クリエイティブRPG

　
　寄絃師の男は、真剣な表情で手元の和紙を見つめていました。
　
　「これでは、ダメだっ。どうしてもイメージしている色が出せない！」
　
　男は頭を抱えて、和紙をぐしゃぐしゃに丸めると部屋の隅に投げ捨てました。
　
　有名な寄絃師である男が描く浮世絵はファンも多く、来月には男の浮世絵の個展の開催が予定されています。
　男がアトリエを構えている筑摩府筑前にあるこの街は、住民の多くが感情を奪われて魔天王の信者となってしまい、残った住民も生きる希望を失ったことから、街には活気がなく日中でも静まりかえっています。
　寄絃師の男は、何とかしてこの街の住人に生きる希望を取り戻してほしくて、来月の個展に向けて寝る間も惜しんで新作の浮世絵を制作していました。
　
　この浮世絵を見た住民の心を揺さぶるような大作を描こうと苦心しているのですが、手持ちの絵具ではどうしても男が納得するような色を出すことができずに頭を悩ませていました。
　
　「やはり、あれが必要か…でも、街の外れにある森は殺王闘士たちがうろついていて危険だしなぁ」
　「国司殿に相談してみるか」
　
　寄絃師の男は、身支度を整えると屋敷の外に飛び出しました。
　
　
　
　そして、数時間後
　
　「御魂闘士様、ご足労いただきありがとうございます」
　
　筑摩府の国司である男は、屋敷に集まった御魂闘士たちに恭しく頭を下げました。
　
　「ここにいる男は、筑摩府でも指折りの寄絃師です」
　
　国司の男は、自分の隣に立っている長髪の男に手を向けて周りに紹介しました。
　
　「彼が御魂闘士様に何やら依頼したいことがあるらしく…」
　
　すると、寄絃師の男は国司の男の話しを遮って勢いよく話し始めました。
　
　「今描いている浮世絵を完成させるために、どうしても街の外れにある森に自生している染料となる植物が必要なんだ！」
　「欲しいのは、森の入り口付近にたくさん咲いている紅花の花と、森の奥深くに数年に一度咲く幻の藍の花の二つだ」
　「だけど、外は殺王闘士たちがうろついていて危険だ…頼む！俺と一緒に護衛として街の外れにある森に行って植物の採集を手伝ってくれ」
　
　寄絃師の男が、その場で土下座せんばかりの勢いで頭を下げると、国司の男が後を引き継ぐように話します。
　
　「ゴホン、この街はご覧の通り魔天王の支配下に置かれているようなもの。住民の中には希望を失い自暴自棄になっているものも大勢います」
　「この男は、自分が描いた浮世絵で何とか住民を元気づけたいという高い志を持っております」
　「御魂闘士様、この私奴からもどうかこの男へのご協力をお願いさせてください」
　
　国司の男も寄絃師の男と一緒に、御魂闘士たちに向かって深々と頭をさげました。

皆様こんにちは。ＧＭのダイキと申します。
このシナリオを見ていただきありがとうございます。

今回のシナリオの目的は、筑摩府の寄絃師である男の護衛として、街の外れにある森に同行して植物の採集をお手伝いすることです。
街の外れにある森は、殺王闘士たちの目撃情報があるのでしっかり戦闘準備はしていきましょう。

皆様にお願いしたいのは、下記の３つです。

・森の入り口周辺で紅花の花を採取する

こちらは、森の入り口周辺で紅花の花を採取する行動になります。
紅花の花は、森にたくさん咲いているため直ぐに見つかるはずですが、籠が一杯になるくらい大量に必要とのことなので採集にはそれなりに時間が掛かりそうです。
万が一殺王闘士たちと遭遇した場合も、別の部隊が応戦するため比較的安全な行動になります。
状況によっては、安全な位置から敵の狙撃、味方の支援も行います。

・森の入り口周辺を偵察する

こちらは、森の入り口周辺を偵察する行動になります。
同じく森の入り口周辺で、紅花の花を採取する部隊が安全に行動できるように周辺を偵察して、殺王闘士と遭遇した場合は出来るだけ敵を引き付けて撃退してください。

・寄絃師の護衛として森の奥深くに行き、幻の藍の花を探す

こちらは、寄絃師の護衛として森の奥深くに行き、幻の藍の花を探す行動になります。
寄絃師の男を護衛しながら森の奥深くを目指すため、状況によっては殺王闘士たちから奇襲を受けるかもしれないので注意が必要です。
寄絃師の男の安全を第一に考えて行動しましょう。