クリエイティブRPG

　「こっちはこれで大丈夫かしら……？」

　　目の前に詰まれた書類を片付け、一息ついたのはマーヴェル。
　　彼女は、例年よりも遅れる形で開催される音楽祭に向けて、準備を進めていたのです。

　「終わったか」

　　そう言って執務室に現れたのは、別の書類を持ってきたルイ。

　「ほら、こっちも片付いたぞ。……それにしても、アイツはどこいった？」

　「おかしいですね？　集合時間は過ぎているのですが……？」

　「お前が相談したい事があるから、全員来てくれって言ったのにな。
　　アイツがマーヴェルとの約束を破るなんて珍しいな」

　「……仕方ありません。ルイ、先にお話しさせてください。実は……」



　　場面は少し変わりフルヴィエール市内。

　「それで、大切なお話とは……」

　「うむ」

　　普段見せない程に真面目な表情でジルベールが向かい合う人物。
　　マーヴェルの父親、ギヨーム・マテューでした。

　　愛する女性の父親に呼び出されたジルベールは、多少の期待を含む形で緊張している様子です。

　「……実は」

　「実は？」


　　ギヨームが大きく息を吸って、こう言いました。
　「マーヴェルが結婚することになった」

　　マーヴェルがルイの方を見据え、こう言いました。
　「私、結婚することになりました」


　「「は？」」
　　場所は違えど、同じ表情をするジルベールとルイ。



　「「はぁぁぁぁぁぁああああああ！！？？？」」
　　響き渡る叫び声。



　「お願いだ！　娘を攫ってくれ！」
　　そして、頭を下げ懇願するギヨーム。

　「えっ、ちょっと……、これは……どういうことなんだろう……？」
　　いつもは飄々としているジルベールも今回の事が飲み込めず、ただ混乱している様子です。
　　ただ１つ、分かっている事はこのままだと愛する人が誰かの妻となってしまう事でした。


　　ジルベールとルイはマーヴェル誘拐の件を承諾し、
　　当日に向けた準備を進めました。


　　結婚式は、音楽祭当日。
　　愛する人を取り戻す戦いが、
　　再び始まろうとしていました……。

　始めましての方は、初めまして！
　そうではない方は、いつもありがとうございます！


　いるか旅行記です。


　今回は、ガイアからフルヴィエールで展開されるシナリオとなります。
　今年も音楽祭を開こうとしていた矢先に起きた大事件です。

　経緯としては、ギヨームが市長だった頃に交友のあった別の市長からお見合いを申し込まれていました。
　マーヴェルとしても年齢や自身の立場から、
　そろそろ配偶者を見つけるべきという声が強くなっていたこともありました。
　とはいえ、本人としては受けるだけでなんとか周囲の声に対して、体裁を保つ目的しかありませんでした。
　しかし、相手側の父親が彼女を気に入り、強引な形で押し切ってしまったのです。
　ちなみに、押し負けた原因はギヨームが断りきれなかった事が最大の原因です。


　表向きのイベントとして、音楽祭がフルヴィエールで執り行われております。
　そして、その最後にマーヴェルの結婚が正式に発表される流れとなっております。
　そこで、ギヨームはその結婚式が始まるまで、
　マーヴェルを婚約者の男性から守り切る形で彼女を誘拐してほしい、とジルベールに提案したのです。
　結婚式まで、彼女を守り切れば後はどうにかなるとのことです。
　どうやら、市民達の声も婚約者の男性も納得させる方法があるとのことです。

　ただし、婚約者となる男性の父親がギヨームに強い影響力もあり、
　なし崩し的にマーヴェルと息子を無理矢理婚約までこぎつけた経緯があります。
　また、子煩悩な一面もあるらしく息子の為にと、今回もかなり強引な手段を使ってくる事が予想されます。

　ギヨームとジルベールが話し合った以前から、どうやらジルベールが何者かに監視されている様子です。
　ルイも同様で、ギヨームによるとマーヴェルと深い関わりのある男性が狙われている様です。

　ギヨームによると、マーヴェルだけが結婚式まで自由である事以外にも
　ジルベールも同様に身柄が自由である事も重要である様子です。
　ルイに関しては、音楽祭の前日にギヨームからジルベールを守る理由を聞いたらしく、
　最悪囮となる事も視野に入れているそうです。
　ただし、彼が囮となり捕まった場合、一時的に退路を拓く事が出来ますが、
　長い目で見ると１人ターゲットが減る為、不利となる可能性があります。
　また、ルイが逃走に成功・失敗するかについても、エンディングに影響があります。


　次に、彼らを追ってくる勢力について、
　お金で雇われている傭兵です。
　市民達を混乱させる形でジルベールに戦闘を仕掛ける事はありません。
　逆に言うと市民達が混乱しない状況であれば戦闘等の強硬的な手段を使ってくる可能性があります。

　彼らが行う戦闘の回数が増えれば増える程、市民達に気づかれる可能性が高くなり、
　気づかれてしまえば音楽祭は失敗に終わります。
　また、マーヴェル達に協力する特異者側から戦闘を仕掛けた場合も、
　市民達に気付かせる可能性を高める要因となります。
　音楽祭が中止となった場合、後日談という形でマーヴェルの婚約が正式に発表される形となります。

　ただし、戦闘を逃走回避する事自体は限界があります。
　その為、戦闘を逃走以外でうまく回避する方向を考える必要があります。
　鍵となるのは、音楽祭が行われているという状況になるかと思います。


　表通りを使って逃走する際は、発見確率は高くなりますが、
　傭兵たちが強硬的な手段を使用することはありません。

　路地裏等を使用した逃走では、
　マーヴェル達の発見率低くなりますが、見つかった際に戦闘となる可能性が高いです。

　うまく表通りと路地裏を利用して、追っ手を攪乱させることが逃走成功への鍵となります。
　また、基本的にはジルベールとマーヴェルは共に逃走しますが、
　指示されれば別ルートで逃走する事も可能です。

　相手の戦闘能力ですが、高くはありませんが
　マーヴェル達を守りながらとなるので、最低限の準備は必要となります。
　ただし、戦闘が大規模になると音楽祭に影響が出てきます。

　その為、戦闘の有無に関わらず、如何にしてマーヴェル達の逃走劇を
　市民達に気付かせない様に成功させるか、が大切になります。

　また、追跡能力自体は高く、マーヴェル達に対して、
　１０倍以上の人数で彼女たちを追い詰めていきます。


　そして、今回は音楽祭が舞台となる為、
　音楽祭を楽しむ目的でフルヴィエールを訪れる事も可能です。
　参加者として盛り上がる事も音楽祭成功につながる為、
　マーヴェル達と関わりの無い方々もぜひご参加頂ければと思います。

　音楽祭については、
　演奏者・参加のみ特に問いません。
　演奏者の方は場所や道具などアクション欄に明記があれば、基本的に用意されているものとなります。
　参加者の方は、朝・夕にマーヴェル直属の音楽隊がパレードを行います。
　楽器が演奏出来ない方でも様々な仮装をした状態でパレードに混ざったりすることも可能です。
　その他、音楽に関わるイベントが様々な箇所で行われている為、出店を回りながら楽しんで頂ければと思います。
　他の参加者が開催するイベントに参加することも可能です。

　音楽祭のイベントは、
　演奏や歌唱が基本とはなりますが、
　音楽に関わる様なものであれば基本なんでもありです。
　正直、多少のこじつけでも、市民的にはお祭りだから楽しめればいい、という想いです。
　音楽祭の実行本部も、そういう想いなのでイベント内容が全面的に却下となる事はそうそうありません。
　なので、音楽祭のイベントを実施したいと考えている方は気軽にイベントを開催して頂ければと思います。

　音楽祭をイベント開催者・参加者として楽しみ、盛り上げる事も今回のシナリオにとって重要な事となります。
　ぜひ楽しんで頂ければと思います。


　その他の連絡事項としては、
　トリガーシナリオで描画した設定や人物については、
　使用可能ですのでその旨をアクションに明記して頂く様お願い致します。
　また、描画していない人物でも私のシナリオで過去に登場させたNPCの内、
　特異者となっている人物であれば誘う事が可能です。
　もし、トリガーでやり残したこと、
　今だから出来る事があれば、ぜひ挑戦して頂ければと思います。


　最後に、
　今回のシナリオは、マーヴェルとジルベールにとって大きなイベントとなるかと思います。
　一番大事なのは、２人が笑顔で今回の騒動を乗り越える事かと思います。
　２人の逃走劇を皆様と一緒に楽しく明るく描ける様に、全力を賭させて頂きます！

　それでは、皆様の参加を心よりお待ちしております。
　よろしくお願い致します！