シナリオガイド
「にしても、限度ってもんがあるだろうよ……!」
シナリオ名:氷の宮殿 -Château Blanc- / 担当マスター:鳥海きりう
リュクセール王国・首都ソヴェンナの東、フィーダー連山。
木々に覆われた緑なすこの山は、春には色とりどりの花、夏には深緑、そして秋には見事な紅葉をその身に纏う、ソヴェンナ近郊でも有数の観光スポットでした。その稜線は東へ向かうに連れて一度下り、その後また大きく上っています。さながら低い山と高い山が身を寄せ合っているように。この山はその美しさと形から、別名《フィーダーの姉妹》とも呼ばれていました。ハイキングの名所として賑わっているのは《フィーダーの妹》――その奥に鎮座する《フィーダーの姉》は、美しさは同じながら登山難度は全くの別物。入山には事前の許可が必要で、適切な資格と経験が無ければ許可は下りず、それでも正しい知識と装備が無ければ生還は出来ない――そんな危険な女でした。
「クソ……こんなバカな……!」
レイ・トレイルは、《フィーダーの姉》の中腹付近でそう吐き捨てました。登山家、冒険家の端くれらしく、この山に挑むために必要な知識と装備は整えてきたつもりでした。無論コンディションも万全に整え、体力も充分な状態で挑んだのです。――しかし、《フィーダーの姉》は気まぐれな女。山にありがちな急激な気候の変化が、レイを苦しめていました。
「にしても、限度ってもんがあるだろうよ……!」
そう――レイを苦しめているのは9月の山ではとてもあり得ない、視界を一面白に染め上げる猛吹雪でした。万が一に備え防寒着は用意していたものの、さすがにこれほどの吹雪は想定外です。みるみる降り積もる雪がレイの全身に重く圧し掛かり、風と共に体温を奪っていきます。目と鼻に冷たい違和感を感じました。「う、嘘だろ……!?」凍り始めています。雪に足を取られ、束の間その場にうずくまりました。ダメだ。動いてないと死ぬ。自分を奮い立たせて立ち上がります。ここで死ぬのか。山の神は気まぐれとは言うが――
「そんなにいけないことか! 9月に山に登るのが! オレが何したっていうんだよ! ああ!?」
白い虚空に向かって悪態を吐き、また歩き始めます。
「――お?」
ふと、レイの目に何か異質なものが映りました。影のような、線のような――何も見えません。視界は一面白いまま。しかし、どこかに違和感を感じます。思わず立ち止まり、じっと目を凝らします。
やがて――レイはそれが、建造物だと気づきました。白い壁。白い猛吹雪の中に、白一色の建物が鎮座しています。しかもかなり大きい。「や、やった……!」この際廃墟でも何でもいい。とにかく吹雪を防げるなら――レイはそう思い、建物へと歩を進めます。
「おお……」
やがて、その建物はかなり大きいものだと分かりました。白亜の城――いや、その美しい曲線を多用したデザインは、宮殿と呼んでも差し支えないものでした。しかも荒廃している様子は無く、これなら中に入れば、用意していたテントよりも遥かに快適に過ごせそうです。
「ひ、人がいるなら土下座してでも――もう押し入ってでも入れてもらうぜ。こっちは命がかかってるんだ――」
呟き、レイはその宮殿へと足を踏み入れました。
――そして、《フィーダーの姉》での異常気象、行方不明者の多発はたちまちソヴェンナでも噂になり、冒険者ギルドに調査依頼が出されるのに、そう時間はかかりませんでした。
担当マスターより
■冒険シナリオにおける兵力について
冒険シナリオでは「【兵力:×】」のアイテムは使用できません。こちらは軍事シナリオ専用となります。
スキル「【統率力:×】」は個人戦でも使用できます。また、軍事シナリオ用の大抵のスキルは使用可能です。
というわけでこんにちは、こんばんは、はじめまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
雪に覆われた霊峰《フィーダーの姉》、そしてその奥に鎮座する氷の宮殿での戦闘シナリオです。白氷宮の主、シラユキを倒せば成功となります。
敵キャラクターのご紹介です。
・白氷宮の主、シラユキ
氷の宮殿に住まう巨大な白い烏。爪と氷系の魔法を操る。
・ストームクロウ ×??
烏の魔物。嵐や吹雪の中でも自由に飛行する能力を持つ。耐久力は低いが、そのスピードと爪の攻撃力は侮れない。
《フィーダーの姉》は登山難度の高い山ですが、皆様は冒険者ですので、登ること自体は問題ないものとします。何の準備もアクションも無くても、氷の宮殿まで到達することは可能です。
しかし、有効なスキルや装備、アクションをお持ちの方がいれば、その分行軍がスムーズになり、後の戦闘を有利に進めることができるでしょう。我こそはと思う方はぜひアクションに盛り込んでみてください。
宮殿周辺や内部において、ストームクロウとの戦闘が発生します。外は基本的に吹雪であり、ストームクロウはどのような天候・地形でも自由に飛行することが可能です。何か作戦を考えてください。
シラユキは爪と氷系の魔法を使用するボス敵です。戦う際は十分に注意してください。また、シラユキとの戦闘中でも場合によってはストームクロウが襲ってくる可能性があります。
また、シラユキと戦う場合は雪山で戦うアクションは不要ですが、雪山側の結果が思わしくなかった場合、何らかの減算措置が発生する可能性もありますのでご注意ください。
簡単ですが、説明は以上です。
皆様のご参加をお待ちしております。
・雪山・宮殿でストームクロウと戦う 【現在のMC参加人数:4】
悪いが俺には登山の知識も装備も無い! 力技で行かせてもらう!
邪魔っけな雪は炎魔法で吹き飛ばす! 道ができたら宮殿まで全力ダッシュだ! 体力が減ったら治癒魔法で回復する!
ストームクロウは……おそらくMPは使い切ってるだろうから、スキル無しで殴り合うぞ! ここから先は運試しだ!
(これは例文です。また、ここに書いてあることが正解とは限りません。実際にどうするかは皆様でお考え下さい。より多く、より細かいアクションを頂ければ、より大きな戦果が期待できるでしょう)
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・シラユキと戦う 【現在のMC参加人数:6】
魔法防御をしっかり固めて、接近戦で勝負します。
爪ということはリーチは短いと思うので、大盾を構えつつ槍で戦います。
(これは例文です。また、ここに書いてあることが正解とは限りません。実際にどうするかは皆様でお考え下さい。より多く、より細かいアクションを頂ければ、より大きな戦果が期待できるでしょう)
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