暗黒世界アーキタイプ。
無数の文明に訪れた“滅び”を超えるという目的のトレジャーハンター協会の
ケチュア会長の下、
ワールドホライゾンやTRIALの特異者たちは、パチャカマク文明圏の探索を行ってきました。
しかしその過程で文明を発展を監視するアーキタイプのシステムにより文明圏が滅ぼされるのが確実になってきます。
ケチュア会長は、パチャカマク文明圏の滅びを回避するためにアーキタイプのシステムの中心、
“太陽”へ向かおうと文明圏外にあるフマナ平原を訪れました。
一時はトレジャーハンターの全滅の危機などにさらされますが、特異者たちの奮闘もあって太陽への道が創り上げられました。
太陽、そこに待つものは――
■□■
パチャカマク文明圏外、フマナ平原。
「この方がロザリアの代わり……ですか?」
死の淵から蘇った
叶勝利のアクリャ
マイアは目の前にいるシスター風の少女を見つめました。
「
ミンナ・アラヤです☆
でもひどいですよ、エミリアさん。
私この間命アダム・カドモンの力を失ったばかりなのに……ヘビーローテ過ぎます!」
今回の作戦のためにアクリャになった
エミリアはミンナに頭を下げます。
「悪かったわね。ただ、太陽の巫女マイアと太陰の巫女ロザリア。
二人がいなければ、太陽への道は開いても内部に入ることは出来ないの。
でも、太陰の巫女はピサロと共にいる。
そのため疑似的にでも太陰の巫女を再現するには
太陰の巫女のデータを再現できるだけの素材が必要なの。
今、この状況だと越界聖具でありながら、
その力が“抜けた”状態になっているあなたしかいなかったのよ。
――ということで、お願いね」
「……文明の滅びを回避するためですもんね。
不束者ですが、よろしくお願いします☆」
そうして太陽の巫女マイアと疑似太陰の巫女ミンナによって、太陽の門から太陽への転送が始まりました。
しかし。
「これ以上、太陽には向かわせません!」
太陽の道へトレジャーハンターたちとも戦いを繰り広げた
3人のアクリャの乗る守護者が近づいていたのです。
■□■
太陽内部、滅亡器官。
巨大なドーム状の建造物の内部で、
テラコッタは浮遊しながら特異者の出方を待っていました。
「文明の滅びを回避することなど出来るのか?」
テラコッタに乗る
超越者アヌビスは、
アクリャである
マタカに語りかけました。
「可能だ。この器官を破壊すればな。
ケチュアもそれを狙っているのだろう」
「“太陽”は地球以上に巨大で、この器官もそのごく一部に過ぎないはずだ」
「そうだ。文明圏は1万以上存在し、その滅亡・記録を司る器官は100以上存在する」
「――だとすれば器官の破壊ぐらいでは」
マタカはアヌビスの話を聞きながら改めてアーキタイプのスケールの大きさに驚きを感じました。
その総力をもってすれば特異者たちなどホコリのようなもののはずです。
「滅亡器官は互いの連絡を取っていない」
「何故だ?」
「中枢である
創世主が不在のアーキタイプのシステムは、
それぞれの器官が役割を自動的に行っているに過ぎない。
故にこの器官の破壊はパチャカマクの生存に繋がる。
――だが」
その言葉の続きをアヌビスが言いました。
「このテラコッタ、負けることはない」
(そう。二人のアクリャと神のアバターによって動かされた滅亡者を倒す事は不可能だ)
アヌビスの心に封印された状態のもう一人のマタカが語り掛けてきたのです。
そして、テラコッタは器官から発進し、
特異者たちが出現するポイントに向かいました。
■□■
テラコッタが消えた後、そこに守護者の集団が現れました。
「フン、単純な奴らだよ。
直接戦わないで器官を破壊するつもりがあるとは考えなかったのかねえ」
そう言ったのは守護者クリスタルスカルに搭乗する
ケチュアでした。
「皆が集めたオーパーツで作り上げたこの
ヘリオス砲。
これを内部でぶっ放せば、器官は破壊できるはずさ。
――行くよ」
ケチュアは志願者と共にドーム状の器官内部に入ろうとしました。
「これで全ては終わるんだ、全てがね」
■□■
一方、パチャカマク文明圏、ライミの街では。
「みんな、早く地下道に入って!」
リーゼロッテは住人の避難誘導を行っていました。
この町に守護者の集団が襲い掛かってきたのです。
街を守る巨大守護者や太陽の梯子の砲台によって、次々と敵は撃破されましたが、
それでも撃ち漏らした敵が街を破壊しています。
避難先はここから100キロ近く先にある巨大地下空洞。
距離はかなりあるものの、古代の技術で作られた地下道を通れば10キロも歩かずに行くことができるのですが。
ドンッ!!
リーゼロッテの前に炎に包まれた半獣人のような守護者が現れました。
(勝利たちが戻ってくるまで、
ここは踏ん張るしかないよね!)
■□■
再び、太陽。
以前特異者たちが転移した記憶の平原は、
炎に包まれていました。
ピサロたちの界賊船が平原を燃やしていたのです。
「あそこです、勝利様!」
「ピサロ、待ちやがれ!」
叶勝利と
マイアの乗るザフィーアは、
ピサロと
ロザリア元へと飛びました。
「あら、お姉さま。ちょうど良かった」
ピサロと守護者コンキスタドールに乗る
ロザリアは怪しくほほ笑みました。
「ロザリア、何をいってる?
それより平原を燃やすのはやめて!
太陽の内部をむやみに破壊すれば、文明圏にだってどんな影響があるか……」
「どうだっていいなじゃないですか。
私のピサロ様が滅亡者を手に入れるためなら」
「そういうことだ。小僧。お前のアクリャを渡せ。
二人の同調したアクリャがいて初めて滅亡者は動く。
ロザリアを一度殺したことは許してやる。
だから、おとなしく渡すんだ」
「そんなこと、そんなことできる訳ないだろ!」
勝利の激高にピサロは笑いました。
「だろうなあ!
略奪ってのは相手が逆らって初めて楽しいもんだ。
堂々とバラしあおうぜ――ジェノサイド!」
言うが早いか、ピサロはジェノサイドで勝利を含む周囲一帯を破壊しようとしたのですが。
「ドレッシングクロスファイア!」
その攻撃はある男に集中したのです。
「ンギモッ!」
全身から血を吹き出しながらも嬉しそうな男は
鄭国然でした。
「……勝利さん、奴の範囲攻撃は全て私が食らいます。
その間に私に追撃をして頂けませんか」
「いやそれお前が嬉しいだけだよね!」
「なら食らわせてやるよ、死ぬまでな!」
ピサロはジェノサイドの手を緩めることなく、
さらには傍観していた界賊団のメンバーも動き始めます。
■□■
その様子を一人の男が見ていました。
(アーキタイプ全体から言えば、小さな出来事。
じゃが、これが覚醒の始まりなのかのう。
――ワシの達成することができなかった)
「アーキタイプは覚醒するのか。
なら届けてあげないとね、目覚めをキスをさ♪」
「え、誰!?」
「見ての通り至高の存在さ」
謎の人物の隣にいつの間にか
田中全能神がいたのでした。