クリエイティブRPG

たまゆらの露 ~たそがれ夜祭り3~

リアクション公開中!

たまゆらの露 ~たそがれ夜祭り3~
基本情報

マスター:寺岡志乃
ワールド:大和
 
 

料金

MC参加:100ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:2
文字数追加:不可

スケジュール

2020年10月21日公開!

シナリオガイド

もっと生きたい! 不死の妙薬を求める少女の願いは届くのか

シナリオ名:たまゆらの露 ~たそがれ夜祭り3~ / 担当マスター:寺岡志乃



 ある町に、大江九兵衞という男がおりました。

 代々続く反物問屋の主人で、敷地内に蔵を2戸前持つお金持ちでありました。
 この九兵衞、大層な働き者で知られており、若いころから一心不乱に家業に精を出し、朝起きてから寝るまで、考えることといえば店のことのみでありました。
 そうして順調に店を大きくし、跡継ぎ息子にも恵まれて。ふと気付けば九兵衞は、還暦の祝いを受ける歳になっていました。

 店は息子や孫に任せて隠居したは良いのですが、さて、残りの人生をどう過ごしたらよいものか。
 これまで商いのことしかしてこなかったものですから、それ以外の何かと言われても、さっぱり何も思いつきません。困った九兵衞に、隠居仲間のご老人が、骨董集めはどうかと提案し、1合の香炉をお渡しになりました。

 ――これは、良い物かといったら全然そうではないのだろうねえ。ほら、足のところを見てごらん。一度割れて直した跡があるだろう?
   それが良い景色になる場合もあるのだけれど、これは駄目だ。おそらく素人か、下手な職人の手によるものだろう。またすぐに割れかねないというので、良い値はつかない。
   だけどねえ、これは良い物だとわたしゃ思う。まるで話に聞くにあるという、永遠の命を授ける非時香木実の薫香のような香煙じゃないか。この香煙を浴びていたなら、長生きできそうな気がしてくるだろう?

 学のない九兵衞は非時香木実など初めて聞きましたし、薫香など嗅いだこともありません。ですが、ご老人が大切に大切に両手で抱えたこの香炉を、九兵衞もとても気に入ったものですから、礼を言って、ありがたく頂戴することにしました。
 そして以後、九兵衞もご老人にならって骨董集めを趣味としてさまざまな品を買い求めるのですが、この香炉を一番のお気に入りの品として、よく手にとってはつくづくと眺めて過ごしておりました。
 そして九兵衞が死した後も、しばらくの間は他の骨董たちと一緒に蔵の中にしまわれていたのです。

 しかし凋落は世の常と申しましょうか。あるとき主人となった男が手のつけられない道楽者で、商いを全く気にかけず、いつまでも身を入れることをしなかったものですからまともな雇われ者は一人二人と消えていき、あとに残った者たちが主人の目を気にすることなく好き放題をした結果、大切な代々の顧客も離れていって、ついには店を閉めることとなってしまいました。
 ――なに、店はなくなっても、わたしにはこの蔵がある。中の品を売ればよいのだ。
 男は何代か前の主人が集めたという骨董の詰まった蔵の錠前を開けて、あっと驚きました。前に見たときは蔵いっぱいにあった品のほとんどが失われていたからです。
 手癖の悪い雇われ者が1つ2つと持ち出して、売りさばいていたのでしょう。残っていたのは二束三文にもならない偽物ばかりでした。
 なんということか。男は大層腹を立て、残った物も全て棒でたたき壊し、蔵ごと屋敷を売り払ってどこかへ行ってしまいました。

※          ※          ※



 それから、さらに数年がたって。
 かすかに聞こえてくる祭り囃子の笛と太鼓の音に揺り起こされるように、少女は目を開きました。
 ――ここはどこ?
 蔵の小さな窓から覗く空を見上げながら、少女はぽろり、涙をこぼします。
 ――きゅうべえ。
 会いたい、帰りたい、との念が胸をきゅうっと締めつけます。望郷の念に押されるように立ち上がろうとしたときです。ピシッと小さな音が聞こえて下を見ると、なんということでしょう、少女は棚の一番下に置かれた香炉の一部が割れていることに気付きました。
 元から入っていた傷に沿って走った新たな亀裂から、ばらばらと欠片がこぼれます。
 ――これはあたしだ。
 少女は直感でそう思うと、あわてて香炉を抱き上げました。
 ――どうしよう、どうしよう、どうしよう。
 動揺する少女の耳に、蔵の戸口からガチャガチャと、鉄の錠前を開けようとする音が聞こえてきます。
 少女は香炉を抱く手に力を込めて、重い戸が開かれた瞬間、ぱっと飛び出しました。
 きゃあ、と後ろで驚く人の声がしましたが、少女は足を止めることなく、ひたすら走ったのでした。


 夢中で走って走って。ようやく足を止めた先。
 はあはあと息を整える少女の足元で、ぱらぱらと欠片がこぼれていきます。見れば、走ってきた道に沿って、ぱらぱらと欠片はこぼれていました。
 ――ああ、どうしよう……。
 怖くて怖くて。でも、どうすればいいか、どこへ行けばいいかもわかりません。
 ――きゅうべえ……あたし、怖いよう……!
 ぎゅうっと胸の香炉を抱き締めたとき。ヒヒヒッという嗤い声が聞こえてきました。声を追って振り向くと、木の陰、茂みの中で1対の目が光っていました。

 ――あなた……。
 ――何もしないから、怖がらなくてもよいよ、お嬢ちゃん。
 ガサガサと草をかきわけて出てきたのは、腰の曲がった老人でした。
 九兵衞よりもっともっと年寄りで、しわくちゃの顔がまるでサルのようなその老人は、おびえる少女に猫なで声でこう言います。
 ――そうおびえなくともいいよ、付喪神のお嬢ちゃん。わたしはおまえさんが気付く前からここにいた。害する気があるなら、とっくにそうしていたさ。
 その声はとても優しく聞こえました。あれほど怖かった目も、日の下で見ればなんということもなく見えます。
 ――あたしは、ツクモガミっていうの?
 ――そうさ。ながーーーい年月を経た物が転化して生まれる妖だ。かく言うわたしも妖でね。お嬢ちゃんのお仲間だよ。
 ――仲間……。
 ――そう。だから安心をし。
   しかしお嬢ちゃん、生まれたばかりなのに残念だねえ。おまえさん、長くはないよ。傷物だからね。
 ――え?
 ――ほら、足をごらん。割れているだろう?
 老人の指した指を追って、少女は自分の足を見ました。すると、確かに右足の一部が香炉の足と同じように欠けています。

 ――これからどんどん広がってゆくよ。傷物とはそういうものさ。そしておまえさんも同じように割れて、そのうち砕けてしまうのさ。なんたって、同じものなんだからね。

 ヒヒヒッと、またもや老人は嗤いました。
 少女は今聞いたばかりのことに大層驚き、おびえます。
 ――あたし、もうすぐ死ぬの? いやよ。そんなのいや。だって――
 そのとき、昔聞いた覚えのある言葉が頭の中でひらめきました。

 ――ときじくの、かぐの……このみ。
 ――おや? 知っているのかい。なら話は早い。
   わたしはとーっても心の優しい妖だからね、お嬢ちゃんが助かる唯一の方法を教えてあげよう。

 話す間、少しずつ距離を詰めていた老人は、今では少女に覆いかぶさらんばかりになっていました。
 見開かれた目はまばたきもせず。ギラギラと照って、生まれたばかりの無垢な妖の少女を見下ろしています。
 そうしてサルの妖の老人は、少女に不思議な妖の夜祭りについて話しました。

 ――願い事が何でも叶う、神社のお祭り……?
 ――そうさあ。その神社の神様は、ながーーいながーーーーい、お嬢ちゃんの気が遠くなるくらい長い時間を生きているんだ。そんな神様ならきっと、非時香木実のある場所を知っているに違いない。とっても優しい神様だからねえ、お嬢ちゃんが頼めば、必ず教えてくれるに違いないさあ。

 希望が見えたことに、少女はすっと胸が楽になりました。

 ――ご親切に、どうもありがとう、優しいおじいさん。あたし、その夜祭りへ行って神社の神様にお願いしてみるわ。
   でも、どうしてそんなに親切にしてくださるの?
 ――なに、かえりたての雛鳥がすぐに散るのを見るのは忍びない、というのもあるけれどね。お嬢ちゃんに頼まれてほしいことがあるんだ。なにしろこの老体だからね、神様の霊威を浴びるには、ちょいと歳を取りすぎたのさ。だからお嬢ちゃんに、託したいんだよ、これをね。

 そうして少女はサルの妖からある物を受け取ると、祭り囃子のする方角へ向かって再び走り出しました。
 行き先もわからず、ただおびえていた先までと違って、その足取りは軽やかです。


 少女の後ろ姿を見守って、サルの妖はたまらず、ヒヒヒヒヒヒヒッと下卑た嗤いに肩を震わせたのでした。
 
担当マスターより

▼担当マスター:寺岡志乃

マスターコメント

 こんにちは、またははじめまして。寺岡志乃といいます。
 今回のシナリオは『たそがれ夜祭り3』となっていますが、場が同じというだけで内容的な関連は薄いものとなっています。
 『たそがれ夜祭り』『虹色びいどろ~たそがれ夜祭り2~』の内容を知らなくても全く問題ありません。お気軽にご参加ください。

【妖の夜祭り】
 その名のとおり、屋台を出しているのもお客も妖だけ、という夜祭りです。
 しかし実は人間もかなりお客としてまぎれこんでいます。
 普通のお祭りでは見られない、不思議な屋台がいろいろあります。
 夜祭りへの参加方法は、ひと気のない道を歩くだけです。夜祭りを開いている神社の神様に導かれて、参加できます。
 屋台で買い物したり、食べたり、遊んだり。妖アバターであれば、屋台を出すこともできます。
 売り手が妖、客もほとんどが妖というだけで、約束を守れば特に危険はありません。
 ※ただしアイテムや所持金を増減させたり、目の色や髪の色、身長、性別、名前といった外見を変更することはできません。
 ※シナリオの後、この夜祭りで手に入れた品として登録することはできますが、それによって何かしらの効力を付与することはできません。


【約束とは】
 1.けんかをしないこと
 2.故意に嘘をついたりして、だまさないこと
 3.何かを売ったり買ったりする場合は、等価交換(お金でもいいし、物でも、事象でも、ある特定の記憶でもいい)
 約束を守らなかったときは、神様に夜祭りから放り出されて二度と参加できなくなる以外にも、何が起きるか分かりません。


【NPCについて】
提灯売り
 入り口にいて、好きな形の提灯を1つ受け取ることができます。これがないと人間は夜祭りに参加することができません。
 祭りで買った物同様に持ち帰ることができます。

案内人
 入り口に立っていて、来訪者を歓迎してくれます。
 背が高く痩身。年齢性別不明。外見的にはおそらく二十代の男性。物腰柔らかく、愛想がいいです。
 希望があれば同行もしますが、必要ないようでしたら同行しません。

神社の神様
 夜祭りを仕切っている神様ですが、実は誰も会ったことがありません。ただ会いたいからといって会える相手ではありません。何かしら策を練る必要があります。
 ※神社の境内には酒盛りをしている、歳をとった妖たちがいます。

付喪神の少女
 余命わずかの妖の少女です。食べた者に永遠の命を授けるという非時香木実を求めて、神社の神様に会いに向かっています。
 香炉を抱き、右足が割れていて、どちらからも欠片がパラパラこぼれています。
 夜祭りのことは、妖として本能的になんとなく知っていますが、なにしろ生まれたてなので外の世界は何もかもが初めてです。
 サルの妖に託された何かを持っているようですが……?


注意点
・先ほど「特に危険はない」と書きましたが、もちろん妖ですから、そこそこあやしい店はあります。「約束」がルールとして機能していますので命を落とす危険は低いですが、妖が妖用に作っている物ですから、何かを口に入れるときは、原材料についてはあえて聞かないか、聞いて、問題ないと判断してから口にする必要があるかもしれません(虫やカエルやネズミやらの可能性が……)。
・品揃えは、ここにないものはないというくらい多岐に渡っており、また売っているのは必ずしも「物」であるとは限りません。
・場合によっては「等価」と判断されず、断られる可能性があります。



それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。

売り手として参加する

1

客として参加する

1

付喪神の少女に同行する

2

その他

1