三千界のアバター

マオの恩返し

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マオの恩返し
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1.【ニーナはどこに】

「コロニーの方も聞き込みをしてみましたが、ニーナさんはコロニーの所属ではないようです」
「そうか、ならこの辺りを聞き込みして回るしかないな」

ニーナの捜索に名乗りを上げたウォークス・マーグヌム小山田 小太郎はニーナがコロニーに所属しているかどうかを確認しにきていた。
ブランクにいる子供達のことであればコロニーに身を寄せて配給される食糧で生き延びている子が多いためだ。

「チャカギが好きな女の子で聞いてみたのですが、心あたりはないようでした」

小山田が【ハンターバイク】に寄りかかっているウォークスの元へ戻ってくるとお手上げとばかりに手をあげた。
所属していないのなら何か心あたりはないか聞いてみたのだが、情報を得ることは出来なかった。

「おや、あそこに子供がいるようだな」
「ニーナさんの居場所の聞き込みも含めて話しかけてみましょうか」
「そうだな。俺の持って来た食料で、話を聞かせて貰えるといいんだが」

二人は崩れ果ててしまった建物の隙間から見え隠れする子供達の後を追った。

「そこ行く子供達、聞きたい事があるんだ」

ウォークスはリュックサックから、持って来た【ポテトフライ】を片手に子供に近寄ると、その奥から数人の子供達が出て来た。

「食べ物あげるから答えてくれないか?」
「……いいよ。何が聞きたいの?」
「ニーナって女の子を知っていますか? その、チャカギが好きな女の子で……」

小山だがそう言うと子供達は少しだけ嫌そうな顔をした。

「そんな子、滅多にいないよ」

子供達はそれだけを言うとウォークスが持っていた【フライドポテト】を奪い去ってしまった。

「あっ……。少し、気味悪がられてしまいましたかね」
「まぁ好き嫌いはあるだろうな。よし、あっちは俺の仲間と一緒に当たってみる」
「そうですね、では自分は以前会ったことのあるポラリスのメンバーにも聞いてみます」
「わかった。俺は前回の件であの子たちには不審がられているだろうからな、任せる」

ウォークスが仲間と子供達から情報を聞き出してくれるのであれば、小山田は別の方向から情報を得た方が早いと思い、ここで二人は一旦別れることとなった。


***


「さて、あの子供達をおいかけるか」

ウォークスは子供達が消えて行った方角へ向けて歩き出した。
慎重に、瓦礫の上を乗り越えながら走って行くと、子供達が再び顔をひょこひょこと覗かせている。

「ふむ……さて、俺はここで昼飯でも食うとしよう」

そう言うとウォークスはリュックサックから【フィッシュバーガー】と【コーラ】を取り出した。
そして円を作るようにしてウェンディゴマザー・グースフォーリンと談笑を始めた。
ジャンクフードに匂いにつられたのか数人の子供達がじっと4人を見つめている。

「見ているだけなら、話を聞かせて貰えないか?」

ウォークスがそう話しかけると子供達はぞろぞろと出て来た。
フォーリンが黒曜の狐を撫でていると子供達も狐を撫で、一緒に遊び始めた。
マザー・グースはアヒルを触らせて警戒心と解くと物語の読み聞かせを始める。
ウェンディゴはそっと子供の頭を撫でると、男の子たちはたちまちウェンディゴの身体によじ登りすっかり遊び場と化してしまった。

「さっきチャカギが好きな女の子をさがしてるって言ってたよね?」
「あぁ、何か知っていたら教えてくれないか?」
「……一回だけ、会ったことある。こんな感じで、食料をくれたんだ。でもそれだけ」
「そうか、ありがとう」

ウォークスの隣で【フィッシュバーガー】を食べていた子供は情報をくれた。
わかったのは、食糧を分け与えていたのはマオだけではないということだった。

(根が優しい子なのだろうな)


***


ウォークスと分かれた小山田は念のためにと【チェーンコート】を身に纏い、ポラリスの元へと向かっていた。
以前会った場所を拠点にしているのだろうと【鷲の目】を発動しながら向かってみると、ジンとマリーに遭遇することが出来た。

「やぁ、久しぶりだね」

【仏の顔】を使い、敵意はないことを示しながら、警戒されないように火を焚いて暖を取っていたジンとマリーに話しかけた。

「あっ……この間の……」
「何しにきたんだよ」

食糧が思うように見つからないのか二人は機嫌が悪そうだった。
小山田は【カレークッキー】を二人に差し出した。

「人を探しておりまして。あなたたちなら何か知っているかと尋ねにきたのです」
「っ、そういうことなら、いいけど」

ジンは【カレークッキー】を小山田から受け取ると夢中で口の中に入れる。
それを見て小山田は苦笑しながらこの世界を嘆いた。

「ジンってば……それで、何を聞きたいんですか?」
「ニーナって子を探しているんです。チャカギが好きな子なんですけれど……」
「ニーナ?」

すると【カレークッキー】を頬張っていたマリーが手を止めた。

「あぁ、アイツなら……」

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