シナリオガイド
「サムライなんてもう時代錯誤だぜ。このデモクラシイの時代によ」
シナリオ名:-プッラト・ービーブ- 弾爆間人 / 担当マスター:鳥海きりう
神州列島扶桑国扶桑市近郊。
長閑な畦道を、一台の馬車が進んでおりました。車上には御者の他に二人の人影が見えます。一人は男、もう一人は女のようです。
「――見えたぜ。扶桑の街だ」
男の方がそう口を開きました。女が顔を上げ、畦道の向こうを見やります。都の華やかな灯と喧騒が、遠巻きにも見て取れました。
「――有難うございます。お侍様」
「その呼び方はやめてくれっつったろ」
深々と頭を下げる女に、男は気恥ずかしげに頬を搔きました。「刀持ってるだけのただのおっさんだ。サムライなんてもう時代錯誤だぜ。このデモクラシイの時代によ」
「侍を時代遅れと言えるところが、お侍様のそうでないところでありましょう」
女の言葉に男はまた頬を搔き、目を逸らして都の方を見ます。「なあ、あんた、なんで扶桑なんかに行きたいんだ」
「……」
「……?」
男の問いに、女は答えませんでした。男は女を振り返ります。「分かりません。ただ」
「往かなければならない、気がして」
「……ま、そりゃそうだろうな」
男は特に疑問も差し挟まず、片肘をついて都に目を戻しました。京の古都より東は逢魔の地。人が住む場所ではありません。今や神州は死と怪異に満ちています。そこに住む者達が安寧を求めて都を目指すのは、珍しい話ではありませんでした。
「止まれえええい!」
「……!?」
大音声と共に、馬車が急に止まりました。男は身を乗り出して前を見ます。粗悪な風体をしたならず者の一団が、馬車の進路を遮っていました。
「ここは通行止めだ! 通りたければ通行料を払いな!」
「あ、あわわわわ!」
「あ、おい!」
御者は肝を潰したのか、まだ何をされたわけでもないのに転げ落ちるように御者台を降り、どこかへ逃げ去ってしまいました。賊達はげらげらと笑います。男はため息を吐き、女を振り返りました。
「大丈夫だ。静かにしてれば痛い思いはしない。俺が話してくる」
「……お手間を、おかけします……」
男は馬車を降り、賊達の前に立ちました。
「不肖この渡部光太郎は神州男児、死ぬべき時は心得ている。俺を倒せたら、女も金もくれてやろう! かかってこい!」
言って、男――渡部は刀を抜きました。「俺達全員とやろうってか?」「それで構わん。どうせ一騎打ちをやるような気概は無いのだろう」
「いや。俺等もどっちでもいいんだが――なあお侍さん。こういう玩具はご存じかな?」
言うと、賊の一人が懐から拳銃を抜きました。渡部の目が点になります。
「おっ……それ、お前……否男に二言無し! どこからでも参れ!」
「ハハハハ面白え! お前らやっちまえ!」
賊達は笑い、やけくそ気味な渡部に襲い掛かります。
――渡部は神通者ではありません。だから、気づいていませんでした。
その賊共と、そして後ろの女――そのどちらからも、凄まじい悪霊の気配が漂っているのを。
担当マスターより
皆様こんにちは。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
扶桑市近郊の街道における討伐任務です。全マガカミの討伐が成功条件となります。
敵及びサブキャラクターのご紹介です。
・女(瘴鬼) ×1
渡部が護衛してきた女。実は常人なら致死レベルの瘴気を広範囲に放てるマガカミ。
・賊 ×20
一見人間の賊だが、これもマガカミに取り憑かれて狂暴化している。武器は刀と拳銃。
・渡部光太郎 ×1
時代遅れのサムライ。
瘴鬼の瘴気は常人なら致死レベルですが、皆様なら中ダメージ+全ステータスが低下する程度で耐えられます。もちろん回復や状態異常解除スキル等も有効です。ただ、ボス敵らしく地力もそれなりにありますのでご注意ください。
また、マガカミである以上討伐は絶対です。説得すべき対象ではありません。この点もご注意ください。
皆様は神通者ですので、女をマガカミと見抜くのは一瞬で出来ます。この点については特段の準備は必要ありません。
賊達はそこまで強くありませんが、刀と銃を所持していますので苦手な射程はありません。……注意点はそのくらいです。
渡部は神通者ではありませんので、あまり戦力にはならないでしょう。ただ、女を討伐する時の話の運び方がマズいと、最悪渡部が敵に回る可能性はあります。何か作戦を考えてください。
状況としては「最近街道に出没している賊のマガカミの索敵及び討伐任務を受けて現場に向かい、事件に出くわした」形になります。なので、オープニングの状況直後に行動を起こしてもらって構いません。
簡単ですが、説明は以上です。
皆様のご参加をお待ちしております。
・瘴鬼と戦う 【現在のMC参加人数:10】
馬車に人がいるようなので、護衛に向かいます。
……この人……まさか……?
瘴気を放ったら一度後退して回復してもらいます。
(これは例文です。また、ここに書いてあることが正解とは限りません。実際にどうするかは皆様でお考え下さい。より多く、より細かいアクションを頂ければ、より大きな戦果が期待できるでしょう)
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・賊と戦う 【現在のMC参加人数:8】
賊を迅速に始末しよう。
刀に銃か……苦手が無いなら、開き直って俺の一番得意な技を押しつけていくとするか。
悪党な上にマガカミなら容赦する理由も無い。死ぬがいい。
(これは例文です。また、ここに書いてあることが正解とは限りません。実際にどうするかは皆様でお考え下さい。より多く、より細かいアクションを頂ければ、より大きな戦果が期待できるでしょう)
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