クリエイティブRPG

意処に述べる日は

リアクション公開中!

意処に述べる日は
基本情報

マスター:保坂紫子
ワールド:アルテラ
 
 

料金

MC参加:100ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:4
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2020年07月15日公開!

シナリオガイド

歌を伝う導きに。開放せよ、願いが為の糧と成れ。

シナリオ名:意処に述べる日は / 担当マスター:保坂紫子





「力を貸して欲しいんだ」
 目の前で停まった馬車から転び落ちるように飛び出してきた人物は開口一番にそう訴えます。
 びっくりした宮澤 理香子は状況を把握するようにゆっくりと目を瞬きました。貴族の青年リゲイト・バリスその人だと一瞬ではわからなかったのも彼女が驚いた理由のひとつでしょう。
 記憶にある彼と眼前の人物では辛うじて面影が残っているだけの別人に見えたからです。
 骨と皮だけのやせ細った青年は「一年近く寝ていてね」と小さく笑って事情を簡潔に告げて弱く息を吐き出します。
 立ち上がり歩くのでさえ身の丈ほどの先端に意匠凝る長い杖に縋りつきながらなのがやっとな青年の声は、音楽の街の名に相応しい軽快な環境音に掻き消されそうなほど細くて理香子は耳を傾けます。
 力を貸してくれと願われた内容は聞けば簡単なことでした。
 リゲイトのおじでもあるジアン卿が恒例化している青い睡蓮の花見の会を今年もひらくそうです。花見自体は貴族間の社交のひとつとして問題ないそうですが、彼が言うにはそれを即刻で中止させてくれというものでした。
「父は父で今大変でね。かく言う俺も家のゴタゴタそっちのけで抜け出してきたんだ」
 本来であれば親同士兄弟同士が穏便に収めることも可能だったのでしょうが、リゲイトは「こっちが大事だからね」と敢えてその道は選びませんでした。そしてそんな時間もありませんでした。
「そうだよ。三人……いや、残っていた二人も逃げ出してしまったんだ。とんだ失態だよ」
 罪人を収容している建物の廊下が血塗れたままなのを言葉少なめに父に任せ、脱走者――ヴェンステル・ワンドとその従者――の追跡に来たそうです。
 ただし、先にも言ったように青年の懸念は別にありました。

『ご存知の通りこの“色々”は無色透明無味無臭でして“何に混ぜても気づくことはできない”ものなのです。貴方が浴びたそれにも混ざってますよ?』

 リゲイトは苦く思い出します。
 そんな代物を花見の席で並べられる料理等に混ぜられたらひとたまりもありません。
「できれば食べ物も飲み物も口にしないように注意したいんだけど、招待客や付き人なり参加者数を考えれば無理に近いから……」
 一年ほど前に危険な遊びと流行らせたのは一種の実験でもあったはずとリゲイトは考えています。最大効果を促そうと絶妙な量と加減されているでしょう。

『本音を言わせてもらうのなら貴方は殺してしまいたいのですが、我が主様(あるじさま)を大切にしていただいた恩もありますし今すぐには命まではいただきません。けれども邪魔もされたくないのでどうかお許しを。 ――それでは、おやすみなさいませリゲイト様。せいぜい死ぬまで良い夢を楽しんで』

 過去に追い詰めた弟に寄り添う女の言葉を思い出して、リゲイトは苦々しく奥歯を噛み締めます。
 安易に策略にかかり嘲笑もなく告げられ、それ以降のリゲイトの記憶は数刻前黒猫の行動により覚醒するまで一切としてありません。足りない情報を類推し予測する事態の可能性に焦燥で自責の念が募ります。
 一年近く。自分が眠ってしまったが為に時間を与えてしまいました。
 未完成品は完品に、目的達成への手段の確立とそれに伴う準備などへの猶予を与えてしまいました。
「花見そのものを中断させたい。お願いできるかな?」
「それは構わないけど、“即刻”というのなら、どんな形でもいいの?」
 リゲイトは自分の名前の元、狼藉を働けと言っているのも同然でした。
「気遣ってくれて嬉しいよ。保身の気持ちは確かにあるけど現状はそうも言ってられないと断言する」
 元素というものを素直に享受できない人間の疑惑は他者には伝わりにくく、根拠のない空論だと弾かれることも少なくありません。リゲイトの魔法嫌いがまた始まったと言われるのが関の山でしょう。
「俺たち一族が美人に弱いのはその通りで情けないけど、少なくとも俺はあの従者の好きにはさせたくないんだ」
 リゲイトは自分の部下全て動かせるだけ動かしましたがそれでも人手が足りません。権力もありません。嘲笑われて終了になる可能性もあります。いえ、むしろ笑われて自分が道化を演じただけだと終わるのがよりよいものでしょう。
「あれが心酔し仕えているのは『一対の杖』で『左の杖』なんだよ。彼女達が最終的に何をしようとしてたのかはわからずじまいだったけど、あの従者は活動を続けている」
 体内の元素を崩す“色々”を作り出したのは、先天的な生まれながらの力ではなく他者の元素を使役しようと試みて、死者すら蘇らせる奇跡(幻想)を披露す(みせ)る双子の魔法使いです。
「こんなに面白くない話も無いだろう?」
 お願いだと伸ばされる手が理香子の腕を掴みます。
 
誰も歌わせないでくれ

 握りしめているだろう力の弱さが、助力を他人に求めることしかできないリゲイトの悔しさを表しているかのようです。
 そんなふたりに、いつの間にか馬車から降りて駆け寄ってきていた黒猫のノーイが、自分の存在も忘れるなといいたげに「にゃーご」とひと鳴きするのでした。



…※…




 湖の街ラスクの郊外。
 水の楽園たる麗しき水上都市。その源流でもある湖のひとつ。
 小花咲き繁る若草色の絨毯を歩き招待された貴族たちは湖面に浮かぶ青い睡蓮を眺め、小さな宴を楽しんでいました。
「遠路はるばる足を運んでくれた皆に私からささやかな催しを用意させてもらった。これも友好の証と受け止めてくれると嬉しいのだがね」
 そうしてジアン卿が紹介するアーライルの歌姫へと送られる拍手を耳にしながら、淑女のドレスを纏うストック・ストーカーはバリス家三男レンニ・バリスの腕に自分の腕を絡ませて優雅に微笑みました。
 青い肌のアーライル。反してその翼は全く白く大きくて左右に開かれれば大輪の花のようです。堂々と羽根が伸び切った頃に歌姫と紹介を受けた娘は歌い出します。



 元素と呼ばれる力が、百彩(いろ)の花びらのようにアルテラの空に軽やかと舞い、蒼空の向こうに浮かぶ数点の飛翼の影が悪夢の襲来を告げていました。

担当マスターより

▼担当マスター:保坂紫子

マスターコメント

 はじめましての方もお久しぶりな方も、こんにちは。保坂紫子と申します。
 どうぞよろしくお願い致します。
 当シナリオは事態を収束させるという内容となっております。今回はガイドが長い上に内容が複雑になっていて申し訳ないです。以下はPL情報も含まれておりますのでご注意ください。



※リアクションはアーライルの娘が歌い始めてからの開始となります。
 なので未然に防ぐというのは不可とさせていただきます。


■参加パートについて

1.花見会場
 元素を崩された人々やモンスターの襲撃で現場は大変に混乱しています。
 このパートでは警備や警護に就いているという形で参加されている方以外では、一般参加者と見做します。この場合は賓客達への安全面の配慮から武器防具等の攻撃性のある武装やアイテムの所持は不可とさせていただきます。
 襲撃モンスターは主にゴブリンやオーク、魔獣にワイバーンという構成です。
 また、大気中に放出されている元素は多く濃厚に場を支配しています。現に目に見えて空間が歪んでもいます。
 警備の任に就いているロゼール・ヴィオネが魔導騎士の指示に従って対処、応戦しています。

2.青い肌の歌姫
 歌い続けているアーライルの娘を中心とした、異常事態を引き起こす発生源場がそこです。
 周囲の混乱に反して歌声が聞こえるだけで随分と穏やかです。
 ジアン卿が抱える魔導騎士が数人歌姫の警護にあたっていますし、近寄れば排除にかかります。勿論、レンニ・バリスとストック・ストーカー両名も一緒です。
 助けを求められた宮澤 理香子が事態を収拾する為に駆けつけます。

3.『左の杖』
 収容されていたバリス家より脱走したヴェンステル・ワンド及びエベロージャ・ヤジロベエを追いかけるパートとなっております。
 案内役に黒猫ノーイが先導しますので難なく発見できるかと思われます。

 以上、諸注意を了承していただければ原則どのパートにも参加自由となっております。


 どのパートもダブルアクションが起こりやすいかと思われますのでご注意ください。また、これは保坂のリアクション形式がそうさせるのかなと思うのですが、後日談的な一行を加える方が多いです。私自身は不可とはしませんが、これは場合によっては確定アクションになりやすいのでご留意ください。採用についてはご理解いただきたく思います。


■NPCについて
リゲイト・バリス
 貴族バリス家の次男です。ストックの策略に嵌まり一年ほど眠り続けて、黒猫に起こされたばかりです。
 『一対の杖』の正体を秘匿していたが為に今回の騒動だとわかっている分だけ、事態の収拾に努めようとしています。アクションによって参加パートが変わります。

ナタン・ジアン
 リゲイトのいとこであり、花見の主催者であるジアン卿の実子です。
 レンニからストックを紹介され、彼女を父親に合わせた人間でもあります。バリス家ジアン家共に美人に弱く、ストックが自由にしているのも止めず見て見ぬ振りを続けていました。アクションによって参加パートが変わります。

ロゼール・ヴィオネ
 従魔導騎士の少女です。警護の任についています。花見会場ではワイバーン撃退に尽力しています。

宮澤 理香子
 リゲイトに助けを求められました。異変を引き起こすアーライルの娘を止めるべく会場の中心地へと向かいます。

レンニ・バリス
 バリス家三男。ストックにべた惚れして彼女に言われるがままに手引している張本人です。兄リゲイトが危険視していると知っていますが改める気はないようです。

ヴェンステル・ワンド
 魔法使いワンド家の双子の妹。『一対の杖』が片割れ『左の杖レフト』でもあります。
 姉ヘーゲルを亡くした事で正気を失っていたのですが、アーライルの歌声にどうやら自我を取り戻し始めているようです。バリス家から脱走しました。

ヘーゲル・ワンド
 魔法使いワンド家の双子の姉。故人。

ストック・ストーカー
 ヴェンステルの従者です。男顔負けの長身さえなければ傾国の美女として完璧でしょう。
 現在は仮面を外しドレスを纏って、レンニの腕に自らの腕を絡ませ、事の次第を見守っています。また、アーライルの娘を歌わせ続ける為に邪魔者は排除するつもりです。

エベロージャ・ヤジロベエ
 ヘーゲルの従者です。バリス家より脱走中です。ヴェンステルと行動を共にしています。その純粋さゆえに誰かを助けたくて誰かの血を流させようとします。

黒猫のノーイ
 貴族の娘サンドリーヌ・ピトルが恋人から預かっている黒猫です。今回もヴェンステルの元へと辿り着けるように案内役を引き受けるようです。


■その他
・『一対の杖』
 どんな望みも叶えてくれるという双子の魔法使い。右の杖ライト、左の杖レフトとそれぞれ名乗る。
 現在は右の杖ライトことヘーゲルが死亡し、左の杖レフトであるヴェンステルは罪人としてバリス家が身柄を預かっていました。また一対の杖の正体がワンド家の双子であることはリゲイトの判断で伏せられています。

花見会場

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青い肌の歌姫

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『左の杖』

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