掘り色々聞こうとしても、結果は出ませんので注意してください。設定的に、店内では、最強のPCでも、店主に小指一つでダウンされるパワーバランスとなります。まったりとお茶でもしてみんなの帰りを待っていてください。
当然、ぜひ取り憑いてくださいというアクションも可能です。ただし、対象が複数その場にいた場合は、ランダムで誰か一人ということになります。勝負したPCは優先度が高くなりますが、絶対ではありません。
なお、PL情報ですが、付喪神に触った段階で取り憑かれます。PCは知りません。うっかりさんは募集中です。取り憑かれた場合、付喪神である日本刀の鍔をアクセサリ的に身につける形となりますので、どのように身につけるか指定してください。眼帯、ペンダント、根付け、額飾り、ポケットに入れるなどなどです。
こうして次々にPCの手を渡り歩いていき、最後の人はお約束として帰去来に追い込まれてしまって終了となります。ないしは、友麻真央あたりを最終犠牲者にしますので、アクションは「付喪神を捕獲して帰去来に持っていく」ということよりも「付喪神を捕獲して帰去来に持っていこうとしたらあんなことに……」という感じで、過程を楽しんでください。
4.舞台
舞台は、ワールドホライゾンの市街地となります。ホライゾンビーチは不可とします。
基本的には街路で遭遇ですが、広場や公園、お店や施設など、自由に設定してもらって構いません。ただし、特定の場所ほど他のPCと絡まなくなりますので、意外性は減少します。この場合、付喪神は突然現れて、さっさと移動する形になります。
広場など、PCが極端に集中した場合は、時間軸をずらすなどして適当に分散させます。
5.別行動
いずれかのPCに文字数追加を行った場合、MCとLCの別行動が可能となります。
1名の文字数追加で、6人別行動でも構いません。
別行動をする場合、必ずパートで別行動を選択してください。
いくつかのグループに分かれて行動する場合は、それぞれのPCのアクションの1行目に、必ず【グループ名】を明記してください。ミスをなくすためには、単独行動も【】でグループ名をつけるといいでしょう。
他PLのPCとも、GAとしてグループ行動できます。ただし、【グループ名】が完全一致しない場合は、別グループと判断しますので、よく打ち合わせしておいてください。これによって、別行動のLC同士などのGAも可能です。
別行動していないMCとそのLCたちに、別行動している他PLのLCなどがGAを組むことも可能となります。
文字数追加と別行動パートの選択の両方を満たさない場合、MCと同一行動となります。この場合、矛盾する行動は不採用となります。
グループ分けが判断できない場合、同一グループでの行動とならない場合があります。その場合、MCと同一行動していると見なします。また、フェローは、関連行動以外での自主的な単独別行動はできません。あくまでも、PCと同行するか、PCの指示で行動します。
ただし、グループ内で誰も剣を装備していないと、付喪神に遭遇できずに空振りとなりますので注意してください。
・取り憑かれる 【現在のMC参加人数:44】
名剣「にゃんこ丸」を腰に差している。その昔、さんぜんねこが自分の鍵をいなおして作ったといわれる銘刀だ。この間拾った。
付喪神を捜して、見つけたらすぐに捕獲しようとする。
勝負を挑まれたら受けてたつ。
勝負は、大根のかつらむき。
当然勝利する。
付喪神を相手からもぎ取る。そして、憑依される。
融通の利かない、ガチガチの理数系に変貌し、LCを唖然とさせて逃走する。
以降、理論武装して口喧嘩で相手をへこませ、剣を奪いながら走り回る。
|
 |
・取り憑かれない 【現在のMC参加人数:1】
安全カミソリを持っていたら、なぜか狙われた。いいのか? こんなのでもいいのか?
仕方がない、つきあってやろう。
あっち向いてほいで対決。
負けた。
取り憑かれるのはいやなので、思いっきり遠くへ安全カミソリを投げ捨てる。付喪神はそれを追いかけていった。やれやれ。
|
 |
・傍観 【現在のMC参加人数:0】
なんなのよ。よせばいいのに、LCったら、また変な勝負に首突っ込んで。
他人のふりしよ。
あれ? なんか、様子がおかしいような。
変態だあ!
やっぱり他人のふりしてお家に帰る!
|
 |
・お留守番 【現在のMC参加人数:0】
お店で、みんなの帰りを待つ。
のんびりと、店主と茶飲み話でもする。
|
 |
・別行動 【現在のMC参加人数:5】
【捜索隊】
LCたちでMCを放置して捜索隊を組む。
広場にIFの刀を設置して、付喪神をおびきよせる作戦。「さあ、持って行けるなら持っていきなさい」
現れた付喪神に、なぜか刀剣とは何かと言う講義を受けるはめとなり説教される。正座させられ、足が痺れたところを逃げられる。
|
 |