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戦いの間隙

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戦いの間隙
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 1 商店△屋と幸運の探索者

 コルリス王国――王都ケントルム。
 夜はひそやかに過ぎ行き、白みはじめた空の下には徐々に人通りが増えていく。好天に恵まれた町は今日も穏やかな活気に包まれ、日常という名の1日が幕を開ける。
 仕事に精を出す者、日用品を揃えに出かける者、惰眠を貪る者――
「最近はどうなの?」
 そして、朝から酒を楽しむ者。
 様々な過ごし方がある中で、アニエス・オリオールは酒場のカウンターに軽く腰掛け、店主や客と緩い雑談に興じていた。
「ここのところ客足が増えて忙しいよ。暇なのは午前中くらいのもんだ」
「モノがよく売れるようになったから仕入れが大変だよ。嬉しい悲鳴ってやつだな」
 裏通りにあるこの店にも、城下町の様子がさざめきとなって聞こえてくる。それをBGMに、彼女達は顔馴染みのような気軽さで言葉を交わす。
「来る途中で運勢を視てもらったら今が稼ぎ時って言われたし、また仕入れにいかないとなあ」
「運勢? この辺に占い師がいるなんて初耳だな。予言師とは違うのかしら」
 少し興味が湧き、水割りを飲みつつアニエスは訊ねる。小っ恥ずかしいのでこの場では言わないが、酒というものは、どの世界でも本当に素晴らしいものだ。酒場には必然的に人が集まり、情報が集まる。その世界を知りたければ王城に赴いたり本を読むのではなく、酒場で酒を呑むべきだ。
 そこにはその町の、国の、人の全てがあるだろう。
 だから、今日も酒場で一日を過ごす。もっとも、呑む時はそんな細かいことは気にしないで楽しむだけだ。
 心地良い酔いに身を任せて答えを待つ彼女に、行商人は氷の溶けかけた琥珀色の酒を飲みながら機嫌良く答える。
「ロートゥス様みたいな大層なもんじゃなくて、個人の持つ運気なんかを見る簡単なもんさ。割と当たるってんで、行商人や旅人とかが験担ぎに利用するんだ」
 
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