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消えた鍛冶師を探して

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消えた鍛冶師を探して
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1.【聞き込み調査】

「みなさんありがとうございます……!」
「いいのよ。とりあえずこの辺りの聞き込みにでもいきましょうか」

慌て、怯えきったテオの元にやってきた佐倉 杏樹は銀色の長い髪の毛をなびかせながら微笑んだ。

「はい。あの、私は酒場の方で情報収集しようと思います。私には、歌がありますから」

それを見ていた池田 蘭は小さく青みがかった白い翼をはためかせねがら微笑んだ。

「素敵ね。それじゃあ酒場は蘭さんにお願いするわ」
「じゃあボクはその辺聞き込みにいってくるね!」

リッタ・マルシアーノは元気よくカルロッタを飛び出して行ってしまった。

「行ってしまったわね。それじゃあ私たちもいきましょうか」



***




杏樹は外に出て【聞き耳】をたてながらアヤトに関する話を見つけようとしたが、生憎アヤトの話題は入ってこなかった。
杏樹はリッタが出て行った方向とは反対に歩きだすと、近くにいた男性に声をかけられた。

「あんたアヤトの知り合いかい?」

男性の質問に、杏樹はピンときたのか咄嗟に【令嬢の嗜み】で礼儀正しく男性に尋ねた。

「えぇ、そうなんです。最近連絡がつかないものですから尋ねてきたのですが不在で。何かご存知ではないでしょうか?」
「そういや最近嬉しそうに歩いているのは見かけたな。……まぁ気持ち悪かったんだが」

思ってもいなかった回答に杏樹は手を顎に当てて考え出した。

「私みたいなセリアンがこのお店に入ったところは見たことありますか?」
「見たことはねぇなぁ。情報は必要なら集めてやろうか? 金はもらうが」
「いえ、それだけお伺い出来れば十分です。では」

礼儀正しく尋ねたのが徒になったのか、男性は金銭を要求してきたため杏樹はその場をいち早く離れた。
(嬉しそうに……?)
考え込みつつもその男性が見えなくなると、杏樹は目的を忘れないようにとさらに【聞き耳】をたてた。

「アヤトのやつ、ちょっと前に大量に食糧買ってたよな……」
「ついに女でも出来たか?」
「いや、あの仏頂面にそんな機会あるか?」


杏樹がカルロッタから出て来たことで行き交う街の人々は小さな声で呟きだした。
【超直感】でアヤトが消えた原因を考えてみたがピンとくる答えはでない。

「あんまり深刻な問題ではなさそうにだけれど、報告はしておくべきね」

杏樹は聞き込みを終えると、テオに報告すべくカルロッタへ戻るのだった。



***




一方、蘭は酒場のマスターに呼ばれ、リュートを持って舞台に上がった。
カルロッタを出て酒場に向かって歩いていると、酒場のマスターに声をかけられ出演を依頼されたのだった。
【リュート】を横に置いてお守り代わりの【胡蝶蘭の花飾り】をそっと撫でた。

「皆さん、こんにちは。もし良かったら私の歌を聴いてください」

蘭は【リュート】で伴奏を奏でて歌いだした。
【清澄の唄声】が酒場内に響き渡り、【アーライルの発声法】酒場の隅にまで声が響くように伸びやかな声で歌い上げた。
歌い終わるとあちらこちらからぱちぱちと拍手が上がった。
蘭はお辞儀をして、拍手をしてくれた人たちの顔を覚えて舞台から降り、【商人の出納帳】と【商人のペン】を持って拍手をしてくれた人の元へ向かった。

「あの、すみません」
「あぁ、さっきの子か。歌、良かったよ」

お酒を片手に挨拶をされ蘭もぺこりと会釈をした。

「ありがとうございます。今人探しをしているんですけれど……」
「人探し?」
「はい、カルロッタっていう鍛冶屋のアヤトさんと連絡がとれない人がいるんです」

蘭はアヤトのことを手短に説明すると、話しかけた客が呆れた表情を浮かべ始めた。

「あ~。アヤトか。ちょっと前に見たが……いつも朝までいるのにその時は1時間ぐらいで帰ったな」
「そうですか、ありがとうございました」

思っていたほどの情報が得られなかったが蘭は気を落とさずに次の客へと聞き込みをした。

「元々出不精でしたから家に帰りたがるのはおかしくないですよね……」

しかし、どの客に聞いても、すぐに帰宅してしまう以外の情報は得られず、蘭はカルロッタへと戻ることにしたのだった。



***




そして一番最初にカルロッタを飛び出していったリッタは店から西側の方で話を聞いていた。

「ねぇねぇ、最近のアヤトさんでおかしなところなかった?」
「アヤト? そうねぇ、変な雑貨買ってるところはみたけれど」
「ほんと? 雑貨屋さんか、ありがと~!」

リッタは持ち前の明るさでいろんな人に声をかけてはアヤトの情報を集めていた。
親切に答えてくれる人は多かったが、元々アヤトは街の人との交流が少ないのか、めぼしい情報は得られなかった。

「こんにちは~!」
「あら、こんにちは」

教えてもらった雑貨屋に入るとリッタは元気よく挨拶をした。
すると店の奥から雑貨屋の女店主が出て来て同じように挨拶を返してくれた。

「アヤトさんがここで雑貨買ったって聞いて、何買ってったか教えてもらえる?」
「アヤト? 最近タライと大きなブラシ買って行ったのよね。何するのかしら」

女店主は怪訝な表情を浮かべていたが、アヤトが元々変人だと知っているためか深刻そうな様子はなかった。

「タライとブラシか……ありがとうっ!」

リッタはお礼をいうと店を出て大通りを歩く。
【デフラグメンテーション】で得た情報を整理し、【フールドリーマー】でタライとブラシの関連性について考えてみる。

「何か洗ってたってこと……?毛と血……?」

うーんと考え込んでみたが、はっきりとした答えには辿り着かなかった。

「とりあえず戻って報告しよっ、みんなも戻ってるころかな」

ひとまずカルロッタで情報の整理をしようとリッタもきびすを返すのだった。

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