クリエイティブRPG

　それは旅の途中、辺りが真っ暗になったころの出来事でした。

「な、ない！！　大事なペンダントが──！」
　酒場でユミ・ハーマインは、マスターにペンダントについて情報を聞こうとした矢先の出来事でした。

「どっかで落としたか？」
「そんな訳な──あ！！」
　ユミが鞄から視線を上げると、酒場から出て行く黒いローブを羽織った人間が見えました。
　その手には、探していた大事なペンダントがぶら下がっているのが見えます。
　黒いローブを着た男、ユミはその姿を見るなり、手が震えるのを押さえられません。
　何人もの怪我人、そして大事な人の命を奪った人とその姿はうり二つだったのです。

「ひょっとして、最近出てきたっていう盗賊に──って、おい！？」
「お金置いていくわよ、お釣りは要らないからっ！」
　何も聞かずにユミは勢いよく外へかけだしていきました。
　カウンターの前で呆然と立ちすくむマスター。
「まったく、何だって言うんだ」

「……ふぉうやら、んぐんぐ……びょくふぁちのでびゃんだね」
　目をぱちくりとさせて驚く男の横に、いつの間にか背丈の低い男の子と、女の子が立っていました。
　男の子の口にはご飯が目一杯詰め込まれています。

「うおっ！？　へっぽこ探偵！」
「ごくん……だぁれが、へっぽこだぁあ！！」
　男の子はそう言うと、マスターの足下を思いっきり踏みつけました。
「行くよソフィ！！　ぼく達が先に盗賊を捕まえるんだ！」
「う、うんっ！」
　男が痛みに慌てふためく中、双子は外へと走り去って行きました。

「ぐおおおっ、あいつら今度会ったら……って、金払えーーっ！！」

　ユミとへっぽこ探偵（食い逃げ前科有り）による、盗賊達を捕まえる夜が始まりました。

　はじめまして、またはお久しぶりです。朱坂理樹です。
　（１年ぶりできっと忘却の彼方かと思われますが…）

　今回は町を困らせる謎の盗賊達を懲らしめてあげてください。

■概要
　今回の目的はいち早く盗賊達にたどり着き、盗賊達を捕まえることです。
　ただし、盗賊達は頭が良く、またすばしっこいため、１人では捕まえづらいものとなっています。
　そのため、「ユミと行動する」か「へっぽこ探偵と行動する」ことをおすすめいたします。

　ただし、へっぽこ探偵と親密に行動するためには、「探偵になりきる」必要が御座います。
　男の子曰く、「僕はソフィと弟子としか行動しない！」とかなんだとか…。（わがままな性格です）
　もちろん、なりきらず無理矢理、共に行動する事も可能です。

■町からのお知らせ
　今回町から、盗賊について以下のようなお知らせが出ております。

　～盗賊にご注意～
　ここ最近、貴重品が盗まれたなどの被害が相次いでおります。
　また盗人は１人ではなく複数人居る模様で、年齢は１０代～２０代、フードをかぶった者達です。
　より一層警戒を強めて参りますが、皆様もお手回り品にはご注意ください。
　また、盗賊達は武器を持ち歩いております、決して反抗しないようご注意ください。

　～お願い～
　盗賊達を捕縛してくれる方を募集中です。
　捕縛してくれた方には、街より名誉ある者として賞が与えられます。
　詳しくは町役場までお問い合わせください。

■町について
　ごく普通のレンガ造りの家々が並ぶ町です。
　が、その分裏路地も多く、また道も狭く入り組んでいます。
　普通に追いかければ地の利がある分、盗賊達に簡単に逃げられることが予想されます。
　噂では何処かにアジトがあるのではと言われていますが…。

■簡単な前回のあらすじ
（前作：捕らわれた町とユミ）
　孤立した町フラダス、ユミは師匠の友達アムズに話を聞くため訪れました。
　しかし、アムズは黒いローブを着た男に殺されてしまいます。
　死に際にアムズは、男達と何か関係があるとペンダントをユミに託しました。　
　ユミは怒りを心に秘めながら、ペンダントを手がかりに旅をつづけるのでした。

■各キャラクターについて
～ユミ・ハーマイン～
　まだ１４歳になったばかりの小さな女の子です。
　神聖騎士団の凜々しい姿にあこがれており、自分も神聖騎士団になれればと思っているようです。
　町には、師匠の友人が住んでおり。きっと何か有益な情報が得られると思って訪ねてきました。

～へっぽこ探偵２人組～
　１３歳くらいの男の子と女の子の双子で、町では有名な自称探偵２人組です。
　町の中で何かが起きれば「おまかせ！」とばかりに現れて、無茶苦茶をするとか……。
　でも、時には鋭いとの噂も……？

　ちなみに、男の子はとってもわがままかつ、強引で、偉そうな性格をしています。
　女の子（ソフィ）は、大人しめで、大人ぽい意見をたまに言うなど、大人びた性格をしています。