シナリオガイド
アルカイル・イル争奪戦
シナリオ名:蒼き大海へ向かえ:2 / 担当マスター:泉 楽
瑞穂皇国(みずほこうこく)の第一皇子・馨(かをる)の結婚の儀から、数日が過ぎました。
「もうお帰りですの?」
馨の妻となった伽耶(かや)は、兄である征異大将軍・御母衣 友嗣(みほろ・ともつぐ)に、ほんのちょっぴり非難がましい目を向けました。
「仕事が山とあるんだ、仕方がない。それに、カナを置いていくから寂しくはないだろう?」
御堂 カナ(みどう・かな)は、友嗣の部下である御堂 朝陽(みどう・あさひ)の妹です。
「カナさんが残ってくださるのは嬉しいですが、ご都合はよろしいのかしら?」
「カナは花嫁修業中だ。ちょうどいいだろう」
友嗣はカナを貴族に嫁がせるつもりでいましたが、伽耶は愚か、彼女の兄にも話していない計画です。杠 あやめ(ゆずりは・あやめ)らがカナを引き留めていると知り、友嗣はチャンスだと思いました。
「第一、アルカイル・イルを東都(とうと)に連れて帰らねばならん」
アルカイルは狼の異人です。西都(せいと)を騒がせた罪や余罪により、東都に護送されることになっています。この任を負うのは、友嗣が連れてきた軍人と西都の警官です。
「それにもうすぐ、蒼が戻ってくるのだろう?」
その名前を聞いて、伽耶はにっこりと微笑みました。皇 蒼(すめらぎ・あお)は、伽耶が幼い頃から付き添ってくれていた汽人です。事件に巻き込まれ、意識のない状態が続いていましたが、この度ようやく目覚めたのです。
「そうなんです。りはびりが終わったら、わたくしの護衛にしてくれるそうなんです」
その時が楽しみだと、伽耶は、幸せそうに言うのでした。
「さぁて、困ったぞ……」
皇家お抱えのA級星導技師・物集 法眼(もずめ・ほうがん)は、彼女にしては珍しく困っていました。悩みの種は、すぐ傍で控える少年――蒼です。
伽耶に報告した通り、蒼は確かに意識を取り戻しました。しかし、彼は記憶を失っていたのです。名前も、過去も、全て。
覚えているのは、自分が汽人であることと、主人に従わねばならないということのみ。
今は、法眼を仮の主人として従っています。
「……まあ、いいか」
せっかくの貴重な戦力を遊ばせておくつもりは、ありません。法眼は、蒼に言いました。
「アルカイル・イルが東都に護送されるらしい。それを阻止するんだ。ただし、こちらの正体が知られてはならないし、あちらの護衛を殺してもならない。人を雇うのは許可する。――アルカイルを逃がせないときは、奴を殺してもよい」
「承知いたしました」
蒼はなぜ、とは訊き返しません。主人の命令だからです。
法眼もまた、問われても答えるわけにはいきません。アルカイルが三種の神器の秘密に気づいたから、とは。
いずれはアルカイルの口を塞がねばならないでしょう。ですが、今はまだ、あの男には利用価値があると法眼は考えていました。
尹 一刀(イン・イーダオ)は、あの夜以来、喜入 俊棟(きいれ・としむね)の屋敷に滞在していました。
「水の星導石の話だが、アルカイル・イルという犯罪者がいる。この男が何か知っているらしいが、東都に護送されるらしい。……そこでだ。この異人を保護してはどうか」
保護と言いますが、つまりは護送犯を奪えということです。犯罪です。しかし一刀は、それもやむを得ないと思いました。
「では、私と心玉(シンユー)で……」
いや、と俊棟はかぶりを振りました。
「心玉だけでよい。部下を付けよう。尹殿は、私と共に来てもらいたい」
「どちらへ?」
「宮中だ」
「……どういうことです?」
「このまま貴方をここで匿うのには無理がある。それに宮中ならば、水の星導石の情報が手に入るかもしれん。まあ、アルカイルから情報が得られなかったときの保険だな。そこで我が娘・輔子(すけこ)の侍女として潜入してもらいたい」
輔子は帝の第四夫人です。つまり、一刀に女装しろと俊棟は言っているのです。
「華皇帝の兄君が女性の姿で皇国にいるとは、誰も思うまい?」
気のせいでしょうか。俊棟はやけに楽しげでした。
――さて。
ここに一人の人物がいます。
白い肌、宝石のように青い瞳、血のように赤い唇。黒々とした髪は短いものの、艶やかでまるで光沢を放っているようです。
町を行けば皆が振り返るような美貌の持ち主であるのに、本人は至って気にする風でもありません。
名は、巫 瑠璃(かんなぎ・るり)。
「へえ……」
瑠璃は、アルカイル・イル奪還の依頼を知りました。それも、複数です。
「面白い……」
彼らは、互いの存在を知りません。混戦になることは間違いないでしょう。高みの見物を決め込もうと、瑠璃は黒いスーツに己の武器を携えて出かけることにしました。
担当マスターより
大っっっ変ご無沙汰しております。「蒼き大海へ向かえ:2」のガイドをようやくお届けできます。
〇アクションについて
今回のメインはただ一つ。「東都へ護送されるアルカイル・イル争奪戦」です。少々ややこしいので、以下をよくご覧になってアクションをかけてください。護送側は基本的にNPCのみですが、参加も可能です。ただし、星導士に限りますので必ず称号を付けてください。
【奪還側】
1.アルカイル・イルの仲間:主に異人たちor犯罪者になります。アルカイルの仲間だ! という方は参加できます。
2.皇蒼:物集法眼の命令で奪還します。NPCの異人と裏世界の人間を雇う予定。蒼たちは顔と正体を隠しています。雇われたPCの皆さんも覆面可能です。
3.心玉:俊棟の部下と共に参加します。一刀と心玉の仲間だ! という方は参加できます。顔と正体を隠しています。
1と3は、それぞれ過去に絡みがあったPCのみ参加OKとなります。2は、物集法眼に面識のあるPC以外は金で雇われたことになります。
メイン以外では、一刀が宮中に潜入します。一緒に輔子の侍女としてついていくことは可能ですが、あまり人数が多いのも無理があるので、MCLCの中から一名のみとします。この場合は、別行動を取ってもダブルアクションには問いません。
その他のアクションもかけられます。難易度は1になっていますが、アクション次第で難易度は上がります。
また、華(か)についてのアクションをかけることも可能です。華の状況については、「前回のリアクション本文及びマスコメ」をご参照ください。
続きものなので敷居は高いかもしれませんが、初めての方やお久しぶりの方も大歓迎です。
それでは皆様のご参加、お待ちしております。
〇登場予定NPC
・アルカイル・イル:お尋ね者の異人。今回は西都から東都へ護送されます。護送方法は今のところ、車を使う予定です。
・御母衣友嗣:将軍。東都に帰還ついでに、アルカイルを護送。彼の部下や西都の警察が護衛。護衛は基本的にNPCのみですが、身元がしっかりしていれば、参加も可能です。
・皇蒼:汽人。伽耶の側付き→色 九十九(しき・つくも)の仲間→物集法眼の部下。現在は記憶喪失。今回は顔と名を隠し、アルカイル・イル争奪戦に参加します。
雇われて一緒に行動することが可能です。
・心玉:アルカイル争奪戦に参加します。顔と正体を隠しています。知人のみ一緒に行動できます。
・巫瑠璃:謎の人物。美形。とにかく美形。アルカイル・イル争奪戦に参加しますが、誰の味方で敵なのかはまだ分かりません。たまたま一緒になることは、あるかもしれません。
・尹一刀:女装し、「新 一心(シン・イーシン)」という名で輔子に仕えます。身を隠すのと、水の星導石の情報を得るのが目的です。
くっついていけますが、MCLC合わせて一名のみ。また、女性のみ(或いは、どう見ても女性)とします。
宮中ではある程度自由に動けますが、深入りすると追い出されるのでご注意を。
・アルカイル・イルの護送をする 【現在のMC参加人数:6】
・目的
アルカイル・イルを東都まで送り届ける
・動機
アルカイル・イルとの因縁
・手段
星導士として、アルカイルの護送。自分の車を使って並走する
|
 |
・アルカイル・イルを逃がす 【現在のMC参加人数:3】
・目的
アルカイル・イルを逃がす
・動機
裏社会の依頼を受けたので
・手段
護衛をひっかきまわして、仲間がかっさらう
|
 |
・一刀と共に宮中に潜入する 【現在のMC参加人数:0】
・目的
宮中での一刀の護衛及び情報収集
・動機
一刀が心配なので
・手段
女装して、一刀の周りをうろうろする。可能ならば、聞き込みをする
|
 |
・その他 【現在のMC参加人数:12】
・目的
上記以外のこと
・動機
何かしたい
・手段
何かしてみる
|
 |