クリエイティブRPG

「さあ！！　準備は出来た！　好きに町へ渡れ！」
　ガルは高らかに声をあげると、跳ね橋を倒しました。
　待ちかねた人々は、不満や安堵に声をあげながら、谷間に囲まれた孤立した町、フラダスへと入っていきます。

「あの、ユミさんは？」
　一番町に帰りたがっていたはずの町娘のリルは、立ち止まりガルに声を掛けました。。
　ガルはただ沈黙し、じっとリルを眺めます。
「……さきに町へ入っていったよ」
「そう……ですか。ありがとうございます！」
　リルは慌てて町へと帰って行きました。
　その姿をみながらガルはぽつりとつぶやきました。
「……鬼が出るか蛇が出るか」

　　　§

「これより町全体を使った武道大会を始める！！　景品はこの綺麗な一枚の鑑だ！」

　ようやく町に入った人々に待っていたのは、突然の武道大会イベントでした。
　リルは必死でユミを探すあまり、そのイベントが異質なことに気がつきません。
　それどころかなぜ、ユミは先に町に入ったのだろうという疑問にかられていました。。
　
　その時でした。突然ルリの前にナイフが通り過ぎました。
「ひっ」
　投げたのは、町の住人らしい男です。おそらく武道大会の参加者だとリルは思いました。
　リルは男へ怯えながらも「私は一般人です！！」と訴えます。

「ひっ、ひひひひっ！」
「えっ！？」

　リルは男のおかしい様子に違和感、恐怖を感じます。
　が、その背後でイベントの主催者が持っている一枚の鑑をみて、恐怖を忘れ驚きました。
「ユミさん！？」
　リルはたしかに一瞬、鑑の中にユミが居たような気がしました。
　が、主催者はそれを持ってどこか奥へと消えて言ってしまいました。

　……何これ……何が起きてるの？
　リルはひとまず、自分の家である宿へ向かいます。

　お久しぶりです。またははじめまして、朱坂理樹と申します。

■概要
　
ルリは特異者の方達に次のような依頼をしております。
「ユミさんを助けて！」
　ユミは何者かによって捕まってるようです。
　”町の人達が全員参加している”謎の武道大会に参加するも良し、ユミを探すも良しとなっております。
　ただしお気をつけください、町の人達はその場にいる全員を敵と見なし襲ってきます。

　今回の皆様のスタート地点は、必ず町の中のどこかからになります。
　それさえ守っていただければ、どのような状態からでもスタート可能です。

　このシナリオでは大まかに以下のような行動が可能です。
　・ユミを探す、救う
　・武道大会へ紛れ込む
　・様子のおかしい町人達を調べる。介抱する。など

　また、この町では次のような事が不可能となります。
・空を飛ぶ（不思議な力により墜落します）
・町の外へ出る（不思議な力が働いています）


■孤立した町　フラダス
　ルリの住んでいる、つまり今回の舞台は孤立した町です。
　町は大きな谷に囲まれており、それを行き来できるのは跳ね橋のみでした。
　といえ、しっかり貿易も行われており、閉鎖的だったというわけではないようです。
　そのため、ある程度発達した田舎町と思ってください。
　（図書館、学校、工芸店などなどがしっかりと存在します）

■ユミ？
　ユミは先に町へ入り、行方不明となりました。
　ただ、町の中にいることは間違いないようです。はたして、どこに居るのか……。
　ルリはそんなユミと再会するべく、町中を歩き回ります。

　そのため、今回ユミと行動することはほぼ不可能だと想定して参加していただければと思います。
　代わりにリルと行動が可能です。

■謎の武道大会
　詳細もルールも全くの不明。ただ町の人は「武道大会を開催している」としか分かっていないようです。
　そして同時に「参加しなくては」という意思（強制思考）の元で、子供から大人まで参加しています。
　が、別に格闘に長けているとかそんなわけでもなく、一般人が大半です……。
　
　もちろん、町の中に入ってしまった以上は誰もが参加者となってしまうようです。
　いつ、だれに襲われても良いようにご注意ください。
　また、景品は“謎の鑑”です。

　そして、主催者もまた行方不明です。
　が……噂では主催者は独りじゃないようです。

■簡単な前回のあらすじ
（前作：通行止めの料理対決）
　前回、ユミはこの町へ「師匠の友達」にある話を聞くため訪れようとしていましたが。
　なぜか、町に入るため町娘のリルとカレー勝負をすることに……。
　結果、２人とも町へ入れることに。だが、そこでユミが聞いたのは

「この先の町、フラダスは謎の賊によって占領されている。つまり、この先戦線だ」
　この言葉にユミは何故か１人で町へと入っていきました……。

　このシナリオはその２時間後の出来事。


■各キャラクターについて
～ユミ・ハーマイン～
　まだ１４歳になったばかりの小さな女の子です。
　神聖騎士団の凜々しい姿にあこがれており、自分も神聖騎士団になれればと思っているようです。
　町には、師匠の友人が住んでおり。きっと何か有益な情報が得られると思って訪ねてきました。

～リル～
　あちらの町に住む少女。
　おどおどとした性格ではありますが、言われたことはしっかりこなします。
　仲良くなれたユミともう一度話をしたいと、町中を探します。