三千界のアバター

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【一章】




「お前ひとりでどうする気だよ、シオン!!」

 穴が開いたコンクリートの壁の前に立ち尽くすシオンに、ノスフェラトゥの少年が叫ぶ。
 さらに崩壊が進んだ穴は、今や大人の頭ほどの大きさにまで広がっていた。
 
 シオンは真っ青な顔に無理やり笑顔を浮かべ、少年へ振り返った。

「ぼ、僕のプラーナの力を使えば、な、なんとかなると思う……」

 シオンの言葉を聞いても、子ども達から不安げな表情は消えない。
 
 その時、突然ハイドホームの鉄製の扉が叩かれた。
 まさかテュポーンが今度は扉を狙って来たのか。と警戒する子ども達に、扉の向こうから声が掛けられる。

「ハイドホームの皆さん、助けに来ましたわ!」

 疑わし気に声の方向を見る子ども達を尻目に、シオンはすぐさまドアノブに飛びついた。
 ぎょっと目を見張る子ども達の前でシオンが扉を開くと、そこにはサラ・バーネット真毬 雨海が立っていた。

「もう大丈夫ですわ。 今、外では他の方々がテュポーンの相手をしてくれていますの。皆さんは、今のうちに安全な場所へ!」
 
 しかし、子ども達は互いに顔を見合わせるだけで動こうとしない。

「……仕方ないですわね。真毬さん、先ほど話し合った通りに、お願いしますわ」
「はい。私はこの子達を誘導します。サラさんは、子ども達が避難できそうな部屋の捜索をお願いします」

 雨海の言葉に頷き、サラはハイドホーム上層階へと続く階段へと駆け出した。
 
 雨海が合図を送ると、ファミリアが【ファミリアタクト】により独特のリズムを刻み出す。
 どこか心地よいそのリズムに、恐怖に引きつっていた子ども達の顔が少しだけ和らぐ。

「皆さん、ここは危険ですから私と一緒に安全な場所へ行きましょう」
「安全な場所なんてどこにもないよ! 外にはテュポーンがいるのに!」
「大丈夫です。敵が来ても私が倒してあげますよ」

 それに、と雨海は【パストショット】を使い、銃弾を体に巻き付けた人型のファミリアを出現させた。

「ほら、こんなに頼もしいファミリアもいるのですよ」

 だから安心してください。と言いながら頭を撫でて来る雨海と、その傍に控えるファミリアの姿に、子ども達の心が落ち着いてゆく。


「よ、よし、僕は穴をふさがないと!!」

 雨海の誘導に従いだした子ども達の姿を認め、シオンは改めて壁の穴に向きなおった。

「俺達も手伝おう」

 その声にシオンが振り返ると、万年 忠道アルヤァーガ・シュヴァイルがすぐ傍に立っていた。

「ほ、ほんとに?」

 突然現れた大人二人に、驚きつつも“手伝う”という言葉に反応するシオン。

「自分たちのホームを守るために全力を賭すその目は気に入りました。早く作業に取り掛かりましょう」

 小さく微笑み、そう促すアルヤァーガに、シオンはほっとした顔で頷いた。

 早速、忠道は自らのフェロー、クリーンバスターゼロの少女ブックコレクターガンブレイバーに指示を伝え始める。
 その間、アルヤァーガは【クロニカマーカー】を取り出していた。
 そこには【ファミリアサーチ】の術式が記されている。

「周辺の廃材の状況を調べてきてください」

 アルヤァーガがそう指示すると、現れたファミリアはすぐさまハイドホームの外へと飛んで行った。





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