クリエイティブRPG

　月のない夜でした。
　その少女は切羽詰まった様子で、夜の闇の中を走っていました。
　時々怯えた様子で背後を振り返り、追っ手がないことに安心するとふたたび少女は走り出します。
　走って、走って。
　少女が生まれ育った村がもう見えない位置まで来て、彼女は手にしていた古びたカンテラに火を灯しました。
　彼女の脳裏に浮かぶのは、昼間商隊を護衛していた冒険者の姿です。夕方、冒険者はこの道を真っ直ぐに歩んでいました。

　頼りないその灯りだけが、今、彼女を導く希望でした。

　――リュクセール王国郊外。
　夜の帳が下り焚き火を囲みながら、あなたは同じ依頼を受けた仲間たちと共に野営をしていました。
　少しばかり規模の大きな商隊の護衛です。
　無事目的地に送り届けたあなたの懐は重く、帰路に着く足取りは軽やかでした。ですが運悪く雨に降られてしまい予定は大幅に狂い、野営を余儀されてしまったのです。
　ふかふかの寝台を恋しがる者もいれば、すっかり雨が止んだ満天の星空に思いを馳せる者も居るでしょう。
　不寝番を決めたあなたは、地面に横になろうとしましたが――。
「助けてください！」
　儚い灯りを手にした少女により、ささやかな平穏が終わりを告げました。

「みなさんは冒険者様ですよね？」
　息を切らせながらラピス・キリエと名乗った少女は、日中商隊を護衛していたあなたの姿を見たのだと言いました。
「私の村が魔物に襲われました。どうか助けていただけませんか？」
　他に救援は望めない状況でした。近くの街へも人は向かっていますが、辿り着く頃には朝が近いでしょう。
　だからこそ、青い瞳を伏せて少女は告げました。
「あなたが、私の、いえ私たちの希望なのです」
　どうかお助けいただけないでしょうか。
　切実な願いが、あなたの耳へ届きます――。

■冒険シナリオにおける兵力について
冒険シナリオでは「【兵力：×】」のアイテムは使用できません。こちらは軍事シナリオ専用となります。
スキル「【統率力：×】」は個人戦でも使用できます。また、軍事シナリオ用の大抵のスキルは使用可能です。

　当シナリオは村人である少女『ラピス・キリエ』が依頼人となる「 冒険シナリオ」となります。
　魔物に襲われた村で、人々を助けてあげて下さい。
　人口は五十人ほどの小さな村ですが、村の集会に参加していた半数の人は難を逃れています。
　魔物は皆様にとってはそれほど脅威ではないはずです。お気軽にご参加いただけましたら幸いです。

　以下は少女ことラピス・キリエに聞けば得られる情報です。いずれも彼女が村を出た時点での出来事です。
■状況
・周囲を森に囲まれた村です。皆様が救援に到着した時点で深夜1時頃、襲撃から3時間程度経過しています。
・魔物はゴブリンらしきものを5匹確認していますが、他にも居る可能性はあります。
・リーダー格は屋内に立てこもっています。
・一軒の家に人質として十数名の人間が閉じ込められています。
・村内には篝火があるため、視界にはそこまで不自由しないでしょう。
　村人たちが必要であれば頼りない光ですがカンテラを貸してくれます。
・ラピス含め村人たちは人命が優先であると考えており、建物などの被害はある程度覚悟しています。

■アクションについて
・村人を保護する　Rank2
　魔物たちの目を盗み、村人を保護します。
　捕まった村人は約十人程度とのことです。
　今は一つの家に押し込められており、扉を守るように屋外には斧を持った魔物が一匹います。

・魔物を退治する　Rank5
　元凶である魔物退治です。
　見た目はゴブリンで、リーダー格が一匹。
　剣と斧を持った魔物が各一匹、弓を使うものが一匹です。
　場合によっては「村人を保護する」から斧持ちゴブリンが合流する可能性があります。

■依頼人について
　ラピス・キリエという十六歳程度の少女です。
　褪せた金髪で、今は澄んだ青い瞳を不安げに村に向けています。
　助かった村人の中で唯一、昼に皆様の姿を目撃しており藁にも縋る思いで皆様を頼りました。
　足が早く、勇気があることから村の命運を託されました。
　故郷である村は陶芸や木工工芸品で生計を立てる、小さな村です。

■マスターより
　はじめまして、こんにちは。
　クリエイティブRPG様では初めてのシナリオとなります！
　いつき、と申します。
　この冒険が皆様の素敵な思い出になれば幸いです。