クリエイティブRPG

　扶桑市北東、狗庭城。
　時は戦国、嵐の時代。時の藩主の支城として建てられたこの城は、しかしかつての《大災禍》によって天守を残しほぼ壊滅の憂き目に遭っていた。
　現城主・成瀬美沙は市民から義援金を募って狗庭城を修復した。税金ではなく、義援金をだ。すでに侍の世ではなく、美沙もまた侍ではない。
　世相に逆らってこの城が蘇ったのは、純粋に市民の善意によるものだった――。

　狗庭城、夜半。
　成瀬美沙はふと目を覚まし、布団の上に上体を起こした。「……？」夜風に何か、嫌な匂いが混じっている。遠く半鐘の音が聞こえた。美沙は刀を取って布団から抜け出し、戸を開ける。
「……！？」
　城が、燃えていた。城の方々から火の手が上がり、使用人達が慌てふためいて火消しに回っている。「ど、どういうこと！？」呟き、美沙は階下へ降りるべく踵を返した。
「……！？」
　美沙の動きが止まる。振り返った先に、人影があった。子爵然とした軍服に身を包み、手には金属製の巨大な弓、腰には脇差を佩いている。「何奴――火を放ったのはお前か！？　名乗れ！」美沙は抜刀し、言い放つ。
　そして、直後に息を呑んだ。軍服の胸に飾られた勲章を見たからだ。犬の横顔を象った勲章。美沙にとっては因縁深い勲章だった。
「貴方は――貴方様は！？」
　軍服の男が笑ったようだった。男が弓を構え、背からその巨大な弓に相応しい太く長い矢を引き抜き、弓に番える。同時に部屋全体に火が回り、焔が夜の闇を薙ぎ払った。

　皆様こんにちは。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
　狗庭城を襲うマガカミの討伐依頼です。城に出現したマガカミを全滅させてください。


　敵及びサブキャラクターのご紹介です。

・子爵・狗庭千景
　かつての狗庭城主のマガカミ。武器は巨大な弓と脇差。

・狗　×１０
　狗庭千景の部下のマガカミ。武器は弓と刀。

・成瀬美沙
　現狗庭城々主。


　狗庭城は天守を中心に周囲を山林に囲まれた形になっています。今やこの全域に火が回り、城の使用人達が半狂乱で火消しに回っています。
　先に言ってしまいますが、この火は「人間だけを灼く幻の炎」です。これは神通者の皆様は一目で分かるものとします。消火活動は必要ありません。一般人の避難誘導と狗の始末だけをお願いします。
　また、狗は一般人ではなく神通者の皆様を優先して狙います。さらに、天守へ向かう山道の各所に潜んで皆様を狙っています。考えなしに突入すると不意打ちを喰らうことでしょう。何か作戦を考えてください。

　狗庭千景には説得は通用しません。深く考えずに叩き潰して大丈夫です。ボス敵ですので十分に注意してください。

　千景の近くに美沙がいますが、神通者ではないのであまり役には立たないでしょう。……なんか前回と同じ構図ですね。あーでもでも前回と全く同じとは限りませんよ？　ロケーションが違うし。性格もちょっと違うし。ね？　ね？

　また、事態は一刻を争います。千景と戦う方は全速で山道を突っ切り、天守へ急行してください。参戦は速い者順です。あと一応美沙の安否にも影響するかも知れません。
　なおこの際、パート分けの兼ね合いもありますので、山道途中にいる狗に対する備えは必要ないものとします。後のことは味方に任せて天守まで駆け上がりましょう。ただし、対狗チームの戦況が思わしくない場合、何らかの減算措置が発生するかも知れません。
　あるいは、別に走らなくても構いません。山道は山の斜面に沿って緩やかに蛇行しています。何らかの方法で直線距離で天守に飛び込めれば大きなアドバンテージとなるでしょう。……ちょっとヒントを出しすぎですね。


　簡単ですが、説明は以上です。
　皆様のご参加をお待ちしております。