三千界のアバター

パンツァーテイル 序

リアクション公開中!

パンツァーテイル 序
基本情報

マスター:革酎
ワールド:ゴダム
 
 

料金

MC参加:100ポイント
LC参加:100ポイント
フェロー追加:25ポイント
LC/フェロー最大追加数:1
文字数追加:50ポイント

スケジュール

2018年10月09日公開!

シナリオガイド

新章、開幕

シナリオ名:パンツァーテイル 序 / 担当マスター:革酎



 特異者達はかつて、その小世界の極東に位置する国で、数々の冒険に挑みました。
 しかし次なる舞台は同じ世界内の、遥か西方──独国と称される国です。正確には、その国はゲルメンス帝国と呼ばれており、帝政が敷かれて既に百有余年を数える武力国家でした。
 そのゲルメンス帝国内の各所に、かつては存在しなかった悪魔のような化け物どもが出没するようになったのです。
 人間の肉を喰らい、日々増殖を続ける無機質の空飛ぶ巨大鮫──邪顎(じゃがく)という謎の魔物が単独で、或いは群れを成して、山間の村や、不完全な街壁に覆われた地方都市を蹂躙し、逃げ惑うひとびとを次々とその忌まわしき牙の餌食にしているということでした。
 そしてゲルメンス政府は邪顎に対抗すべく、先ごろ投入されたばかりの主力兵器『霊走戦車』で構成される聖威兵団を邪顎出現の各所へ派遣することを決定したのです。


     * * *


 漆黒の忍衣に身を包んだ巨漢が、ゲートを抜けて肌寒い山肌の中腹へと降り立ちました。
 筋肉の鎧に覆われた頑健なる体躯には余り似つかわしくない端正な面に、僅かな苦笑が浮かんでいます。
「またこの世界に戻ることになろうとは、思いもよりませなんだ」
「厳の字は、日ノ本を出たことは無かったんだったかな」
 傍らに佇む髭面の中年男──岩淵 耕三(いわぶち こうぞう)は黒衣の巨漢天堂 厳介(てんどう げんすけ)に意外そうな視線を向けました。
 厳介は面目ないとばかりに、はにかんだ笑みを浮かべて恥ずかしそうに頭を掻いています。
 岩淵は、別段厳介を責める訳でもなく、また蔑む訳でもなく、小さく肩を竦めてかぶりを振りました。
「まぁあの国に居る連中は、ほとんど外国に出たことが無い奴ばかりだ。可笑しな話でもねぇさ」
 その直後、岩淵のごつごつとした精悍な面は一切の笑みを捨て、厳しい色を浮かべました。
 このゲルメンスに出現した謎の怪物について、相当な危機感を募らせていたのです。
「それにしても邪顎か……ガディエの眷属なのは間違いなさそうだな」
「然様さな。どこまでも人類を己の餌としか思わぬ大食漢のようにござる」
 岩淵と厳介は、ワールドホライゾンの依頼を受けて他の特異者よりも一足先に、このゲルメンス帝国に足を踏み入れていました。彼らに与えられた任務は、邪顎による被害の実態とゲルメンス帝国の対邪顎戦の動向を調査することの二点です。
 事と次第によっては、ワールドホライゾンも邪顎の首領、即ち人類に仇為す恐怖の魔獣ガディエ討伐を決断しなければならなかったのです。
「さて、霊走戦車ってのがどれ程のものか、ひとつ試乗体験といってみるか」
「そう簡単に乗せてくれるとも思われぬが……」
 岩淵の呑気な声に、厳介は苦笑を返すばかりでした。
 今、ふたりが足を向けようとしているのは、邪顎の攻勢によって半壊状態に追い詰められている山間の田舎町グラーフォス。ふたりは、ここに聖威兵団が戦車隊一個中隊を派遣しているという情報を掴んでいました。
 既に町のそこかしこで戦闘が勃発しているらしく、砲弾が炸裂する鈍い爆発音が、澄み切った空気の中に陰々と響いてきます。

 人間の命魂を存続のエネルギー源へと変換して体内に取り込む機械生物ガディエは、どこまで貪欲に人類を喰らい続けるつもりなのでしょうか。
 ガディエが作り出す暗雲は、その小世界『明正』に残された、対人類の唯一にして最大の脅威でした。


     * * *


 ゲルメンス帝国第二都心ノインツェスの中央官庁街に、日ノ本から来欧した十数名の特使団が姿を見せていました。
 その中心に立つのは、皇族ながら皇国陸軍警察省で外務局正次官を務める松星宮 沙那子(まつほしのみや さなこ)の凛とした姿でした。
 この日、松星宮はノインツェスにかつて設置されていた欧州連合対妖霊戦部隊のゲルメンス中央本部跡を訪れようとしていました。
「……設立から僅か二年で壊滅するなど、まるで予想外でしたわね」
「敵が半妖ではなく、完全なる邪神亜種であったことが、最大の敗因だったと聞いております」
 松星宮に答えたのは外務局副次官の鈴原 丈倫(すずはら たけみち)なる壮年の武人です。
 この二年間で、スポーン因子を持つ半人半邪神の存在『半妖』は確実にその数を減じつつあったのですが、代わって台頭してきたのが、謎の機械生物型巨大邪神ガディエを頂点とする鬼妖種でした。
 その鬼妖種の中でも、最も危険な脅威として人類に牙を剥いたのが、邪顎です。
 現在この邪顎はゲルメンス帝国領内だけに出没範囲を絞っているようですが、その版図がいつどのような形で諸外国に広がっていくのか、まるで先が読めません。
 その為、日ノ本は早急に対策を講じるべく、警察省外務局を動かし、正次官たる松星宮と副次官の鈴原を現地へ派遣したのでした。
「あら? あそこに居るのはどなたかしら?」
 欧州連合対妖霊戦部隊ゲルメンス中央本部跡が正面に見えてきたところで、一行は足を止めました。
 ゲルメンス政府には外務局の特使が視察に訪れることを事前に伝えてはありましたが、出迎えは不要と申し入れていた筈でした。
 ところが、ひとつの黒い長身の影が一行の行く手を遮るように佇んでいるのです。そして不思議なことに、周囲からは通行人の影が全く消えていました。
 何やらただならぬ雰囲気──鈴原を始め、警護の者達は一斉に臨戦態勢を取り、松星宮を中心とした完全なる防御陣形を完成させました。
 その長身の男が振り向きながら鳥打帽を脱ぐと、松星宮のみならず、勇猛果敢を持って知られる鈴原でさえ、喉の奥で呻くような声を漏らしました。
 そこに佇む長身の人物の容貌が、余りに奇怪だったからです。
 頭髪は一本も生えておらず、首から上の右半分は真っ白な皮膚に無数の釘が突き立っており、左半分は皮膚が無く、筋肉組織が剥き出しになっており、一部はほとんどミイラ化しているような状態です。
 明らかに人外──鈴原は、その男が鬼妖種であると即座に直感しました。
「わざわざ極東の地から参ったそうな。自ら死地に踏み込んで寿命を縮めるなど、酔狂な話だ」
「……鬼妖種だな。何が目的だ?」
 鈴原の声は、緊張の為か随分と硬く強張っていました。目の前の鬼妖種と思しき怪人は、くつくつと嫌らしい含み笑いを漏らしています。
 その怪人は、ドクター・アンセムと名乗りました。
「下手な情報を持ち帰られては色々厄介だ。ここで始末してしまうのが吉というものかな」
 ドクター・アンセムは堂々と宣戦布告を口にしました。
 そしてさっと左手を肩の高さに掲げると、宙空からまるで湧き出るようにして、数体の巨影が泳ぐようにして姿を現しました。
 それらはまさしく、今ゲルメンスを恐怖と混乱に陥れている悪魔の象徴、邪顎の群れだったのです。

 一方、この時すぐ近くの路地裏では、ゲートが開通していました。
担当マスターより

▼担当マスター:革酎

マスターコメント

 本シナリオガイドをお読みくださり、ありがとうございます。

 何年も前に騎兵中隊が壊滅して以来となりますが、久々に小世界『明正』を舞台としたお話を書こうと思い立ちました。
 今回の戦場は日ノ本ではなく、欧州列強の一角たる独国『ゲルメンス帝国』です。
 そのゲルメンス帝国内で人類を恐怖に陥れた邪顎とは、金属・岩石・土砂などで構成された無機質の肉体を持つ空飛ぶ人喰い鮫で、その大きさは1メートルから7メートル前後までと実に様々です。
 知能はほとんど無いに等しく、食欲と凶暴性という本能だけで襲い掛かってきます。但しゲルメンス帝国内の全土に出現しているという訳でもなく、少なくとも現在までは大都市部は堅牢な城壁と豊富な兵力でその侵入を許していませんでした。
 しかしながら、今後はいつどこに出現するかも分からないという情勢に変化しつつあります。実際、ガイド本文にもあります通り、第二都心ノインツェスの街中にも遂に邪顎が出現しました。
 また、松星宮一行の前に現れた鬼妖種ドクター・アンセムは、種族上は邪顎と同類ですが、能力や知能という面ではまるで別種の存在です。
 装備や能力、強さなどはまだ全くの未知数ですので対策の立てようがありませんが、このまま放っておけば確実に松星宮側に負傷者や死者が出てしまいます。
 何とか皆さんの力でこの怪人を撃退しなければなりません。

 今回皆様が取れる行動は以下となります。

・グラーフォスに潜入し、邪顎や聖威兵団に関する情報を集める。(岩淵と厳介はこちらに登場)
・ドクター・アンセムと対決する。(松星宮はこちらに登場)

 尚、本シナリオは明正や関連する過去のシナリオをご存知なくても、問題なくご参加頂けます。
 また過去に明正シナリオでアバター死亡と判定されたアバターでも、使用可能とします。(日ノ本が舞台になることはありませんので)
 但し舞台はあくまでもゲルメンス帝国ですので、日ノ本や一振に関係するアクションは不採用となります。ご注意下さい。
 それでは、皆様からの素敵なアクションをお待ちしております。

グラーフォスに潜入

4

ドクター・アンセムと対決

5