――巨大浮遊大陸 アーク
王都レンスターから少し外れた山岳地帯に、一人の見習いマシーナリーが訪れていました。
この山の付近には古代の遺跡が点在しており、稀にドラグーンアーマーの部品が発掘される場所でした。
レンスターからさほど距離がないこともあり、大きな遺跡は発掘が終わっている場所も多いものの、
新たな部品が見つかることを夢見た若者が訪れることも少なくありませんでした。
彼女もまた、一刻も早く一人前と認められようと、
そしてまだ見ぬ遺物を見つけようと、意気揚々と遺跡を訪れた一人でした。
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「っもー! ぜんっぜん見つからないじゃないの!
どこを掘ればいいのよぉ! ドラグーンアーマーちゃん!」
発掘を始めて数時間。
一朝一夕で、それもたった一人で発掘しても、そう簡単には見つからない遺物ですが、
手っ取り早く認められたいという不純な動機で来ている彼女は、早々に発掘作業に飽きていました。
「っはぁ~、やっぱ地道にやるっきゃないのかなぁ……
修行とか面倒だからぱーっと手柄作ってぱーっと認められたいんだけどなぁ!」
そう言いながら発掘に使っていたシャベルを放り投げると、
空に放物線を描いて、なにか地面ではないものに当たったような、鈍い音が鳴りました。
「……ん? なんかに当たった?」
彼女がふと後ろを振り返り、シャベルが何に当たったのか確認しようとすると。
「キシャアアアアア!!!!」
「きゃああああーーー!?!?!?!?」
土の山だと思っていたものが動き出し、こちらを向いて……
巨大な虫のようなもの――バルバロイが姿を現したのです。
「な、な、ななな、なんでこんなところに!?」
バルバロイはアークにとって脅威の存在。
そういえば先日、バルバロイの一団を追い払ったと聞いていたのですが、
逃げたと見せかけて、ひと気の少ない遺跡に潜んでいたようです。
シャベルが当たり、明らかに怒っている様子です。
しかも……
「嘘っ! 奥にもいっぱいいるじゃん!? た、助けてーっ!!」
一体の怒りの声に反応し、木々の間から次々とバルバロイが目を覚まし、動き出したのです。
絶体絶命、彼女の人生最大のピンチを救えるのは、バルバロイに対抗できる「外法者」たちだけなのです!