どの世界でも夏祭りのような賑やかなイベントが行われている中。
イベント好きの一部の特異者達があちこちの世界を回り作成した各世界の本日のイベント詳細が記されているチラシが特異者達の間に出回っていました。
その後、各世界はイベント開始の夜を迎えました。
◆◆
アルテラ、【湖の街】ラクス。
街の隅々まで配置された蝋燭、花々、空を彩る願いを込められ飛ばされたランタン、美しいアーライルの歌声と踊りが地と天を彩っていました。
そんな中
「あたしも歌うよ♪」
「カヤン、前の星見でたっぷり歌ったんだから我慢しなさいな。ほら、広場に料理を運ぶよ」
自覚無しの破滅的音痴のカヤンの歌いたがりを止めるリリアンがいました。もしかしたら地獄の夏祭りの予感がちょっぴりの様子。
◆◆
ゴダム、フレンシス教会。
「……みんな楽しそうですね、ブラザートルマ。これでは料理があっという間に足りなくなってしまいますね。少しでも子供達の心が安らげばいいですが」
「そうだな、シスターシルリア。ラキアの様子を見て来る」
シスターシルリアは共に務める修道士達に混じりささやかな宴会に騒ぐ子供達の相手をし、ブラザートルマは昏睡状態の7歳の少年の様子を見に行きました。
◆◆
大和、八瀬村の神社。
「光輝、言われた通り知り合いの妖達を連れて来たぜ。まだ後から結構来るらしい」
妖関連専門に狙う盗賊紅烏唯一人の所属者であり頭である雨木 和砂(あまぎ・かずさ)は知り合いの妖を大量に引き連れ友人の神主八代 光輝(やしろ・こうき)に会いに来ました。
「そうですか。村の皆もすぐに来ますので賑やかになりますよ」
八代は賑やかな宴会の予感に胸を躍らせていました。
彼らと違い
「もっと互いに仲良くなるために人と妖が交流する機会を設けようと考えた八代さんの気持ちは分かりますが、盗賊を頼るのは……」
「いくら多くの妖と親しくしている人だとしても……」
巫女の七宮 結衣(ななみや・ゆい)と三田 アカリ(みた・あかり)は真っ当ではない職業の和砂に嫌な顔をし増える宴会出席者に渋面になっていました。
◆◆
神多品、楯無商店街。
夏祭りに乗じて芳しくない売り上げを少しでも上向きにしようとどこの店も必死に売り込みをしており、あちこちに賑やかな夜店が建ち並んでいました。もちろん夏祭り独特の店もありますが。
「夏祭り限定ケーキはどうですか?」
「新鮮野菜の詰め放題があるよ」
「綿菓子、ふわふわで美味しいよ」
「ヨーヨー、釣ってみるかね?」
商店街の店主一同が団結し、訪れる客達の目を引こうと必死でした。
祭り、宴会、夜市と様々な世界で様々な夏祭りが開催され訪問者を楽しく迎える事でしょう。
さあ、貴方はどこの世界で夏祭りを過ごしますか?